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エントレ・コルディリェラス? チリの新しい原産地呼称の覚え方

 チリのワイン産地は南北に長く広がりますが、地形的な特徴の影響を受けるために、実は南北よりも東西にかけて、気候や土壌の多様性が非常に高いと言われています。 従来の原産地呼称では、この東西にかけてのワインスタイルの特徴の違いが十分に表現されていませんでしたが、2011年から、この問題を解決するための新たな付加的な原産地呼称が加えられました。 それが、「コスタ(Costa)」、「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」、「アンデス(Andes)」の3つです。 これは従来の原産地呼称に付加的に加えられるもので、例えば「Aconcagua」で造られたワインに対して、「Aconcagua Costa」、「Aconcagua Entre Cordilleras」、「Aconcagua Andes」のようにラベルに表記されるようです。 上図のように、「コスタ」は海の影響を受ける地域、「アンデス」はアンデス山脈の影響を受ける地域、そして「エントレ・コルディリェラス」はその間の地域を表します。 この新たな原産地呼称の仕組み自体はシンプルなのですが、それぞれの名前、特に「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」を覚えるのが厄介です。 そこで、これを覚えるための語呂合わせを考えてみました。 エントレ・コルディリェラスは少し苦しいですが、英語のスペルも覚えられるように、それに合わせた語呂合わせにしてみました。 <了>

flocculation(凝結、綿状沈殿)の意味 | 英語ワイン書籍に出てくる英単語

 flocullation = 「凝結、綿状沈殿」です。 スパークリングワイン、特に瓶内二次発酵の工程でよく出てくる単語です。 瓶内二次発酵のスパークリングワインでは、その言葉の通り二次発酵がワインボトルの中で行われます。この二次発酵によって、スパークリングワインの特徴である、二酸化炭素の泡が造られ、瓶内に閉じ込められます。 二次発酵では副産物として酵母の死骸などの澱が生成されるわけですが、これは一般的に出荷前に取り除かれます。 澱を取り除く工程としては、「澱の凝集 → 動瓶(ルミアージュ) → 澱抜き(デゴルジュマン)」となります。 この「澱の凝集」= flocullation です。 英語の説明では、「flocculation = a process by which fine particles clump together」です。 ちなみに、動瓶(ルミアージュ)は瓶を水平から少しずつ逆さの垂直の位置に動かしながら、澱を瓶口に集める工程、澱抜き(デゴルジュマン)は瓶口に集まった澱とワインを凍らせて瓶内の圧力で凍ったワインとともに澱を射出させる工程です。

珍しい赤色のスパークリングワイン!「ランブルスコ」と「スパークリング・シラーズ」の比較

 スパークリングワインと言えば、ほとんどが白もしくはロゼのベースワインから造られると思います。 代表的なものと言えば、シャンパーニュやプロセッコ。ロゼのワインは見つかっても、赤ワインから造られるシャンパーニュやプロセッコは見つからないと思います。 しかし、世界には赤いベースワインから造られるスパークリングワインも存在しています。 その中で有名なものと言えば、「ランブルスコ」と「スパークリング・シラーズ」です。 ランブルスコ(Lambrusco)は、イタリアのエミリア=ロマーニャ州のスパークリングワインで、主にランブルスコ種のブドウから造られます。 スパークリング・シラーズは、オーストラリアのスパークリングワインで、シラーズ種のブドウから造られます。 赤系スパークリングワインと言えばあげられるこの2種類のワインですが、その違いを個人的に考察してみました。ランブルスコ種は、ワインのタイプによって色とボディに幅があるので、今回は「ランブルスコ・レッジャーノ」と「ランブルスコ・ソルバーラ」の2種類を用意してみました。 外観 まず外観から。 外観については、ランブルスコは非常にバリエーションに富んでいます。左の3つは全てランブルスコなのですが、淡いピンク色、中程度のルビー色、濃い紫色と様々です。実際、ランブルスコは、淡いピンク色から深いルビー色までかなりのバリエーションに富んでいるそうです。 一方、スパークリングシラーズは、深いルービー色をしています。スパークリングシラーズは外観のバリエーションは多くなく、ほとんどが、深いルビー色かガーネット色をしているようです。 ランブルスコの外観がバリエーションに富んでいるために、ランブルスコとスパークリングシラーズを比べる場合、外見で見分けるのは正直至難の業だと思います。 香り ランブルスコとスパークリングシラーズを見分ける場合、香りは大きなヒントになるのではないかと思います。 ランブルスコの香りは 「赤系果実」 が大きな部分を占めている一方で、スパークリングシラーズでは 「黒系果実」 が圧倒的です。 個人的には、赤系果実はより軽い印象があり、黒系果実はより重い・深い印象を持っています。 私も経験があるのですが、陥りがちな間違いは、製法の特徴によって判断をしてしまうことです。 例えば、ランブルスコの製法はタンクメソッド(シャルマ方式)が

