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ワイン名称に出てくるフランス語の「Côte」と「Coteaux」の違いとは?

 タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>

ワイン名称に出てくるフランス語の「Côte」と「Coteaux」の違いとは?

 タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>

アンジュ&ソミュールで製造される3つの主要なロゼワインの違とは?

 ロワール地方のアンジュ&ソミュール地区は、ロゼワインの製造で有名な地域です。 この地域で造られる主要なロゼワインと言えば次の3つです: ・ロゼ・ド・ロワール(Rosé de Loire) ・ロゼ・ダンジュ(Rosé d’Anjou) ・カベルネ・ダンジュ(Cabernet d’Anjou) この3つのロゼワインの特徴を簡単にまとめてみました。 使用されるブドウ品種 まず、試用されるブドウ品種ですが、それぞれに違いがあります。 ロゼ・ド・ロワール ではさまざまな黒ブドウ品種の利用が認められています。 具体的なブドウ品種をあげると、カベルネフラン、カベルネソーヴィニヨン、ガメイ、グロロー、コット(マルベック)、ピノノワール、ピノドニスです。 これはもしかしたら、ロゼ・ド・ロワールが他のロゼと比べて、製造範囲が広域であることと関係しているのかもしれません。 ロゼ・ダンジュ では、主に グロロー(grolleau) という黒ブドウ品種が使用されます。 このブドウ品種は、ロワール地方で栽培される主要ブドウ品種の1つであり、その名は黒色に近い見た目から、フランス語でカラスを表す「grolle」に由来しているのだとか。 しかし、特徴や凝縮感に欠けるため、赤ワインの製造には適しておらず、AOCワインとしては主にロゼワインの製造に用いられているようです。 アンジュを代表するロゼワインは、ロワールを代表する品種の1つであるグロローから造られています。 そして最後に、 カベルネ・ダンジュ は、その名の通り「カベルネ」を冠する2種類のブドウである カベルネフラン と カベルネソーヴィニヨン から造られています。 生産可能地域 生産地域の中心は、どのロゼワインも アンジュ&ソミュール 地域です。 しかし、 ロゼ・ド・ロワール のみが、アンジュ&ソミュール地域に加えて、隣のトゥーレーヌ地域でも生産は可能です。 ワインスタイル ロゼ・ド・ロワール は3つのうち、最も残糖が少なく、基本的には 辛口(ドライ) であるようです。 また、色合いは 淡く、フレッシュでフルーティー な早飲みタイプのものが多いようです。 ロゼ・ダンジュ も、ロゼ・ド・ロワールのように 淡い色合いで、フレッシュ&フルーティー ですが、一定量の残糖があるものが多く、半甘口であるようです。 カベルネ・ダンジュ は、ロゼ・...

ロゼワインの3つの製法の違いとは?(シンプルにまとめてみる)

以前にロゼの製法をまとめてみましたが、度々その中身を忘れてしまうので、今度こそ忘れないようにと、それぞれの違いをシンプルな表にまとめてみました。 (参考記事: 図解!赤ワインの製法から考える「ロゼワイン」の3通りの製法 ) 取り上げているのは次の3つの製造方法です: ・直接圧搾法 ・短いマセレーション(セニエ法) ・ブレンド法 これ以外にも、発酵時に黒ブドウと白ブドウを混ぜる「混醸法」と呼ばれる方法があるようですが、今回は割愛しています。 製造において、大きな違いが生まれる部分を特に赤い枠で囲んでみました。 これを見ると、「直接圧搾法」と「短いマセレーション」は比較的類似している製造方法です。 類似点をあげると次の2点となります: ・インプットとして「黒ブドウ」を用いている ・製造工程は「白ワインの製造工程」に近い 一方で、この2つの製造方法の大きな違いはマセレーションの長さです。 「直接圧搾法」においてマセレーションはほとんど行われない一方で、「短いマセレーション」では2、3時間~数日間のマセレーションが行われます。 このマセレーションの長さの違いは、アウトプットとなるロゼワインの特徴にも影響を与えており、「短いマセレーション」で造られたワインは「直接圧搾法」で造られたワインに比べ、より濃い色、より強い香りが現れると言われています。 「ブレンド法」は、「直接圧搾法」や「短いマセレーション」と比べると一風変わった製造手法であり、この手法ではインプットとしてブドウではなくワインを用いています。 「ブレンド法」は、白ワインに少量の赤ワインを加えるという最も簡単な製造手法を用いていますが、シャンパーニュなどのスパークリングワインの製造を例外として、ヨーロッパのワイン法ではほとんど認められていない製法であるようです。 逆を言えばヨーロッパ以外の地域では使われることもあるようですが、この方法は主に低価格帯のワインで用いられているようです。 しかし、単純な方法であるがゆえに、「ブレンド法」でワインを造る場合には、ロゼワインにおいて重要であると言われる、ワインの色味を容易にコントロールできるという大きなメリットがあるようです。 最後に、余談ですが「短いマセレーション」はあえて「セニエ法」とは記述をしませんでした。 セニエ法とは高級な赤ワインを濃縮させる場合の醸造手法であり、その副...

