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ワイン名称に出てくるフランス語の「Côte」と「Coteaux」の違いとは?

 タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>

WSETレベル3の英語受講から合格までの体験記(難易度、勉強法、合格の秘訣など)




ワインの素人だった私が、ワインの勉強をまじめに始めて2年目にWSETレベル3の英語試験を合格した勉強法を紹介したいと思います。


WSETは世界で通用するワイン資格です。主催団体によればレベル3は、

ワインの業界で働くプロフェッショナルおよびワイン愛好家を対象とした上級レベルの資格です。

全世界で通用する資格であるために、海外のワイナリーに行ってWSETのレベル3を持っていると言えば、ワインについてはそれなりに知っていると思ってもらえるようです。

いつか海外のワイナリーを訪れることを思い描きながら、WSETレベル3に挑戦をした軌跡を紹介します。

(参考記事:意外に高い?WSETの合格率




なぜWSETレベル3を受験?


私にとってのワインの勉強は、飲み友達作りにワインスクールに通ったことから始まりました。

当時はワインの勉強などそっちのけで、中途半端な知識でワインスクールのクラスメートとワインを飲み明かすことだけを楽しんでいました。

折角ワインスクールに通ったのに、フランスのワイン産地はブルゴーニュとボルドーしか頭に残っていませんでした。

そんなワイン素人の私がまわりの飲み友達に影響されて、JSAワインエキスパート試験に挑戦をしました。まじめなワインの勉強はゼロから始めたこともあり、はじめはイチかバチかくらいの気持ちで始めた挑戦でしたが、ワインスクールのサポートにも助けられてなんとか一回で合格をすることができました。

次に挑戦すべきは上位資格である「JSAワインエキスパート・エクセレンス」だと思い、この資格は5年間待たなければならないことを知って、ワインの勉強はしばらくお預けだと少し寂しく思っていました。

しかし、ひょんなことからWSETは英語でワインが学べるということを知って、今度も大きな挑戦でしたが、WSETレベル3の英語講座に通うことに決めました。

(参考記事:WSETとは?WSETワインレベル3資格とは?

(参考記事:ワインを英語で学ぼうと思ったきっかけと意外な発見




WSETレベル3を受講してよかったこと


WSETレベル3を受講した良かったことは、ワインを英語で学んで、資格試験にも合格をしたことで、英語の環境でも臆せずワインについて話ができるようになったことです。まだあまり機会はないのですが、チャンスがあれば臆することなく参加ができそうです。

(参考記事:ワイン講座を英語で受けるメリット


また、WSETをやったことでブドウ栽培やワイン醸造に対する知識が広がり、さらにはワインの品質についても理解が深まりました。これはJSAワインエキスパートではあまり学べなかった分野でした。

(参考記事:WSET L3を学んで知った『ワインの品質評価』

(参考記事:やって分かったJSAワインエキスパートとWSET Level3の違い


いままではJSAの考え方に則ったワイン理論しか知らなかったのですが、より世界基準のワイン理論が学べたことも大きなメリットでした。例えば、自力でおいしいワインを探したいと思ったら、WSETの方が役に立つと思いました。私はソムリエを目指しているわけではなかったので、WSETの方がむしろ共感できる点が多かったような気がします。

(参考記事:WSETレベル3とJSAワインエキスパートの違い、どちらがおすすめ?

(参考記事:理論派のための論理的なテイスティング




WSETレベル3の英語受験で苦労したこと


WSETの学習で最も苦労をしたことは、本試験に関する情報が公にはされていないことでした。JSA試験のように過去問や問題集がたくさん市販されているわけではないので、講義と限られた情報源から本試験の情報を集めました。

(参考記事:WSETで苦労する本試験に関する情報の少なさと、何とかみつけた情報源

(参考記事:Amazonで見つかるWSET参考書籍


英語受講にもあまり自信はなかったので、予習・復習をして毎回わからない単語のないようにしてから講義にのぞむなど、様々な工夫を重ねました。

(参考記事:非ネイティブのWSET-L3英語試験対策


ワインの試験と言えば、私はJSAワインエキスパート試験しか受けたことがなかったので、試験構成や、試験のコンセプトの違いになれることにも苦労をしました。特に、WSETレベル3は表面的な知識だけではなく、ワインに対する理解度を試される試験内容なので、試験に対する意識も変える必要がありました。

(参考記事:JSAワインエキスパートと、WSET(Level3)のテストの違い

(参考記事:やって分かったJSAワインエキスパートとWSET Level3の違い


WSETレベル3の最大の難関は、記述式試験(ショートエッセイとも言われるようです)と言われています。記述式試験を突破するにはワインに関する知識に加えて、ブドウ栽培、ワイン醸造に関する深い知識が必要でした。

