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6月, 2022の投稿を表示しています

最新記事

エントレ・コルディリェラス? チリの新しい原産地呼称の覚え方

 チリのワイン産地は南北に長く広がりますが、地形的な特徴の影響を受けるために、実は南北よりも東西にかけて、気候や土壌の多様性が非常に高いと言われています。 従来の原産地呼称では、この東西にかけてのワインスタイルの特徴の違いが十分に表現されていませんでしたが、2011年から、この問題を解決するための新たな付加的な原産地呼称が加えられました。 それが、「コスタ(Costa)」、「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」、「アンデス(Andes)」の3つです。 これは従来の原産地呼称に付加的に加えられるもので、例えば「Aconcagua」で造られたワインに対して、「Aconcagua Costa」、「Aconcagua Entre Cordilleras」、「Aconcagua Andes」のようにラベルに表記されるようです。 上図のように、「コスタ」は海の影響を受ける地域、「アンデス」はアンデス山脈の影響を受ける地域、そして「エントレ・コルディリェラス」はその間の地域を表します。 この新たな原産地呼称の仕組み自体はシンプルなのですが、それぞれの名前、特に「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」を覚えるのが厄介です。 そこで、これを覚えるための語呂合わせを考えてみました。 エントレ・コルディリェラスは少し苦しいですが、英語のスペルも覚えられるように、それに合わせた語呂合わせにしてみました。 <了>

ドウロワインがポートワインから恩恵を受けていると言われる理由を考察

ドウロワイン(ドウロDOC)は、ポルトガルの酒精強化ワインであるポートワインと同じ地域で造られるスティルワインです。 生産地域はドウロ川の上流の地域です。 時々、「ドウロワインはポートワインから恩恵を受けている」と言われることがあるのですが、その理由を考察してみました。 参考にしたのはこちらの記事です:『he Port wTine time bomb』(https://www.wine-business-international.com/wine/port-wine-time-bomb) 調べてみると、ポートワインは需要と供給のバランスを保つために畑ごとに製造量が割り当てられているのですが、自社畑の割当以上の量のポートワインを造りたい製造者は、ドウロワイン製造農家からお金を出して追加割り当てを買い取っているというのが、その恩恵を生み出している仕組みなのではないかと思いました。 まず、ポートワインの畑ごとの製造量の割当ですが、これは「ベネフィシオ(beneficio)」と呼ばれているようです。 余談になりますが、「ベネフィシオ」という言葉は、その年にポートワインにすることが許可されているブドウ果汁の総量を表すとともに、この供給量を制限する仕組み自体も表すようで、「ベネフィシオ・システム」と呼ばれているようです。 さらに「ベネフィシオ」という言葉は、ポートワインの製造のために発酵中のブドウマストにブランデーを加えるという酒精強化のプロセス自体もあらわしているようです。 このような規制があるために、ポートワインの製造業者は自社畑に割り当てられたベネフィシオ以上のポートワインは製造できないことになっています。 しかし製造量を増やす方法は1つだけあり、それは他の農家からポート製造用のブドウをベネフィシオと合わせて購入することのようです。 このような買取が許可されているために、ポートワイン製造者が、ポートワインを製造していない農家からブドウ+ベネフィシオを買い取ることが行われているそうです。ポートワイン用のブドウの売買もベネフィシオ・システムで規制がされており、その売買価格は一般のブドウに比べてずっと高い金額でやり取りがされているそうです。 そのため、ポートワインを造らないブドウ農家は、一部のブドウをポートワイン用ブドウとしてベネフィシオと共にポートワイン製造者に販売し、残り

