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リースリングの味わいは産地によってどう変わるのか?ドイツ、フランス、オーストラリア産のワインを比較・考察

 今回は、リースリングワインの産地による味わいの違いを考察してみようと思います。 リースリングの有名産地を3か国あげるとしたら、次の3つがあがると思います。 ①ドイツ ②フランス(特に、アルザス) ③オーストラリア(特に、イーデンヴァレー、クレアヴァレー) ドイツ リースリングは、ワイン用ブドウとしてドイツで最も栽培面積の多い品種です。 ドイツ国内のリースリングの産地としては、モーゼルやラインガウなどいくつかがありますが、ワインのスタイルの違いは、産地による影響よりも、ワインのカテゴリ(品質分類)の違いによって大きくあらわれるようです。 スタイルの異なるワインのカテゴリとしては、辛口ワインが多く造られる「 クヴァリテーツヴァイン(Quälitatswein) 」と、多くの甘口ワインが造られる「 プレディカーツヴァイン(Prädikatswein) 」との2つがあげられます。 クヴァリテーツヴァイン は最も生産量の多いワインであり、その多くは、辛口で、ライトボディ、かつ、フルーティーな早飲みワインです。ドイツのワイン産地は、世界のワイン産地の北限に位置しており、ブドウの成熟度はそれほど高くならないために、このようなスタイルになるのだと考えられます。 より成熟度の高いブドウから造られる一部の最高品質の辛口ワインもこのクヴァリテーツヴァインに含まれていますが、その数はそれほど多くありません。そのため、 クヴァリテーツヴァイン は主に次のような特徴をもっていると考察されます: クヴァリテーツヴァインの特徴 【外観】 ・淡いレモン色 【香り】 ・弱い~中程度の香りの強さ ・フルーティーでフレッシュな香り ・ 緑色系果実(青リンゴなど)~柑橘類(レモン、ライムなど) ・白い花の香り 【風味】 ・辛口~オフドライ ・高い酸味 ・低~中程度のアルコール度 ・ライトボディ 【品質・価格】 ・良いワイン ・低価格~中程度の価格帯 ちなみに、先ほど言及したGG(Grosses Gewächs)などの最高品質の辛口ワインの場合には、ブドウの成熟度が高まるために、香りの強さが高くなり、香りには有核果実やトロピカルフルーツの香りが現れ、ボディも中程度以上になることが予測されます。それでも、冷涼地域のワインの特徴である香りの繊細さやボディの軽さ、酸味の高さはしっかりと感じられる...

ワインエキスパート試験は集中力が重要!6ヵ月「全集中」勉強法



ワインの素人だった私が、ワインスクールに通って6ヵ月間(半年)しっかり勉強をして、J.S.A.ワインエキスパート試験を突破することができました。


学習を振り返って感じたことは、

素人でも6ヵ月集中すれば十分受かるし、それ以上かけるのはもったいない

ということでした。


大手ワインスクールの対策講座は、多くが4月~9月の6か月間に渡って開催されます。これはおそらく、この6か月間しっかり勉強をしさえすれば誰でも十分合格ができるレベルに達するという裏返しだと思います。そして、この対策講座に参加をした多くの受講生が合格をしていきます。

もっともおすすめできないことは、中途半端な勉強をして合格を逃してしまうことです。これは、時間、お金、労力、機会をもっとも浪費してしまうパターンです。

ソムリエ・ワインエキスパートの試験は毎年秋に実施されますが、1度合格を逃してしまうと、再受験には1年間待たなければなりません。1年もの間、期間が空くと、折角学んだ知識はどんどん頭から抜けていくし、テイスティング能力もどんどん落ちていってしまいます。

これを維持するために、改めて勉強をし直したり、テイスティングの練習にお金をかけたりとしなければならないわけですが、これは本当に時間や、お金、労力の無駄遣いだと思います。

さらにワインの学習を続ける場合には、これは大きな機会損失でもあると思います。例えば、ソムリエ・ワインエキスパート資格には、上位資格として、ソムリエ・ワインエキスパート・エクセレンス資格があります。これらの受験資格には、ソムリエ・ワインエキスパート資格を取得してからそれぞれ、3年以上、5年以上経過していることという条件があります。これらの上位資格の取得を考えた場合、一度受験に失敗するたびに、これらの試験に挑戦できるタイミングが1年ごと先延ばしになってしまうという大きな機会損失になってしまいます。