なぜ、A.O.C. フラジェ・エシェゾー(A.O.C. Flagey-Echézeaux) のワインが無いのか?を考察

 今回のテーマは、ブルゴーニュの「コート・ド・ニュイ(Côtes de Nuits)」地区にある「 フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux)  」村です。 場所は下の地図のように、モレ・サン・ドニ村、ヴージョ村、ヴォーヌ・ロマネ村の間に挟まれています。 コート・ド・ニュイの村名のワインが認められている他の村と比べると、特にそれほど小さい村でもありません。ヴージョ村やヴォーヌ・ロマネ村の方がよっぽど面積は小さめです。 しかし、このフラジェ・エシェゾー村ではその名を冠したAOCのワインを造ることは許されていません。つまり、「A.O.C. Flagey-Echézeaux」という名のワインは存在しません。 その代わり、この村で栽培されたブドウから村名を冠したワインを造る場合、全て「A.O.C. Vosne-Romanée」という隣の村の名前を冠したワインとして造られます。 なぜ、フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) には村名のワインが無いのでしょうか?少し疑問に思って、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑について調べてみました。 まず、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑の場所ですが、村名以上のワインを造ることのできるブドウ畑は、村の西側に局地化しているようです。村の中心地は、点線の楕円の部分に固まっているので、場所としては村の外れにあるようです。 この村の西側に局地化した畑のうち、大部分を占める畑は、特級畑である「エシェゾー(Echézeaux)」と「グラン・エシェゾー(Grands-Echézeaux)」です。 これら2つのグランクリュ畑から造られるブドウからは、唯一、フラジェ・エシェゾー村のアイデンティティの感じられる、「A.O.C. Echézeaux」と「A.O.C. Grands-Echézeaux」のワインが造られます。 残りの畑は、プルミエ・クリュ畑と村名ワイン畑となりますが、これらの畑で造られるワインはそれぞれ「A.O.C. Vosne-Romanée Premier Cru」と「A.O.C. Vosne-Romanée」となり、フラジェ・エシェゾー村の名前が使われることはありません。 それでは、ここでヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑の分布を見てみたいと思います。 これを見ると、ヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑は、フラジ...

「Petit Chablis」と「Chablis」の違いは?シャブリの4種類のワインの違いとは?を考察

 シャブリ・ワイン(シャブリ地区で造られるAOCワイン)は、全てシャルドネ種から造られる白ワインです。 シャブリはワイン産地としてはブルゴーニュに属していますが、コート・ドールなどのブルゴーニュのその他の地域と比べるとかなり北に位置しています。 どちらかというと、ブルゴーニュよりもシャンパーニュがすぐ近くにあり、また、内陸であることもあり、気候としてはかなり寒い地域であることがわかります。ちなみに、シャンパーニュでスパークリングワインが多く造られている理由の1つは、果実が十分に熟さないことがあり、シャブリでスティルワインを造る難しさが何となく想像できます。 そんな寒い気候の中で造られるシャブリのワインは、高い酸味とすっきりとした味わいが特徴の辛口ワインです。 シャブリ・ワインは品質レベルによって大きく次の4つに分けられています: - Petit Chablis(プティ・シャブリ) - Chablis(シャブリ) - Chablis Premiers Crus(シャブリ・プルミエ・クリュ) - Chablis Grands Crus(シャブリ・グラン・クリュ) ワインのラベルを見ると、そのワインがどの品質レベルのワインなのかは一目瞭然です。通常、4つのいずれかが大きくラベルに書かれているはずです。 最上級のグラン・クリュとプルミエ・クリュのワインの場合には、クリマと呼ばれる畑の名前が書かれている場合があります。 では、この4つのワイン、それぞれに何が異なるかというと、ブドウの栽培環境が大きく異なります。そして、それによって、出来上がるワインの味わいに違いが生まれます。 シャブリでは特に、斜面の性質と、土壌の違いが、大きく栽培環境の違いに寄与していると言われています。4つのワインの栽培環境の違いを、斜面と土壌の特徴でまとめてみると次のようになります。 基本的には、 プティ・シャブリ ↓ シャブリ ↓ プルミエ・クリュ ↓ グラン・クリュ の順番に、果実がより成熟しやすい環境にあり、より果実の凝縮度と骨格を持ったワインができあがります。 ワインの長期熟成能力(ワインを熟成させて品質の上がる可能性)は、基本的には果実味の凝縮度と骨格(特に酸味)で決まるので、プティ・シャブリは早飲みに適しており、グラン・クリュは長期熟成に適するワインとなります。 結果として、それぞれ...

ドイツワインの品質分類のピラミッドで誤解していたこと

 ドイツワインは、ワイン法によって大きく 4つ に分けられています。 原産地名称保護のある「 プレディカーツヴァイン(Prädikatswein) 」と「 クヴァリテーツヴァイン(Qualitätswein) 」、地理的表示保護のある「 ラントヴァイン(Landwein) 」、そして、地理的表示のない「 ドイッチャー・ヴァイン(Deutscher Wein) 」の4つです。 図で表すと次のようなピラミッドで表されます。ドイツワインを学ぶ場合、これはおなじみのチャートです。 これは基本的には、 品質分類の順位 を表したものだと思います。つまり、そのワインの 生産における制約の厳しさ を、上から順に並べたものだと思います。 例えば、最上位のプレディカーツヴァインの製造には、ブドウの栽培地、収穫方法、ブドウ中の最低糖度、ラベル表示などに厳しいルールが設けられています。しかし一方で、最下位のドイッチャー・ヴァインにおいてはドイツ国内であれば特にブドウ栽培地の制約はなく、その他についてもそれほど厳しい制約はありません。 そして、このような特徴を持つ品質分類のピラミッドにおいて、私は長らく勘違いをしていました。 それは、 「基準が厳しい=生産量が少ない」という思い込み です。そのため、生産量は階層が下のものの方が多く、上位になるにつれて減っていくと思っていました。 ちょうどピラミッドのチャートが表すように、下位の ドイッチャー・ヴァインやラントヴァインがドイツワインの生産量を下支えしている のだと思い込んでいました。 しかし、実際の生産量は、その思い込みと異なりました。 生産量を考慮すると、ピラミッドは概ね次のような形となります。 ドイツワインの生産量を下支えしていると思われていた「 ドイッチャー・ヴァイン 」と「 ラントヴァイン 」を合わせた生産量は実は全体の4%ほどしかないそうです。 そして、残りの生産の2/3ほどを「 クヴァリテーツヴァイン 」が占めており、残りの1/3ほどが「 プレディカーツヴァイン 」です。 実は、日常的にもっとも多く飲用されているワインは、このチャートが表すように「 クヴァリテーツヴァイン 」なのだとか。 今回の件は、チャートによる視覚的効果によって、事実を誤認してしまう典型的な例の1つだと思いました。 このような品質基準のピラミッドチャート...