(参考記事:WSETレベル3記述式試験とJSA筆記試験の大きな違い

(参考記事:WSETレベル3 記述式問題の形式と回答のコツ(英語受験)

(参考記事:WSET Level3の問題構成と記述式試験対策




WSETレベル3合格の秘訣


私はWSETの受験を思い立ってから、最短ルートで講座の受講と本試験を経験しましたが、なんとかもっともよい成績の「Distinction」で一発合格することができました。

私が合格できた秘訣を思うことは次のようなことです。

・試験構成や試験傾向、合格ラインを早めに把握して、早くから本試験を意識した学習をする

 (参考記事:WSETレベル3の試験問題を知るために参考にしたウェブサイト
 (参考記事:WSET L3試験の成績評価に関する考察

・WSETの勉強を日常生活のスケジュールに組み込み、しっかりと勉強時間を確保する


・とにかくテキストをよく読み込み、必要な部分はノートに書き出して、記述式試験の備える

 (参考記事:非ネイティブのWSET-L3英語試験対策


・テイスティング試験のコツを早めにつかむ

 (参考記事:WSET Level3のテイスティングの特徴とは?

 (参考記事:WSETテイスティングで重要だと思った品種




WSETレベル3英語受験の勉強法


私はずっと日本で育ってきて特別な英語教育を受けたわけではないので、WSET Level3英語受験に向けては少し特別な準備を行いました。

まず、英語受験をするにあたって私の英語レベルは、次の通りでした。

・英語の授業を受けて7~8割程度は理解できる

・読むのに1.5~2倍の時間はかかるけど、辞書を使って英語テキストを読むことができる

・複雑な内容でなければ、授業中に英語で質問ができる

・講師から英語で質問をされた場合、内容を理解して何かしらの回答はできる

・英語のワイン専門用語はほとんど知らない

・(参考までに、最後に受けたTOEICは800点を少し超えたくらい)


私の個人的な感覚なのですが、他のクラスメートと比べると私の英語力はちょうど平均くらいだったと思います。最低限の英語を聞く力は必要かもしれませんが、聞くことさえできれば授業にはついていくことができると思います。

(参考記事:ワイン資格の勉強をしているのはどんな人たち?~日本語、英語クラスの違いなど~

(参考記事:WSET英語受講の講師の英語やその難易度について



勉強方法としては、次のようなことを行いました。

<準備編>はWSETレベル3コース受講前にやったこと、<継続編>はコース受講中に繰り返し行っていたこと、<テスト対策編>はコースの受講を終えてから本試験用に行ったことです。

準備や合格通知の受け取りまで含めると、およそ1年がかりくらいのプロジェクトになったのですが、スケジュール感については下の記事を参照してください。

(参考記事:「WSET Level3 合格までのスケジュール」)



◆英語受験に向けての勉強方法(準備も含む)

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<準備編>

①WSET Level3英語クラスへの申し込み

②日本語テキストの購入

③試験問題サンプルの検索


<継続編>

④授業の予習(テキストの読み込み)

⑤授業の復習(授業ノートの清書)

⑥宿題の提出


<テスト対策編>

⑦固有名詞の英単語の暗記

⑧回答を何度も英語で筆記

⑨テイスティング試験対策

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◆勉強方法の詳細


それでは①~⑧までの詳しい説明です。

<準備編>


【①WSET Level3英語クラスへの申し込み】

英語受験をするにしても、全十数回の授業を日本語で受けることは可能ですが、私は英語で授業を受けることを選びました。

日本語で授業を受けた方が理解度は高まるのですが、その場合、英語受験に向けて日本語→英語の翻訳を逐一行わなければならないことが非常に非効率的に思えて、はじめから英語で受講をすることに決めました。さらに、もしLevel4(Diploma)に進むことを考えたら、絶対英語受講に慣れておいた方が良いとも思いました。

英語リスニングにはそれほど自信があったわけではなかったので、英語リスニングのトレーニングは受講期間中も時間を見つけて続けていました。

(参考記事:英語学習でお世話になったウェブサイト(WSET英語受講対策)

英語クラスが開催される時間帯や回数、振替のルールなどは各スクールによって異なるために、無料説明会に参加をして調べてみるのがよいと思います。

(参考記事:受講するワインスクールの選択と、無料説明会に出席した感想





【②日本語テキストの購入】

英語クラスを受講すると、スクールから提供されるテキストも英語版になるのですが、補助資料として日本語テキストをWSETの公式サイトから独自に購入しました。ところどころ英語の言い回しが分かりにくいところを確認したり、さっと復習したいときには日本語テキストがあることは便利でした。8,000~9,000円程度の値段でしたが十分役に立ちました。



