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2月, 2023の投稿を表示しています

最新記事

エントレ・コルディリェラス? チリの新しい原産地呼称の覚え方

 チリのワイン産地は南北に長く広がりますが、地形的な特徴の影響を受けるために、実は南北よりも東西にかけて、気候や土壌の多様性が非常に高いと言われています。 従来の原産地呼称では、この東西にかけてのワインスタイルの特徴の違いが十分に表現されていませんでしたが、2011年から、この問題を解決するための新たな付加的な原産地呼称が加えられました。 それが、「コスタ(Costa)」、「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」、「アンデス(Andes)」の3つです。 これは従来の原産地呼称に付加的に加えられるもので、例えば「Aconcagua」で造られたワインに対して、「Aconcagua Costa」、「Aconcagua Entre Cordilleras」、「Aconcagua Andes」のようにラベルに表記されるようです。 上図のように、「コスタ」は海の影響を受ける地域、「アンデス」はアンデス山脈の影響を受ける地域、そして「エントレ・コルディリェラス」はその間の地域を表します。 この新たな原産地呼称の仕組み自体はシンプルなのですが、それぞれの名前、特に「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」を覚えるのが厄介です。 そこで、これを覚えるための語呂合わせを考えてみました。 エントレ・コルディリェラスは少し苦しいですが、英語のスペルも覚えられるように、それに合わせた語呂合わせにしてみました。 <了>

NZとロワールのソーヴィニヨン・ブランの違いはどこから生まれるのか?を考察

ソーヴィニヨン・ブランの有名な地域をあげるとしたら真っ先に名前があがるのが、ロワールとニュージーランドだと思います。 しかし、そのスタイルは非常に対照的です。 ロワールのソーヴィニヨン・ブランの香りは控えめな香りのものが多い一方で、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランは非常に香りが強いのが特徴です。 なぜこのような違いが生まれるのかを、両者の栽培環境とワインの醸造方法を比較することで調べてみようと思います。 まず最初に、ロワールの中でも代表的な産地であるサンセールと、ニュージーランドで代表的な産地であるマールボロについて、各要素の違いをまとめてみました。 ここで意外だったのが、両者ともに気候区分が「冷涼」エリアに位置することです。 何となく、 フランス → 涼しい → ライトボディのワイン ニューワールド → 暖かい → フルボディのワイン という固定観念があったのですが、両者ともに同じ気候区分に属していることを考えると、必ずしも温度差が単純にワインスタイルの違いを生み出しているわけではなさそうです。 そして、より大きな影響を与えている要素は、ニュージーランドの日照の強さにありそうです。 ソーヴィニヨン・ブランは、日照量によって香りの特徴が変わると言われる品種です。日当たりの良い環境で栽培されたブドウは成熟度が増しトロピカルフルーツのような香りを持つ一方で、日陰の多い環境で栽培されたブドウは草のような青い香りがより強く表れると言われます。 ニュージーランドは、南半球に位置することでオゾンホールの影響や、大気汚染の少なさによって、北半球に比べて4割程度高い紫外線にさらされているそうです。 また、特にマールボロに関して言うと、まわりを囲む山々が雨雲から畑を守っているために、年間の日照量もかなり長くなっているようです。 このように、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランのワインが香り高い特徴を持つ大きな理由の1つとしては、この地域の強い日照量にあるのではないかと考察されます。 これに加えて、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランの香りの強さに影響を与えていると思われる要因がさらに2つあります。 その1つは機械収穫です。 ニュージーランドでは機械による収穫が一般的です。機械収穫の場合は、ブドウは粒として収穫されて大きな容器で運ばれるため、輸送の際にブドウの実の破砕が