これ以外にもワインの資格や勉強の機会はさまざまあるので、ソムリエ・ワインエキスパート試験ばかりに時間を取られてしまうのは、本当に多くの機会を逃してしまうと思います。





6ヵ月(半年)「全集中」勉強法のすすめ


JSAワインエキスパート試験に合格するためには、「とにかく6か月間だけ労力とお金を集中させて一発合格すること」が最もコスパが良いのではないかと思います。

たしかに、独学で勉強をすれば、ワインスクールに通うよりもかなり費用を抑えることができるかもしれません。しかし、一発合格を逃してしまって資格取得までに2~3年を要してしまった場合、その期間の合計費用はもしかしたらワインスクールに通った方が安く済むかもしれません。

さらにその期間に費やした労力や、その期間の機会損失までを考えると、一発合格できないデメリットはかなり大きいと思います。

必ずしもワインスクールに通うことが必要だとは思いません。しかし、一発合格を必ず達成すべき目標として定めて、6ヵ月間だけはそのために必要な投資をすることが重要だと思います。

そうすれば、たとえワインの素人でもワインエキスパート試験には十分合格ができると思います。

この記事では、私がワインエキスパート試験を受けて感じた、勉強方法のコツや私が実際に行った勉強方法を、1次試験(CBT試験)対策を中心に紹介したいと思います。








ソムリエ・ワインエキスパート1次試験突破のコツ


JSAソムリエ・ワインエキスパートの1次試験の特徴は、試験問題は全て『日本ソムリエ協会教本』に書かれていることから出題されるということです。試験申し込みをすることで、冊子形式の教本を入手することができますが、こちらのサイトでは電子版の購入も可能です→ https://ec2.sommelier.jp/products/list.php?category_id=7

そのため、もし教本を丸暗記することができれば、1次試験には余裕で突破できるのですが、それほど単純な話ではありません。教本は600ページ以上もあり、A4版で比較的細かい文字で書かれているのです!

そこで、この膨大な量を暗記するためには正しい戦略が必要です。その戦略は、「暗記すべき範囲とその優先順位を決める」ことと、「暗記すべき範囲を効率的に暗記していく」ことの2つに尽きると思います。

前者に関しては、初めてワインを学ぶ場合は自分一人でやっていくのは非常に大変な作業です。下のようなワインスクールが出版している参考書をもとに勉強をすることもできるのですが、効率的に確実に、一発での合格を目指すのであれば、私はワインスクールに行くことをお勧めします。 

(参考記事:JSAワインエキスパート試験対策のためにワインスクールに行くべきか?それとも独学?

(参考記事:忙しい社会人がワインエキスパートを目指す場合におすすめのワインスクール

(参考記事:ワインスクールに通うメリット・デメリット




暗記すべき範囲とその優先順位を決める」ことができたら、1次試験突破のためにすることは、ひたすら頭に情報を詰め込む作業です。

まさにペンキ塗りのような作業で、ローラーを動かしただけ記憶は頭の中に塗る固められていきます。



このような単純作業の対策は、「勉強計画を立てて、それを定例作業としてひたすら繰り返す!」これに尽きます。

さらに勉強をする時間帯と場所も決めてしまった方が楽ちんです。

私は毎朝2時間程度の時間をとって下のような作業を日常生活に組み込みました。

サラリーマンなので、残業に左右されないのが朝に勉強をやるメリットです。

最初は大変と思えることでも、毎週繰り返していると半年くらいは簡単に続けられてしまいます。

この2つができれば、誰でも試験に受かってしまうというのが持論です。






1次試験合格のための勉強法


私は3月~7月の間にワインスクールに通いましたが、その間に行った勉強方法を<受講期間の勉強法>として、試験直前の勉強法を<テスト準備期間の勉強法>としてまとめました。

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<受講期間の勉強法 (3月~7月)>


ワインスクールの授業が毎週あるので一週間をかけて①~④までを定例作業として繰り返します:


① ワインスクールできっちり受講


[point1] 予習をしてから受講。例えば、暗記の多い部分は事前に暗記(ボルドーAOC、ブルゴーニュAOC、イタリアDOCGなど)。

[point2] 講師のコメントを逐一メモ。(授業で使った書籍↓)








② 授業まとめノートの作成し暗記ポイントを整理



[point1] 様々な資料を見なくてもいいように、全ての情報をまとめノートに集約。電子ファイルで作るのが便利です。

[point2] 覚えにくい部分は語呂を引用したり、独自の語呂を作る (おすすめ書籍↓)