ボルドーの右岸、左岸のワインスタイルとは?その違いを考察

 ボルドーワインについて語られるときに、 「右岸(のワイン)」 と 「左岸(のワイン)」 という言葉が用いられます。 「右岸」とは、ジロンド川とその支流のドルドーニュ川の東岸のエリア 、そして、 「左岸」とは、ジロンド川とその支流のガロンヌ川の西岸のエリア を指します。 ワインの世界ではボルドー以外でも「右岸」、「左岸」という言葉が用いられますが、基本的には川の上流を視点に川の右側、左側が決められています。 ちなみに、どちらにも当てはまらないドルドーニュ川とガロンヌ川にはさまれた地域は、「アントル・ドゥー・メール地区」(2つの海の間という意味)と呼ばれています。 「右岸」と「左岸」で異なるワインのスタイル 一般にボルドーの 「右岸」と「左岸」では、そのワインのスタイルが異なる と言われています。ボルドーのワイン生産量のほとんどは赤ワインであるために、右岸のワイン、左岸のワインという言葉が使われるときの多くは赤ワインのことを指しています。 スタイルの違いの主な理由は、それぞれのワインで使われる ブドウ品種の違い にあると言われています。 右岸のワイン で最も多く利用されるブドウ品種は 「メルロ」 であり、それに 「カベルネ・フラン」 などの品種がブレンドされます。 左岸のワイン で比較的多く利用されるブドウ品種は 「カベルネ・ソーヴィニヨン」 であり、多くの場合それに 「メルロ」 がブレンドされています。 同じボルドーという名の地域にありながら、右岸、左岸で栽培されているブドウ品種が異なる理由は、主に土壌の違いと言われています。 「右岸」の土壌は主に粘土質土壌 です。粘土質土壌は水分を多く含むため、日中の温度が上がりにくいことが特徴です。そのため、果実の成熟に一定の暖かさが必要なカベルネ・ソーヴィニヨンは右岸の粘土質土壌での栽培が難しく、比較的、涼しい環境でも栽培のしやすい メルロ や カベルネ・フラン が多く栽培されています。 一方で、 「左岸」の土壌は砂利や小石を多く含む土壌 であり、排水性が良く、日中の気温が上がりやすいことが特徴です。そのため「左岸」の地域では、栽培に一定の暖かさが必要な カベルネ・ソーヴィニヨン が比較的多く栽培されていると言われています。 「右岸」と「左岸」ではこのようなワインに使われるブドウ品種の違いがあるわけですが、 この違いが...

オレンジワインとは?かんたんに、他のワインとの製造工程の違いを比較・考察

 ワインと言えば、白ワイン、赤ワイン、ロゼワインの3つがメジャーなカテゴリーです。 しかし、近年、新たなカテゴリーとして「 オレンジワイン 」が人気を博しています。 オレンジワインとは、恐らくその見た目が命名由来であり、通常、オレンジ色や琥珀色をしています。 では、なぜそのような見た目の特徴が出るのかを、製造工程に焦点を当てて考察してみたいと思います。 オレンジワインの製造工程について まず、オレンジワインは 白ブドウ からできています。 しかし、そのスタイルは 白ワイン とは大きく異なります。そのスタイルの違いは製造工程に由来しており、 オレンジワインは白ブドウを使って赤ワインの製造工程を経て造られている とよく言われます。 白ワインと赤ワインの製造工程の違いを簡単にまとめると次のような図になります。 白ワインと赤ワインの製造工程の大きな違いは、果皮の分離のタイミングであり、白ワインは アルコール発酵前 に果皮が果汁から分離されるのに対して、赤ワインでは果皮は アルコール発酵後 に分離されます。 言い換えると、白ワインは果汁のみでアルコール発酵が行われるのに対して、赤ワインでは果汁が果皮(その他、種子や果肉も含む)を含んだ状態でアルコール発酵がなされます。 これを踏まえて、オレンジワインの製造工程を当てはめてみると、次の図のようにあらわされます。 同じ白ブドウから造られる白ワインと比較をしてみると、果皮の分離のタイミングが アルコール発酵後 であることがわかります。 オレンジワインでは、果汁と果皮が接触している時間が長いために、果皮から溶け出す成分の影響によって、オレンジ色のような色になると言われています。 ちなみに、オレンジワインは別名、 スキンコンタクトワイン とも呼ばれています。国際ブドウ・ワイン機構(OIV)によると、オレンジワイン/アンバーワインは「マセラシオンのある白ワイン」と説明されており、その最低期間は1か月と言われています。 先ほど説明をしたオレンジワインの製造工程では、簡素化のために果皮分離のタイミングをアルコール発酵後としていましたが、OIVの説明によると長期のマセレーションを経ていれば、必ずしも果皮とともにアルコール発酵を行っている必要はなさそうです。 下図の上の流れが、それを表したものです。下の流れは、先ほどの説明のようにアルコー...

