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ワイン名称に出てくるフランス語の「Côte」と「Coteaux」の違いとは?

 タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>

ワインエキスパート試験は集中力が重要!6ヵ月「全集中」勉強法



ワインの素人だった私が、ワインスクールに通って6ヵ月間(半年)しっかり勉強をして、J.S.A.ワインエキスパート試験を突破することができました。


学習を振り返って感じたことは、

素人でも6ヵ月集中すれば十分受かるし、それ以上かけるのはもったいない

ということでした。


大手ワインスクールの対策講座は、多くが4月~9月の6か月間に渡って開催されます。これはおそらく、この6か月間しっかり勉強をしさえすれば誰でも十分合格ができるレベルに達するという裏返しだと思います。そして、この対策講座に参加をした多くの受講生が合格をしていきます。

もっともおすすめできないことは、中途半端な勉強をして合格を逃してしまうことです。これは、時間、お金、労力、機会をもっとも浪費してしまうパターンです。

ソムリエ・ワインエキスパートの試験は毎年秋に実施されますが、1度合格を逃してしまうと、再受験には1年間待たなければなりません。1年もの間、期間が空くと、折角学んだ知識はどんどん頭から抜けていくし、テイスティング能力もどんどん落ちていってしまいます。

これを維持するために、改めて勉強をし直したり、テイスティングの練習にお金をかけたりとしなければならないわけですが、これは本当に時間や、お金、労力の無駄遣いだと思います。

さらにワインの学習を続ける場合には、これは大きな機会損失でもあると思います。例えば、ソムリエ・ワインエキスパート資格には、上位資格として、ソムリエ・ワインエキスパート・エクセレンス資格があります。これらの受験資格には、ソムリエ・ワインエキスパート資格を取得してからそれぞれ、3年以上、5年以上経過していることという条件があります。これらの上位資格の取得を考えた場合、一度受験に失敗するたびに、これらの試験に挑戦できるタイミングが1年ごと先延ばしになってしまうという大きな機会損失になってしまいます。

これ以外にもワインの資格や勉強の機会はさまざまあるので、ソムリエ・ワインエキスパート試験ばかりに時間を取られてしまうのは、本当に多くの機会を逃してしまうと思います。





6ヵ月(半年)「全集中」勉強法のすすめ


JSAワインエキスパート試験に合格するためには、「とにかく6か月間だけ労力とお金を集中させて一発合格すること」が最もコスパが良いのではないかと思います。

たしかに、独学で勉強をすれば、ワインスクールに通うよりもかなり費用を抑えることができるかもしれません。しかし、一発合格を逃してしまって資格取得までに2~3年を要してしまった場合、その期間の合計費用はもしかしたらワインスクールに通った方が安く済むかもしれません。

さらにその期間に費やした労力や、その期間の機会損失までを考えると、一発合格できないデメリットはかなり大きいと思います。

必ずしもワインスクールに通うことが必要だとは思いません。しかし、一発合格を必ず達成すべき目標として定めて、6ヵ月間だけはそのために必要な投資をすることが重要だと思います。

そうすれば、たとえワインの素人でもワインエキスパート試験には十分合格ができると思います。

この記事では、私がワインエキスパート試験を受けて感じた、勉強方法のコツや私が実際に行った勉強方法を、1次試験(CBT試験)対策を中心に紹介したいと思います。








ソムリエ・ワインエキスパート1次試験突破のコツ


JSAソムリエ・ワインエキスパートの1次試験の特徴は、試験問題は全て『日本ソムリエ協会教本』に書かれていることから出題されるということです。試験申し込みをすることで、冊子形式の教本を入手することができますが、こちらのサイトでは電子版の購入も可能です→ https://ec2.sommelier.jp/products/list.php?category_id=7

そのため、もし教本を丸暗記することができれば、1次試験には余裕で突破できるのですが、それほど単純な話ではありません。教本は600ページ以上もあり、A4版で比較的細かい文字で書かれているのです!

