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最新記事

エントレ・コルディリェラス? チリの新しい原産地呼称の覚え方

 チリのワイン産地は南北に長く広がりますが、地形的な特徴の影響を受けるために、実は南北よりも東西にかけて、気候や土壌の多様性が非常に高いと言われています。 従来の原産地呼称では、この東西にかけてのワインスタイルの特徴の違いが十分に表現されていませんでしたが、2011年から、この問題を解決するための新たな付加的な原産地呼称が加えられました。 それが、「コスタ(Costa)」、「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」、「アンデス(Andes)」の3つです。 これは従来の原産地呼称に付加的に加えられるもので、例えば「Aconcagua」で造られたワインに対して、「Aconcagua Costa」、「Aconcagua Entre Cordilleras」、「Aconcagua Andes」のようにラベルに表記されるようです。 上図のように、「コスタ」は海の影響を受ける地域、「アンデス」はアンデス山脈の影響を受ける地域、そして「エントレ・コルディリェラス」はその間の地域を表します。 この新たな原産地呼称の仕組み自体はシンプルなのですが、それぞれの名前、特に「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」を覚えるのが厄介です。 そこで、これを覚えるための語呂合わせを考えてみました。 エントレ・コルディリェラスは少し苦しいですが、英語のスペルも覚えられるように、それに合わせた語呂合わせにしてみました。 <了>

WSET Diplomaに必要な英語力について調べてみました

WSET Diplomaについての前回の記事では、学習範囲について調べてみましたが、今回は必要な英語力について調べてみました。 WSETレベル3は日本語での受講&受験が可能ですが、レベル4にあたるディプロマは受講・受験ともに英語のみです。 (関連記事: WSET Level 4 (Diploma)の学習内容と各ユニットの構成について調べてみました ) ディプロマのSpecification(WSET Level 4 Diploma in Wines Specification)を見ると次のように書かれています。(https://www.wsetglobal.com/qualifications/wset-level-4-diploma-in-wines/ からSpecificationにアクセスが可能です) -------------------------------------------- 1.2. Recommended prior learning (推奨される事前学習) 1.2.1 For entry onto the WSET Level 4 Diploma in Wines, candidates must hold either the WSET Level 3 Award in Wines or the WSET Level 3 Award in Wines and Spirits. (WSET レベル 4 ディプロマ・イン・ワインに参加をするには、WSET レベル 3 アワード・イン・ワインまたは WSET レベル 3 アワード・イン・ ワイン・アンド・スピリッツのいずれかを取得していることが必要です。) 1.2.2 Candidates sitting where English is not their first language are strongly recommended to have IELTS at 6.5 or above or be able to demonstrate an equivalent ability level. (英語を母国語としない受験者は、IELTS 6.5 以上、または同等の能力を証明できることが強く推奨されます。 ) 1.2.3 It is strongly recommended that c

ギリシャの土着ブドウ品種の暗記方法を考える【語呂合わせ】

ギリシャのワインと言えば土着ブドウ品種から造られているワインが有名です。 ギリシャで製造されるワインのうち、土着品種から造られるワインが多くの割合を占めています。 そのため、ギリシャワインを学ぶ上では、土着品種の名前を覚えることが重要なのですが、独特な名前が多くて暗記をするのが大変です。 そこで、ギリシャワインに使われる主要な土着品種を暗記する方法を考えてみようと思います。 まずは、主要な地域ごとに主要な土着ブドウ品種をプロットしてみます。 クシノマヴロの印象が強くて、ギリシャワインと言えば何となく赤ワインのイメージがありましたが、こうしてみると白ワイン品種の多さが目立ちます。実際に、生産されるワインの7割は白ワインであるようです。 「サバティアーノ」と「ロディティス」 まずは、 「サバティアーノ(Savatiano)」 と 「ロディティス(Roditis)」 という2つの白ブドウ品種です。(白ブドウに分類されることが多いですが、ロディティスはピンク色の果皮のブドウで、その名前もギリシャ語のロゼを意味する rodon に由来をするそうです)  これらの品種は、低価格ワインや、ギリシャの伝統ワイン 「レッツィーナ(Retsina)」 の製造に使われることが多いようです。実際、レッツィーナに使われる主なブドウ品種はこの2種類です。 サバティアーノはギリシャで最も多く栽培されているブドウ品種で、ロディティスはそれに次いで2番目です。 サバティアーノの主な生産地域は中央ギリシャ、ロディティスは全土で栽培されているようですが、ペロポネスでは特に品質の高いものが造られているようです。 ここで、この2つの品種を覚えるための語呂合わせを考えてみました。 「アシルティコ」 アシルティコ(Assyrtiko) は、ギリシャでは高品質なワインを造ることで有名な白ブドウです。 様々な環境で育つブドウなのでギリシャ全土で幅広く栽培されているようですが、最も有名なものは サントリーニ島 で造られるPDOワインだと思います。辛口と甘口の両方が造られているようです。 酸味が高い特徴があるために、品質の高いワインは長期熟成能力を持つそうです。 ここでも暗記のための語呂合わせを考えてみました。 「クシノマヴロ」 クシノマヴロ(Xinomavro) は、高品質なワインを造ることで有名な黒ブドウ品種です。

