マロラクティック発酵は、通常、アルコール発酵の後に行われる工程で、この工程によってワイン中のリンゴ酸が乳酸に変えられます。 乳酸はリンゴ酸に比べて酸味が弱く乳製品を連想させる独特の香りを持つために、マロラクティック発酵を経たワインは、まろやかでバターのような香りを持った味わいになると言われています。 マロラクティック発酵はほとんどの赤ワインと、この効果が有益と判断された一部の白ワインで行われます。 マロラクティック発酵は、もともとは春になるにつれてセラーの温度が上がるにつれて自然発生的に起こっていた反応のようですが、現在では培養した乳酸菌を加えることで最適環境を整えてこの工程を開始をすることができるようです。そして、そのマロラクティック発酵を開始させる環境の違いが、マロラクティック発酵のバリエーションにつながるわけです。 それではいくつかのバリエーションについて、その考察をしてみたいと思います。 小型の樽を使ったマロラクティック発酵 マロラクティック発酵は通常、タンクで行われることが多いようですが、あえて小型のオーク樽の中で行われることもあるようです。 この場合のメリットは、澱を同時に撹拌できることと、風味がより統合されると言われています。澱の撹拌によって、マロラクティック発酵で生成された乳酸の香りと、澱由来の香りの両方がワインによく溶け込んでいくのではないかと思います。 反対にデメリットは、ワインを少量ずつ個別の樽に分けるために、温度管理などの手間が増えることです。 アルコール発酵と同時に行うマロラクティック発酵 もう1つのバリエーションは、アルコール発酵と同時にマロラクティック発酵を行うというものです。 この方法でのメリットは、ワインの味わいがよりフルーティーになることと、製造時間短縮によるコスト減だと言われています。 味わいがよりフルーティーになる理由を考察すると、多分、自然発生的な澱の攪拌が行われないことによって、ワイン本来のフルーティーな味わいが損なわれないことが原因なのではないかと思います。 また、製造時間の短縮がなぜコスト減につながるかというと、マロラクティック発酵を別に行う場合と比べて管理の手間がかからないことと、タンクの回転率が上がることがその理由なのではないかと思います。 以上、マロラクティック発酵の2つのバリエーションとその効果について考察を
前者は日本ソムリエ協会が運営する日本でもっとも有名なワイン資格です。日本でソムリエとして活動している方の多くが取得している資格です。
一方で、後者は、ロンドンに本拠地を置く世界最大のワイン教育機関と言われるWSETが運営する資格です。日本での知名度はそこまで高くありませんが、欧米に行くとJSA資格よりも名前が認知されています。
運営団体や、普及範囲に関する違いがありますが、実は「学習内容」にも大きな違いがあります。
両者を実際に受講・受験してみて、学習する内容について分かった違いを説明したいと思います。
◆ JSA(ワインエキスパート/ソムリエ)の特徴
---------------------------------------------
①とにかくカバーされているワイン産地や国の幅が広い
②ワイン以外のお酒(日本酒、蒸留酒、リキュールなど)もカバーされている
③世界各国のワイン名/産地とその生産可能色と品種を覚えなければならない
④ワインやブドウにまつわる各地域の統計情報も覚えなければならない
⑤ヨーロッパ各地の料理やチーズも覚えなければならない
⑥日本ワインや、日本のワインにまつわる法律もカバーされている
⑦ブドウ栽培やワイン醸造はあまり深くカバーされていない
⑧テイスティングは品種、産地、ヴィンテージをあてなければならない
⑨テイスティングで出題されるワインは全て2000-3000円程度のワイン
⑩テイスティングには、ワイン以外のお酒も含まれる
⑪試験形式は全て選択問題かマークシート
JSAソムリエ・ワインエキスパートの資格の特徴は...
