ドイツワインは、ワイン法によって大きく 4つ に分けられています。 原産地名称保護のある「 プレディカーツヴァイン(Prädikatswein) 」と「 クヴァリテーツヴァイン(Qualitätswein) 」、地理的表示保護のある「 ラントヴァイン(Landwein) 」、そして、地理的表示のない「 ドイッチャー・ヴァイン(Deutscher Wein) 」の4つです。 図で表すと次のようなピラミッドで表されます。ドイツワインを学ぶ場合、これはおなじみのチャートです。 これは基本的には、 品質分類の順位 を表したものだと思います。つまり、そのワインの 生産における制約の厳しさ を、上から順に並べたものだと思います。 例えば、最上位のプレディカーツヴァインの製造には、ブドウの栽培地、収穫方法、ブドウ中の最低糖度、ラベル表示などに厳しいルールが設けられています。しかし一方で、最下位のドイッチャー・ヴァインにおいてはドイツ国内であれば特にブドウ栽培地の制約はなく、その他についてもそれほど厳しい制約はありません。 そして、このような特徴を持つ品質分類のピラミッドにおいて、私は長らく勘違いをしていました。 それは、 「基準が厳しい=生産量が少ない」という思い込み です。そのため、生産量は階層が下のものの方が多く、上位になるにつれて減っていくと思っていました。 ちょうどピラミッドのチャートが表すように、下位の ドイッチャー・ヴァインやラントヴァインがドイツワインの生産量を下支えしている のだと思い込んでいました。 しかし、実際の生産量は、その思い込みと異なりました。 生産量を考慮すると、ピラミッドは概ね次のような形となります。 ドイツワインの生産量を下支えしていると思われていた「 ドイッチャー・ヴァイン 」と「 ラントヴァイン 」を合わせた生産量は実は全体の4%ほどしかないそうです。 そして、残りの生産の2/3ほどを「 クヴァリテーツヴァイン 」が占めており、残りの1/3ほどが「 プレディカーツヴァイン 」です。 実は、日常的にもっとも多く飲用されているワインは、このチャートが表すように「 クヴァリテーツヴァイン 」なのだとか。 今回の件は、チャートによる視覚的効果によって、事実を誤認してしまう典型的な例の1つだと思いました。 このような品質基準のピラミッドチャート...
ワインの素人だった私が、ワインスクールに通って6ヵ月間(半年)しっかり勉強をして、J.S.A.ワインエキスパート試験を突破することができました。
学習を振り返って感じたことは、
素人でも6ヵ月集中すれば十分受かるし、それ以上かけるのはもったいない
ということでした。
大手ワインスクールの対策講座は、多くが4月~9月の6か月間に渡って開催されます。これはおそらく、この6か月間しっかり勉強をしさえすれば誰でも十分合格ができるレベルに達するという裏返しだと思います。そして、この対策講座に参加をした多くの受講生が合格をしていきます。
もっともおすすめできないことは、中途半端な勉強をして合格を逃してしまうことです。これは、時間、お金、労力、機会をもっとも浪費してしまうパターンです。
ソムリエ・ワインエキスパートの試験は毎年秋に実施されますが、1度合格を逃してしまうと、再受験には1年間待たなければなりません。1年もの間、期間が空くと、折角学んだ知識はどんどん頭から抜けていくし、テイスティング能力もどんどん落ちていってしまいます。
これを維持するために、改めて勉強をし直したり、テイスティングの練習にお金をかけたりとしなければならないわけですが、これは本当に時間や、お金、労力の無駄遣いだと思います。
さらにワインの学習を続ける場合には、これは大きな機会損失でもあると思います。例えば、ソムリエ・ワインエキスパート資格には、上位資格として、ソムリエ・ワインエキスパート・エクセレンス資格があります。これらの受験資格には、ソムリエ・ワインエキスパート資格を取得してからそれぞれ、3年以上、5年以上経過していることという条件があります。これらの上位資格の取得を考えた場合、一度受験に失敗するたびに、これらの試験に挑戦できるタイミングが1年ごと先延ばしになってしまうという大きな機会損失になってしまいます。
これ以外にもワインの資格や勉強の機会はさまざまあるので、ソムリエ・ワインエキスパート試験ばかりに時間を取られてしまうのは、本当に多くの機会を逃してしまうと思います。
6ヵ月(半年)「全集中」勉強法のすすめ