WSET Level 4 (Diploma)の学習内容と各ユニットの構成について調べてみました

WSET Level 4 (通称、ディプロマ)のユニット構成や学習範囲について調べてみました。 (関連記事: 「WSET Level 4 Diploma in Wines(通称、ディプロマ)」について調べてみました ) ユニット構成 以前に、さまざまなサイトを調べてみたのですが、なかなかわかりやすいサイトがなかったので、 自分なりにまとめてみたのが下の図です。 現在のユニットは、D1~D6までの6つで構成されているようです。ディプロマの取得は最低でも18ヵ月以上かかるかなりの長丁場のようです。 ちなみに、レベル3の内容と照らし合わせてみると次のようになるようです: ユニットD1 = レベル3の第2章(ワイン価格とワイン法部分は除く) ユニットD2 = レベル3の第2章(ワイン価格とワイン法の部分) ユニットD3 = レベル3の第3章(世界の非発泡ワイン) ユニットD4 = レベル3の第4章(世界の発泡性ワイン) ユニットD5 = レベル3の第5章(世界の酒精強化ワイン) ユニットD6 = 該当なし(しかし論文のテーマはD1~D5の範囲のいずれかに含まれる;例えば「オーストラリア」など) ディプロマではレベル3の内容をさらに深くやっていくようなイメージだと思います。 レベル3ではすべての分野を含めて1回の試験で合否が判定されますが、ディプロマでは各ユニットごとに試験が行われ、6つ全てに合格をして初めてディプロマの合格となるようです。 各ユニットのボリューム(重み) Level4のSpecificationによると、各ユニットのボリュームの次の通りのようです: ・ ユニット D1(20%) ・ ユニット D2(10%) ・ ユニット D3(50%) ・ ユニット D4(5%) ・ ユニット D5(5%) ・ ユニット D6(10%) D3は全体の半分を占めるとても大きなユニットです。 合格した方の情報を調べてみると、D3以外を最初に終わらせて、最後に難関であるD3に取り組む方が多いように感じます。 できるだけ正しい情報をまとめたつもりですが、もし誤りがあったらその都度直していきたいと思います。

ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)のシュール・リーを捉えるためのテイスティング練習

今回は、シュール・リー工程を経て作られたミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)の特徴を捉えるためのテイスティング練習をしてみました。 シュール・リー(sur lie)とは、ワイン発酵後に粗い澱を取り除いた後に、しばらくの間、細かい澱とともにワインを熟成させる工程のことです。 この工程を経ることで、ワインにボディが加えられたり、口当たりがまろやかになるというメリットがあるようです。   ミュスカデは、もともと、酸度が高く、軽いボディのワインを造るという特徴をもっていますが、シュール・リーを経ることで、ワインに厚みやまろやかさを加えて、より品質の高いワインにしているのだと、個人的には理解しています。 またシュール・リーを経ることで、ワインには澱(主に酵母)に由来する独特な香りが加えられると言われています。それは、ヨーグルト、パン生地、ビスケット、トーストの香りと言われています。 これは、シャンパーニュなどの瓶内二次発酵のスパークリングワインでも顕著に感じられる香りです。しかし、シャンパーニュなどの多くの瓶内二次発酵スパークリングワインに比べて、ミュスカデワインの澱との接触期間は比較的短いために、その香りはあまり強くは感じられないようです。(ロワールのミュスカデAOCでは、ワインは収穫の翌年の、3月1日から11月30日までに瓶詰することになっているので、澱との接触は最長でも1年程度のようです) lees の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語 このようなテイスティング理論を踏まえて、今回は、ミュスカデAOCのワインと、ドライイーストの入ったグラスを並べて、本当に酵母の香りが感じられるのかを試してみました。(上の写真の左と真ん中) (左:ドメーヌ ウ゛ィネ ミュスカデ セーウ゛ル エ メーヌ シュル リー ドメーヌ サン マルタン 375ml) また、ベンチマーク用のワインとして、低価格なシャルドネワインも並べてみました。本当は低価格なシャブリあたりを用意したかったのですが、今回は自宅にたまたまあったオーストラリアの低価格シャルドネで代用をしました。(最も右のグラス) <テイスティングの結果> テイスティングの印象は、次の通りです: ・弱い~やや弱い香り ・香りの種類は、緑系果実(青りんごなど)、草の香り、かすかに酵母の香り(パン生地) ・やや高い~高い酸味 ・ライト~ミデ

