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6月, 2020の投稿を表示しています

最新記事

エントレ・コルディリェラス? チリの新しい原産地呼称の覚え方

 チリのワイン産地は南北に長く広がりますが、地形的な特徴の影響を受けるために、実は南北よりも東西にかけて、気候や土壌の多様性が非常に高いと言われています。 従来の原産地呼称では、この東西にかけてのワインスタイルの特徴の違いが十分に表現されていませんでしたが、2011年から、この問題を解決するための新たな付加的な原産地呼称が加えられました。 それが、「コスタ(Costa)」、「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」、「アンデス(Andes)」の3つです。 これは従来の原産地呼称に付加的に加えられるもので、例えば「Aconcagua」で造られたワインに対して、「Aconcagua Costa」、「Aconcagua Entre Cordilleras」、「Aconcagua Andes」のようにラベルに表記されるようです。 上図のように、「コスタ」は海の影響を受ける地域、「アンデス」はアンデス山脈の影響を受ける地域、そして「エントレ・コルディリェラス」はその間の地域を表します。 この新たな原産地呼称の仕組み自体はシンプルなのですが、それぞれの名前、特に「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」を覚えるのが厄介です。 そこで、これを覚えるための語呂合わせを考えてみました。 エントレ・コルディリェラスは少し苦しいですが、英語のスペルも覚えられるように、それに合わせた語呂合わせにしてみました。 <了>

ullage の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 ullage = (ワイン容器などの)目減り 」です。 ワインをオーク樽などを使って熟成すると、ワインの水分はオーク樽の隙間を通って少しずつ蒸発します。そして、蒸発によるワインの目減りによって、オーク樽の上部にはスペースができます。 このワインと容器上部に出来上がったヘッドスペースは「ullage」と呼ばれます。 発音をカタカナで書くと「アレージ」に近いようです。 この「ullage」には空気、そして酸素が含まれるために、ワインの酸化熟成は進みます。 ワインの酸化のスピードを遅めたい場合には、「ullage」をなくすためにこまめにワインをつぎ足して、樽内部を全てワインで満たします。 ----------------------------------------------------------------------- 使用例: Oak barrels need to be topped up with wine to avoid ullage . (目減りをなくすために、オーク樽にワインをつぎ足す必要がある) ----------------------------------------------------------------------- ullageは不可算名詞なので、冠詞は不要です。

residual sugar の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 residual sugar = 残糖/残留糖分 」です。 意味は、ワインに残された糖分のことです。残糖はワインに甘味を与えます。 多くのワインにおいて、ワインがどの程度の残糖を持つのかは、アルコール発酵工程に依存します。 アルコール発酵は、ブドウ果汁の糖分をアルコールと二酸化炭素に変える工程です。 辛口ワインは一般に、ほぼすべての糖分がアルコールに変えられるために、出来上がったワインにはほとんど残糖はありません。 しかし、甘口ワインの場合は、アルコール発酵は途中で止められるか、糖分の多さによって自然に止まってしまうために、ワイン中の残糖量は多くなります。 ワインの甘味を表す用語としては、「dry(辛口)」、「off-dry(オフドライ)」、「medium-dry(半辛口)」、「medium-sweet(半甘口)」、「sweet(甘口)」などの用語が使われますが、「off-dry(オフドライ)」以上のワインは舌で検知できるレベルの残糖を持っていると言われています。 英語で残糖を含むワイン(例えば、オフドライのアルザスのリースリングなど)を表現したい場合、 This wine is sweet. と言うと、強い甘味を持つ「甘口ワイン(デザートワイン)」と勘違いされてしまうため、 This wine has residual sugar. と言った方が、正確に意味が伝わると思います。 residual sugarは不可算名詞なので、冠詞は付きません。

ワイン関連書籍にも電子化の波が...

JSAソムリエ・ワインエキスパート資格、WSET資格の学習をしているときに、常に不満に思っていたことがありました。 それは、紙の書籍が多すぎるということ! ワインスクールのある日は、仕事関連の荷物に、ワイン関連の書籍を持っていくのが本当に億劫でした。 私の毎週のルーティンワークは、JSAでもWSETでもテキストをコツコツ電子化していくことでした。 (参考記事: WSETレベル3のテキスト購入方法とテキスト電子化のメリット ) しかし今、確実にワイン関連書籍にも電子化の波が来ています。 例えば、JSAの教本はオンライン版の購入ができるようになりました。 https://www.sommelier.jp/products/index.html WSETオンラインコースも、今はテキストはオンラインダウンロードの方向にするんでいるようです。ディプロマ(diploma)のテキストは現在、オンラインダウンロードのようです。 そして、WSETで紹介される参考書も徐々に電子版で購入できるものが増えています。 これらは「kindle」での閲覧が可能です。 各書籍に関する感想は、また別の機会に書いていきたいと思いますが、ワイン学習者にとっては学習方法の選択肢が増えることはありがたいことです。