JSAワインエキスパート試験に合格するためには、「とにかく6か月間だけ労力とお金を集中させて一発合格すること」が最もコスパが良いのではないかと思います。
たしかに、独学で勉強をすれば、ワインスクールに通うよりもかなり費用を抑えることができるかもしれません。しかし、一発合格を逃してしまって資格取得までに2~3年を要してしまった場合、その期間の合計費用はもしかしたらワインスクールに通った方が安く済むかもしれません。
さらにその期間に費やした労力や、その期間の機会損失までを考えると、一発合格できないデメリットはかなり大きいと思います。
必ずしもワインスクールに通うことが必要だとは思いません。しかし、一発合格を必ず達成すべき目標として定めて、6ヵ月間だけはそのために必要な投資をすることが重要だと思います。
そうすれば、たとえワインの素人でもワインエキスパート試験には十分合格ができると思います。
この記事では、私がワインエキスパート試験を受けて感じた、勉強方法のコツや私が実際に行った勉強方法を、1次試験(CBT試験)対策を中心に紹介したいと思います。
ソムリエ・ワインエキスパート1次試験突破のコツ
JSAソムリエ・ワインエキスパートの1次試験の特徴は、試験問題は全て『日本ソムリエ協会教本』に書かれていることから出題されるということです。試験申し込みをすることで、冊子形式の教本を入手することができますが、こちらのサイトでは電子版の購入も可能です→ https://ec2.sommelier.jp/products/list.php?category_id=7
そのため、もし教本を丸暗記することができれば、1次試験には余裕で突破できるのですが、それほど単純な話ではありません。教本は600ページ以上もあり、A4版で比較的細かい文字で書かれているのです!
そこで、この膨大な量を暗記するためには正しい戦略が必要です。その戦略は、「暗記すべき範囲とその優先順位を決める」ことと、「暗記すべき範囲を効率的に暗記していく」ことの2つに尽きると思います。
前者に関しては、初めてワインを学ぶ場合は自分一人でやっていくのは非常に大変な作業です。下のようなワインスクールが出版している参考書をもとに勉強をすることもできるのですが、効率的に確実に、一発での合格を目指すのであれば、私はワインスクールに行くことをお勧めします。
(参考記事:JSAワインエキスパート試験対策のためにワインスクールに行くべきか?それとも独学?)
(参考記事:忙しい社会人がワインエキスパートを目指す場合におすすめのワインスクール)
(参考記事:ワインスクールに通うメリット・デメリット)
「暗記すべき範囲とその優先順位を決める」ことができたら、1次試験突破のためにすることは、ひたすら頭に情報を詰め込む作業です。
まさにペンキ塗りのような作業で、ローラーを動かしただけ記憶は頭の中に塗る固められていきます。
このような単純作業の対策は、「勉強計画を立てて、それを定例作業としてひたすら繰り返す!」これに尽きます。
さらに勉強をする時間帯と場所も決めてしまった方が楽ちんです。
私は毎朝2時間程度の時間をとって下のような作業を日常生活に組み込みました。
サラリーマンなので、残業に左右されないのが朝に勉強をやるメリットです。
最初は大変と思えることでも、毎週繰り返していると半年くらいは簡単に続けられてしまいます。
この2つができれば、誰でも試験に受かってしまうというのが持論です。
1次試験合格のための勉強法
私は3月~7月の間にワインスクールに通いましたが、その間に行った勉強方法を<受講期間の勉強法>として、試験直前の勉強法を<テスト準備期間の勉強法>としてまとめました。
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<受講期間の勉強法 (3月~7月)>
ワインスクールの授業が毎週あるので一週間をかけて①~④までを定例作業として繰り返します:
① ワインスクールできっちり受講
[point1] 予習をしてから受講。例えば、暗記の多い部分は事前に暗記(ボルドーAOC、ブルゴーニュAOC、イタリアDOCGなど)。
[point2] 講師のコメントを逐一メモ。(授業で使った書籍↓)
② 授業まとめノートの作成し暗記ポイントを整理
[point1] 様々な資料を見なくてもいいように、全ての情報をまとめノートに集約。電子ファイルで作るのが便利です。