セミヨン・ワインの味わいとは? ~特徴をとらえるための比較テイスティング

 今回、異なる セミヨン(semillon) ワインの特徴をとらえるための練習をしてみました。 用意したのは、「 ボルドーブラン 」と「 ハンターセミヨン 」。 ボルドーブランは、ペサックレオニャンAOCの「 レ・シェーヌ・ド・ブスコー・ブラン(2015) 」。シャトー・ブスコーのセカンドワインです。セミヨンが60%を占めて、残りの40%はソーヴィニヨン・ブランです。 ハンターセミヨンは、「 シングルヴィンヤード スティーブンス ハンターセミヨン (2014) 」。こちらはセミヨン100%です。 ベンチマーク用にもう1つ、オーストラリアの手頃なシャルドネも用意しました。こちらは、「 ジェイコブス・クリーク シャルドネ (2020) 」。セミヨンは比較的ニュートラルな風味のワインなので、シャルドネと比較をすればその特徴がよくわかるのではないかと思いました。 テイスティングをする前は、あまり大きな違いを感じられないのではと思っていましたが、実際にテイスティングをしてみると、その違いがかなり顕著にわかりました。 まず、「 ボルドーブラン 」の特徴です。他の2つと比較をしてみると、フレッシュな果実の香りが弱く、樽の香り(第2の香り)と熟成によるハチミツのような香り(第3の香り)を強く感じました。5年前のヴィンテージなので、かなり熟成が進んでいるようです。また、他の2つと比較をすると、ワインの色は黄金色です。味わいは樽に由来すると思われる苦みが少し感じられます。これらの特徴も樽熟成による影響だと思います。 次に「 ハンターセミヨン 」の特徴です。他の2つと比較をしてみると、まずマッチを擦ったあとのような「 スモーキー 」な香りが強く感じられました。ハンターセミヨンは酸素との接触を極力抑えて 還元的 な醸造方法をとるために、このような還元臭が感じられるのだと思います。6年前のヴィンテージですが味わいはフレッシュで、柑橘類や、有核果実(モモなど)の香りとも強く感じます。あまり瓶熟成は進んでいない印象です。また少し「草」や「ハーブ」系の香りも感じられます。味わいの特徴は、比較的高い酸味とやや低めのアルコール度ですが、これはハンターバレーの特徴である「 早摘み 」が影響しているのだと思います。ハンターセミヨンは、秋雨を避けるためにブドウは早めに収穫されます。ワインの色が薄めで緑がかっ

シラー(Syrah)ワインの黒コショウの香りを感じるための個人的な練習方法

特定の香りを感じ取る力には個人差があるようです。 なので、人にはそれぞれ感じ取るのが得意な香りと、苦手な香りがあると思います。 私の場合、感じ取るのが得意なのはMLF(マロラクティック発酵)由来による乳製品の香りです。 MLFの割合の少ないスタンダードなシャブリでも、比較的、乳製品の香りを感じることができると自負しています。 反対に、感じ取るのが苦手なのは、シラーが持つと言われる「黒コショウ」の香りです。 長らくワインのテイスティングトレーニングをやってきましたが、いまだにブラインドテイスティングでシラーを当てる自信は全くありません。 正攻法でシラーワインのテイスティングをひたすら行って「黒コショウ」の香りを探すという方法に限界を感じて、新たな方法をためしてみることにしてみました。 それは、次の写真のように、シラーのワインと、本物の黒コショウを用意して、交互に香りの共通点を探すという方法です。 そもそも「黒コショウ」の香りのもととなるのは「ロタンドン」という名の化学物質です。 参考記事: なぜ北ローヌのシラーには黒コショウの香りが含まれるのか? 間違いなく、シラーワインと黒コショウの両者にこの物質が含まれているはずです。 念のため、このワインが「コショウ」の香りを持っていることを確かめるために、メーカーのウェブサイトでテースティングノートも確認しておきます。 ”Nose: intense, fruity (blackcurrant/ raspberry) and complemented by notes of white pepper.” 「白コショウ」と書かれていますが、基本的には「黒コショウ」と香りの由来は同じです(白コショウは黒コショウの皮をむいたもの)。 テーブルのわきに2つのグラスを置いておいて、他のことをしながら時々思い出したように香りを取るだけなので、非常に楽な練習です。 例え、香りの共通点が見いだせなかったとしても、脳内で、この種のワインの香りと黒コショウの香りを結びつけることができれば十分成功だと思いながら続けています。 果実の香りあとに、余韻のようにやってくるスーッと抜ける香り。スーッと抜けるとは言っても、ハーブやピーマンとは異なる青さを持たない香り。これが、コショウの香りなのではないかと推測しています。 テイスティング用に比較的安い価格のコー