良いワインの条件とは?WSETのBLIC

ワインの 「品質レベル」 を学ぶことは、WSETのカリキュラムに従ってワインを学ぶ醍醐味の1つだと思います。 「品質レベル」 とは、その ワインの品質の高さ です。つまり、良いワインなのか、そうではないワインなのかということです。 WSETには「品質レベル」を評価する考え方として、「BLIC」という方法があるそうです。 BLICとは、Balance(バランス), Length(余韻), Intensity(凝縮度), Complexity(複雑さ)の頭文字です。 一般に、 これら4つの評価基準を全て満たしているワインは「素晴らしい(outstanding)」ワイン、3つを満たすものは「非常に良い(very good)」ワイン、2つを満たすものは「良い(good)」ワイン、1つしか満たさないものは「妥当な(acceptable)」ワインと言われるようです。そして、1つも満たさないものは「悪い(poor)」ワインです。 (※これは1つのガイドラインであって、必ずしもこの点数だけで厳密にはこの点数だけでワインの評価はできないそうです) 私もWSETを通してこの考え方を学びましたが、「なるほど!便利!わかりやすい!」と思いました。 しかし、実際にそれを実践しようとするとなかなかわかりにくかった部分もあったので、個人的な感想を紹介したいと思います。 Balance まず1つめは、4つの評価基準のうち、もっとも基本的な基準の 「バランス」 です。この「バランス」を満たしていない場合、ほとんどのワインは「悪い」ワインとみなされてしまいます。 バランスとは、例えば、次のようなポイントで評価がされるようです。 ・(果実味+糖分) vs (酸味+タンニン)はバランスがとれているか? ・甘味、酸味、タンニン、アルコールのいずれかが突出していないか? ・オークの香りが突出していないか? WSETをやり始めたころは、何が「正しいバランスなのか?」を判断することがとても大変でした。それはWSETを始めるまでに、あまりワインの品質について考えることがなかったからです。 しかし、いくつもテイスティングを重ねて、良いワインと言われるものをいくつか味わって、なんとなく「バランス」というものがわかってきたような気がしました。 多くのワインがバランスを満たしていると思うのですが、個人的には... ・寒い地

Kuehn Pinot Gris Grand Cru Mambourg 2015 : 最近飲んでおいしかったワイン

キューン ピノ・グリ グラン・クリュ マンブール 2015(Kuehn Pinot Gris Grand Cru Mambourg 2015) です。 フランスはアルザスのブランクリュ畑のピノ・グリです。 ワインショップで3000円程度で購入しました。 比較的古めのヴィンテージで、グランクリュのワインが3000円というところに惹かれて購入しました。 熟成を経ているので、熟成香が造られていることが期待できます。 【購入のポイント】 ・アルザスのピノグリ ・グランクリュ ・5年前のヴィンテージ(2015年)→ 熟成香が期待できる ・価格が手ごろ(3,000円以内!) 【感想】 とても厚みのあるエレガントな香りのピノグリでした。凝縮された熟した果実の香りに、あまい花の香りも感じられ、ドライフルーツのような熟成香も感じられ、香りをとった時点でテンションがあがります。厚みのある香りと、残糖とやや高い酸味がとてもバランスがとれている気がします。また、ピノグリ独特のオイリーな風味もありました。文句のつけようはないのですが、もう少し熟成をしたらどうなるのかが気になるところです。 【テイスティングノート】(ワイン素人の個人的な評価です) 外観は、中程度のレモン色。 香りの強さは強い。熟したモモ、レモン、メロンや、スイカズラ、濡れた石、乾燥フルーツ(モモ、アプリコット)の香り。 味は、オフドライ、やや高い酸味、中程度のアルコール、ミディアムボディ。 風味は強く、余韻は口に長く残ります。 とても良いワインに思えました。 熟した果実味と、やや強い酸味、中程度のアルコールのバランスがよくとれている気がします。 後味は、最初に熟した果実の香りが来て、次に乾燥フルーツの香りがやってきて、口にその余韻が長く残ります。 さまざまな香りの層が混在しますが、まだ少し熟した果実の1元的な香りが全体を占めている感じがして、まだ複雑さは十分ではないかもしれません。 高い酸味と、強い果実味があるために、さらなる瓶熟成が期待できそうです。 今はもっとも強く表れている熟した果実味が、瓶熟成を経ることで、より複雑なドライフルーツの香りに変わっていくかもしれません。