そこで、この膨大な量を暗記するためには正しい戦略が必要です。その戦略は、「暗記すべき範囲とその優先順位を決める」ことと、「暗記すべき範囲を効率的に暗記していく」ことの2つに尽きると思います。

前者に関しては、初めてワインを学ぶ場合は自分一人でやっていくのは非常に大変な作業です。下のようなワインスクールが出版している参考書をもとに勉強をすることもできるのですが、効率的に確実に、一発での合格を目指すのであれば、私はワインスクールに行くことをお勧めします。 

(参考記事:JSAワインエキスパート試験対策のためにワインスクールに行くべきか?それとも独学?

(参考記事:忙しい社会人がワインエキスパートを目指す場合におすすめのワインスクール

(参考記事:ワインスクールに通うメリット・デメリット




暗記すべき範囲とその優先順位を決める」ことができたら、1次試験突破のためにすることは、ひたすら頭に情報を詰め込む作業です。

まさにペンキ塗りのような作業で、ローラーを動かしただけ記憶は頭の中に塗る固められていきます。



このような単純作業の対策は、「勉強計画を立てて、それを定例作業としてひたすら繰り返す!」これに尽きます。

さらに勉強をする時間帯と場所も決めてしまった方が楽ちんです。

私は毎朝2時間程度の時間をとって下のような作業を日常生活に組み込みました。

サラリーマンなので、残業に左右されないのが朝に勉強をやるメリットです。

最初は大変と思えることでも、毎週繰り返していると半年くらいは簡単に続けられてしまいます。

この2つができれば、誰でも試験に受かってしまうというのが持論です。






1次試験合格のための勉強法


私は3月~7月の間にワインスクールに通いましたが、その間に行った勉強方法を<受講期間の勉強法>として、試験直前の勉強法を<テスト準備期間の勉強法>としてまとめました。

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<受講期間の勉強法 (3月~7月)>


ワインスクールの授業が毎週あるので一週間をかけて①~④までを定例作業として繰り返します:


① ワインスクールできっちり受講


[point1] 予習をしてから受講。例えば、暗記の多い部分は事前に暗記(ボルドーAOC、ブルゴーニュAOC、イタリアDOCGなど)。

[point2] 講師のコメントを逐一メモ。(授業で使った書籍↓)








② 授業まとめノートの作成し暗記ポイントを整理



[point1] 様々な資料を見なくてもいいように、全ての情報をまとめノートに集約。電子ファイルで作るのが便利です。

[point2] 覚えにくい部分は語呂を引用したり、独自の語呂を作る (おすすめ書籍↓)



[point3] 地図をベースに産地やワインの情報を整理。

[point4] 視覚的に覚えられるようにできるだけ画像を入れ込む。

[point5] ワインツアーを計画する気分でノートを作ると楽しめます。

(参考記事:一発合格!ワインエキスパート、WSETの暗記のコツ

(語呂合わせの例:アルコール発酵にまつわる2人の重要人物と語呂合わせ

(語呂合わせの例:EUの甘味(残糖量)を表すラベル表示用語とその覚え方




③ 練習問題を解いて記憶の定着の確認


[point1] ワインスクールから与えられた練習問題を解く

[point2] 独自に購入をした市販の練習問題を解く (おすすめ書籍↓)






④ ワインスクールの小テストで実力の確認(毎週)


[point] 毎回の小テストで満点を目指します。小テストで良い点を取ることがかなりのモチベーション維持になりました。実際、ほとんど毎回満点でした。

(関連記事:ワイン資格(JSA/WSET)の取得に役立ったモチベーション





<テスト準備期間の勉強法 (7月~8月)>


一次試験受験までに❶~❸を行います:




❶ まとめノートの見直しと、更新



[point] 国や地域をまたぐテーマがある場合は、新たなまとめノートを作成(年号、シノニム、統計、気候区分、各地の発泡ワインなど)

