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ワイン名称に出てくるフランス語の「Côte」と「Coteaux」の違いとは?

 タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>

WSETレベル3英語受講は通い?オンライン?どっちがおすすめ?



WSETレベル3は英語受講の場合、

・ワインスクールに通う

・オンライン

の2通りが用意されています。

(※日本語受講の場合は、ワインスクールに通う方法だけだと思います)


私は「指定のワインスクールに通う」方法を選択して無事に資格の取得ができました。

私がスクール通いにした主な理由は、「他の受講生や講師と直接やり取りをしたかった」こと、「スクールへのアクセスが便利なところで働いていた」という2点でした。

実際にワインスクールに通ってみて、それ以外の思わぬメリット、デメリットも見つかったので、それらを紹介したいと思います。




スクール通いのメリット・デメリット


まずは、私が感じたワインスクール通いのメリットから説明をしたいと思います。

<ワインスクール通いのメリット>


●友人ができる 

試験情報の交換などで学習に対するモチベーションが高まります。またテイスティングの評価をその場で話し合えることも大きいです。仲良くなれば講義の帰りに飲みに行ったりもできます。




講師に直接質問ができる

疑問に思ったことを即座に質問できるのは大きいです。オンライン受講の場合のメールなどのメッセージのやり取りでは質問できることが限られます。




学習のリズムができる

受講の曜日と時間が決まっており、それに合わせて予習・復習を行うので自然と学習のリズムが出来上がります。

(参考記事:WSET Level3の英語受験を一発合格した勉強方法




スクールでの受講は集中力が高まる

ワインスクールに行くと日常生活の切り替えができて、ワイン学習のスイッチが入ります。その結果、集中をしてワインの勉強に取り組むことができます。





●毎回の授業でテイスティングの模範解答をもらうことができる

スクール通いの場合、毎回4~6種類程度のワインのテイスティングが行われます。個々人でテイスティングを行った後に、講師から模範解答が提示されるのですが、これは非常に貴重な情報です。なぜなら、色調、香り、味覚をどのように表現すれば本試験で得点がもらえるかは、なかなか自分だけの評価ではわからないからです。

たとえば、自分では「タンニンが中くらい」と思ったワインが、講師による模範解答では「タンニンが強い」と評価されるようなことが多々ありました。

このような模範解答がもらえるのは、同じ銘柄の、同じボトルのワインを飲むことができるスクール通いならではです。

聞いたところによると、オンラインではこのような模範解答をもらうことはできないようです。なぜならば、オンラインの担当講師と、受講生は同じボトルのワインを飲むことができないからです。

オンラインのテイスティングでは、受講生は指定されたタイプのワインを独自に購入し、そのワインについてのテイスティングノートを提出し、それを担当講師に評価してもらうようです。しかしオンラインの場合、担当講師は実際にそのワインを飲んでいるわけではないので、あまり細かく色調、香り、味覚など正誤は判断することはないようです。評価のポイントは、テイスティングノートが全体的に整合性がとれているか、ありえないこと(ブルゴーニュのピノノワールのタンニンが高いと判断されているなど)が書かれていないかなどの範囲に限られるようです。

(関連記事:WSET Diploma D1オンライン受講の感想⑤ ~テイスティング課題~)※ L3でもDiplomaと基本的には同じ進め方だと思います



自分でワインの準備をする必要がない

毎回自分で用意をすることなく4~6種のワインのテイスティングができることは大きいです。独自にワインを用意するとなると、買いに行くのも手間ですし、自分の購入したワインが本当に基準にあったワインであるかも不安です。

スクール通いの場合は、テイスティング用ワインの費用も含めて固定金額である一方で、オンラインコースの場合は、テイスティング用ワインの費用含まれていないので、合計で一体いくらかかるのか不安です。

また、毎回グラスも綺麗に磨かれているので外観の評価にブレが出ません。(自分で毎回グラスを磨くのは結構面倒です)






慣れた環境で本試験を受けられる

試験会場は毎回受講を行うワインスクールです。毎回の受講でのテイスティングと、試験本番のテイスティングが同じ環境なのは安心です。

(参考記事:WSETレベル3資格試験 当日の流れと気を付けたこと





<ワインスクール通いのデメリット>


スケジュール調整が大変

授業は決まった日時に行われるため仕事や他の予定と重なった場合に授業に参加できないリスクがあります。振替受講も可能なのですが、英語の振り替え授業の日時は非常に限られます。