運営団体や、普及範囲に関する違いがありますが、実は「学習内容」にも大きな違いがあります。
両者を実際に受講・受験してみて、学習する内容について分かった違いを説明したいと思います。
◆ JSA(ワインエキスパート/ソムリエ)の特徴
---------------------------------------------
①とにかくカバーされているワイン産地や国の幅が広い
②ワイン以外のお酒(日本酒、蒸留酒、リキュールなど)もカバーされている
③世界各国のワイン名/産地とその生産可能色と品種を覚えなければならない
④ワインやブドウにまつわる各地域の統計情報も覚えなければならない
⑤ヨーロッパ各地の料理やチーズも覚えなければならない
⑥日本ワインや、日本のワインにまつわる法律もカバーされている
⑦ブドウ栽培やワイン醸造はあまり深くカバーされていない
⑧テイスティングは品種、産地、ヴィンテージをあてなければならない
⑨テイスティングで出題されるワインは全て2000-3000円程度のワイン
⑩テイスティングには、ワイン以外のお酒も含まれる
⑪試験形式は全て選択問題かマークシート
JSAソムリエ・ワインエキスパートの資格の特徴は...
ワインやお酒全般に関係ある知識をひたすら覚えること!
◆ WSET(Level3)の特徴
---------------------------------------------
①カバーされているワイン産地や国は主要なもののみ
②ワイン以外のお酒はカバーされていない
③主要なワインを除いて、生産可能色や細かい品種は覚えなくても良い
④覚える統計情報はほとんどない
⑤料理やチーズはカバーされていない
⑥日本ワインはカバーされていない
⑦ブドウ栽培とワイン醸造はとても深い理解が求められる
⑧テイスティングはワインの特徴と品質を評価しなければならない
⑨テイスティングには、1000円を切るものから1万円を超えるものまで幅広いワインが出題される
⑩テイスティングは基本的にはスティルワインのみ
⑪試験形式はほどんどが文章での記述式(一部マークシート)
WSETレベル3資格の特徴は...
①カバーされているワイン産地や国は主要なもののみ
②ワイン以外のお酒はカバーされていない
③主要なワインを除いて、生産可能色や細かい品種は覚えなくても良い
④覚える統計情報はほとんどない
⑤料理やチーズはカバーされていない
⑥日本ワインはカバーされていない
⑦ブドウ栽培とワイン醸造はとても深い理解が求められる
⑧テイスティングはワインの特徴と品質を評価しなければならない
⑨テイスティングには、1000円を切るものから1万円を超えるものまで幅広いワインが出題される
⑩テイスティングは基本的にはスティルワインのみ
⑪試験形式はほどんどが文章での記述式(一部マークシート)
WSETレベル3資格の特徴は...
ブドウ栽培とワイン醸造を深く理解すること!
---------------------------------------------
具体的な試験問題をあげると、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験で問われる典型的な質問は、次のようなものです。
・世界のワイン用ブドウ栽培面積は?
・カリフォルニアで最も栽培されているワイン用ブドウ品種は?
・シャブリで使用がしようが許可されているブドウ品種は?
・サンセールの生産可能色は?
一方で、WSETレベル3で問われる典型的な問題は次のようなものです。
・ハンターセミヨンのスタイルと、自然要因と人的要因がそのスタイルに与える影響を説明しなさい。
・甘口ワインの製造方法2種類を説明しなさい。
・なぜ、シャトー・シュヴァル・ブランは価格が高いのですか?説明してください。
このような違いがでる理由は、おそらく、それぞれの資格の発祥に理由があると思います。
JSA資格はソムリエのためにできた資格です。そのため、ソムリエに必要な「世界中のワインやそのラベルに関する広い知識」が求められるように感じられます。
一方で、WSETはもとも流通業者の教育はら始まった資格のようです。そのため、ワインに関する幅広い知識よりも、いかにワインの品質を評価するか?という「ワインへの深い理解」が求められているように感じられます。
広さを求めるJSA試験と、深さを求めるWSET試験。
広さを求めるJSA試験と、深さを求めるWSET試験。
どちらもメリット、デメリットがあるので、その特徴を把握して取り組むことが重要だと思います。