(関連記事:ソムリエ・ワインエキスパート試験で苦労をした年号の覚え方




❷ 問題集による弱点の補強と記憶の定着


[point] 過去問、市販の問題、スクール提供問題などを繰り返し解く。(新たに下のような書籍も購入しました↓)






❸ スクールで出回る「裏」資料の入手と、それを使った直前対策


[point] あまり細かくは言えませんが、独学では手に入らないような情報がワインスクールに通っていることで手に入ります。「裏」というのは、スクールから公式に提供されるわけではなく、講師や受講生から提供される資料だからです。当時の私の実力では、8割からよくても9割程度の正解率までしかとれなかったと思いますが、この資料のおかげでほとんど満点を取ることができました。一発合格を目指すのであれば、ワインスクールに通った方がよいと思う1つの理由は、ワインスクールには大きな情報収集能力があることです。また、ワインスクールに通っても友人がいないと資料は手に入らない可能性もあるので、できるだけ多く友人を作っておいた方がよいかもしれません。


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このやり方を実践したおかげで、7月にワインスクールの全ての講義が終わったときには、そのまま1次試験を受けても合格ができるレベルに達することができました。(念のための保険で8月もみっちり勉強しましたおかげでさらに正答率は伸びました!)

これに所要した勉強時間はおよそ300時間でした。2時間(1日当たり) x 30日(1か月) x 5か月(3~7月) = 300時間 という計算です。

反省点としては、もう少し予習にしっかり時間を使えばよかったと思いました。私の担当の講師は、講義が終わって4日間は復習、残りの2日間は予習に使うのがおすすめと言っていました。






1次試験(CBT試験)受験にあたっての注意事項



最後におまけに1次試験に当たっての注意事項です。

私の思う一番の注意事項は、1次試験の予約です。

各会場で受け入れることのできる受験生のキャパシティーはあらかじめ決まっているために、多くの人が受験をしたい日程や会場はすぐに予約が埋まってしまいます

私の時は、8月後半の土日の予約がすぐに埋まってしまいました。

1次試験の予約は、予覚開始期間が始まったらすぐに希望の日時と場所をおさえてしまうのがおすすめです。


会場の手際やCBTの仕組みはとても良い印象で、他の受講者の音が気にならないように防音用の耳当てが用意されていたり、回答はマウス操作だけで完了できたり、見直しのしやすいように問題に印をつけてその問題に簡単に飛べたりと、大きなストレスを感じるようなことはありませんでした。

また、しっかり勉強をしてのぞめば時間はかなりあまる印象でしたので、回答を急ぐ必要は全くありませんでした。そのため、余った時間で自己採点用の問題暗記に時間をかけることができました。






2次試験(テイスティング試験)対策



2次試験対策については下の参考記事で紹介をしています:

(参考記事:テイスティング下手のワインエキスパート2次試験対策


よく読まれている記事

WSETで納得!JSAで疑問だったギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い

JSAワインエキスパートを学んでいた時に、ブドウ樹の仕立て方でずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、 「ギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い」 。 両者ともに世界的に広く採用されている仕立て方である「 垣根仕立て 」の代表例なのですが、 ギヨドゥブルは長梢剪定 、 コルドンロワイヤは短梢剪定 の例として紹介されていました。 (参考記事: ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは? ) それぞれぱっと見の形はすごく似ていて、その違いは、枝の太さの違いだけ。ギヨドゥブルは2本に分かれる枝が細くて、コルドンロワイヤはそれが太い。 なぜこのような似通った2つの仕立て方が用いられているのか が、当時の私にはわかりませんでした。 JSAソムリエ・ワインエキスパート試験では、ブドウの栽培方法、特に仕立て方に関してはあまり深い知識は必要なかったために、この2つの機能的な違いや、長梢剪定、短梢剪定に関する説明は試験対策講座でも省略されていました。また、当時、独自でネット検索をして色々調べてみたのですが、結局答えはわからず終いでした。 それから一年、こんな疑問があったことも忘れてしまった頃、WSETレベル3の講義を受けて この疑問を解決することができました! ギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの選定の流れ WSET の講義を受けて分かったことは、次のようなこと: ギヨ・ドゥブル では、前年の新梢が一本だけ残され、その枝(長梢)が水平方向に延ばされる ギヨ・ドゥブル では、水平に伸ばされた長梢の上に、その年の新梢が垂直に伸びる ギヨ・ドゥブル では、その年の収穫が終わったら、その年の新梢1本だけを残して、残りの枝は刈り取られる コルドン・ロワイヤ では、一昨年かそれ以前に作られた腕枝(コルドン)の上に、去年の新梢の一部(短梢)が残される コルドン・ロワイヤ では、短梢から今年の新梢が垂直に伸びる ギヨ・ドゥブル、コルドン・ロワイヤともに 、新しいブドウの房は新梢の上にできる (ギヨ・サンプル/ドゥブルの剪定の流れ) (コルドン・ロワイヤの剪定の流れ) 仕立てが出来上がった状態では、それぞれとても似通った形になって...

ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリットの整理

 ワイン用のブドウ栽培では、多くのブドウ樹が棚付けされて管理されています。 棚付けとは、ブドウ棚を使用して毎年成長するブドウの枝葉を支持するブドウ樹の管理方法です。 ブドウ棚は下図のような、支柱と針金からなる常設の構造物を指します。 そして、ブドウの樹の棚付けの方法として最も広く使われている方法が 「垣根仕立て(VSP = Vertical Shoot Positioning)」 です。 垣根仕立てがあまりに一般的なので、個人的には、ついつい「棚付けのブドウ樹 = 垣根仕立て」と混同しがちです。 そこで整理のために、ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット、デメリットをそれぞれまとめてみました。 棚付けしたブドウ畑(樹)のメリット・デメリット 棚付けの最大のメリットは、キャノピー・マネジメント(樹冠管理)が容易になることです。キャノピーとは、ブドウ樹で毎年成長する緑色の枝葉を指します(一般的に、長年にわたり固定されているコルドンは含まないと思います)。 そして、キャノピー・マネジメントのメリットとしては、「日照量」、「通気」、「機械化」の3つが挙げられます。 日照量のコントロールは、葉陰を減らすことによる日照量の最大化や、反対に葉陰を増やすことによる果実の日焼け対策が含まれます。 通気の管理は、特に雨や湿気の多い地域で重要であり、カビなどの菌類病のリスクを減らします。 また、適切なキャノピー・マネジメントにより、樹の特定の部分に果実や葉がくるようにしておくことは、畑への機械の導入を促します。これにより、作業の効率化を図ることができます。 一方で、棚付けのデメリットとしては、ブドウ棚設置のための初期費用と、それらを維持管理するための費用や手間があげられます。 ブドウ棚は、急斜面では利用できないこともデメリットの1つです。北ローヌなどの急斜面が多い畑では、ブドウ棚の代わりに支柱のみを用いた棒仕立てなどが用いられます。 (関連記事: 棒仕立て、ミストラル、混醸... ローヌ川流域北部のブドウ栽培とワイン造り ) 垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリット 垣根仕立て(VSP)のメリットは、ブドウ樹の樹勢が一定以下の場合に、キャノピー・マネジメントがしやすいことと言われます。 したがってそのような場合には、「日照量のコントロール」、「通気の確保」、「作業の...