ボルドー・シュペリウール(Bordeaux Supérieur)AOCとは?ボルドーAOCとの違いを考察する

ボルドー産のワインを購入してみると、よく見かけるのは「ボルドーAOC(Bordeaux AOC)」のワインです。 (関連記事: 個人的なAOCの簡単ざっくり理解 ~AOCってこういうこと? ) そしてボルドーAOCと同様に、「Bordeaux Supérieur」と書かれたワインもよく目にします。これは、原産地呼称が「ボルドー・シュペリウール(Bordeaux Supérieur)AOC」のワインです。(※Supérieurは、シューペリュールとも表記されます) 例えば、成城石井で長年人気の赤ワインである「CH ラ ヴェリエール ルージュ」は「Bordeaux Supérieur AOC」のワインです。 →  https://amzn.to/40Uz4aU (こちらのAmazonサイトで購入可能です) ふと思い立って、ボルドーAOCとボルドー・シュペリウールAOCの2つのワインにどんな違いがあるのかを調べて考察してみました。 ボルドーAOCとボルドー・シュペリウールの共通点 まずは、この2つのワインの共通点から調べてみました。主な共通点は次の通りです: ・ボルドーの全ワイン生産地域で製造可能なワインである(ジェネリックAOCワイン) ・品質レベルはそこそこで、ボルドーの特定地域の名称がラベルに書かれたワインほど品質が高くない ・価格は低価格~中価格程度である ・両者ともに赤と白のスティルワインがあり、赤はメルロ、白はソーヴィニヨン・ブラン主体のワインである ・ワインのスタイルは主にミディアムボディ程度である ボルドーAOCとボルドー・シュペリウールAOCのワインは、ボルドーで最も生産量の多いワインであり、ボルドーで生産されるワインの約半分を占めるそうです。 ボルドーAOCとボルドー・シュペリウール の相違点 では、今度はこれらのワインの違いをまとめてみようと思います。それぞれの違いは次の通りです: ・ボルドー・シュペリウールAOCの 赤ワイン は、その名の通りボルドーAOCよりも若干品質が高い(supérieurとは、上位の、上質のという意味です) ・ボルドー・シュペリウールAOCの 白ワイン は、基本的に甘口で、ボルドーAOCとはスタイルが異なる(ただし、赤ワインに比べると製造量はずっと少ない) ・ボルドー・シュペリウールAOCの ロゼワイン はない ・...

ボルドーのブドウ栽培の特徴を考察

 ボルドーのワイン用ブドウの栽培の特徴をまとめると次の4点になるのではないかと思います: ① 高い栽培密度 ② キャノピーマネジメント ③ 収穫量のコントロール ④ 手作業による収穫 ① 高い栽培密度 ボルドーのブドウ畑では、しばしばブドウ木が高い密度で植えられます。 これは特に、高い品質のワインを造る生産者の畑で顕著な特徴です。 このような高密度での栽培がおこなわれる理由の1つは、ボルドーのブドウ畑の土地の価格の高さです。限られた財源で得られた、限られた広さの土地で、いかに効率的にブドウ栽培を行うかということが、ボルドーでのブドウ栽培の重要なテーマの1つになるのではないかと思います。 このような高密度での栽培ができる理由にはボルドーの気候の影響も考えられます。高密度でのブドウ木の栽培には水不足のリスクを伴いますが、比較的雨の多い海洋性のボルドーの気候では、このようなリスクを抱えることはあまりないのではないかと思います。 ボルドーの温和で湿気のある気候では、ブドウの実に十分に栄養をいきわたらせるためにブドウ木の樹勢を抑制することが重要となりますが、高密度で栽培されたブドウ木では自然に樹勢が抑制されます。この点も、高密度でのブドウ栽培がボルドーの気候に合っている1つの理由なのではないかと思います。 一方で、高密度での栽培には、棚付のためのより多くの支柱や針金を用意したり、専用のトラクターを準備する必要があったり、仕立や耕作、スプレーなどにより多くの手間がかかるなど余分なコストがかかることになります。しかし、これらのコストを差し引いても、ボルドーでは高密度で栽培をするメリットの方が大きいのだと思います。 ② キャノピーマネジメント 先ほども触れましたが、ボルドーの気候は温和な湿気のある気候のために、質の高いブドウを栽培するためには樹勢をコントロールすることが重要です。 (参考記事: ブドウの収穫量と果実の品質の関係を考察 ) (参考記事: canopy management(=キャノピー・マネジメント)の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語 ) キャノピーマネジメントには、枝葉の伐採などが含まれ、次のような効果があると言われています: ・ブドウ木の通気性の改善 ・果実の腐敗の防止 ・果実への日当たりの改善 ・収量の調整 ・果実への栄養の配分 ボルドーの雨や湿気の...