シャルドネの味わいは産地によってどう変わるのか(産地比較)? ~特徴のまとめと、テイスティングによる確認~

 前回のリースリングに引き続き、今回はシャルドネワインについて特徴や産地による味わいの違いをまとめたいと思います。 (関連記事: リースリングの味わいは産地やタイプでどう違うのか? ~特徴のまとめと、テイスティングによる確認~ ) まず、シャルドネワインの特徴は次の通り: シャルドネの大きな特徴は、 ・非アロマティック品種 ・なので、品種由来の香りに加え、製造工程由来の香りも強く表れる ・栽培地域によって異なる特徴のワインを造る ・品質の高いワインは、熟成能力を持つ この辺りではないでしょうか。 シャルドネは世界の様々な地域で造られているために、主要な栽培地域もフランスからニューワールドまで様々です。 その主要産地で造られるシャルドネワインの特徴を簡単にまとめてみました。これもやはり個人的な知識や判断に基づく情報が含まれています。 シャルドネのテイスティング では、この情報を踏まえて、実際にテイスティングをしてみようと思います。 用意をしたワインは次の通りです: ワイン①:『La Chablisienne Chablis La Pierrelee (2018)』(通常のシャブリ) ワイン②:『Chablis 1er Cru Fourchaume Half La Chablisienne (2017)』(シャブリ1erクリュ) ワイン③:『Domaine Bouchard Père & Fils Beaune du Château Premier Cru Blanc (2016) (2016)』(コード・ド・ボーヌ 1erクリュ) ワイン④:『Louis Jadot Mâcon Villages (2018)』(マコン・ヴィラージュ) ワイン⑤:『Saint-Veran Les Deux Moulins (2016)』(サン・ヴェラン [マコネ地区]) ワイン⑥:『Jacob’s Creek Chardonnay (2020)』(低価格オーストラリアワイン) ワイン⑦:『Lucky Lizard Chardonnay D'arenberg (2018)』(アデレードヒルズ [豪]) ワイン⑧:『Marlborough Chardonnay Summerhouse wine (2017) 』(マールボロ [NZ]) ワイン⑨:『Carneros Char

リースリングの味わいは産地や製法でどう違う? ~産地・製法比較のテイスティング~

リースリングは、ヨーロッパからニューワールドまで様々な産地で栽培・醸造が行われている国際的な品種です。 このリースリングの味わいが産地やワインのタイプによってどう変わるのかを、調べて表にまとめてみました。多少、独断と偏見も含まれているかもしれません。 忘れずに、リースリングの品種特徴もまとめておきます。 日本語でまとめると、リースリングワインの基本的な特徴は、次のような点だと思います。 ・アロマティック品種 ・花やフルーツの香りが主体(青い香りはあまりない) ・栽培地域によって香りの特徴が変わる ・酸味が高い(完熟でも酸味を失わない) ・熟成能力を持ちハチミツや石油の香りを発展させる(長期熟成をせずともハチミツや石油の香りを持つワインもある) ・品種由来の香りを押し出したワインが多い(樽やMLF由来の香りはあまりない) ・様々なスタイルがある(ドライ~半甘~甘口、完熟・貴腐ブドウの使用など) (関連記事: WSETをやってわかったリースリングの特徴とその素晴らしさ ) リースリングのテイスティング では、この情報を踏まえて、実際にテイスティングをしてみようと思います。 実際のテイスティングを通して、表にまとめたようなそれぞれのワインの特徴が表れているのかを調べてみました。そして、それぞれのワインの特徴を、簡単なテイスティングノートにしてまとめてみました。 今回用意したのは、次のようなワインです。表にまとめた主要なワインを全て網羅しているわけではありませんが、特徴のきわだったワイン5つに絞って選んでみました。 ワイン①:『Erbacher Siegelsberg Q.b.A. Grosses Gewachs 2018』(ドイツのクヴァリテーツヴァイン) ワイン②:『Riesling Tradition Charles Sparr 2017』(アルザスAOC) ワイン③:『Riesling Annie‘s Lane 2019』(オーストラリア・クレアヴァレーGI) ワイン④:『 Selbach-Oster Riesling Kabinett Selbach-Oster 2014 』(ドイツのカビネット) ワイン⑤:『 Udenheimer Kirchberg Riesling Auslese 2014 』(ドイツのアウスレーゼ) ワイン①:『Erbacher Siege