ソノマ・ナパ カウンティのサブリージョン(AVA)の私的な覚え方【語呂合わせ】

アメリカ、カリフォルニアの暗記の難関と言えば、ソノマ・ナパのサブリージョン(AVA)の暗記です。 正攻法で覚えると結構大変なので、ポイントを絞った覚え方を考えてみました。 (参考記事: ナパヴァレーAVAの覚え方を正攻法で考えてみる ) そのポイントとは、「 そのAVAが、ナパ、ソノマどちらに属するのか? 」ということです。 あるAVAが取り上げられて、「これはナパ、ソノマどちらのAVAでしょう?」という問題が結構頻出なので、個人的には結構つかえる覚え方ではないかと思っています。 ソノマと、ナパのAVAを五十音順に並べてみると、意外と頭文字が重ならないことに気が付きます。 「ア」と「チ」が頭文字のものは両者に含まれるので、「アレ」と「チョ」で覚えます。 重複する「ロスカーネロス」は超重要なので、これは自力で覚えます。 名前に「ソノマ」が含まれるものは、わざわざ頭文字を覚えるまでもないので、除外しています。 あとはこの頭文字を語呂合わせなどで覚えます。 例えば、下のように。 ソノマさえ覚えてしまえば、「ソノマ」と「ナパ」の2択の場合は、ソノマの頭文字に含まれていなければ自動的に「ナパ」であることがわかります。 一応、下はナパの頭文字の語呂合わせです。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 )

WSET Level3 記述式問題で重要に思えたところ(本試験の筆記問題対策)

繰り返しになりますが、WSET level3の最大の難関は記述式問題です。 (参考記事: WSET Level3 の試験構成 ) WSETの記述式問題では、出題されたテーマに対して、深く理解をしているかが問われます。 (参考記事: 一筋縄ではいかない!とてもWSET的だと思った記述式問題(問題例) ) そのため、記述式問題の基本的な対策は、WSETレベル3のテキストの読み込みと、講義ノートの見直しを主に行いました。 しかし、広大な産地全てについて、万遍無く、深く理解をするというのは途方もない作業に思われました。 さらに私の場合は英語受験だったので、日本語のようにテキストをスラスラ読むこともできるわけはなく、本試験までの日数から逆算をすると、とてもそんな時間は確保できないと思いました。 そこで記述式試験対策の方針としては、いくつか重要と思われる部分にヤマを張って、それらを重点的に勉強することにしました。「重要と思われる部分」は次のような判断基準で抜き出しました。 ・講義中に担当講師が「重要」「試験に頻出」と言っていた部分 ・サンプル問題で、何度も問われていた部分 (参考記事: WSET過去問は共有禁止!それでもWSETレベル3の試験問題の参考にしたウェブサイト ) ・複雑で、しっかり理解をしていないと説明ができないと思った部分(特に醸造工程のオプションなど) ヤマを張った部分に関しては何度もテキストを読み返して、テキストの重要ポイントは何度もノートに書きあげて英文を書く練習を続けました。 (参考記事: WSET Level3の英語受験を一発合格した勉強方法 ) (関連記事: WSET試験の記述問題対策では「動詞」が重要!? ) 「重要と思われる部分」として抜き出した具体例を下に紹介します: <ワインの保管とサービス> ワインの保管方法(参考記事: ワインの保管方法 ) ワインの提供温度 (参考記事: チャートで覚えたワインのサービス温度 ) ワインのデカンティング 発泡性ワインの栓の抜き方(参考記事: 非発泡性(スパークリング)ワインの栓の抜き方 ) ワインの保存に使われる方法(参考記事: ワインの保管方法 ) <ブドウ樹の栽培、畑の管理、ワインの醸造> 高接ぎとその特徴(参考記事: grafting(...