なぜ高地では日較差(昼夜の気温差)が大きいのかを考察

日較差(昼夜の気温差)はブドウ栽培に大きな影響を与える要素です。 日較差の大きい地域でブドウ栽培を行う場合、次のようなメリットがあると言われています: ・ブドウ中の酸味が保持される ・ブドウの成熟速度が緩やかになり、香りやタンニンが十分に成熟する (→ 補足記事: ブドウ栽培で涼しさはなぜ必要? ~温暖地域で冷涼効果が好まれる理由を考察 ) そして一般的に、高地では日較差が大きくなると言われています。 たとえは、アルザスのブドウ畑は日較差が大きいと言われていますが、多くの畑は山の東側の比較的標高の高い斜面に位置しています。 それでは、なぜ高地では日較差が大きくなるのかを考察してみたいと思います。 まず、日較差に大きな影響を与えるものは、 大気中に含まれる水分 であると言われています。 地面は日中、太陽光から得た熱を吸収し、夜間にはその熱を放出します。日中に得られた熱は大気中の空気や主に水蒸気によって保持されるために、一部の熱は夜間にも保持されます。 標高の高い高地では、空気が薄く、水分も保持しにくいために、日中の熱が急速に逃げるために、夜間の温度は低くなりやすいと言われています。 これをイメージ化すると、上のようなチャートで表すことができるのではないかと思います。 この空気中の熱を保持する力(主に水蒸気量)の違いが、標高の違いによる夜間の熱の放出量に違いを生み、日較差(寒暖差)を生み出しているようです。 そしてこれ以外にも、「放射冷却の影響」や「海からの距離」、「地中の水分量」なども、日較差に影響を与えていることが考えられます。 放射冷却は、雲があることによって妨げられますが、標高の高い地域の方が、平野部に比べて雲がかかることが少ないと考えられます。 海などの大きな水塊は、気温の変化を緩和する役割を果たしますが、一般的に標高の高い地域は、内陸の海から離れた地域に位置しています。 標高の高い特に斜面では、水はけのよい土壌が多いために、平野部に比べて地中の水分が少なくなります。乾いた土壌は水分の多い土壌に比べて、夜間の温度変化は大きくなります。 このように、空気中の水蒸気量の影響を中心に、標高の高い高地では、寒暖差が大きくなるのではないかと考察されます。 <了>

発酵温度によるワインスタイルの違いのまとめ

マスト(ブドウ果汁や果肉、果皮などの混合物)の発酵温度によって出来上がるワインにどのような特徴の違いが出るのかをまとめてみました。 まず発酵温度についてですが、白ワインと赤ワインでは、低温、高温と言われる発酵温度は異なります。 一般に、白ワインの方が赤ワインに比べて低い温度で発酵されます。 低温での発酵の特徴 低温での発酵の特徴は、フレッシュでフルーティーな香りが生成・保持されやすいこと、また、ブドウからの果汁以外の成分の抽出度合いが低いことです。 それにより、出来上がるワインはフレッシュで果実味があり口当たりの良いものになると言われています。 しかし一方で、長期熟成に必要な果実の香りの凝縮度や、骨格となるタンニンや酸味が十分に抽出されないために、早々に出荷されて消費されることを目的とした早飲みタイプのワインになりやすいと言われています。 ちなみに白ワインの発酵温度が赤ワインよりも低い理由は、白ワインにとってフレッシュでフルーティーな香りはより重要で、赤ワインのようにタンニンの抽出を必要としていないことにあるようです。 高温での発酵の特徴 高温での発酵の特徴は、ブドウの果皮などからの抽出度合いが高まるために、果実の香りの凝縮度や、骨格となるタンニンなどの成分が果汁内に多く抽出されることです。 一方で、揮発性のエステルなどの成分が失われてしまうことで、フレッシュでフルーティな香りが失われてしまうとも言われています。 このような発酵の特徴から、高温で発酵された場合には、より長期熟成に向いたワインが出来上がると言われています。 <了>

サモロドニ?サモドロニ?まぎらしいトカイワインの名称の覚え方【語呂合わせ】

 トカイワインと言えば、貴腐ブドウから造られる甘口の 「トカイ・アスー(Tokaji Aszú)」 が有名です。 しかしそれ以外にもいくつかのスタイルのワインが造られています。 PDO(原産地呼称保護)ワインとしては、貴腐ブドウのフリーラン果汁のみから造られる極甘口の 「トカイ・エッセンツィア(Tokaji Eszencia)」 や、非貴腐ブドウから造られる 辛口ワイン 、そして、貴腐が部分的に発生している房から造られる 「トカイ・サモロドニ(Tokaji Szamorodni)」 があります。 トカイ・ サモロドニ は、貴腐ブドウの含有量によって、 辛口(サラーズ; sáraz) になったり、 甘口(エーデシュ; édes) になるそうです。 トカイ・サモロドニは、貴腐が部分的に発生した房を収穫して製造することが特徴ですが、このような収穫の分類は 「サモロドニ」 と呼ばれています。サモロドニという呼称は、ポーランド語の 「そのままに」 を意味する言葉に由来をすると言われていますが、貴腐ブドウだけを選別せずに房のまま収穫してしまうところはまさにその言葉通りです。 サモロドニの収穫は貴腐ブドウの割合が少ない年に特に行われることが多いそうです。数少ない貴腐ブドウを見つけるために収穫者が何度も畑を行き来することが不経済であるためです。 さて、ここまで説明をしてきた「サモロドニ」ですが、個人的には「サモドロニ」や「サドロモニ」だったか記憶があいまいになってしまいます。また、辛口や甘口の名前もなかなか覚えるのが大変です。 そこで、暗記をするための語呂合わせを考えてみました。 ちなみに、ロドニー(=ロドニー・グリーンブラット)は、パラッパラッパーのイラストでも有名なアメリカ出身のイラストレーターです。 最後に、サモロドニの製造についてです。 トカイの代表的なワインである「トカイ・アスー」は、貴腐ブドウをベースワインに漬け込んで製造することが特徴的です。 しかし、「トカイ・サモロドニ」では、貴腐ブドウの漬け込みは行われず、一般の白ワインに近い醸造プロセスを経るようです。 甘口、辛口ともに熟成を経て瓶詰がされますが、辛口の場合は特にフロール(産膜酵母)のもとで長期間熟成されることが非常に特徴的であるそうです。