[point2] 覚えにくい部分は語呂を引用したり、独自の語呂を作る (おすすめ書籍↓)
[point3] 地図をベースに産地やワインの情報を整理。
[point4] 視覚的に覚えられるようにできるだけ画像を入れ込む。
[point5] ワインツアーを計画する気分でノートを作ると楽しめます。
(参考記事:一発合格!ワインエキスパート、WSETの暗記のコツ)
(語呂合わせの例:アルコール発酵にまつわる2人の重要人物と語呂合わせ)
(語呂合わせの例:EUの甘味(残糖量)を表すラベル表示用語とその覚え方)
③ 練習問題を解いて記憶の定着の確認
[point1] ワインスクールから与えられた練習問題を解く
[point2] 独自に購入をした市販の練習問題を解く (おすすめ書籍↓)
④ ワインスクールの小テストで実力の確認(毎週)
[point] 毎回の小テストで満点を目指します。小テストで良い点を取ることがかなりのモチベーション維持になりました。実際、ほとんど毎回満点でした。
(関連記事:ワイン資格(JSA/WSET)の取得に役立ったモチベーション)
<テスト準備期間の勉強法 (7月~8月)>
一次試験受験までに❶~❸を行います:
❶ まとめノートの見直しと、更新
[point] 国や地域をまたぐテーマがある場合は、新たなまとめノートを作成(年号、シノニム、統計、気候区分、各地の発泡ワインなど)
(関連記事:ソムリエ・ワインエキスパート試験で苦労をした年号の覚え方)
❷ 問題集による弱点の補強と記憶の定着
[point] 過去問、市販の問題、スクール提供問題などを繰り返し解く。(新たに下のような書籍も購入しました↓)
❸ スクールで出回る「裏」資料の入手と、それを使った直前対策
[point] あまり細かくは言えませんが、独学では手に入らないような情報がワインスクールに通っていることで手に入ります。「裏」というのは、スクールから公式に提供されるわけではなく、講師や受講生から提供される資料だからです。当時の私の実力では、8割からよくても9割程度の正解率までしかとれなかったと思いますが、この資料のおかげでほとんど満点を取ることができました。一発合格を目指すのであれば、ワインスクールに通った方がよいと思う1つの理由は、ワインスクールには大きな情報収集能力があることです。また、ワインスクールに通っても友人がいないと資料は手に入らない可能性もあるので、できるだけ多く友人を作っておいた方がよいかもしれません。
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このやり方を実践したおかげで、7月にワインスクールの全ての講義が終わったときには、そのまま1次試験を受けても合格ができるレベルに達することができました。(念のための保険で8月もみっちり勉強しましたおかげでさらに正答率は伸びました!)
これに所要した勉強時間はおよそ300時間でした。2時間(1日当たり) x 30日(1か月) x 5か月(3~7月) = 300時間 という計算です。
反省点としては、もう少し予習にしっかり時間を使えばよかったと思いました。私の担当の講師は、講義が終わって4日間は復習、残りの2日間は予習に使うのがおすすめと言っていました。
1次試験(CBT試験)受験にあたっての注意事項
最後におまけに1次試験に当たっての注意事項です。
私の思う一番の注意事項は、1次試験の予約です。
各会場で受け入れることのできる受験生のキャパシティーはあらかじめ決まっているために、多くの人が受験をしたい日程や会場はすぐに予約が埋まってしまいます。
私の時は、8月後半の土日の予約がすぐに埋まってしまいました。
1次試験の予約は、予覚開始期間が始まったらすぐに希望の日時と場所をおさえてしまうのがおすすめです。
会場の手際やCBTの仕組みはとても良い印象で、他の受講者の音が気にならないように防音用の耳当てが用意されていたり、回答はマウス操作だけで完了できたり、見直しのしやすいように問題に印をつけてその問題に簡単に飛べたりと、大きなストレスを感じるようなことはありませんでした。
また、しっかり勉強をしてのぞめば時間はかなりあまる印象でしたので、回答を急ぐ必要は全くありませんでした。そのため、余った時間で自己採点用の問題暗記に時間をかけることができました。
2次試験(テイスティング試験)対策
2次試験対策については下の参考記事で紹介をしています:
(参考記事:テイスティング下手のワインエキスパート2次試験対策)