【③試験問題サンプルの検索】

勉強を始めるにあたって、出題内容を知っておくことが重要だと思って、試験問題のサンプルをネットで検索しました。

WSET試験は、JSR試験とは異なり試験対策の書籍が全く販売されていないので、頼れるのはインターネットです。

英語受験のメリットは、情報ソースが日本だけでなく海外にもあることで、いくつか無料でサンプル問題や取り組み方を説明しているウェブサイトを見つけることができました。
WSETが公式に公開している記述形式テストサンプル(フルバージョン)も見つけることができました。

勉強方法のコツを説明する動画もありました。(➡ Wine Study - Five Top Tips for Success, ➡ WSET Level Three Exam Questions - What to Expect at Level 3

(参考記事:WSETレベル3の試験問題を知るために参考にしたウェブサイト


また、サンプル問題以外にも海外のウェブサイトで回答のコツや勉強方法なども調べて参考にしました。

(参考記事:英語サイトで見つかるWSETレベル3勉強法

(参考記事:ワインのスタイルや品質に影響を与える5つの要素 (WSET L3記述対策)




<継続編>


【④授業の予習(テキストの読み込み)】

毎回の授業の受講前に、英語テキストを読み込み、分からない単語の意味を調べてから授業に臨みました。

私はワインの専門英語をほとんど知らなかったので、これは授業を理解するうえで非常に役に立ちました。

また、予習をしながらその内容を簡単に電子ファイルにまとめておきました。




【⑤授業の復習(授業ノートの清書)】

授業中はメモを取るのが精いっぱいなので、次の授業までに毎回書きなぐりのメモを清書して、いつでも見直しができるようにしました。

書きなぐりのメモ↓

清書は電子ファイルにまとめました。電子ファイルのメリットは検索機能を使えば、キーワードでいつでも調べたい個所を簡単に見つけられることです。

(参考記事:WSETの英語対策:OCRによるテキストの電子化

これは、記述式問題に対する良い練習にもなりました。難関である記述式問題の対策は、とにかく英語でワインに関する文章を書く習慣をつけることです。

テイスティング部分に関しても毎回授業で出たワインについて模範解答をリスト形式でまとめました。

(参考記事:講義で出題されたワインリストの作成と分析の勧め



【⑥宿題の提出】

毎回提出される宿題は、どんなに忙しくても次回までにやり終えることを心掛けました。
主に記述式問題の対策ですが、これも英語でワインに関する文章を書く習慣作りに大いに貢献してくれました。



<テスト対策編>


【⑦固有名詞の英単語の暗記】

WSETの記述式試験については、よく「減点式ではないので、多少間違いが含まれても、できるだけ沢山書いた方がいい」と言われます。

講師からは「多少、スペルが間違っていても大丈夫」とも言われました。

しかし、ブドウ品種や産地については、あまりにもスペルが異なると得点できないのではと思い、出題されそうな固有名詞は個別に単語帳を作り、正確にスペルを覚えました。

(参考記事:WSETレベル3 記述式問題のための単語帳(一般単語)

(参考記事:WSETレベル3 記述式問題のための単語帳(地名、ワイン名、専門用語)


JSAの時にカタカナで覚えてしまったものを新たに英語で覚えるのに本当に苦労をしました。

例えば、シャンパーニュの「ランス」は、英語で書くと「Reims」で、普通に読んだらレイムスです。


【⑧回答を何度も英語で筆記】

最大の難関は記述式問題だとわかっていたので、スクールから提供されたサンプル問題や、独自にネットから入手したサンプル問題について何度も回答をノートに書きだしました。

(参考記事:WSET Level3 記述式問題で重要に思えたところ(本試験対策)


記述式問題の難しいところは、しっかり内容を理解していないと、過不足なく回答が書けないことにあります。そのためにノートに回答を書きだしては、必要な要素が含まれているかを毎回チェックしました。加えて、正しいスペルで英語が書けているかの確認にもなりました。

(参考記事:WSETの記述式問題:「どの程度書けばいいのか?」の失敗例

(参考記事:WSET記述式試験の例題と苦手な問題

(参考記事:一筋縄ではいかない!とてもWSET的だと思った記述式問題


毎回しっかり文章を書くのは大変なので、ポイントだけ箇条書きで出す書き方で十分だと思います。
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例)Tokaj Aszú wine production process

  • Aszú berries are macerated in the base wine (before/during/ after fermentation)
  • Traditionally the botrytised berries were made into a paste, but using uncrushed aszú berries avoids the extraction of bitter flavours.
  • This mixture is pressed 
  • the wine is matured for a period of time in oak. 