授業が毎週あるわけではないので非効率な時期がある

授業は決まった曜日、時間に行われますが、毎週授業が行われる時期もあれば、1~2週に渡って授業が行われない時期もあります。おそらく講師の都合によるものだと思いますが、授業が行われない週は勉強のリズムが崩れてしまって非常に非効率に感じます。

(参考記事:WSET Level3 合格までのスケジュール




基本費用がオンラインよりも高い

オンラインの基本費用はワインスクールでの受講よりも7-8万円安く設定されています。しかしワインの費用は含まれていないようなので、最終的にどちらの方が費用が安いかは不明です。

(参考記事:WSETレベル3とJSAワインエキスパートにかかった実額費用とその比較





自分でワインを選ぶ力が身につかない

オンラインコースのテースティングでは、指定された「品種」「産地」「品質レベル」などのワインを自分で選んでテイスティングをしなければならないようです。

例えば、「ニュージーランド、マールボロのソーヴィニヨン・ブランの白ワインで、品質が非常に良い~素晴らしいもの」といったかたちです。

自分の財布と相談しながら、基準を満たしたワインを探す作業はなかなか大変ですが、オンラインコースを通してこれを繰り返していくと、自然とワインを選ぶ力が身に付きます。

しかしスクール通いの場合は、この作業はスクールが全てやってくれるので、自分でワインを選ぶ力はそれほど身につかない可能性が高いです。





Diploma(WSET Level4)のオンライン受講に慣れておくことができない

日本でのDiploma(WSET Level4)の受講を将来的に考えているのであれば、Level3をオンラインで受けて慣れておくことは大きなメリットです。Diplomaは現在、日本で受講をするのであれば、オンラインしかありません(海外のスクールに行けば、通いの受講も可能です)。Level3がスクール受講の場合、Diplomaのオンライン受講に対しては少し不安な部分があります。






WSETレベル3が受講できるワインスクール


最後に、WSETレベル3が受講できるワインスクールを紹介します。



<通いで受講のできるスクール>


私が把握している範囲では、現在、WSETレベル3は次のようなワインスクールで提供されています。

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キャプラン・ワインアカデミー
・日本最大のWSET認定校です。WSETの講座は最も豊富です。

アカデミー・デュ・ヴァン
・業界最大手のワインスクールです。JSA資格により力を入れている印象がありますがWSETの講座も提供されています。

わだえみのわいん塾

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<オンラインで受講のできるスクール>


現在、WSETレベル3のオンラインでの受講が提供されているのは「キャプラン・ワインアカデミー」だけだと思います。

受講言語は「英語」のみのようです。おそらく、Level4のディプロマのオンラインコースと同様、全世界からの参加者が同じプラットフォーム上で学習をしていく形式だと思います。

内容に関しては、ワインスクールのウェブサイトで紹介されていますが(https://www.caplan.jp/wine/class/wset/level3_online/index.html)、簡単に概要を下にまとめてみました。


<オンラインコースの概要>
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オンラインコースに含まれる内容:

・受講期間:約9週間(毎週)

・予習復習に必要な時間の目安:週に10時間(オンラインアクティビティ、テキストの読み込み)

・テースティング:1-Dayセッションあり

・ログインしなければいけない時間の制約はなし(ライブチャットやライブウェビナーはない)


必要とされる事前知識:

・WSET Level2程度のワインに関する知識

・基礎的なコンピューター、インターネットの知識

・基礎的な英語力




オンラインコースの進行:

・受講者は、コースについてWSETエデュケーターから案内を受ける

・受講者は、コース期間中はいつでもエデュケーターに質問ができる

・毎週、受講生には、個人ワークか、グループワークが割り当てられる

・学習期間中、受講生はテースティングすべきワインについての指示を受ける(テースティングをすべきワインのリストはspecificationに書かれている)

・受講生は、テースティングノートを提出し、エデュケーターによるレビューを受けられる

・テースティングの1-Dayセッションは、指定日にワインスクールで実施される

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WSETで納得!JSAで疑問だったギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い

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ソノマ・ナパ カウンティのサブリージョン(AVA)の私的な覚え方【語呂合わせ】