ワインから感じられる「肉(meat, meaty)」の香りとは?

ある種のワインは 「肉(meat, meaty)」 の香りや風味を持つと言われています。 ブドウから造られるワインから、タンパク質でできている肉の香り/風味がするのは少し奇妙な感じがしてしまいます。 しかし、一方で「肉」やこれに近い香り/風味で表されるワインを、結構よく目にするような気がします。 個人的にはなんとなく分かっているような、分かっていないような「肉」という表現ですが、今回いくつかのサイトを参考に調べてみました。 どんなワインに使われることが多いのか? 「肉」で例えられるワインとして真っ先にあがるのが、 北部ローヌのシラー(Syrah) です。北部ローヌ以外でも、この表現が用いられるシラー/シラーズは多いようです。 また、その他の「肉」で例えられるワインとしては、カベルネソーヴィニヨンなどから造られる ボルドーの赤 や、テンプラニーリョから造られるスペインの トロ などもあがるようです。 これらのワインに共通することは、力強い赤ワインで、黒系果実の香り/風味を持つことだと思います。 また、もう1つの要素として、「肉」の香り/風味はワインの熟成と関係があるようです。 ワインは熟成過程を経ることで、ブドウ由来の第一の香り/風味が薄れ、発酵後の醸造工程で生まれる第二の香り/風味や、熟成過程で生まれる第三の香り・風味が現れます。 第一の香り・風味がフレッシュで「果実味」に富んだ香りである一方で、第二、第三の香り/風味は、より 「うま味」 を感じさせる香り/風味です。 「肉」の香り/風味とは、どうやら果実味が少し薄れて、うま味が現れてきたワインで感じられることが多いようです。「肉」の香りが「うま味」の現れ始めたワインから感じられるというのは、直感的にも納得です。 これらを合わせて考えてみると、「肉」の香り/風味を感じられるワインは、力強く黒系果実の香りを持つワインのうち、一定の熟成期間を経たものから感じられると考えるのがよさそうです。 「肉(meat, meaty)」の香りとはどんな香り? 肉の香り/風味は、 「ローストした肉やベーコン」 や 「グリルから出る血や煙」 などで例えられるようです。 しかし中にはより、「生肉や血」に近いニュアンスで例えられるワインもあるようです。これには、メンシアというブドウ品種から造られるビエルソ(スペイン)のワインがあるようです。「

サモロドニ?サモドロニ?まぎらしいトカイワインの名称の覚え方【語呂合わせ】

 トカイワインと言えば、貴腐ブドウから造られる甘口の 「トカイ・アスー(Tokaji Aszú)」 が有名です。 しかしそれ以外にもいくつかのスタイルのワインが造られています。 PDO(原産地呼称保護)ワインとしては、貴腐ブドウのフリーラン果汁のみから造られる極甘口の 「トカイ・エッセンツィア(Tokaji Eszencia)」 や、非貴腐ブドウから造られる 辛口ワイン 、そして、貴腐が部分的に発生している房から造られる 「トカイ・サモロドニ(Tokaji Szamorodni)」 があります。 トカイ・ サモロドニ は、貴腐ブドウの含有量によって、 辛口(サラーズ; sáraz) になったり、 甘口(エーデシュ; édes) になるそうです。 トカイ・サモロドニは、貴腐が部分的に発生した房を収穫して製造することが特徴ですが、このような収穫の分類は 「サモロドニ」 と呼ばれています。サモロドニという呼称は、ポーランド語の 「そのままに」 を意味する言葉に由来をすると言われていますが、貴腐ブドウだけを選別せずに房のまま収穫してしまうところはまさにその言葉通りです。 サモロドニの収穫は貴腐ブドウの割合が少ない年に特に行われることが多いそうです。数少ない貴腐ブドウを見つけるために収穫者が何度も畑を行き来することが不経済であるためです。 さて、ここまで説明をしてきた「サモロドニ」ですが、個人的には「サモドロニ」や「サドロモニ」だったか記憶があいまいになってしまいます。また、辛口や甘口の名前もなかなか覚えるのが大変です。 そこで、暗記をするための語呂合わせを考えてみました。 ちなみに、ロドニー(=ロドニー・グリーンブラット)は、パラッパラッパーのイラストでも有名なアメリカ出身のイラストレーターです。 最後に、サモロドニの製造についてです。 トカイの代表的なワインである「トカイ・アスー」は、貴腐ブドウをベースワインに漬け込んで製造することが特徴的です。 しかし、「トカイ・サモロドニ」では、貴腐ブドウの漬け込みは行われず、一般の白ワインに近い醸造プロセスを経るようです。 甘口、辛口ともに熟成を経て瓶詰がされますが、辛口の場合は特にフロール(産膜酵母)のもとで長期間熟成されることが非常に特徴的であるそうです。