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記述式試験対策だけで大学ノート1冊を使い切りました。


選択式問題対策としては、ネットで見つけたサンプル問題を解く以上は特に行いませんでした。講師からも「選択式問題でつまづいているようでは、記述式問題は絶対に解けない」と言われていたので、記述式問題のついでに選択式問題対策を行っていました。

(参考記事:WSETレベル3の多肢選択問題(四択問題)対策



【⑨テースティング試験対策】

WSETレベル3のテースティング試験は、記述式試験に比べると比較的合格しやすいと言われています。

しかし私はテースティングがあまり得意ではなく、ワインスクールで行われたテースティングの模擬試験もあまり良い成績ではなかったために、本試験の準備期間には自宅での練習を行いました。

(参考記事:8割越えは難しい... WSET L3テイスティング中間テスト

(参考記事:WSETレベル3 テイスティング対策 ~自宅練習法~

正しくワインを感じ取る能力も重要ですが、大きく得点を落としてしまう受験生の特徴は、WSETのテースティングの記述方法を正しく理解していないことだと担当の講師が行っていました。テースティングの記述ルールについても何度も見直しを行いました。

(参考記事:WSETレベル3のテイスティング試験でやりがちな失敗トップ10




勉強法でさらに改善できたと思うこと


私は試験期間中に実践しませんでしたが、もしやっていればもう少し効率的に勉強ができたと思うことを紹介します。

1つ目はWSETレベル2のテキストの利用です。

WSETレベル3の試験では、記述試験において、かなりの頻度で特定の地域で造られるワインの特徴を答えさせる問題が出題されます。

レベル3のテキストにも地域ごとのワインの特徴が書かれているのですが、レベル3はより栽培方法や醸造方法にフォーカスを当てているために、ワインの特徴に関する記述については情報が足りなかったり、記述箇所が分散されていて探すのが大変です。

一方で、レベル2のテキストはブドウ品種やその品種から造られる主要産地のワインの特徴にフォーカスが当てられており、ページ数も少ないので、ワインの特徴を調べる参考書としては最適です。

(参考記事:品種情報がよくまとまった便利なWSET Level 2 テキスト


2つ目は参考書の利用です。

WSETレベル3のテキストの良いところは、必要な情報が無駄なくシンプルに書かれていることなのですが、特に複雑な醸造部分に関しては「もう少し知りたい」と思う情報が十分に書かれていない部分があります。

担当講師に質問をするという方法もあるのですが、講師からの回答も欲しい時にすぐ帰ってくるとは限りません。

担当講師からは「レベル3のテキストをしっかり読み込んでおけば、それ以外の参考書を使わなくても試験は大丈夫」と言われていたのですが、醸造工程の少しわかりにくい部分に関しては参考書があっても良いのかなと思いました。特に「Distinction」などのよい成績で合格をしたい方にはおすすめです。(書籍に関しては下の記事を参照してください)

(参考記事:WSETテキストでは足りない醸造工程に関する情報の調べ方




本試験にあたって心掛けたこと


学習が順調に進んでも、本試験で失敗しては元も子もありません。

本試験は、持ち物や当日の体調管理など、万全の準備をして臨みました。

(参考記事:WSETレベル3資格試験 当日の流れと気を付けたこと




よく読まれている記事

WSETで納得!JSAで疑問だったギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い

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ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリットの整理