マールボロにあるワイン産地(ワイラウ・ヴァレー、アワテレ・ヴァレー)の覚え方を考える

 ニュージーランドでもっとも有名なワイン産地と言えば、マールボロ(Marlborough)だと思います。 そして、ここにはさらにいくつかのブドウ栽培地域が含まれています。 それは、「 ワイラウ・ヴァレー(Wairau Valley) 」、「 アワテレ・ヴァレー(Awatere Valley) 」、「 サザン・ヴァレーズ(Southern Valleys) 」です。 ワイラウ・ヴァレー は、沿岸からワイラウ川に沿って内陸まで広がる栽培地域です。 栽培面積が最大の地域で、沿岸部の平野から、海の影響の少ない内陸部まで様々な環境に囲まれています。 ソーヴィニヨン・ブランが多く栽培されていますが、栽培環境によって、パッションフルーツの香りを持つブドウから、草のような青い香りを持つものまで、さまざまな成熟度のブドウが得られます。 沿岸部は特に土壌が肥沃で水はけもく暖かさを得られるために、よりアロマの強いブドウが得られるようです。 アワテレ・ヴァレー は、マールボロの最東部に位置します。 この地域は海に近く標高も高い地域であるために、ワイラウ・ヴァレーよりも涼しく風の強い地域です。 涼しい環境であるために、酸味の高いソーヴィニヨン・ブランが得られます。 ピノノワールの栽培もおこなわれていますが、涼しく風の強い環境のために、果皮が厚く実が小さくなるために、色が濃い目のワインが造られると言われています。 サザン・ヴァレーズ は、ワイラウ・ヴァレーとアワテレ・ヴァレーの間に位置する地域です。サザン・ヴァレーズはいくつかの谷をまとめた相称となっており、そのために名称は単数形の「ヴァレー」ではなく複数形の「ヴァレーズ」になっています。 ワイラウ・ヴァレーやアワテレ・ヴァレーと比べて、新しいブドウ畑が多い地域のようです。 この地域の土壌は、水はけの悪い粘土の含有率が多いため、より水はけの多い地域に比べて冷涼効果が得られます。そのため、暑さに弱いピノノワールの産地として知られています。 土壌による冷涼効果はありますが、アワテレ・ヴァレーほど涼しい産地ではないようです。 さて、これら3つのブドウ栽培地域ですが、個人的にはなかなか覚えるのに苦労をしています。特にニュージーランドの産地は聞き馴染みが無いうえに、似たような名前が多いので、何かと混同しがちです。 そこでここでも語呂合わせに頼って覚えてみ

トカイ・アスーの製造工程と、製造工程がワインスタイルに与える影響を考察

 トカイ・アスーはハンガリーで造られる貴腐ワインです。世界三大貴腐ワインの1つに数えられています。 トカイ・アスーの製造工程は、アスー(Aszú)ブドウと呼ばれる貴腐ブドウを発酵前/発酵中/発酵後のマスト(発酵後はベースワイン)に浸してつくるという非常に特徴的なものです。 多くの甘口ワインは通常の白ワインと同じような流れで作られますが、トカイ・アスーは少し独特な製法なので、その流れをまとめてみました。 やはり特徴的なのは、アスーブドウ(貴腐ブドウ)を収穫後にそのまま圧搾するのではなく、マスト/ベースワインに浸る(マセレーションする)という部分です。 アスーブドウの糖分の凝縮度が非常に高く、通常の圧搾では果汁が抽出できないために、このような製造工程になったのだとか。マセレーションに使われるアスーブドウはそのままの場合もあれば、つぶしてペースト状にしたものの場合もあるようです。 そして圧搾は、マスト/ベースワインに貴腐ブドウが浸されて、糖分や風味が抽出されたのちに行われます。 圧搾されたマスト/ベースワインは、アルコール発酵を経て、オーク樽で熟成されます。 このような製造工程を経るために、トカイ・アスーには次のような特徴が与えられると考えられます: ・貴腐ブドウの香り(オレンジの果皮、マーマレード、ハチミツなど) ・長期熟成による外観の変化(琥珀色) ・長期熟成による熟成香の発生(ハチミツ、ドライフルーツなど) ・[酸化熟成を経た場合] ナッツやキャラメルの香りの発生 実際に多くのトカイ・アスーは次のような特徴を持つと言われています: ・深い琥珀色の外観 ・オレンジの果皮、アプリコット、ハチミツの強い香り ・高い酸味 ・低~中程度のアルコール度 <了>