トカイワインの主要ブドウ品種の覚え方【語呂合わせ】

  トカイワインに使われる主要ブドウ品種の語呂合わせによる覚え方を考えてみました。 トカイワインは次の3つの主要品種から造られます。 ・フルミント(Furumint) ・ハールシュレヴェリュ(Harslevelű) ・サルガ・ムシュコタイ(Sarga Muskotaly) 語呂合わせは次の通り: ----------------------------------- ハンガリーの 都会のカフェは (トカイ) 100%ミントが (フルミント) ハーシュレベルで (ハールシュレヴェリュ) サルが息子タイ (サルガ・ムシュコタイ) ----------------------------------- ちなみにトカイワインにはこれら主要3品種に加えて、「Zéta」、「Kövérszőlő」、「Kabar」を加えた計6品種の使用が許可されているそうです。 補足となりますが、Sarga Muskotalyは英語に直訳すると、Yellow Muscatです。そう、マスカットの一種です。ちなみに、フランスなどでは、Muscat Blanc à Petits Grains(ミュスカ・ブラン・ア・プティ・グラン)と呼ばれるかなり有名なブドウです。VDN(=Vin Doux Naturel ヴァン・ドゥ・ナチュレル)の製造などによく用いられます。 また、Harslevelű は、英語に直訳するとlime-leave(ライムの葉)だそうです。 言葉の意味を覚えておくと、少しは暗記に役に立つかもしれません。

オーストリアのワイン法とDACが分かりにくいことについての考察

オーストリアのワイン法は個人的に苦手です。 他国のワイン法と違って、個人的にはとても分かりにくいと思います。 以前も記事として載せましたが、改めてその原因を調べてみました。 (関連記事: オーストリアのワイン生産地域、DACとは?それ以外の産地との違い ) 結果として、オーストリアのワイン法が分かりにくい理由は次の2点にあるのではないかと考察をしました: ・オーストリアのワイン法が、従来のドイツ式のワイン法に新たなDACの概念を取り入れたものであること ・オーストリアのワイン法がDAC導入の過渡期にあること その考察を下に説明したいと思います。 まず、オーストリアのワイン法は「ドイツ式」のワイン法の概念が基本にあると思います。 上図のように5層に分かれるワインの分類は、ドイツのものに非常に似通っています。 PDOレベル(原産地呼称保護)のワインは上の3層であり、ここでは主にブドウの糖度によって分類が決められています。 PDOワインの産地としては、州レベルの産地名に加えて、州によってはその中にある小地区の産地名も表記が許可されています。 そして2002年、オーストリアのワイン法には新たなDACというシステムが取り入れられました。 DACの導入は、その地域で造られる特徴的なワインをプロモーションしていくためだと言われています。 DACはPDOレベルのワインに適用され、それぞれの小地区ごと(ヴァッハウや、ヴァインフィアテルなど)に導入がされているようです。 DACの中は、「単一畑ワイン」、「村名称ワイン」、「地域名称ワイン」の3つの分類があり、上位に行くほどワインに使われるブドウの範囲は狭まっていきます。これは、フランスのワイン法に近い品質分類だと思います。 このように、オーストリアのワイン法は、従来から利用されてきたドイツ的なワイン法に、DACという新たなフランス的なワイン法が取り入れられる形式となっています。 新たに加わったDACが、従来のワイン法のどの部分に適用されているかなどは、かなり複雑だと思います。 まずこれが、オーストリアのワイン法を分かりにくくしている原因なのではないかと思います。 さらに複雑なことに、DACは対象地域で造られる全てのワインに適用されるわけではありません。 例えば、DAC産地のクレムスタール(Kremstal)では、リースリングとグリューナ