「WSET Level 4 Diploma in Wines(通称、ディプロマ)」について調べてみました

WSETの最高学位であるDiploma(Level 4)について調べてみました。 私は「学習も受験も全て英語で、2年くらいかかる」というのはよく聞いていましたが、内容はずっと謎のままでした。 そこで調べて分かったことをまとめてみようと思います。 申し込み まず、日本からの申し込みは、2020年現在、 キャプランワインアカデミー からしかできないようです。 日本以外からの申し込みであれば、ロンドン校に直接通うなどの方法があるようですが、これは私にとっては無理なのであまり詳しくは調べませんでした。 申し込みの種類 日本からの申し込みの場合、次の2つの申し込みの種類あるようです。 ① WSET Level4 Diploma in Wines Online Course( オンラインコース ) ② Tutorial Programmeのみ( 独学コース ) ①は、いわゆる「オンラインコース」。②は「独学コース」です。 Tutorial ProgrammeというのはDiplomaを受験するにあたって必要なテイスティングテクニックを教えてもらえる2日間のプログラムのようです。これは「オンラインコース」と「独学コース」のどちらの場合にも受講が必須となっているようです。Tutorial Programmeは日本の場合は、キャプランワインアカデミーで開催されています。 「独学コース」の場合は、これだけ受けてもらったらあとは独学で勉強をして、勝手に認定試験を受けてください、というスタンスのようです。 費用 ① オンラインコースの場合= 約40万円 くらい(初期費用のみ) ・登録料、2年間オンライン受講料、D1受験料、Tutorial Programme受講料が含まれます ② 独学コースの場合= 約15万円 くらい(初期費用のみ) ・登録料、D1受験料、Tutorial Programme受講料が含まれます 「登録料」にはテキスト代も含まれているため、登録後にはテキストを参照することができ、独学でもDiplomaの勉強を開始できることになります。 「D1受験料」とは、Diplomaの勉強を始めたらまず初めに受験しなければならない科目であるD1の受験料のことです。したがって、Diplomaの学習は、まず「D1(Wine Production)」から開始することになります。D1の試験は、「T

macerationの意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 maceration = マセラシオン、醸し 」です。 これは、ブドウ果汁やワインにブドウの果皮や種子と接触させて、 色素 や 風味 、 タンニン を抽出する工程のことです。 「 maceration 」は英語ではマセレーションと読みますが、フランス語では「 マセラシオン(macération) 」です。 ほどんど全ての赤ワインで行われる工程である一方で、白ワインでは通常は行われません。 その理由は、白ワインでは果実の風味を大事にするために酸化のリスクを最大限に減らす醸造工程が用いられることが多く、酸化リスクの高い果汁と果皮との接触は避けられるためだと言われています。 そのため、白ワインの醸造では、一般的に ブドウ果汁(juice) を発酵する前に、 果皮(skin) や 茎(stem) 、 種(seed) は取り除かれます。 一方で、赤ワインの醸造では、果皮や種はそのままブドウ果汁に浸されて、 マセラシオン(maceration) が行われます。茎は取り除かれることは多いようですが、 マセラシオン・カルボニック法(英: Carbonic Maceration) のように房ごとブドウ果汁を発酵させる醸造手法では、茎もブドウ果汁に浸される場合もあるようです。 赤ワインの醸造工程では、通常、 発酵(fermentation) と マセラシオン(maceration) は同時に行われます。