 ワイン用のブドウ栽培では、多くのブドウ樹が棚付けされて管理されています。 棚付けとは、ブドウ棚を使用して毎年成長するブドウの枝葉を支持するブドウ樹の管理方法です。 ブドウ棚は下図のような、支柱と針金からなる常設の構造物を指します。 そして、ブドウの樹の棚付けの方法として最も広く使われている方法が 「垣根仕立て(VSP = Vertical Shoot Positioning)」 です。 垣根仕立てがあまりに一般的なので、個人的には、ついつい「棚付けのブドウ樹 = 垣根仕立て」と混同しがちです。 そこで整理のために、ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット、デメリットをそれぞれまとめてみました。 棚付けしたブドウ畑(樹)のメリット・デメリット 棚付けの最大のメリットは、キャノピー・マネジメント(樹冠管理)が容易になることです。キャノピーとは、ブドウ樹で毎年成長する緑色の枝葉を指します(一般的に、長年にわたり固定されているコルドンは含まないと思います)。 そして、キャノピー・マネジメントのメリットとしては、「日照量」、「通気」、「機械化」の3つが挙げられます。 日照量のコントロールは、葉陰を減らすことによる日照量の最大化や、反対に葉陰を増やすことによる果実の日焼け対策が含まれます。 通気の管理は、特に雨や湿気の多い地域で重要であり、カビなどの菌類病のリスクを減らします。 また、適切なキャノピー・マネジメントにより、樹の特定の部分に果実や葉がくるようにしておくことは、畑への機械の導入を促します。これにより、作業の効率化を図ることができます。 一方で、棚付けのデメリットとしては、ブドウ棚設置のための初期費用と、それらを維持管理するための費用や手間があげられます。 ブドウ棚は、急斜面では利用できないこともデメリットの1つです。北ローヌなどの急斜面が多い畑では、ブドウ棚の代わりに支柱のみを用いた棒仕立てなどが用いられます。 (関連記事: 棒仕立て、ミストラル、混醸... ローヌ川流域北部のブドウ栽培とワイン造り ) 垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリット 垣根仕立て(VSP)のメリットは、ブドウ樹の樹勢が一定以下の場合に、キャノピー・マネジメントがしやすいことと言われます。 したがってそのような場合には、「日照量のコントロール」、「通気の確保」、「作業の...

ソノマ・ナパ カウンティのサブリージョン(AVA)の私的な覚え方【語呂合わせ】

アメリカ、カリフォルニアの暗記の難関と言えば、ソノマ・ナパのサブリージョン(AVA)の暗記です。 正攻法で覚えると結構大変なので、ポイントを絞った覚え方を考えてみました。 (参考記事: ナパヴァレーAVAの覚え方を正攻法で考えてみる ) そのポイントとは、「 そのAVAが、ナパ、ソノマどちらに属するのか? 」ということです。 あるAVAが取り上げられて、「これはナパ、ソノマどちらのAVAでしょう?」という問題が結構頻出なので、個人的には結構つかえる覚え方ではないかと思っています。 ソノマと、ナパのAVAを五十音順に並べてみると、意外と頭文字が重ならないことに気が付きます。 「ア」と「チ」が頭文字のものは両者に含まれるので、「アレ」と「チョ」で覚えます。 重複する「ロスカーネロス」は超重要なので、これは自力で覚えます。 名前に「ソノマ」が含まれるものは、わざわざ頭文字を覚えるまでもないので、除外しています。 あとはこの頭文字を語呂合わせなどで覚えます。 例えば、下のように。 ソノマさえ覚えてしまえば、「ソノマ」と「ナパ」の2択の場合は、ソノマの頭文字に含まれていなければ自動的に「ナパ」であることがわかります。 一応、下はナパの頭文字の語呂合わせです。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 )

ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは?

ブドウ樹は、その土地に合わせて様々な形をしています。このブドウ樹の形は「仕立て」と呼ばれ、休眠期の剪定によって整えられます。 例えば、ボルドーやブルゴーニュでは針金と柱を用いて枝を地面と垂直方向に伸ばす「垣根仕立て」が多く採用されています。 一方で日本では、ブドウや葉を棚の天面に広げる棚仕立て(Pergola ペルゴラ)が多く採用されています。 このような仕立てや選定は、気温、日照、水、土壌の栄養分などのブドウ樹が必要とする要素や、ブドウ畑の機械の使用などを考慮して、そのブドウ畑に最適なものが選ばれます。 WSETレベル3では、この「仕立て」、「剪定」について比較的しっかりと学ぶのですが、ブドウ畑に馴染みのない私にとっては少し理解が難しい部分でした。 特に私が混乱してしまったのは、「仕立て(training)」と「剪定(pruning)」の違いでした。両者はお互いに深い関係があり、テキストの説明だけでは直感的にわかりにくかったので、個人的に図などを利用してまとめてみました。 (関連記事:t rellis の意味 | 英語ワイン書籍に出てくる英単語 ) <仕立てと剪定の違い> WSETテキストによれば「仕立て」と「剪定」は次のように説明されています。 「ブドウ樹の整枝・仕立てとは一般に株の形状のことをいい、大きく分けて、株仕立てとコルドン仕立ての二つに分類できる。」(株…ブドウ樹で一年以上経っている木質部のこと) 「剪定とは、冬または生育期間中に、望ましくない葉や長梢、株を除去することである。剪定によって樹の形が決まり、大きさが制限される。」 つまり、仕立てとは「ブドウ樹の形」を意味し、剪定とはその「ブドウ樹の形をつくるための作業」ということになります。 <仕立てと剪定の種類> 「仕立て」は株(一年以上経っている木質部)の形によって大きく「株仕立て(head training)」と「コルドン仕立て(cordon training)」の二つに分類ができるようです。 「株仕立て」は株の部分が比較的小さいのに対して、「コルドン仕立て」はコルドンと呼ばれる腕枝があるのが特徴です。コルドンは通常1~2本ですが、4本以上のコルドンを持つ「大木仕立て(big vine)」と呼ばれるものもあるようです。 ...