WSET学習に役立ったテキストからの情報のまとめ方

ワイン資格であるWSET(Level 3)の学習に役に立った個人的な情報のまとめ方の紹介です。 WSET(Level 3以上)の学習において重要なことは、ワインやワイン産地の、醸造方法の特徴を理解するだけではなく、「なぜ、そのような特徴を持つのか?」を理解することだと言われます。 入門的なワイン資格の試験と大きく異なるのがこの部分だと思います。 したがって、情報のまとめ方も、「特徴」に加えて、「なぜ?」の部分を合わせてまとめると、非常に役立つまとめノートができあがると思います。 例えば、ブドウ栽培に関しては、縦軸にブドウ栽培に関する要素を並べます(気候、雨、リスク、土壌など)。そして、横軸にそれぞれの「特徴」と、その特徴が与える「影響」やその特徴を持つ「理由」を並べます。前者は、暗記をすべきFactの部分、後者は「なぜ?」のReasoningの部分になるわけです。 ワイン醸造に関しては、横軸は同様で、縦軸にワイン醸造のプロセスを並べていく形になります。 ブドウ栽培における要素(気候、雨、リスク、土壌など)や、ワインの醸造プロセスは、との地域においても大きな違いはありません。 そのため、このようなまとめ方には、ワインの種類や、ワイン産地が異なっても、同じような形式で情報をまとめていけるというメリットがあると思います。

ポルトガルのワイン産地でずっと疑問だったこと(ポルトガルのDOCとVR)

 ポルトガルのワイン産地で、ずっとわからないことがありました。 それは、 「ミーニョ」 、 「デュリエンセ」 、 「ベイラ・アトランティコ」 、 「テラス・ド・ダォン」 、 「リスボン」 、 「ペニンシュラ・デ・セトゥーバル」 などが何をあらわしているのかということです。 有名な「ヴィーニョ・ヴェルデDOC」や「ドウロDOC」などを括っているものなので、日本だと「~地方」や「~県」などに当たるポルトガルの行政区分か何かだと思っていました。 しかし、実際は行政区分などではないようです。 最近わかったのですが、どうやらこれは 「VR(Vinho Regional)」 なのだとか。 VR (Vinho Regional) とは、ポルトガルの品質等級の2段目の 「地理的表示保護」 ワインで、EUの統一基準だと、 「PGI」 ワインに相当します。 上の品質等級のピラミッドが表すように、VRの数は 「14」 あります。一方で、品質等級の最上段の DOC(Denominação de Origem Controlada) の数は 「31」 です。 最後に主だった 「VR (Vinho Regional) 」 と 「 DOC(Denominação de Origem Controlada) 」 の位置をそれぞれまとめてみました。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 )

地図で覚えるワイン産地の気候区分

「アメリン&ウィンクラー博士によるワイン産地の気候区分」を地図にまとめてみました。 以前の記事(参考記事: ソムリエ・ワインエキスパート試験で苦労をした年号の覚え方 )で紹介しましたが、気候区分は地図を使って視覚的に暗記をするのがおすすめです。 地図を使うと、他地域との地理的な比較がわかりやすく、すんなり頭に入ります。 そもそもこの気候区分という考え方自体、世界の異なる地域の栽培環境や、そこで造られるワインスタイルを比較するために考え出されたそうです。 アメリン&ウィンクラー博士による気候区分は、ブドウの成育期の積算温度によってワイン産地を区分する考え方で、「Growing Degree Days (GDD) = 積算成長度日」と呼ばれるそうです。   もともとは、カリフォルニアのブドウ産地を比較するために作られたのだとか。 ヨーロッパや日本では、基本的には緯度がそのまま気候区分に比例していますが、カリフォルニアでは緯度と気候区分の間に直接の関係はないようにみられます。カリフォルニアのワイン産地の気候は、寒流であるカリフォルニア海流の影響を強く受けるためです。このような気候的特徴を持つカリフォルニアでは、GDDモデルが活躍するのもよくわかるような気がします。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 )

個人的なAOCの簡単ざっくり理解 ~AOCってこういうこと?