アメリカ、カリフォルニアの暗記の難関と言えば、ソノマ・ナパのサブリージョン(AVA)の暗記です。 正攻法で覚えると結構大変なので、ポイントを絞った覚え方を考えてみました。 (参考記事: ナパヴァレーAVAの覚え方を正攻法で考えてみる ) そのポイントとは、「 そのAVAが、ナパ、ソノマどちらに属するのか? 」ということです。 あるAVAが取り上げられて、「これはナパ、ソノマどちらのAVAでしょう?」という問題が結構頻出なので、個人的には結構つかえる覚え方ではないかと思っています。 ソノマと、ナパのAVAを五十音順に並べてみると、意外と頭文字が重ならないことに気が付きます。 「ア」と「チ」が頭文字のものは両者に含まれるので、「アレ」と「チョ」で覚えます。 重複する「ロスカーネロス」は超重要なので、これは自力で覚えます。 名前に「ソノマ」が含まれるものは、わざわざ頭文字を覚えるまでもないので、除外しています。 あとはこの頭文字を語呂合わせなどで覚えます。 例えば、下のように。 ソノマさえ覚えてしまえば、「ソノマ」と「ナパ」の2択の場合は、ソノマの頭文字に含まれていなければ自動的に「ナパ」であることがわかります。 一応、下はナパの頭文字の語呂合わせです。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 )

EUの甘味(残糖量)を表すラベル表示用語とその覚え方【語呂合わせなど】

EU内で生産される/EU内で販売するために生産される発泡性ワイン には、 甘味に関するラベル表示用語(Labelling term) が規定されています。 「Brut Nature」から「Doux」までの7段階 があり、それぞれに対して残糖量の範囲が決まっているのですが、これを覚えるのはなかなか大変です。 WSET L3 では、テキストに「試験では、ブリュット・ナチュール(Brut Nature)、ブリュット(Brut)、ドゥミ・セック(Demi-Sec)の用語と、それぞれの甘味のレベルに関する知識があれば十分である。」と丁寧に書かれているので、この3つだけを覚えれば十分で、暗記はそれほど大変ではありませんでした。 しかし、 JSAソムリエ・ワインエキスパート試験 では、細かい部分も出題される可能性があり、全ての用語と残糖量の範囲を試行錯誤を重ねて何とか覚えました。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 ) (関連記事: スパークリング・ワインの残糖量の表示の覚え方(新) ) その方法は次の①~④の通りです。 ------------------------------------------------------------- <発泡性ワインの甘味を表すEUのラベル表示用語> <覚え方> ①カテゴリ分けをする ・まず、7段階の表示を、Brut、Sec、Douxに分けて、それぞれ3つ、3つ、1つと覚えました。 ②Brutを覚える ・Brutが 最も残糖量の少ないカテゴリー であることを覚えました。「 Brut=untreated(未加工の)≒糖の添加を極力行わない 」と考えると容易に覚えられました。 ・ Brut Nature、Extra Brut、Brut の3つの表示用語があることを覚えました。 Nature(自然のままの)、Extra(格外の) という意味を考えると覚えるのは容易でした。 ・Brutの 最低残糖量は全て「0」 であることを覚えました。 ・Brut Natureの最大残糖量が「3」であることを覚えました。Natureには「生まれたままの」という意味があるので、「 3つ子の魂100まで ...

ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリットの整理

 ワイン用のブドウ栽培では、多くのブドウ樹が棚付けされて管理されています。 棚付けとは、ブドウ棚を使用して毎年成長するブドウの枝葉を支持するブドウ樹の管理方法です。 ブドウ棚は下図のような、支柱と針金からなる常設の構造物を指します。 そして、ブドウの樹の棚付けの方法として最も広く使われている方法が 「垣根仕立て(VSP = Vertical Shoot Positioning)」 です。 垣根仕立てがあまりに一般的なので、個人的には、ついつい「棚付けのブドウ樹 = 垣根仕立て」と混同しがちです。 そこで整理のために、ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット、デメリットをそれぞれまとめてみました。 棚付けしたブドウ畑(樹)のメリット・デメリット 棚付けの最大のメリットは、キャノピー・マネジメント(樹冠管理)が容易になることです。キャノピーとは、ブドウ樹で毎年成長する緑色の枝葉を指します(一般的に、長年にわたり固定されているコルドンは含まないと思います)。 そして、キャノピー・マネジメントのメリットとしては、「日照量」、「通気」、「機械化」の3つが挙げられます。 日照量のコントロールは、葉陰を減らすことによる日照量の最大化や、反対に葉陰を増やすことによる果実の日焼け対策が含まれます。 通気の管理は、特に雨や湿気の多い地域で重要であり、カビなどの菌類病のリスクを減らします。 また、適切なキャノピー・マネジメントにより、樹の特定の部分に果実や葉がくるようにしておくことは、畑への機械の導入を促します。これにより、作業の効率化を図ることができます。 一方で、棚付けのデメリットとしては、ブドウ棚設置のための初期費用と、それらを維持管理するための費用や手間があげられます。 ブドウ棚は、急斜面では利用できないこともデメリットの1つです。北ローヌなどの急斜面が多い畑では、ブドウ棚の代わりに支柱のみを用いた棒仕立てなどが用いられます。 (関連記事: 棒仕立て、ミストラル、混醸... ローヌ川流域北部のブドウ栽培とワイン造り ) 垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリット 垣根仕立て(VSP)のメリットは、ブドウ樹の樹勢が一定以下の場合に、キャノピー・マネジメントがしやすいことと言われます。 したがってそのような場合には、「日照量のコントロール」、「通気の確保」、「作業の...