EUの甘味(残糖量)を表すラベル表示用語とその覚え方【語呂合わせなど】

EU内で生産される/EU内で販売するために生産される発泡性ワイン には、 甘味に関するラベル表示用語(Labelling term) が規定されています。 「Brut Nature」から「Doux」までの7段階 があり、それぞれに対して残糖量の範囲が決まっているのですが、これを覚えるのはなかなか大変です。 WSET L3 では、テキストに「試験では、ブリュット・ナチュール(Brut Nature)、ブリュット(Brut)、ドゥミ・セック(Demi-Sec)の用語と、それぞれの甘味のレベルに関する知識があれば十分である。」と丁寧に書かれているので、この3つだけを覚えれば十分で、暗記はそれほど大変ではありませんでした。 しかし、 JSAソムリエ・ワインエキスパート試験 では、細かい部分も出題される可能性があり、全ての用語と残糖量の範囲を試行錯誤を重ねて何とか覚えました。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 ) (関連記事: スパークリング・ワインの残糖量の表示の覚え方(新) ) その方法は次の①~④の通りです。 ------------------------------------------------------------- <発泡性ワインの甘味を表すEUのラベル表示用語> <覚え方> ①カテゴリ分けをする ・まず、7段階の表示を、Brut、Sec、Douxに分けて、それぞれ3つ、3つ、1つと覚えました。 ②Brutを覚える ・Brutが 最も残糖量の少ないカテゴリー であることを覚えました。「 Brut=untreated(未加工の)≒糖の添加を極力行わない 」と考えると容易に覚えられました。 ・ Brut Nature、Extra Brut、Brut の3つの表示用語があることを覚えました。 Nature(自然のままの)、Extra(格外の) という意味を考えると覚えるのは容易でした。 ・Brutの 最低残糖量は全て「0」 であることを覚えました。 ・Brut Natureの最大残糖量が「3」であることを覚えました。Natureには「生まれたままの」という意味があるので、「 3つ子の魂100まで ...

ソムリエ・ワインエキスパート試験で苦労をした年号の覚え方

WSETと比較をしてみると、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験で特徴的な部分は、ワインに関する歴史が問われることでした。 (関連記事: WSETレベル3とJSAソムリエ・ワインエキスパート資格の違い、どちらがおすすめ? ) ワインやワイン産地には興味があるんですが、正直、ワインの歴史にはそこまで興味を持てませんでした。ワイン愛好家にとって重要なことは、おいしいワインを見つけることや、おいしいワインを飲むことであり、ワインがどんな歴史をたどってきたかなんて近代を除いてそんなに重要なことではないと思えるからです。 「歴史なんか覚えて、何の役に立つの?」正直こんな気持ちでした。 だから、いざ覚えようと思っても、興味のないことはなかなか覚えられません。ワインの色などは語呂合わせを駆使して覚えてきたのですが、年号関連は語呂を作っても同じような語呂ばかりになってしまい、この方法もあまり役に立ちませんでした。 そこで始めたのが、正確な年号を覚えるのはとりあえず置いておいて、年号の順番を覚えるというやり方。特定のトピックにおいて、関連した年号を1つの図にまとめていくと、何となく時代背景が見えてきて、少しずつ頭に入ってくるような気がします。さらに、キーとなる年号だけ覚えておけばその前後関係を覚えておくだけで、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験は4択なので十分対応可能だと思いました。 例えば原産地管理法の年号は、ヨーロッパ→北米・南ア→南米・豪州→NZ・日本のように広まっていくのがわかります。 また、ブドウの伝来もヨーロッパ→南米→アメリカ・南ア→豪州→NZ→日本のように広がっています。 そして、日本も長野・山梨から始まり、北海道や山形に広がっていくのがわかります。 正確な年号を語呂合わせで覚えるよりも、こちらの方が時代背景がわかるので後々役に立つ知識になるとおもいました。 このような類似のトピックで情報を1つの図にまとめていくやり方は、その他覚えにくい生産量のデータや、気候区分を覚えるのにも役に立ちました。単なる数字を覚えるよりもずっと楽に暗記ができました。 例えば、フランス各地の栽培面積とワイン生産量。 そして、各地の気候区分。 試験中に具体的な数字が浮かばなくても、なんどなくこれらの図が頭に浮か...