[point3] 地図をベースに産地やワインの情報を整理。

[point4] 視覚的に覚えられるようにできるだけ画像を入れ込む。

[point5] ワインツアーを計画する気分でノートを作ると楽しめます。

(参考記事:一発合格!ワインエキスパート、WSETの暗記のコツ

(語呂合わせの例:アルコール発酵にまつわる2人の重要人物と語呂合わせ

(語呂合わせの例:EUの甘味(残糖量)を表すラベル表示用語とその覚え方




③ 練習問題を解いて記憶の定着の確認


[point1] ワインスクールから与えられた練習問題を解く

[point2] 独自に購入をした市販の練習問題を解く (おすすめ書籍↓)






④ ワインスクールの小テストで実力の確認(毎週)


[point] 毎回の小テストで満点を目指します。小テストで良い点を取ることがかなりのモチベーション維持になりました。実際、ほとんど毎回満点でした。

(関連記事:ワイン資格(JSA/WSET)の取得に役立ったモチベーション





<テスト準備期間の勉強法 (7月~8月)>


一次試験受験までに❶~❸を行います:




❶ まとめノートの見直しと、更新



[point] 国や地域をまたぐテーマがある場合は、新たなまとめノートを作成(年号、シノニム、統計、気候区分、各地の発泡ワインなど)

(関連記事:ソムリエ・ワインエキスパート試験で苦労をした年号の覚え方




❷ 問題集による弱点の補強と記憶の定着


[point] 過去問、市販の問題、スクール提供問題などを繰り返し解く。(新たに下のような書籍も購入しました↓)






❸ スクールで出回る「裏」資料の入手と、それを使った直前対策


[point] あまり細かくは言えませんが、独学では手に入らないような情報がワインスクールに通っていることで手に入ります。「裏」というのは、スクールから公式に提供されるわけではなく、講師や受講生から提供される資料だからです。当時の私の実力では、8割からよくても9割程度の正解率までしかとれなかったと思いますが、この資料のおかげでほとんど満点を取ることができました。一発合格を目指すのであれば、ワインスクールに通った方がよいと思う1つの理由は、ワインスクールには大きな情報収集能力があることです。また、ワインスクールに通っても友人がいないと資料は手に入らない可能性もあるので、できるだけ多く友人を作っておいた方がよいかもしれません。


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このやり方を実践したおかげで、7月にワインスクールの全ての講義が終わったときには、そのまま1次試験を受けても合格ができるレベルに達することができました。(念のための保険で8月もみっちり勉強しましたおかげでさらに正答率は伸びました!)

これに所要した勉強時間はおよそ300時間でした。2時間(1日当たり) x 30日(1か月) x 5か月(3~7月) = 300時間 という計算です。

反省点としては、もう少し予習にしっかり時間を使えばよかったと思いました。私の担当の講師は、講義が終わって4日間は復習、残りの2日間は予習に使うのがおすすめと言っていました。






1次試験(CBT試験)受験にあたっての注意事項



最後におまけに1次試験に当たっての注意事項です。

私の思う一番の注意事項は、1次試験の予約です。

各会場で受け入れることのできる受験生のキャパシティーはあらかじめ決まっているために、多くの人が受験をしたい日程や会場はすぐに予約が埋まってしまいます

私の時は、8月後半の土日の予約がすぐに埋まってしまいました。

1次試験の予約は、予覚開始期間が始まったらすぐに希望の日時と場所をおさえてしまうのがおすすめです。


会場の手際やCBTの仕組みはとても良い印象で、他の受講者の音が気にならないように防音用の耳当てが用意されていたり、回答はマウス操作だけで完了できたり、見直しのしやすいように問題に印をつけてその問題に簡単に飛べたりと、大きなストレスを感じるようなことはありませんでした。

また、しっかり勉強をしてのぞめば時間はかなりあまる印象でしたので、回答を急ぐ必要は全くありませんでした。そのため、余った時間で自己採点用の問題暗記に時間をかけることができました。






2次試験(テイスティング試験)対策



2次試験対策については下の参考記事で紹介をしています:

(参考記事:テイスティング下手のワインエキスパート2次試験対策


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WSETで納得!JSAで疑問だったギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い

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ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリットの整理