lees(=澱) の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 lees = 澱(おり) 」です。 澱はワインを置いておくと容器の底にたまる沈殿物のことです。 「lees」は複数形ですが、通常、複数形として使われるようです。 澱を構成している物質は、死んだ酵母、死にかけている酵母や細菌、ブドウの断片、沈降したタンニン、栄養分やその他の不溶性物質などです。 澱は通常、 沈殿法(sedimentation) 、 清澄(fining) 、 濾過(filtration) などの方法を使って取り除かれます。 しかし、ワインによっては澱とともに一定期間の熟成を経るものもあります。これは「 澱との熟成(lees aging) 」や「 澱の上の熟成(aging on lees) 」、フランス語に由来する シュル・リー(sur lie) と呼ばれます。 澱との熟成の効果は、ワインにボディを与える、口当たりをまろやかにする、(酸化やたんぱく質による濁りに対して)ワインを安定化させることなどがあげられるそうです。 また、死んだ 酵母の自己分解(yeast autolysis) により放出される化学物質によって、ワインにはパンやビスケット、トーストのような風味が加えられます。 シャンパーニュのように瓶内二次発酵中の澱との接触工程を経た発泡性ワインや、シュールリーを経たミュスカデや甲州の白ワインが、パンやビスケット、トーストのような風味を持つのはこのためです。

ブドウ品種「ピクプール(Piquepoul)」とは?

ピクプール(Piquepoul) というブドウ品種について調べてみました。 この品種は、主にフランスのローヌ渓谷や、ラングドック地方、また、スペインのカタルーニャで栽培されているワイン用ブドウ品種です。萌芽が遅く、ウドンコ病の影響を受けやすい品種です。 ピクプールには果皮の色が異なる 「ピクプール・ノワール」 、 「ピクプール・ブラン」 、 「ピクプール・グリ」 の3種類があります。 ラングドック地方では長い歴史があり、最も古い土着品種の1つのようです。ここでは、ブレンドワインとヴァラエタルワインの両方に使われています。特に、ピクプール・ノワールから生産される赤ワインは、アルコール度数が高く、香りが豊かですが、非常に色が薄いため、ブレンドに使われることが多いようです。 ローヌ渓谷では、ピクプール・ノワール、ピクプール・ブランがシャトーヌフ・デュ・パプAOCのブレンド品種として許可されています。また、広域のコート・デュ・ローヌAOCにも使われています。 ピクプール・ノワール、ピクプール・ブラン、ピクプール・グリのうち、最もよく知られているものは「ピクプール・ブラン」であり、栽培面積は増加傾向にあるようです。 フランスだけではなく、ピクプール・ブランはカリフォルニア州ソノマやオーストラリアでも栽培がされているようです。 ピクプール・ド・ピネ(Picpoul de Pinet)AOC ピクプールを使った最も有名なワインの1つはラングドック地方の 「ピクプール・ド・ピネ(Picpoul de Pinet)AOC」 だと思います。 このワインは、その名が表す通り、ピクプール品種から造られており 「ピクプール・ブラン」100%の白ワイン です。しかし、品種( Piquepoul )とワイン名( Picpoul )で「ピクプール」のスペルが若干異なります。 この地域では、ピクプールはもともと主にベルモットのベースワインとして利用されていましたが、醸造技術の発展により、フルーティーなヴァラエタルワインとして造られるようになりました。 ピクプール・ブランは、温暖な気候にあっても成熟時に高い酸味を保持することができ、ピクプール・ド・ピネAOCワインは、高いレベルの酸味を持つことが特徴です。 レモンや花の香りを持つ、ミディアムボディの辛口ワインとして造られます。 下のような特徴的なボトル...