WSET Level3 記述式問題で重要に思えたところ(本試験の筆記問題対策)

繰り返しになりますが、WSET level3の最大の難関は記述式問題です。 (参考記事: WSET Level3 の試験構成 ) WSETの記述式問題では、出題されたテーマに対して、深く理解をしているかが問われます。 (参考記事: 一筋縄ではいかない!とてもWSET的だと思った記述式問題(問題例) ) そのため、記述式問題の基本的な対策は、WSETレベル3のテキストの読み込みと、講義ノートの見直しを主に行いました。 しかし、広大な産地全てについて、万遍無く、深く理解をするというのは途方もない作業に思われました。 さらに私の場合は英語受験だったので、日本語のようにテキストをスラスラ読むこともできるわけはなく、本試験までの日数から逆算をすると、とてもそんな時間は確保できないと思いました。 そこで記述式試験対策の方針としては、いくつか重要と思われる部分にヤマを張って、それらを重点的に勉強することにしました。「重要と思われる部分」は次のような判断基準で抜き出しました。 ・講義中に担当講師が「重要」「試験に頻出」と言っていた部分 ・サンプル問題で、何度も問われていた部分 (参考記事: WSET過去問は共有禁止!それでもWSETレベル3の試験問題の参考にしたウェブサイト ) ・複雑で、しっかり理解をしていないと説明ができないと思った部分(特に醸造工程のオプションなど) ヤマを張った部分に関しては何度もテキストを読み返して、テキストの重要ポイントは何度もノートに書きあげて英文を書く練習を続けました。 (参考記事: WSET Level3の英語受験を一発合格した勉強方法 ) (関連記事: WSET試験の記述問題対策では「動詞」が重要!? ) 「重要と思われる部分」として抜き出した具体例を下に紹介します: <ワインの保管とサービス> ワインの保管方法(参考記事: ワインの保管方法 ) ワインの提供温度 (参考記事: チャートで覚えたワインのサービス温度 ) ワインのデカンティング 発泡性ワインの栓の抜き方(参考記事: 非発泡性(スパークリング)ワインの栓の抜き方 ) ワインの保存に使われる方法(参考記事: ワインの保管方法 ) <ブドウ樹の栽培、畑の管理、ワインの醸造> 高接ぎとその特徴(参考記事: grafting(...

似て非なるワイン ~イタリアとギリシャの「ヴィンサント」の違いを考察~

イタリアとギリシャでは 「ヴィンサント」 という名前のワインが造られています。 どちらも干したブドウから造られる甘口ワインという似た特徴を持っていますが、実は異なるワインです。 そこで、イタリアとギリシャの「ヴィンサント」の違いを考察してみたいと思います。 生産地域 まずは生産地域の違いです。 イタリアのヴィンサントは主にトスカーナ州で製造されています。しかし、一部トレンティーノ・アルト・アディジェ州でも製造されているようです。 一方で、ギリシャのヴィンサントはサントリーニ島で製造されています。 名称の違い イタリアのヴィンサントは 「Vin Santo」 と2語で表記されます。 一方で、ギリシャのヴィンサントは 「Vinsanto」 と1語で表記されます。 製造方法の違い 製造工程を見てみると、2つのヴィンサントには大きな違いがみられます。 イタリアのヴィンサントには陰干しされたブドウが使われます。この陰干しの方法は、アパッシメント・メソッドと呼ばれます。 (関連記事: アパッシメント(appassimento)とパッシート(passito)の違いに関する考察 ) 一方で、ギリシャのヴィンサントでは、天日干しをした遅摘みのブドウが使われます。 両者ともにオーク樽での酸化熟成が行われますが、イタリアでは小さめの樽で、ギリシャでは、大きめの樽で長期熟成が行われます。 ブドウ品種の違い イタリア、特に主な産地であるトスカーナでは、ヴィンサントの主要品種としてトレッビアーノ・トスカーノ(Trebbiano Toscano)とマルヴァジア(Malvasia)が用いられています。 トレンティーノ・アルト・アディジェ(トレンティーノDOC)では、ノジオーラ(Nosiola)という品種が主要品種として用いられています。 一方で、ギリシャ(サントリーニ)のヴィンサントの主要品種は、アシルティコ(Assyrtiko)です。 トレッビアーノ・トスカーノとアシルティコに共通している点は、強い甘味とバランスをとるための高い酸味を持っているという点です。多くのブドウは成熟とともに徐々に酸味を失いますが、両品種ともに成熟しても強い酸味が保持されます。 ヴィンサントは基本的には白ブドウ品種から造られていますが、トスカーナでは黒ブドウ品種サンジョヴェーゼからも製造されており、このワインはオッキオ・...