Maison Charlotte Beaune 1er Cru Les Cents Vignes 2013 : 最近飲んでおいしかったワイン

2013 メゾン・シャルロット・ボーヌ・プルミエ・クリュ・レサンヴィニュ (MAISON CHARLOTTE BEAUNE1ER CRU LES CENTS VIGNES 2013) です。 AEON de WINE(イオンワインのオンラインショップ)でセールで2,980円で購入しました。 ブルゴーニュのプルミエクリュの2013年がこの価格で購入できるとは思いませんでした。 【購入のポイント】 ・ブルゴーニュ、コートドールのピノノワール ・プルミエクリュ ・7年前のヴィンテージ(2013年)→ 熟成香りが期待できる ・価格が手ごろ(3,000円以内!) 【感想】 価格が安かったので少し不安でしたが香りをとってその不安は吹き飛びました。香りを取ると、ピノノワールの特徴である赤系果実の香りがしっかりと感じられて、樽と熟成香がみごとにマッチしていました。期待をしていたよりもボディがすこし軽めでしたが、ブルゴーニュのエレガントさによるものなのか、価格なりの果実の熟度の問題によるものなのかは、今の自分の知識では少し判断がつきませんでした。 【テイスティングノート】(ワイン素人の個人的な評価です) 外観は、中程度のルビー色で、熟成が進んでいるためにややオレンジがかった色をしています。 香りの強さは中程度よりやや強め。熟したイチゴやラズベリー、赤プラム、丁子、スーボワなどの香りが感じられます。 味は、辛口で強い酸味、軽くてスムーズなタンニン、中程度のアルコール、ミディアムボディ。 風味は中程度よりもやや強く、余韻は口に長く残ります。 とても良いワインに思えました。 熟した果実味と、強い酸味、中程度のアルコールのバランスがよくとれている気がします。 後味は、最初に熟した果実の香りが来て、次に樽の香り、最後にスーボワの香りがやってきて、口にその余韻が長く残ります。 複雑さは、第一、第二、第三アロマがバランスよく調和して、風味の強さ、複雑さもしっかりあります。しかし、第三アロマの熟成は少しまだ発展中のような気がして、もう少し複雑実がほしいところかもしれません。 高い酸味と、強い果実味があるために、さらなる瓶熟成が期待できそうです。 今はもっとも強く表れている熟した果実味が、瓶熟成をへることで、より複雑なドライフルーツや、マッシュルームの香りに変わっていくかもしれません。

grafting(=接ぎ木)の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 grafting = 接ぎ木 」です。 grafting(接ぎ木) は、ワイン用として栽培されるほとんどのブドウ樹に採用されている手法です。 上部の scion(穂木) には Vitis Vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ種) と呼ばれるユーラシアの種が一般的に用いられます。 一方で、 rootstock(台木) にはVitis Rupestris(ヴィティス・ルペストリス)、Vitis Riparia(ヴィティス・リパリア)、Vitis Berlandieri(ヴィティス・ベルランディエリ)などの北米原産種が用いられます。 一般的にワイン用ブドウに向いている種は Vitis Vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ種) と言われています。しかし、 Vitis Vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ種) には大きな弱点があります。それは、フィロキセラと言われる害虫に対する耐性がないことです。フィロキセラは主にブドウ樹の根を襲って、最終的にはブドウ樹を死に至らしめます。 フィロキセラはもともと北米からやってきた害虫です。北米原産のブドウ品種は長い時間をかけて、フィロキセラに対する体制を身につけてきました。 そのため、穂木を Vitis Vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ種) 、台木を北米原産種とすることで、両者の「いいとこどりをする」というのが、この接ぎ木の考え方です。 こうしてできたブドウ樹は、Vitis Vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ種)のブドウの味を持ちつつ、フィロキセラに対する耐性を保持します。 最も一般的な接ぎ木の手法は、穂木と台木になる両方のブドウ樹から長梢を切り取り苗木を作るという方法です。 この苗木を植えて育てることで、フィロキセラ耐性のあるブドウ樹に成長します。 高接ぎ 高接ぎ(Head grafting / Top grafting)は、苗木としての接ぎ木とは異なり、既に収穫ができるまでに成長したブドウの樹に接ぎ木をする方法です。 高接ぎでは、ブドウの樹は主幹だけを残して短く切られ、枝接ぎ、または、芽接ぎによって主幹とは異なる新しい品種のブドウ樹が接ぎ木がされます。 高接ぎの最大のメリットは、接ぎ木をしてからワイン生産用の果実を収穫できるようになるまでのスピードの速さにあります。 通常、新しく植えられたブドウの