なぜ貴腐ワインが造られるのか?トカイの自然環境を考察する

 今回は世界三大貴腐ワインの産地として知られるトカイの自然環境について調べてみたいと思います。 まず、トカイがどこにあるかというと、ハンガリーの北東部に位置しています。 スロバキアとの国境の近くです。 この地図を見ると、ハンガリーがいかに内陸にあり、様々な国に挟まれているかが分かります。 トカイはちょうど、ボドログ川(Bodrog river)とティサ川(Tiza river)という2つの川が合流する場所に位置しています。 そして、トカイのブドウ畑はゼンプレーン山脈(Zemplen mountains)とボドログ側を挟むように、北部のスロバキアとの国境に向かって広がっています。 ボドログ川とティサ川には若干の水温の差があり、これが秋の早朝に貴腐の発生に必要な湿気を作り出すのだとか。 そして、その湿気はブドウ畑に広がり、広くブドウに貴腐菌を繁殖させます。 しかし、貴腐ブドウを造るにはもう1つ重要な自然環境が必要です。それは、午後には日差しが良く当たりブドウの水分を十分に蒸発させる環境があることです。 トカイは北西部に広がるゼンプレーン山脈のおかげで比較的降水量が少なく、暖かい地域です。また、多くのブドウ畑は南向きの斜面に位置しており、昼間はたくさんの日照を得ることができます。 このような環境が揃っていることで、貴腐菌によって果皮に穴の開けられたブドウから水分が蒸発し、糖分の凝縮した貴腐ブドウができあがると考えられます。 <続く>

なぜアイスワインの製造が可能?カナダのワイン産地の自然環境を考察

 カナダと言えば、アイスワインが有名です。 アイスワインの主な産地はオンタリオ州で、ここで生産されるアイスワインの割合は、カナダ全体の9割を占めると言われています。 オンタリオ州の主なワイン地域は州南部の五大湖の周辺に集まっており、北緯はだいたい41~44°くらいです。この緯度をヨーロッパに当てはめると中央イタリアからボルドーくらいです。また日本で言うと札幌市が43°くらいです。 緯度としてはそこまで寒いイメージは無いのですが、なぜアイスワインの製造ができるのでしょうか? そこで、なぜカナダでアイスワインが製造できるのかを考察してみようと思います。 なぜアイスワインが造れるほど寒いのか? まずは、オンタリオ州のワイン産地の位置から調べてみます。 カナダのワイン産地はオンタリオとブリティッシュ・コロンビアの東西に大きく分かれています。 ブリティッシュ・コロンビアの方が北に位置していますが、実は冬の寒さが厳しいのはオンタリオの方です。これは意外な感じがしますが、どうやらカナダ西岸と東岸を流れる海流の違いが東西の気候の違いを生み出しているようです。 オンタリオのある東岸にはラブラドル海流と呼ばれる寒流が流れていますが、ブリティッシュ・コロンビアのある西岸にはアラスカ海流と呼ばれる暖流が流れています。 オンタリオに寒さをもたらしている影響の1つとしては、まず、この寒流の影響が考えられます。 しかし、オンタリオの冬を厳しくしている原因はこれだけではないと思います。それは、オンタリオのワイン産地がかなりの大陸性気候であるということです。 先程の地図では分かりにくいですが、実はオンタリオのワイン産地は沿岸から500 km以上離れています。 大陸性気候の特徴は、暑く短い夏と、寒い冬です。実際に、ワイン産地にごく近いトロントの1月の平均最高気温は-1℃と、とても寒い気候です。 寒流と、大陸性気候の影響によって、オンタリオの冬はアイスワインを造ることができるくらい気温が下がるのだと考えられます。 なぜ寒い地域にも関わらずブドウ栽培ができるのか? オンタリオのワイン産地は冬場は非常に気温が低いことが分かりました。 では反対に、なぜこのような寒さが厳しい地域にも関わらず、ブドウ栽培ができるのかについて考えてみたいと思います。 それには次の4つの理由があるのではないかと考察します。 ① 夏の