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地図を使ったトスカーナのDOCGワインの暗記法

イタリアのDOCG暗記は大変な作業ですが、トスカーナ州はその中でも暗記が大変な地域の1つです。 その理由は、この州が、ピエモンテ州、ヴェネト州に次いで、3番目に多いDOCGの数を抱えているためです。 私がJSAソムリエ・ワインエキスパートを受験した時は、トスカーナ全体で11のDOCGがありました。JSA試験の場合、トスカーナのDOCGは、大体の位置を含めて、全て暗記しておくことがおすすめです。(トスカーナ、ヴェネト、ピエモンテのDOCGは頻出です) 一見大変なトスカーナ州のDOCG暗記作業ですが、暗記をする際は地域を3つに分けるのがおすすめです。 3つの地域は、 「北部のアペニン山脈の麓の丘陵地帯」 、 「南部の温暖な気候の丘陵と渓谷」 、そして、 「沿岸部の平野」 です。 各地域のDOCG 【北部のアペニン山脈の麓の丘陵地帯】(DOCG4つ) この地域には、ピサ市、フィレンツェ、シエナの3つの都市に広がる広大な キアンティ(Chianti)DOCG の生産地域が広がります。 キアンティの中心部のより標高の高い地域には、 キアンティ・クラシコ(Chianti Classico)DOCG が存在します。ここでは、ブドウの成熟が遅くなり酸味が増してその結果、より質の高いワインが生まれます。気をつけなければならないのは、キアンティ・クラシコDOCGは、キアンティDOCGに含まれる小地区ではなく、独立したDOCGであるということです。 キアンティ・クラシコのDOCGの西側には、 ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ(Vernaccia di San Gimignano)DOCG が位置します。これはトスカーナで唯一白ワインを生産できるDOCGです。 さらに、この地域の北部には、 カルミニャーノ(Carmignano)DOCG が位置します。これは、1716年にトスカーナ大公コジモ3世によって、世界最初の原産地保護の例として生産地域の境界線が引かれた4つのワイン産地の1つです。他の3つのワイン産地は、キアンティ、ポミーノ(Pomino)、ヴァル・ダルノ・ディ・ソプラ(Val d'Arno di Sopra)です。 この地域のDOCGは、白ワインのヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノを除いて、全て サンジョベーゼ(Sangiovese) 主体の赤ワインです。 【...

パロ・コルタド・シェリーとは?アモンティリャードとオロロソとの製法の違いを調べてみた

JSA試験、WSET試験を通して酒精強化ワインであるシェリー(Sherry)を学んできましたが、ずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、「 パロ・コルタド・シェリーとは何なのか? 」です。 シェリーとは、スペイン・アンダルシア州カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺地域で生産される酒精強化ワインのことで、ポート・ワイン(ポルトガル)、マデイラ・ワイン(ポルトガル)とともに、著名な酒精強化ワインと言われています。 シェリーには、フィノ(Fino)/マンサ二ーリャ(Manzanilla)、オロロソ(Oloroso)、アモンティリャード(Almontillado)、 パロ・コルタド(Palo Cortado) 、ペドロヒメネス(Pedro Ximenez)など様々な種類があります。 しかし、JSA、WSETどちらのテキストにおいても、 パロ・コルタド に関する記述 はとても少なく、製法に関する記述もなく、漠然とその特徴が書かれているだけでした。 その特徴は、 ・希少であること ・アモンティリャード(Amontillado)の香りを持つが、味はオロロソ(Oloroso)のボディとこくを持つ という2点だけです。 ずっと疑問に思っていたことを解決すべく、製法を中心にパロ・コルタドについて調べてみました。 参考にしたのは、次のサイトです: https://www.sherrynotes.com/sherry-types/palo-cortado/ https://www.sherrynotes.com/2015/background/palo-cortado-mystery/ まずは、パロ・コルタドの発祥から。パロ・コルタドは、もともとフィノとしては不適合として除外された樽からできたそうです。 <パロ・コルタドの発祥> ------------------------------------------------------------------------ ・パロ・コルタドは、もともとフィノ(Fino)の製造から偶然生まれたワインと言われている。 ・フィノシェリーでは、樽での熟成中にフロールと呼ばれる産膜酵母が発生し、フロールのもとで熟成される。しかし、フィノ樽の中には...