ドイツのブドウ栽培に影響を与える川や山地のまとめ

山地や川などは、ブドウ栽培において大きな影響を与える地形的特徴です。ネット上になかなかまとまった情報がなかったので、個人的にまとめてみました。 ちなみに主要なブドウ栽培産地は下図のように分布しています。 ライン川(Rhine river)とその支流 寒い気候のドイツのブドウ産地において、川はブドウ栽培に大きな影響を与えています。 川は昼夜や季節による急激な温度変化を和らげるため、その付近の寒さを和らげます。また、日光を反射することでブドウの成熟も助けます。このような影響により、川沿いではより長い期間、ブドウを生育することができると言われています。 ドイツの高品質ワインの産地 (Anbaugebiete) のほとんどすべてが、 「ライン川(Rhine river)」 もしくはその支流沿いに位置しています。 ライン川は、 ラインガウ(Rheingau) において川幅が広くなり、ここでは気候の緩和や、霜のリスクの軽減だけでなく、秋には貴腐ブドウを造るのに適した環境を提供します。 タウヌス(Taunus)山地 山地はブドウ畑を冷たい風や雨から保護してくれる役割を果たします。 ラインガウの北部にそびえる 「タウヌス(Taunus)山地」 は、 ラインガウ(Rheingau) や ラインヘッセン(Rheinhessen) を雨風の悪影響から守り、ブドウ栽培に適した環境にすることに貢献しています。 フンスリュック(Hunsrück)山地 「フンスリュック(Hunsrück) 山地 」 は モーゼル(Mosel) と ナーエ(Nahe) の間に位置する産地です。 この山地は、その西に位置する ナーエ(Nahe) と ラインヘッセン(Rheinhessen) のブドウ畑を雨風の影響から保護する役割を果たします。 ハールト(Haardt)山地 「ハールト(Haardt)山地」 は、 ファルツ(Pfalz) の西部にある山地です。 南部ではフランスとの国境を経て、アルザスの 「ヴォージュ(Vosges)山脈」 に続いています。 ハールト山地は、アルザスにおけるヴォージュ山脈と同様の効果をもたらし、 ファルツ(Pfalz) を西部からの雨風から保護します。 そのため、 ファルツ(Pfalz) はドイツで最も乾燥したワイン産地の1つとも言われています。 また、ハールト山地はこの地域に南向きも...

ドイツワインの品質レベルとブドウ産地の関係と、ラベル表示の話

「ドイツワインの品質レベル」と「産地の区画(栽培地域)」の関係がわかりにくいのでまとめてみました。 重要なのは、PDOレベルのワインである「 プレティカーツヴァイン 」と「 クヴァリテーツヴァイン 」の産地です。 クヴァリテーツヴァインに使用されるブドウは「 アンバウゲビート(Anbaugebiete) 」と呼ばれる13地域(モーゼル、ラインガウなど)のうちいずれかの1つの地域で栽培されます。そしてその地域名は、出来上がったワインのラベルに表示されなければなりません。 プレティカーツヴァインに使用されるブドウは「 ベライヒ(Bereich) 」と呼ばれる地区のいずれか1か所で栽培されます。ベライヒとは、13のアンバウゲビートがさらに細分化された栽培エリアのことです。 ベライヒはさらに細分化され、統合畑である「 Grosslage(グロースラーゲ) 」と単一畑の「 Einzellage(アインツェルラーゲ) 」が含まれます。 これらの畑の名称は、PDOレベルのワインである「 プレディカーツヴァイン(Prädicatswein) 」や「 クヴァリテーツヴァイン(Qualitatswein) 」のラベルに表示することが許されています。しかし、ある程度の知識が無い限りこれらの畑の名前からワインの品質を判断することが難しいため、より分かりやすいラベル表示の導入が求められているようです。 ドイツ語のワイン用語を覚えるのは大変ですが、ここでは「gebiete (独) ≒ area (英)」、「lage (独) ≒ location (英)」辺りをおさえておくと、少し覚えやすくなるような気がします。 ちなみに、個人的に「 アンバウゲビート 」がどうしても覚えられなかったので、次のようなイメージで覚えました。 ドイツの畑名によるラベル表示がなぜわかりにくいのか? ドイツの畑名によるラベル表示がわかりにくい理由は、畑名の表示からはワインの品質レベルがわかりにくいことがあげられると思います。 例えば、ピースポート村にある「Goldtropfchen」という名前の単一畑(Einzellage)と、統合畑「Michelsberg」で造られるワインは、それぞれ「Piesporter Goldtropfchen」と「Piesporter Michelsberg」とラベル上に表示されます。 しかし...