パロ・コルタド・シェリーとは?アモンティリャードとオロロソとの製法の違いを調べてみた

JSA試験、WSET試験を通して酒精強化ワインであるシェリー(Sherry)を学んできましたが、ずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、「 パロ・コルタド・シェリーとは何なのか? 」です。 シェリーとは、スペイン・アンダルシア州カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺地域で生産される酒精強化ワインのことで、ポート・ワイン(ポルトガル)、マデイラ・ワイン(ポルトガル)とともに、著名な酒精強化ワインと言われています。 シェリーには、フィノ(Fino)/マンサ二ーリャ(Manzanilla)、オロロソ(Oloroso)、アモンティリャード(Almontillado)、 パロ・コルタド(Palo Cortado) 、ペドロヒメネス(Pedro Ximenez)など様々な種類があります。 しかし、JSA、WSETどちらのテキストにおいても、 パロ・コルタド に関する記述 はとても少なく、製法に関する記述もなく、漠然とその特徴が書かれているだけでした。 その特徴は、 ・希少であること ・アモンティリャード(Amontillado)の香りを持つが、味はオロロソ(Oloroso)のボディとこくを持つ という2点だけです。 ずっと疑問に思っていたことを解決すべく、製法を中心にパロ・コルタドについて調べてみました。 参考にしたのは、次のサイトです: https://www.sherrynotes.com/sherry-types/palo-cortado/ https://www.sherrynotes.com/2015/background/palo-cortado-mystery/ まずは、パロ・コルタドの発祥から。パロ・コルタドは、もともとフィノとしては不適合として除外された樽からできたそうです。 <パロ・コルタドの発祥> ------------------------------------------------------------------------ ・パロ・コルタドは、もともとフィノ(Fino)の製造から偶然生まれたワインと言われている。 ・フィノシェリーでは、樽での熟成中にフロールと呼ばれる産膜酵母が発生し、フロールのもとで熟成される。しかし、フィノ樽の中には...

EUの甘味(残糖量)を表すラベル表示用語とその覚え方【語呂合わせなど】

EU内で生産される/EU内で販売するために生産される発泡性ワイン には、 甘味に関するラベル表示用語(Labelling term) が規定されています。 「Brut Nature」から「Doux」までの7段階 があり、それぞれに対して残糖量の範囲が決まっているのですが、これを覚えるのはなかなか大変です。 WSET L3 では、テキストに「試験では、ブリュット・ナチュール(Brut Nature)、ブリュット(Brut)、ドゥミ・セック(Demi-Sec)の用語と、それぞれの甘味のレベルに関する知識があれば十分である。」と丁寧に書かれているので、この3つだけを覚えれば十分で、暗記はそれほど大変ではありませんでした。 しかし、 JSAソムリエ・ワインエキスパート試験 では、細かい部分も出題される可能性があり、全ての用語と残糖量の範囲を試行錯誤を重ねて何とか覚えました。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 ) (関連記事: スパークリング・ワインの残糖量の表示の覚え方(新) ) その方法は次の①~④の通りです。 ------------------------------------------------------------- <発泡性ワインの甘味を表すEUのラベル表示用語> <覚え方> ①カテゴリ分けをする ・まず、7段階の表示を、Brut、Sec、Douxに分けて、それぞれ3つ、3つ、1つと覚えました。 ②Brutを覚える ・Brutが 最も残糖量の少ないカテゴリー であることを覚えました。「 Brut=untreated(未加工の)≒糖の添加を極力行わない 」と考えると容易に覚えられました。 ・ Brut Nature、Extra Brut、Brut の3つの表示用語があることを覚えました。 Nature(自然のままの)、Extra(格外の) という意味を考えると覚えるのは容易でした。 ・Brutの 最低残糖量は全て「0」 であることを覚えました。 ・Brut Natureの最大残糖量が「3」であることを覚えました。Natureには「生まれたままの」という意味があるので、「 3つ子の魂100まで ...