良いワインの条件とは?WSETのBLIC

ワインの 「品質レベル」 を学ぶことは、WSETのカリキュラムに従ってワインを学ぶ醍醐味の1つだと思います。 「品質レベル」 とは、その ワインの品質の高さ です。つまり、良いワインなのか、そうではないワインなのかということです。 WSETには「品質レベル」を評価する考え方として、「BLIC」という方法があるそうです。 BLICとは、Balance(バランス), Length(余韻), Intensity(凝縮度), Complexity(複雑さ)の頭文字です。 一般に、 これら4つの評価基準を全て満たしているワインは「素晴らしい(outstanding)」ワイン、3つを満たすものは「非常に良い(very good)」ワイン、2つを満たすものは「良い(good)」ワイン、1つしか満たさないものは「妥当な(acceptable)」ワインと言われるようです。そして、1つも満たさないものは「悪い(poor)」ワインです。 (※これは1つのガイドラインであって、必ずしもこの点数だけで厳密にはこの点数だけでワインの評価はできないそうです) 私もWSETを通してこの考え方を学びましたが、「なるほど!便利!わかりやすい!」と思いました。 しかし、実際にそれを実践しようとするとなかなかわかりにくかった部分もあったので、個人的な感想を紹介したいと思います。 Balance まず1つめは、4つの評価基準のうち、もっとも基本的な基準の 「バランス」 です。この「バランス」を満たしていない場合、ほとんどのワインは「悪い」ワインとみなされてしまいます。 バランスとは、例えば、次のようなポイントで評価がされるようです。 ・(果実味+糖分) vs (酸味+タンニン)はバランスがとれているか? ・甘味、酸味、タンニン、アルコールのいずれかが突出していないか? ・オークの香りが突出していないか? WSETをやり始めたころは、何が「正しいバランスなのか?」を判断することがとても大変でした。それはWSETを始めるまでに、あまりワインの品質について考えることがなかったからです。 しかし、いくつもテイスティングを重ねて、良いワインと言われるものをいくつか味わって、なんとなく「バランス」というものがわかってきたような気がしました。 多くのワインがバランスを満たしていると思うのですが、個人的には... ・寒い地...

WSETレベル3とJSAソムリエ・ワインエキスパート資格の違い、どちらがおすすめ?

ある程度、体系的にワインの事を学びたいと思ったらワインの資格取得はおすすめです。 資格を取得するためには決められた範囲を満遍なく学ばなければならないために、試験勉強を終えた頃にはしっかりと 体系立ったワインの知識 が頭の中に残ります。 メジャーなワイン資格といえば何と言っても、日本ソムリエ協会(JSA)の運営する ソムリエ・ワインエキスパート試験 。これはおそらく日本でもっとも有名なワイン資格です。大雑把に言うと、ソムリエ試験はソムリエ向け、ワインエキスパートは私のようなそれ以外の受験者向けです。 そしてもう一つ、世界的にメジャーなワイン資格といえば、 WSET 。この資格はレベル1〜4までありますが、JSAソムリエ・ワインエキスパート資格と同等レベルと言われるのはWSETレベル3です。WSETレベル3は、レベル2を取得していなくても取得が可能ですが、レベル4を取得するにはレベル3の取得が必須です。 私はこの「JSAワインエキスパート」と「WSETレベル3」の両方を受験しましたが、実際に経験をしてみて様々な違いを感じました。 違いは様々ありますが、一番違いを感じたのは学習内容。 ・JSAワインエキスパート=膨大な情報の詰め込み ・WSET=なぜ?なぜ?なぜ?を突き詰める こんなイメージです。 JSAワインエキスパートではとにかくワインの名前や、世界の地理、 ワインの色、品種、格付けなど覚えることが盛りだくさんです。 代表的な例は、ボルドーメドックの格付け1級〜5級を全て覚えなければならないことです。 一方、WSETでは覚えることは各地、各国の代表的な産地やワインくらい。 その反面、 なぜそこでそのようなワインが作られていて、 なぜそのようなブドウが作られているのか? なぜ、そのようなブドウ栽培方法がとられているのか? など、ひたすら理由を追求して、試験ではそれを文章で説明しなければなりません。 この2つは、 ・「知識の幅」 (JSA) ・「知識の深さ」 (WSET) というそれぞれの強みがあるために、 両方学ぶ事で一段とワインへの理解が深まります。 私は、JSAワインエキスパートを合格した後にWSETを受講したのですが、 JSAで詰め込みで覚...

ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは?