似て非なるワイン ~イタリアとギリシャの「ヴィンサント」の違いを考察~

イタリアとギリシャでは 「ヴィンサント」 という名前のワインが造られています。 どちらも干したブドウから造られる甘口ワインという似た特徴を持っていますが、実は異なるワインです。 そこで、イタリアとギリシャの「ヴィンサント」の違いを考察してみたいと思います。 生産地域 まずは生産地域の違いです。 イタリアのヴィンサントは主にトスカーナ州で製造されています。しかし、一部トレンティーノ・アルト・アディジェ州でも製造されているようです。 一方で、ギリシャのヴィンサントはサントリーニ島で製造されています。 名称の違い イタリアのヴィンサントは 「Vin Santo」 と2語で表記されます。 一方で、ギリシャのヴィンサントは 「Vinsanto」 と1語で表記されます。 製造方法の違い 製造工程を見てみると、2つのヴィンサントには大きな違いがみられます。 イタリアのヴィンサントには陰干しされたブドウが使われます。この陰干しの方法は、アパッシメント・メソッドと呼ばれます。 (関連記事: アパッシメント(appassimento)とパッシート(passito)の違いに関する考察 ) 一方で、ギリシャのヴィンサントでは、天日干しをした遅摘みのブドウが使われます。 両者ともにオーク樽での酸化熟成が行われますが、イタリアでは小さめの樽で、ギリシャでは、大きめの樽で長期熟成が行われます。 ブドウ品種の違い イタリア、特に主な産地であるトスカーナでは、ヴィンサントの主要品種としてトレッビアーノ・トスカーノ(Trebbiano Toscano)とマルヴァジア(Malvasia)が用いられています。 トレンティーノ・アルト・アディジェ(トレンティーノDOC)では、ノジオーラ(Nosiola)という品種が主要品種として用いられています。 一方で、ギリシャ(サントリーニ)のヴィンサントの主要品種は、アシルティコ(Assyrtiko)です。 トレッビアーノ・トスカーノとアシルティコに共通している点は、強い甘味とバランスをとるための高い酸味を持っているという点です。多くのブドウは成熟とともに徐々に酸味を失いますが、両品種ともに成熟しても強い酸味が保持されます。 ヴィンサントは基本的には白ブドウ品種から造られていますが、トスカーナでは黒ブドウ品種サンジョヴェーゼからも製造されており、このワインはオッキオ・

南ローヌブレンドに使われるブドウ品種の特徴の違いを考察(サンソー、カリニャン、ムールヴェードル)

 これは私だけかもしれませんが、南ローヌのブレンドワイン(赤)の補助品種として使われる、サンソー(Cinsaut)、カリニャン(Carignan)、ムールヴェードル(Mourvedre)の3つの品種をよく混同してしまいます。 シラー、グルナッシュなどの品種はそれぞれ北ローヌと南ローヌを代表している印象があってその特徴を混同することはないのですが、ブレンド用の補助品種となると途端に印象がおぼろげです。 そこでこの3つの特徴の違いを調べてみたいと思います。 栽培地域 まず、栽培地域ですが、どれも南ローヌを中心に地中海に面した地域で栽培されています。どれも乾燥した暖かい地域に向いたブドウ品種で、おおむね下の赤線で囲んだフランスからスペインにまたがる部分です。 しかし、もう少し細かく言うと、栽培地域には次のようにそれぞれ若干の違いがあるようです。 ・サンソー = 主にフランス南部 ・カリニャン = フランス南部~スペイン北部(カタルーニャ州やラリオハ州) ・ムールヴェ―ドル = フランス南部~スペインの地中海沿岸(バレンシア州やムルシア州) スペインでも多く栽培されるカリニャンとムールヴェ―ルドは、スペインでは異なる名前(シノニム)で呼ばれており、それぞれ、カリニェナ(Cariñena)、モナストレル( Monastrell )と呼ばれています。 栽培における特徴 サンソー、カリニャン、ムールヴェ―ドル、いずれも晩熟品種です。そのため、フランス南部のような暖かく、長い生育期間を確保できるような地域でなければ栽培が難しい品種です。 しかし収穫量には違いがあり、サンソーとカリニャンは高い収穫量が期待できる品種であり、ムールヴェードルは収穫が低い品種のようです。 そのため、サンソーとカリニャンから高品質のワインを造るためには、果実味を凝縮させるために収量を制限する必要があるといわれています。 味わいの違い サンソー は、赤系果実が中心の中程度の香りの強さのワインを造ります。また、タンニンは低めで、できあがるワインの色も薄めです。晩熟品種であるためかアルコール度は高めとなりますが、全体的には特徴の薄めの印象です。 このような品種特徴と収量の高さも影響してか、多くのワインは早飲みの低価格帯の赤ワインやロゼワインとして造られます。サンソーとグルナッシュ・ノワールから造られるプロヴァンス