ヴァッハウ(オーストリア)の辛口白ワインの分類の覚え方を考える

オーストリアで最も有名なワイン製造地域の1つである 「ヴァッハウ(Wachau)」 には国で定めたワイン法以外に、生産者団体によるワインの分類があります。 その生産者団体は 「ヴィネア・バッハウ(Vinea Wachau)」 と呼ばれており、辛口白ワインをそのスタイルや品質によって3つの分類に分けています。 辛口ワインを独自に分類しているところは、少しドイツのVDPに似ています。 (関連記事: ドイツワインのVDPとは?VDPの格付けに関する考察 ) ヴィネア・バッハウの3つの分類は、品質の高いものからそれぞれ 「スマラクト(Smaragd)」 、 「フェーダーシュピール(Federspiel)」 、 「シュタインフェーダー(Steinfeder)」 に分かれています。 この分類の面白いところは、それぞれの分類の名称が一見全くワインとは関係ないものに由来していることです。それぞれ次のような由来を持っています: ・スマラクト → エメラルド色のトカゲ ・フェーダーシュピール → 鷹狩りの道具 ・シュタインフェーダー → きゃしゃな野草 スティパ・ペンナータ しかし、こんな由来を知っても、「スマラクト」、「フェーダーシュピール」、「シュタインフェーダー」という言葉を覚えるはなかなか大変です。そこで、何かうまく覚える方法がないかと色々調べてみました。 スマラクト(Smaragd) 「Smaragd」とはドイツ語ですが、これは英語にすると「emerald」です。 エメラルド色のトカゲのまさに「エメラルド」の部分です。 「emerald」という言葉はもともとは、ギリシャ語の「smáragdos(スマクラグドス)」やラテン語の「smaragdus(スマラグダス)」に由来する言葉のようです。そこから、俗ラテン語の「esmaralda/esmaraldus」→古フランス語の「esmeraude(エスメラルド)」→中世英語「emeraude(エメラルド)」と変化をしたようです。 ドイツ語の「smaragd」は、俗ラテン語の「esmaralda/esmaraldus」になる前の、ギリシャ語やラテン語の「smáragdos/smaragdus」により形が似ています。 このような言語の変化を覚えておくと、 emerald → esmeraude → smaragd のように、何とか「スマラ

ドイツのブドウ栽培に影響を与える川や山地のまとめ

山地や川などは、ブドウ栽培において大きな影響を与える地形的特徴です。ネット上になかなかまとまった情報がなかったので、個人的にまとめてみました。 ちなみに主要なブドウ栽培産地は下図のように分布しています。 ライン川(Rhine river)とその支流 寒い気候のドイツのブドウ産地において、川はブドウ栽培に大きな影響を与えています。 川は昼夜や季節による急激な温度変化を和らげるため、その付近の寒さを和らげます。また、日光を反射することでブドウの成熟も助けます。このような影響により、川沿いではより長い期間、ブドウを生育することができると言われています。 ドイツの高品質ワインの産地 (Anbaugebiete) のほとんどすべてが、 「ライン川(Rhine river)」 もしくはその支流沿いに位置しています。 ライン川は、 ラインガウ(Rheingau) において川幅が広くなり、ここでは気候の緩和や、霜のリスクの軽減だけでなく、秋には貴腐ブドウを造るのに適した環境を提供します。 タウヌス(Taunus)山地 山地はブドウ畑を冷たい風や雨から保護してくれる役割を果たします。 ラインガウの北部にそびえる 「タウヌス(Taunus)山地」 は、 ラインガウ(Rheingau) や ラインヘッセン(Rheinhessen) を雨風の悪影響から守り、ブドウ栽培に適した環境にすることに貢献しています。 フンスリュック(Hunsrück)山地 「フンスリュック(Hunsrück) 山地 」 は モーゼル(Mosel) と ナーエ(Nahe) の間に位置する産地です。 この山地は、その西に位置する ナーエ(Nahe) と ラインヘッセン(Rheinhessen) のブドウ畑を雨風の影響から保護する役割を果たします。 ハールト(Haardt)山地 「ハールト(Haardt)山地」 は、 ファルツ(Pfalz) の西部にある山地です。 南部ではフランスとの国境を経て、アルザスの 「ヴォージュ(Vosges)山脈」 に続いています。 ハールト山地は、アルザスにおけるヴォージュ山脈と同様の効果をもたらし、 ファルツ(Pfalz) を西部からの雨風から保護します。 そのため、 ファルツ(Pfalz) はドイツで最も乾燥したワイン産地の1つとも言われています。 また、ハールト山地はこの地域に南向きも