ブドウ樹は、その土地に合わせて様々な形をしています。このブドウ樹の形は「仕立て」と呼ばれ、休眠期の剪定によって整えられます。 例えば、ボルドーやブルゴーニュでは針金と柱を用いて枝を地面と垂直方向に伸ばす「垣根仕立て」が多く採用されています。 一方で日本では、ブドウや葉を棚の天面に広げる棚仕立て(Pergola ペルゴラ)が多く採用されています。 このような仕立てや選定は、気温、日照、水、土壌の栄養分などのブドウ樹が必要とする要素や、ブドウ畑の機械の使用などを考慮して、そのブドウ畑に最適なものが選ばれます。 WSETレベル3では、この「仕立て」、「剪定」について比較的しっかりと学ぶのですが、ブドウ畑に馴染みのない私にとっては少し理解が難しい部分でした。 特に私が混乱してしまったのは、「仕立て(training)」と「剪定(pruning)」の違いでした。両者はお互いに深い関係があり、テキストの説明だけでは直感的にわかりにくかったので、個人的に図などを利用してまとめてみました。 (関連記事:t rellis の意味 | 英語ワイン書籍に出てくる英単語 ) <仕立てと剪定の違い> WSETテキストによれば「仕立て」と「剪定」は次のように説明されています。 「ブドウ樹の整枝・仕立てとは一般に株の形状のことをいい、大きく分けて、株仕立てとコルドン仕立ての二つに分類できる。」(株…ブドウ樹で一年以上経っている木質部のこと) 「剪定とは、冬または生育期間中に、望ましくない葉や長梢、株を除去することである。剪定によって樹の形が決まり、大きさが制限される。」 つまり、仕立てとは「ブドウ樹の形」を意味し、剪定とはその「ブドウ樹の形をつくるための作業」ということになります。 <仕立てと剪定の種類> 「仕立て」は株(一年以上経っている木質部)の形によって大きく「株仕立て(head training)」と「コルドン仕立て(cordon training)」の二つに分類ができるようです。 「株仕立て」は株の部分が比較的小さいのに対して、「コルドン仕立て」はコルドンと呼ばれる腕枝があるのが特徴です。コルドンは通常1~2本ですが、4本以上のコルドンを持つ「大木仕立て(big vine)」と呼ばれるものもあるようです。 ...

WSETレベル3で一発合格できたテイスティング対策

WSETレベル3 の試験には、筆記試験に加えて、 テースティング試験 が含まれます。 WSETのテースティングでは、 SATという名のテイスティング・ツール を用いて、ワインの描写と品質・飲み頃に関する評価を行います。本試験においても、このSATに則って、出題される2種類のワイン(通常、赤ワイン1種と白ワイン1種)についての評価を回答用紙に記述します。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング回答のルール ) 一般的に、 WSETレベル3のテースティング試験は筆記試験に比べて合格をしやすい と言われています。しかしそれでも、試験をパスするためにはある程度の学習と練習が必要だと思います。 WSETレベル3のテイスティング対策を行うにあたって、私が感じたのは、どのように準備をしたら良いのかという情報がJSA試験ほどに豊富には手に入らないということでした。 そこで、この記事では私がテイスティング試験に向けて行った準備を紹介したいと思います。一度の試験で合格ができたので、それなりの効果はあったのだと思っています。 試験突破のカギは「SATの理解」と「品質評価」 テイスティング試験対策に取り組む中で、私が最も重要だと思い、時間を割いたのは、「 SATの記述ルールを理解すること 」と「 ワインの品質レベルを正確にとらえる 」ことでした。 テイスティング試験の合格基準は「55%」の得点率なので、この2つさえできていれば、まず落ちることはないと思いました。 反対にこの2つのいずれかが欠けていると、大きく減点をされてしまう可能性があります。例えば、SATでは、「テイスティングの記述に用いる用語」と「評価をすべき項目」がしっかりと決まっています。間違った用語を用いたり、評価すべき項目が記述されていなければ、全く得点は得られません。用語や評価項目以外にも、いくつか記述のルールが存在するので、ワークブックをしっかり読んで全てを把握しておくことが必須です。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング試験でやりがちな失敗トップ10 ) (参考記事: WSET SATのちょっとわかりにくかった香りと風味の選択・記述ルール ) ルールに関してはJSAのテイスティングのルールとは少し異なると思われる部分もあったので要注意です。 ...