アイスヴァイン(Eiswein)の製造方法とクリオ・エクストラクション

 ドイツのアイスヴァイン(Eiswein) の製造方法をまとめてみました。 アイスヴァインは、非常に糖度の高いブドウから製造されます。 糖度の高さは、ドイツワインで最も糖度が高いブドウ果汁から造られる「トロッケンベーレンアウスレーゼ」に次ぐ高さです。 (関連記事: プレディカーツヴァインの6区分の直訳による覚え方 ) なぜ、こんなにもブドウ中の糖度が高くなるかというと、冬の寒さによりブドウ中の水分だけが凍結し水分を失うため、次第に糖分濃度が高まっていくためです。 凍ったままのブドウは圧搾され、凍った水分をそのまま圧搾機の中に残し、非常に糖分濃度が高いブドウ果汁が得られます。と同時に、酸味などの糖分以外の成分も凝縮されます。 「アイスヴァイン」と名乗るには、ブドウは自然環境で凍結されなければなりません。 クリオ・エクストラクション(Cryoextraction)とは? クリオ・エクストラクション(Cryoextraction) とは、ブドウ果実の凍結を人工的に行うワインの製造手法です。 この手法を用いることで、ドイツのような厳しい冬がない暖かい地域でも、アイスヴァインのようなワインを製造することが可能となります。 アイスヴァイン用のブドウ栽培では、寒い季節が到来するまで長らく樹上にブドウ果実を残しておく必要があるため、ブドウは病気や害虫、獣害の高いリスクにさらされます。 クリオ・エクストラクションではブドウを凍結させるコストがかかりますが、それでも、アイスヴァインほどのコストはかからないというメリットがあります。 しかし、人工的な凍結手法を用いているために、当然、「Eiswein」や「Icewine(カナダの自然凍結ブドウから造られる甘口ワイン)」という名前を名乗ることはできません。

キュヴェ(Cuvée)とは何か?分かりにくいワイン用語、キュヴェについて考える

ワインにおける 「キュヴェ(Cuvée)」 とは、なんとなく意味がわかりそうで、でも、意味を聞かれるとしっかりと答えるのが難しい言葉のような気がします。 そういえば、私がワインを学ぼうと思ったきっかけも、この 「キュヴェ」 という言葉でした。 あるとき、仕事の資料の中に 「Cuvée」 という言葉がでてきて、意味を調べようとさまざまサイトやブログを検索をしてみました。 しかし、どのサイトやブログの説明を見ても、いまひとつ何のことを言っているのかよくわかりませんでした。結局、ワインをある程度体系的に学ばなければ、 「キュヴェ 」の意味を理解できないという結論に至って、そこからワイン学習に興味を持ち始めました。 あれから数年ワインの勉強を続けて、 「キュヴェ」 とはこんなことを意味するのではないかと思うところをまとめてみました。あくまでも私自身の理解なので、正解かどうかはわかりません。 まず、「cuvée」という言葉は、「cuve(醸造おけ)」から由来したワイン用語で、基本的には 樽やタンクに入ったひとまとまりのワイン を表すようです。しかし、場合によって様々な意味に使われている言葉のようです。 ワインは上の図のように、多くの場合、異なるソース(畑、畑の区画、品種など)のワインや、異なる醸造工程を経たワインをブレンドして製造されます。そして、最終的なブレンドは、ここのボトルに瓶詰めされます。 多くの場合、キュヴェという言葉は、ワインラベルなどに 「スペシャル・キュヴェ」 などの形で現れます。このようなに使われる 「キュヴェ」 の意味するところは、瓶詰め直前のタンクや樽の中のワインのことだと思います。スペシャル・キュヴェを言い換えると、特別なワインだけでブレンドした 「スペシャル・ブレンド」 のような言葉になると思います。 しかし、醸造工程中にキュヴェという言葉を使う場合は、必ずしも最終的なブレンドだけを表すだけでなく、その前段階の樽やタンクにはいったワインも表すことがあると思います。 基本的には、キュヴェとはこのような意味なのではないかと思います。 シャンパーニュ醸造工程で使われる専門用語の「キュヴェ(Cuvée)」 キュヴェ にはもう1つ意味があります。 こちらは意味が明確な言葉で、 シャンパーニュの製造工程 で使われる専門用語です。 図のようなブドウのシャンパーニュ...

ヴァン・ジョーヌ(Vin Jaune)の製法とフィノとの違いに関する考察

  ヴァン・ジョーヌ(Vin Jaune)はフランスのジュラ地方で造られる特殊白ワインです。 製造方法が独特なので、簡単にまとめてみました。 基本的には、サヴァニャン種のブドウから、辛口白ワインを製造し、それをオーク樽で少なくとも60ヵ月をかけて長期熟成します。 特徴的なのは、ワインはヴォワール(le voile)と呼ばれる産膜酵母のもとで熟成されることです。 産膜酵母のもとで熟成されることで、ワインにはパン生地、クルミなどの香りが付加されます。 また、長期熟成を経ることでワインはその名の通り、「黄色」に近い色に色濃く変色します。(ヴァン・ジョーヌ=黄ワイン) 7年もの製造期間を経た後、ワインはクラヴランと呼ばれる62 cl(= 620 ml)の独特なボトルに入れられ販売されます。下の図のように、一般のワインボトルに比べると、少しずんぐりむっくりのボトルです。 このようなヴァン・ジョーヌの製造方法ですが、非常にシェリーのフィノの製造方法に似ています。 フィノもフロール(flor)と呼ばれる産膜酵母のもとで一定期間熟成されます。 そのため、実際に出来上がるワインも、パン生地やクルミの強い香りという共通の特徴を持っています。 しかし、フィノとヴァン・ジョーヌの異なる部分もいくつかあるので、こちらに関してもまとめてみました。 大きな違いは次のような点です: ・酸味 ・酒精強化 ・ワインのつぎ足し ・瓶内熟成能力 酸味の強いサヴァニャン種から造られるヴァン・ジョーヌの強い酸味は、酸味の低いパロミノ種から造られるフィノとの大きな違いとなっています。そしてこの酸味の存在は、ヴァン・ジョーヌの瓶内熟成能力に大きく貢献していると思われます。一般的に、強い酸味と果実の凝縮度を持つ白ワインは、瓶内熟成能力があると言われているためです。 また、ヴァンジョーヌでは酒精強化をしないことは、酒精強化を行うフィノと大きくことなります。このため、ヴァンジョーヌのアルコール度(13.5~15%)はフィノのアルコール度(15~15.5%)よりも低めです。 最後の違いは、ヴァン・ジョーヌにおいてワインのつぎ足しが行われませんが、フィノではソレラシステムによって定期的にワインのつぎ足しが行われることです。ワインのつぎ足しは産膜酵母の維持や、ワインの新鮮さを保つことに大きく関わると言われ...