ソムリエ・ワインエキスパート試験で苦労をした年号の覚え方

WSETと比較をしてみると、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験で特徴的な部分は、ワインに関する歴史が問われることでした。 (関連記事: WSETレベル3とJSAソムリエ・ワインエキスパート資格の違い、どちらがおすすめ? ) ワインやワイン産地には興味があるんですが、正直、ワインの歴史にはそこまで興味を持てませんでした。ワイン愛好家にとって重要なことは、おいしいワインを見つけることや、おいしいワインを飲むことであり、ワインがどんな歴史をたどってきたかなんて近代を除いてそんなに重要なことではないと思えるからです。 「歴史なんか覚えて、何の役に立つの?」正直こんな気持ちでした。 だから、いざ覚えようと思っても、興味のないことはなかなか覚えられません。ワインの色などは語呂合わせを駆使して覚えてきたのですが、年号関連は語呂を作っても同じような語呂ばかりになってしまい、この方法もあまり役に立ちませんでした。 そこで始めたのが、正確な年号を覚えるのはとりあえず置いておいて、年号の順番を覚えるというやり方。特定のトピックにおいて、関連した年号を1つの図にまとめていくと、何となく時代背景が見えてきて、少しずつ頭に入ってくるような気がします。さらに、キーとなる年号だけ覚えておけばその前後関係を覚えておくだけで、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験は4択なので十分対応可能だと思いました。 例えば原産地管理法の年号は、ヨーロッパ→北米・南ア→南米・豪州→NZ・日本のように広まっていくのがわかります。 また、ブドウの伝来もヨーロッパ→南米→アメリカ・南ア→豪州→NZ→日本のように広がっています。 そして、日本も長野・山梨から始まり、北海道や山形に広がっていくのがわかります。 正確な年号を語呂合わせで覚えるよりも、こちらの方が時代背景がわかるので後々役に立つ知識になるとおもいました。 このような類似のトピックで情報を1つの図にまとめていくやり方は、その他覚えにくい生産量のデータや、気候区分を覚えるのにも役に立ちました。単なる数字を覚えるよりもずっと楽に暗記ができました。 例えば、フランス各地の栽培面積とワイン生産量。 そして、各地の気候区分。 試験中に具体的な数字が浮かばなくても、なんどなくこれらの図が頭に浮か...

コート・ド・ボーヌの村名の私的な覚え方【地図と語呂合わせ】

  「コート・ド・ボーヌ(Cote de Beaune)」の村名は正直言って、「コート・ド・ニュイ(Cotes de Nuits)」よりも覚えるのが大変です。 その理由は、村の名前が多いことです。 コート・ド・ボーヌの村名は、地域を区切って、主要な村を先に覚えていく方法が個人的には有効だと思います。 分け方は、「コルトンの丘付近」、「ボーヌ付近」、「シャニー付近」の3つの地域に分けました。 ちなみに、「コルトンの丘付近」は、特級畑「コルトン・シャルルマーニュ」を共有する3村、「ボーヌ付近」は赤ワインの生産が多い3村、そして「シャニー付近」は白ワインの生産の多い4村です。 コルトンの丘付近 コルトンの丘付近の村は、頭文字で覚えます。 ペルナン・ヴェルジュレス(Pernand-Vergelesses) アロース・コルトン(Aloxe-Corton) ラドワ・セリニィ(Ladoix-Serrigny) コルトンの丘を中心に反時計回りで、「 PAL 」となります。 この3村は先述の通り、特級畑「 コルトン・シャルルマーニュ 」を有していることで有名です。 (関連記事: 地図を使うと覚えやすい!コルトンの丘のグラン・クリュAOCの暗記法 ) ボーヌ付近 ボーヌ近辺の3村は、ボーヌ付近のいずれも赤ワインの生産の多い村です。 ボーヌ(Beaune) ポマール(Pommard) ヴォルネイ(Volnay) ボーヌは赤白ワインの生産が許可されていますが、ポマールとヴォルネイは赤ワインの生産しか許可されていません。 個人的には次のような語呂合わせを使って覚えています。 シャニー付近 シャニーに近い次の4つの村では白ワインが多く生産されています。 サン・トーバン(St Aubin) ムルソー(Meursault) ピュリニィ・モンラッシェ(Puligny-Montrachet) シャサーニュ・モンラッシェ(Chassagne-Montrachet) いずれの村でも赤白ワインの生産が許可されていますが、両モンラッシェの特級畑では白ワインの生産しか許可されていません。 個人的には次のような語呂合わせを使って覚えています。 その他の村 その他の村は、余裕があれば少しずつ覚えます。 ちなみに、ブラニィ(Blagny)は、ムルソー村とピュリニィ・モンラッシェ村にまたがる地域のことで、ブラニ...