WSET Level3 合格までのスケジュール(情報収集から合格発表まで)

WSET Level3の合格までのスケジュールをまとめてみました。 受験の検討を始めてから1年がかりのスケジュールでした。 (関連記事: ワインを英語で学ぼうと思ったきっかけと意外な発見 ) <私のWSET Level3 合格までのスケジュール> -------------------------------------------------- 1月 (情報収集) ・WSET L3の受験を検討、受講方法および受験方法などの調査 2月 ( 情報収集 - 主にAPPに関して ) ・各スクール(APP)の説明会参加 ・事前勉強開始(事前入手したWSET L2, L3テキスト[英語]の読み込み) 3月 (申し込み) ・受講するスクールの選択と申し込み 4月~6月 (WSET L3クラス受講) ・スクールでの受講 (1~2週間ごと) ・スクールからの宿題の実施 (主に記述式問題[ショートエッセイ]) ・授業の復習資料の作成(理論およびテイスティング) ・自宅テイスティング練習 (主に苦手なタイプの品種・ワイン) ・試験内容の調査(Specificationの読み込み、ネット検索などでの参考問題収集) 7月~9月 (引き続きWSET L3クラス受講) ・スクールでの受講 (1~2週間ごと) ・スクールからの宿題の実施 (主に記述式問題) ・授業の復習資料の作成(理論およびテイスティング) ・自宅テイスティング練習 (主に苦手なタイプの品種・ワイン) ・試験対策の実施(試験対策用資料の作成、ネットで見つけた参考問題への回答) 9月~10月 (試験勉強) ・授業の復習資料・試験対策用資料のブラッシュアップと復習 (ブラッシュアップをしながら覚えるのでフラッシュカード[単語カード]の利用は無し) ・スクールからの宿題と、ネットで見つけた記述式参考問題の整理 (※) ・記述式問題練習 - (※)を繰り返し覚えるまで解く ・自宅テイスティング練習継続 (主に苦手なタイプの品種・ワイン) ・単語帳の作成 (主にワイン名、地名、専門用語のスペル確認のため) 10月 (受験) ・試験勉強継続&本番試験 11月~12月 (結果待ち) ・結果を待ちつつ資料の整理など 翌年1月 (合格通知) ・試験結果...

WSETレベル3で一発合格できたテイスティング対策

WSETレベル3 の試験には、筆記試験に加えて、 テースティング試験 が含まれます。 WSETのテースティングでは、 SATという名のテイスティング・ツール を用いて、ワインの描写と品質・飲み頃に関する評価を行います。本試験においても、このSATに則って、出題される2種類のワイン(通常、赤ワイン1種と白ワイン1種)についての評価を回答用紙に記述します。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング回答のルール ) 一般的に、 WSETレベル3のテースティング試験は筆記試験に比べて合格をしやすい と言われています。しかしそれでも、試験をパスするためにはある程度の学習と練習が必要だと思います。 WSETレベル3のテイスティング対策を行うにあたって、私が感じたのは、どのように準備をしたら良いのかという情報がJSA試験ほどに豊富には手に入らないということでした。 そこで、この記事では私がテイスティング試験に向けて行った準備を紹介したいと思います。一度の試験で合格ができたので、それなりの効果はあったのだと思っています。 試験突破のカギは「SATの理解」と「品質評価」 テイスティング試験対策に取り組む中で、私が最も重要だと思い、時間を割いたのは、「 SATの記述ルールを理解すること 」と「 ワインの品質レベルを正確にとらえる 」ことでした。 テイスティング試験の合格基準は「55%」の得点率なので、この2つさえできていれば、まず落ちることはないと思いました。 反対にこの2つのいずれかが欠けていると、大きく減点をされてしまう可能性があります。例えば、SATでは、「テイスティングの記述に用いる用語」と「評価をすべき項目」がしっかりと決まっています。間違った用語を用いたり、評価すべき項目が記述されていなければ、全く得点は得られません。用語や評価項目以外にも、いくつか記述のルールが存在するので、ワークブックをしっかり読んで全てを把握しておくことが必須です。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング試験でやりがちな失敗トップ10 ) (参考記事: WSET SATのちょっとわかりにくかった香りと風味の選択・記述ルール ) ルールに関してはJSAのテイスティングのルールとは少し異なると思われる部分もあったので要注意です。 ...