マルベック?コット?オーセロワ?紛らわしいシノニム

マルベック(Malbec) はフランスを起源とする黒ブドウ品種です。 フランス南西地方のカオール(Chaors)では特に多くのマルベックが栽培されており、この品種を主体としたワインが造られています。マルベックから造られるワイン色の濃さが特徴的で、その色の濃さから「 ブラックワイン 」とも呼ばれています。 また、ボルドーやロワールでも栽培面積は大きくはありませんが、ブレンドワインの一部に使われいます。 フランス以外ではアルゼンチンが最も有名で、19世紀に海を渡って以来広く植えられ、多くのワインが製造されています。 こんなマルベックですが、やや名前が面倒です。 なぜかと言うと、まずこの品種にはいくつかの別名(シノニム)が存在します。有名なものは「 コット(Côt) 」や「 オーセロワ(Auxerrois) 」で、先述のカオールではこのような名前でも呼ばれています。 オーセロワと言えば、アルザスでピノ・ブランとのブレンドに使われる「 オーセロワ・ブラン(Auxerrois blanc) 」という白ブドウ品種があります(ドイツやルクセンブルクでも栽培され、単に オーセロワ と呼ばれるそうです)。しかし、紛らわしいことに、これはマルベックとは全くことなるブドウ品種です。 また、マルベックに似た「 マルベック アルジェント(Malbec Argente) 」と呼ばれるブドウ品種も存在します。これはフランス南西地方の黒ブドウで、一般的には「 アヴリュー(Abouriou) 」という名で呼ばれるブドウ品種です。 このように、マルベックはシノニムを含めて、何かと紛らわしい名前が色々あります。 最後に、以前に一度、カオールAOCのマルベックを味わったことがあります。(マルベック85%+メルロー15%) 「ブラックワイン」と言われるのでもっと黒に近い色を期待していましたが、この時のワインは濃い紫色でした。(左のボルドーブレンドと比べると紫色が際立っています) スミレや、赤/黒プラム、樽(ヴァニラなどの甘いスパイス)の香りと、しっかりとした骨格(酸味+タンニン)を持った、香りが強めのワインでした。

一般的に言うワインの「熟成」とは?素朴な疑問と瓶詰めとの関係

ワインの学習を始めたばかりの頃、ある疑問を持っていました。 それは、一般的に言われる「ワインの熟成」とは、 「 どの プロセスを指しており、どのような効果があるのか」 ということです。 具体的には、 「瓶詰め前にワインを貯蔵しておくこと」 なのか、それとも 「瓶詰め後にワインボトルを寝かしておくこと」 なのか、どちらを指しているのかということです。 ワインの熟成と呼ばれるプロセスには、 「瓶詰め前の熟成」 と 「瓶詰め後の熟成」 の2つのプロセスが存在ます。 ワインの学習を進める中で明らかな答えに出会うことはありませんでしたが、たぶん、 一般的には、広義にそれら両方を指しているのではないか と思っています。 つまり「熟成」とは、「瓶詰め前の熟成」と「瓶詰め後の熟成」の両方を含めた、 醸造したワインを発展させるプロセス全般 を指しているということです。 次の疑問は、 「では、ワインの熟成とは一般的に何を意味しているのか?」 ということです。 熟成の効果は「瓶詰め前の熟成」と「瓶詰め後の熟成」で異なります。 そこで、「瓶詰め前の熟成」と「瓶詰め後の熟成」の 熟成環境の違い と、それによる 熟成効果の違い を簡単に表でまとめてみました。 赤色 の文字が主な違いです。 大きな違いは、「瓶詰め 前 」の方が様々な熟成の容器や方法を用いることができ、そのため、その効果も色、香り、味の多岐にわたります。 ミクロ・オキシジェナシオン(Micro-oxygenation) は、樽熟成などにおける「緩やかな酸素との接触」の効果をもたらす代替手段としても用いられます。 (関連記事: ミクロ・オキシジェナシオン(Micro-oxygenation)とは?マディランのタナとの関係は? ) 反対に「瓶詰め 後 」の方は、最終製品化をした後なので、基本的にはワインボトルを寝かせるだけで、熟成の効果は限定的です。 このようにじっくり調べてみると、「瓶詰め前の熟成」と「瓶詰め後の熟成」では、多少効果が異なりますが、一般的に 「ワインの熟成による効果」 という場合には、両者に共通する効果を大まかに指しているのではないかと思います。 それはつまり、 ・色の変化(白→濃く、赤→薄く) ・ブドウ由来の香りの減少と、熟成由来の香りの増加(ドライフルーツの香りなど) ・タンニン(もしくは、酸味)がまろやかになる...