WSET過去問は共有禁止!それでもWSETレベル3の試験問題の参考にしたウェブサイト

資格試験合格のコツは、 出題される問題の傾向を調べて、その対策を意識しながら学習を進めること だと思います。 J.S.A.ワインエキスパート の受験勉強をしたときは、様々なウェブサイトや書籍で過去問が公開されていたので、いち早くそれらを手に入れて早めに対策を進めることができました。 (参考記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 ) WSETレベル3 の場合、それは大きな課題でした。 なぜなら、WSETは 過去問の公開や口外が禁止されており 、実際に出題された問題や、試験問題のサンプルを公開しているウェブサイトや書籍がほとんどなかった ためです。 しかし、世界的なプログラムであるWSETの良いところは、世界中に情報ソースが散らばっているところ! その数は多くはありませんが、英語で検索をするといくつか本試験問題を把握する上で参考となるサイトが見つかります。 私が見つけて参考にしたウェブサイトのいくつかを紹介したいと思います。 <WSETレベル3の試験問題を知るために参考にしたウェブサイト> https://www.dallaswinecenter.com/short-answer-question-mosel/ *記述式試験サンプル問題です。 http://www.phillywine.com/wset/advanced/acexam.html *記述式試験サンプル問題です。 https://fromgrapestowine.wordpress.com/2013/11/19/wine-spirits-education-trust-wset-level-3-model-de-examen/ *記述式試験サンプル問題です。 https://www.thirtyfifty.co.uk/WSET-L3-Exam-Questions.asp *email登録で一部「Viticulture (Vine-growing) Questions」が無料で参照できます。 *有料登録をすると記述式、選択式の問題がかなり入手できるのでおすすめです。 https://www.finevintageltd.com/contentmanager/file/PRACTICE%20QUESTIONS/...

ワインの原産地統制名称 - AOC、AOP、PDOのざっくり整理

私がワインの勉強を始めた時に最初に行き詰ってしまったのが、AOC, AOP, PDO, PGI, IGTなどの3文字アルファベットです。 フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ドイツ... と勉強を進めるにつれて、次々とあらたなアルファベットと、ピラミッドが登場します。 必死でそれらを丸暗記してワインエキスパートの試験に臨んだのですが、結局はあまり深い理解が得られないままに、試験の合格と共にワインの勉強を終えてしまいました。 当時は完全に、覚えるべき3文字アルファベットの多さに圧倒されて、その森の中に迷い込んでしまっていました。 今、改めて振り返ってみて、3文字アルファベット(つまり、ワイン法の品質分類)は、すごく平たく言うとこういうことだったのではないかと思っています。その理解を、下に簡単にまとめてみました。個人的な理解なので、完全に正しいかどうかはわかりません。 以下、スライドの説明です。 【ワインの分類】について すごく大雑把に言うと、ワインには「産地名が保護されているワイン」と、そうでないワインがあります。 「産地名が保護されているワイン」とは、例えば、「ブルゴーニュ」ワイン。ブルゴーニュのブドウを使ってなかったり、ブルゴーニュで造られてないワインには、ボトルのラベルに「ブルゴーニュ」という名前を使ってはいけないということです。 さらに、EU圏内の場合、「産地名が保護されているワイン」の中には「産地名が厳しく保護されているワイン」があります。 「厳しく」というのは、ブドウ品種や、ブドウの収穫量、醸造方法、熟成期間などに関する基準を指します。つまり、決められた作り方をしたワインでなければ、その産地名をラベルに表記してはいけないということです。 例えば、シャンパーニュ地方のブドウを使い、そこで醸造をしたワインであっても、シャンパーニュ製法で作られていなければ、「シャンパーニュ」とラベルに表記ができないということです。 【ワイン分類の名称】について 上で説明をしたワインのうち、産地名が保護されているワインは、それぞれの分類(品質分類)の名前がついています。 厳しく産地名が保護されたワイン=PDO 産地名が保護されたワイン=PGI EU圏外で産地が保護されたワイン=GI 【EU各国での名称の違い】について PDOやPGIという名称は、EUが近年(2008年)新た...