ドイツワインのVDPとは?VDPの格付けに関する考察

 VDPとは、「ドイツ高品質ワイン醸造家協会(Verband Deutscher Prädikatsweingüter)」という名のドイツのワイン生産者団体のことです。 VDPはドイツのワイン法とは別の、独自の ブドウ畑の格付け を推進していることで有名です。 ドイツには、独自のブドウ畑の格付けに取り組む生産者団体があるようですが、その中でも最も有名で影響力があるのがVDPであるそうです。 このような生産者団体による独自格付けが行われる背景には、ドイツワイン法が抱える問題点と関係があるようです。 その問題点は、私が理解する範囲では、 PDOレベルのワインにおいて(つまり、PrädicatsweinとQualitatswein)においてワインの品質レベルがわかりにくいこと だと思います。 ドイツワインの階級(階層)は上図のようなピラミッドで表されますが、PDOワイン(Qualitatswein以上のワイン)において階級を決める主な要素は、ブドウマストの糖度です。そして、ブドウマストの糖度は大きくワインのスタイルに影響を与えます(甘口、辛口、中甘口など)。そのため、ワインの品質レベルはこの階層からはわかりにくい仕組みとなっています。 (関連記事: must, must weight の意味 | 英語ワイン書籍に出てくる英単語 ) 一方でフランス、特にブルゴーニュワインの階級は、ワインの品質に直結していると言われています。 階層構造は、ブドウ畑の環境の良さを基準に、より広い範囲を下層に、より狭い範囲を上層にピラミッドが構成されています。 品質の高いワインは、品質の高いブドウから造られ、品質の高いブドウは環境のよい限定された場所(畑)から造られるという概念のもとに構成されているのだと思います。 ドイツのワイン法においても、統合畑の 「Grosslage(グロースラーゲ)」 、単一畑の 「Einzellage(アインツェルラーゲ)」 という概念がありますが、これまでのドイツのワイン法では畑の格付けは行われていませんでした。 そのため、ワインラベルに畑名の表示は許可されていても、それを見てワインの品質を知ることは難しかったようです。 (関連記事: ドイツワインの品質レベルとブドウ産地の関係と、ラベル表示の話 ) VDPによる4層構成の畑の格付け さて、VDPの独自のブドウ畑の格

リザーブワイン(Reserve wine)とは?

Reserve と、ラベルに書かれたワインをよく目にすることがあると思います。 何となく意味がわかっていそうな言葉ですが、実は正確な意味がよくわかっていないことが多い言葉だと思います。 そこで、ラベルに「Reserve」と書かれた 「Reserve wine」 の意味を調べてみました。 まず、「Reserve(取っておく、蓄えておく)」という言葉は、もともとワインメーカーが特に品質の高いワインを直ぐには販売せずに、取っておいた/蓄えておいたことに由来するようです。 スペインで使われる 「Reserva」 やイタリアの 「Riserva」 も「Reserve」と同じような意味合いを持つ言葉です。 しかし、これらの言葉が正確に意味するところは、国によって大きな違いがあるようです。 例えば、スペインやイタリアの「Reserva」や「Riserva」は、それぞれのワイン法によって用法が明確に決められた言葉です。ワインラベルに「Reserva」や「Riserva」と表記をするには、両者ともに特定の熟成期間を経ていることが求めらます。 一方でアメリカなど、その使用がワイン法などで制限されていない地域の場合は、「Reserve」の意味するところはかなりあいまいです。多くの場合は、ワインメーカーによってそのワインを特別に見せるためのマーケティングツールとして利用されているようです。 そのような地域では、多くのワインメーカーは特に品質が高いワインや、長期熟成用に作ったワインに「Reserve」という用語を用いているようですが、場合によっては特に大きな意味はなく、全てのワインに「Reserve」という言葉を用いる例もあるようです。 最後に、ワインラベルには現れませんが「リザーブワイン」という言葉が使われているワイン産地もあります。それは、フランスのシャンパーニュです。 シャンパーニュで収穫されたブドウは、一度全てがスティルワイン(非発泡ワイン)として醸造され、その一部がその年に製造されるシャンパーニュの製造に使われます。そして、残りのスティルワインは次年度以降のシャンパーニュの製造に使うワインとして保管され、このワインは「 リザーブワイン(Reserve wine) 」と呼ばれます。 このように「リザーブワイン(Researve wine)」は、様々な意味を持った言葉としてワイン業界で