canopy management(=キャノピー・マネジメント)の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 canopy management = キャノピー・マネジメント(樹冠管理) 」です。 キャノピー(樹冠)とは、ブドウ樹を構成する主に緑色の部分の総称で、新梢や、茎、蕾、つる、花房、ブドウの房などが含まれます。 このキャノピーをどのように管理するかによって、ブドウ樹の育成や、ブドウの収穫量やその品質は大きく変わります。 例えば、ニュージーランドはブドウの栽培地域としては降水量が多く、特に平坦な地域では土壌が肥沃になりすぎることがあり、ブドウ樹の新梢や葉の過剰成長が問題になることがあります。この問題に対してニュージーランドのブドウ生産者はキャノピー・マネジメントを上手に活用することで、栄養がブドウ樹の育成にとられ過ぎてブドウの成熟が妨げられることがないようにコントロールをしていると言われています。 ブドウ棚の利用や、ブドウ樹の整枝・仕立て・剪定などは、全て適切なキャノピー・マネジメントを行うための手法です。 canopy management(キャノピー・マネジメント) は主に次のような点を目的としていると言われています。 ・キャノピーの中に届く日照量のコントロール(日照によるブドウの成熟の促進や、ブドウの日焼けの防止など) ・葉とブドウの通気性の確保(菌類病の防止) ・作業の機械化の促進(ブドウ樹の形を均一化することで、機械による剪定やスプレー、収穫を容易にする) (関連記事: ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリットの整理 )

aroma precursorの意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 aroma precursor = アロマ前駆体 」です。 化学における 前駆体 とは、ある化学物質について、その物質が生成する前の段階の物質のことを指します。 前駆物質 、 プリカーサー とも呼ばれるようです。 ワインにおけるアロマ前駆体とは、ブドウに含まれている場合には特に香りは持たないものの、発酵工程中に香りを発する物質に変わるものを指します。その多くは、ブドウ中では糖と結合して非芳香物質として存在し、発酵中にその結合がなくなり芳香物質となるようです。 これらのアロマ前駆体は、ブドウの 果肉(pulp) や 果皮(skin) に含まれています。 aroma precursor(アロマ前駆体) として有名なものとしては、 4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノン(4MMP) があります。これは化学式C6H12OSで表される thiol( チオール) の一種で、トロピカルな香りを持ち、 ソーヴィニヨン・ブラン ワインの特徴的な香りの原因となっています。また、ネコの尿を思わせる原因物質とされており、ソーヴィニヨン・ブランワインが「ネコのおしっこ」に例えられるのはこの物質が原因です。 マスカットのブドウに含まれる terpene(テルペン) の一種である リナロール (linalool) や ゲラニオール (geraniol) も有名なアロマ前駆体です。 リナロール (linalool) は分子式 C10H18O で表され、スズラン、ラベンダー、ベルガモット様の芳香をもちます。ゲラニオール (geraniol) はゼラニウムから発見された物質で、バラに似た芳香を持ち、広く香水に使われているそうです。モモ、ラズベリー、グレープフルーツ、リンゴ、プラム、ライム、オレンジ、レモン、スイカ、パイナップル、ブルーベリーのような芳香としても用いられるようです。

fermentation(発酵)の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 fermentation = 発酵 」です。 特に、ブドウ果汁が発酵してアルコールを造ることを「 alcoholic fermentation = アルコール発酵 」と言います。 アルコール発酵は単純化すると次のように表すことができます。 yeast (酵母) + sugar (糖) → alcohol (アルコール) + carbon dioxide (二酸化炭素) + heat (熱) 「 yeast (酵母) 」とは、キノコやカビなどと同じ「 真菌類 (fungi)」 で、この酵母の働きによってブドウ果汁の糖がアルコールに変えられます。 この反応は化学式では次のように表されます: C₆H₁₂O₆ (glucose) → 2C₂H₅OH (ethanol) + 2CO₂ (carbon dioxide) glucose = ブドウ糖 ethanol = エタノール マロラクティック発酵 ワインの醸造工程においては、アルコール発酵以外にも、「 malo-lactic fermentation = マロラクティック発酵 」という発酵が登場します。 マロラクティック発酵は、通常、アルコール発酵終了後に行われます。 そのため、アルコール発酵は「 primary fermentation = 主発酵 」、マロラクティック発酵は「 secondary fermentation = 二次発酵 」と呼ばれたりもします。 マロラクティック発酵には「 乳酸菌 (lactic bacteria) 」が関わり、ワイン中の「 リンゴ酸 (malic acid) 」が「 乳酸 (lactic) 」と二酸化炭素に変えられます。 COOH-CH₂-CHOH-COOH (malic acid) → CH₃-CHOH-COOH (lactic acid) + CO₂ (carbon dioxide) マロラクティック発酵はほとんどの赤ワインと一部の白ワインで行われ、ワイン中の酸味を減少し口当たりがまろやかになる、ワインに乳製品の香りが与えられるなどの効果があります。 シャルドネで造られたワインでバターなどの乳製品の香りをもつものは、ほとんどがマロラクティック発酵を経ています。 fermentationのフランス語 「fermentation」はフランス語でも「fermentation」ですが、