リコレーリャ土壌からブドウ栽培におけるスレート土壌のメリットを考察

スペインのワイン産地のいくつかではスレート土壌が好まれて利用されています。 例えば、プリオラートやビエルソなどが該当します。 (関連記事: プリオラートのブドウ栽培環境と、素晴らしい赤ワインができるわけ ) そこで、なぜスレート土壌がワイン用のブドウ栽培に好ましいのかを、プリオラートのスレート土壌であるリコレーリャ(リコレリャ、リコレッリャ)土壌の特徴から考察してみました。 リコレーリャ土壌とは、雲母の小粒を含む赤黒いスレート(粘板岩)土壌です。現地語では「LLICORELLA」と書かれます。 リコレーリャの特徴を下図のようにまとめてみました。 このリコレーリャの土壌のプリオラートでは、ブドウの収量が制限されるため、凝縮度の高い品質の高いブドウができると言われています。 収量が制限される理由は大きく2つあると思います。 1つは、土地がやせていて栄養分が少ないことです。これは、スレート土壌がもっている特徴の1つのようです。 そしてもう1つは、プリオラートの降水量の少なさです。夏場に雨が少ないことで、ブドウが摂取する水が制限されるので、収量が制限されるというわけです。 しかしその反面、安定的に一定の水が摂取できないと、かえってブドウには干ばつのリスクが高まります。 そこで役に立つのがスレート土壌の垂直に割れやすいという性質です。この性質によってブドウは地中深くの水を確保できるので、常に最低限の水が確保できるのだと思います。 これがスペインのいくつかの産地において、スレート土壌が好まれる理由なのではないかと考察します。 <了>

カスティーリャ・イ・レオン州のワイン産地をまとめてみる

スペインには素晴らしいワイン産地がたくさんあるのですが、産地の数が多すぎて、個人的には1つ1つの特徴を捉えることが難しいと感じています。 リオハとプリオラートはとても有名なので、比較的しっかりと特徴を捉えているつもりですが、カスティーリャ・イ・レオン州となると、州全体の特徴は何とかわかるのですが、個別の産地の特徴については少しおぼろげです。 そこで今回は、スペインの「カスティーリャ・イ・レオン(Castilla y León)州」のワイン産地の特徴をまとめてみたいと思います。 まず、スペインのワイン産地全般についてですが、基本的に、ワイン産地は州ごとにまとめられていることが多いです。ただし、リオハDOCaのように、ラ・リオハ州を中心としてバスク州とナバーラ州にもまたがっているという例外も存在します。 スペインには17の自治州があり、カスティーリャ・イ・レオン州は北部の内陸に位置しています。 カスティーリャ・イ・レオン州の基本的なブドウの栽培環境の特徴は、 ・メセタにあるので標高が高い ・内陸にあるために大陸性気候(暑く短い夏と、寒い冬)である ・大西洋の影響はあまり受けず乾燥している などです。 ちなみにメセタ(メセタ・セントラル)とは、イベリア半島中央部にある乾燥した高原のことです。下図のように広範囲に広がっています。 カスティーリャ・イ・レオン州の主なワイン産地をあげると次のような産地があがります: ・ビエルソDO ・リベラ・デル・ドゥエロDO ・トロDO ・ルエダDO 気候は基本的には温暖な大陸性気候です。しかし、やや海の影響を受けるビエルソDOと、完全な大陸性気候のその他3つの地域ではやや気候や栽培環境が異なります。 それぞれの栽培環境を簡単にまとめてみました。下図からも分かるように、「リベラ・デル・ドゥエロDO」、「トロDO」、「ルエダDO」はかなり乾燥した地域です。 栽培環境が異なれば、そこで造られるワインの特徴も異なります。各産地の主要なワインの特徴をまとめてみました。 ビエルソDO の主要なワインは、メンシア(Mencia)というブドウから造られるミディアム~ミディアム(+)ボディの赤ワインです。 メンシアという品種は、主にガリシア州で栽培されている品種ですが、ビエルソはガリシア州との境に位置している影響もあり、この品種が用いられているようです。 も