パロ・コルタド・シェリーとは?アモンティリャードとオロロソとの製法の違いを調べてみた

JSA試験、WSET試験を通して酒精強化ワインであるシェリー(Sherry)を学んできましたが、ずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、「 パロ・コルタド・シェリーとは何なのか? 」です。 シェリーとは、スペイン・アンダルシア州カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺地域で生産される酒精強化ワインのことで、ポート・ワイン(ポルトガル)、マデイラ・ワイン(ポルトガル)とともに、著名な酒精強化ワインと言われています。 シェリーには、フィノ(Fino)/マンサ二ーリャ(Manzanilla)、オロロソ(Oloroso)、アモンティリャード(Almontillado)、 パロ・コルタド(Palo Cortado) 、ペドロヒメネス(Pedro Ximenez)など様々な種類があります。 しかし、JSA、WSETどちらのテキストにおいても、 パロ・コルタド に関する記述 はとても少なく、製法に関する記述もなく、漠然とその特徴が書かれているだけでした。 その特徴は、 ・希少であること ・アモンティリャード(Amontillado)の香りを持つが、味はオロロソ(Oloroso)のボディとこくを持つ という2点だけです。 ずっと疑問に思っていたことを解決すべく、製法を中心にパロ・コルタドについて調べてみました。 参考にしたのは、次のサイトです: https://www.sherrynotes.com/sherry-types/palo-cortado/ https://www.sherrynotes.com/2015/background/palo-cortado-mystery/ まずは、パロ・コルタドの発祥から。パロ・コルタドは、もともとフィノとしては不適合として除外された樽からできたそうです。 <パロ・コルタドの発祥> ------------------------------------------------------------------------ ・パロ・コルタドは、もともとフィノ(Fino)の製造から偶然生まれたワインと言われている。 ・フィノシェリーでは、樽での熟成中にフロールと呼ばれる産膜酵母が発生し、フロールのもとで熟成される。しかし、フィノ樽の中には...

クローン・セレクションとマサル・セレクションの違いと特徴を調べてみました

ワインの学習をしていると、 「クローン・セレクション(clonal selection)」 と 「マサル・セレクション(mass selection)」 というブドウ樹の選抜方法がでてきます。 良いワインは、良いブドウ樹から収穫されるブドウから造られます。そのために、これらのブドウ樹の選抜方法は、ブドウ栽培において重要な要素となります。 しかし、ワイン書籍においてこれらは比較的簡易に説明がされていることが多く、私はこれまでしっかりと理解をすることができませんでした。 今回、様々な書籍に目を通す機会があり、少し理解が進んだので、自身の理解を深める意味も込めて、この2つがどのような特徴を持っているのかをまとめてみました。(一部理解が足りず誤っている部分があるかもしれません) クローン・セレクション(clonal selection) これはブドウ樹の選抜を、クローン単位で行っていくという考え方のようです。クローンとは、同一遺伝子を持つブドウ樹の集合のことです。 クローンは「ピノノワール クローン115」のような番号で管理されており、それぞれのクローンは独自の特徴を持っています。例えば、高級ワインに向いた小さな実をつけるという特徴や、特定の病気に強いという特徴などです。 ブドウ栽培者は、自分の希望にあったクローンの苗木を選び、それを新たにブドウ樹を育てる畑に植えていきます。 畑に植えられる苗木はすべて同じ遺伝子を持ったクローンなので、そこから育つブドウ樹はすべて同じものになるはずです。 しかし、ブドウは突然変異を起こしやすい植物であり、他のブドウ樹とは異なる特徴をもったブドウ樹が育つ場合があります。例えば、実の大きさが違ったり、色が違ったり、病気や環境に対する耐性が異なるなどです。 この特徴が好ましい特徴の場合、この突然変異を起こしたブドウ樹は新たなクローンとして管理され、異なる番号で識別されます。 このような、特別変異によってより好ましいブドウ樹を選抜していく方法を「クローン・セレクション」というようです。 比較的新しい選抜方法ですが、多くのブドウ栽培者が用いている方法であり、新たなブドウ樹を育てる栽培者の多くは苗木屋から特定のクローンを購入するようです。 この手法の良いところは、畑一帯に同じクローンが植えられるため、萌芽、開花、結実などのタイミングが均一で、ブドウ樹の...