 ワイン学習において「AOC」は避けて通れない言葉です。 しかし、この概念を正確に理解するのは結構大変です。 これまでワインを学んできて、「 AOCって結局、こういうことじゃないか? 」と思うことをざっくりとまとめてみました。 まだ理解が十分ではなく、間違っている部分もあるかもしれませんので、他の記事と同様、修正をしていきたいと思います。 メリットを簡単にまとめると、AOCは「 消費者には参照を提供し、生産者には差別化を与える(AOC  provides producers with a point of difference whilst giving consumers a point of reference )」ようです。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 )

ソノマ・ナパ カウンティのサブリージョン(AVA)の私的な覚え方【語呂合わせ】

アメリカ、カリフォルニアの暗記の難関と言えば、ソノマ・ナパのサブリージョン(AVA)の暗記です。 正攻法で覚えると結構大変なので、ポイントを絞った覚え方を考えてみました。 (参考記事: ナパヴァレーAVAの覚え方を正攻法で考えてみる ) そのポイントとは、「 そのAVAが、ナパ、ソノマどちらに属するのか? 」ということです。 あるAVAが取り上げられて、「これはナパ、ソノマどちらのAVAでしょう?」という問題が結構頻出なので、個人的には結構つかえる覚え方ではないかと思っています。 ソノマと、ナパのAVAを五十音順に並べてみると、意外と頭文字が重ならないことに気が付きます。 「ア」と「チ」が頭文字のものは両者に含まれるので、「アレ」と「チョ」で覚えます。 重複する「ロスカーネロス」は超重要なので、これは自力で覚えます。 名前に「ソノマ」が含まれるものは、わざわざ頭文字を覚えるまでもないので、除外しています。 あとはこの頭文字を語呂合わせなどで覚えます。 例えば、下のように。 ソノマさえ覚えてしまえば、「ソノマ」と「ナパ」の2択の場合は、ソノマの頭文字に含まれていなければ自動的に「ナパ」であることがわかります。 一応、下はナパの頭文字の語呂合わせです。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 )

ボルドー1855年の格付けの説明のための英単語

ボルドーの格付けを説明するための英単語(一部、フランス語も含む)を簡単にまとめてみました。 --------------------------------------------------------------------- メドック1855年の格付け (the 1855 classification of grand classé  略して、 the 1855 classification) 1855年のパリ万国博覧会 (the Exposition Universelle de Paris) の際、ボルドー市の商工会議所 (the Bordeaux chamber of commerce) が、当時の取引価格を基に、ジロンド県 (Gironde) のワインの格付け (classification of wines) を作成した。 全ジロンド県のワインが対象だったが、19世紀に主に輸出されていたのはメドック地区 (Médoc) の赤ワインとソーテルヌ (Sauternes) ・バルサック (Barsac) 地区の甘口白ワインだったため、この2地区のワインが格付けに選ばれる結果となった。 1級から5級 (First to Fifth growths  もしくは premiers to cinquièmes crus) まで5階級 (five tiers) に60シャトー (châteaux) が格付けされている。 パリ万国博覧会 - the Exposition Universelle de Paris ナポレオン3世 - Napoléon III ボルドー市の商工会議所 - the Bordeaux chamber of commerce 1885年の格付け - the 1855 classification of grand classé (略して、the 1855 classification) 1級 - First growths (= premiers crus) 5級 - Fifth growths (= cinquièmes crus) (1885年の)格付けワイン - Cru classé wine 5段階 - five tiers シャトー - châteaux ジロンド - Gironde メドック - Médoc  ソーテルヌ - Sa

リオハ(スペイン)のサブゾーンの覚え方【語呂合わせ】

 スペインのワイン産地であるリオハには3つのサブゾーンがあります。 「リオハ・アルタ」、「リオハ・アラベサ」、「リオハ・オリエンタル」の3つです。 この3つのサブゾーンの位置関係は、ワイン試験において頻出なのです。 しかしよく位置を間違えてしまうので、個人的に覚え方をまとめてみました。 各サブゾーンはエブロ川に沿って広がりますが、ログローニョの町を境に上流地域と下流地域に分けられます。 上流地域が、「リオハ・アルタ」と「リオハ・アラベサ」、下流地域が「リオハ・オリエンタル」です。下流が東側なので、オリエンタル=東方で覚えやすいと思います。 「リオハ・オリエンタル」は以前は、「リオハ・バハ (Rioja Baja)」と呼ばれていたようです。バハとは「下流」という意味ですが、「低い」というネガティブな意味もあるので「オリエンタル」に名前が改められたようです。 あとは上流にある「リオハ・アルタ」と「リオハ・アラベサ」の位置関係ですが、個人的にはこれを混同しがちです。 エブロ川を挟んで、北部が「リオハ・アラベサ」で、南部が「リオハ・アルタ」です。 「アルタ」は「上流」という意味なので比較的、覚えるのは容易でした。声域の「アルト」も「高い」と言う意味が由来のようです。 しかし一方で、「アラベサ」は名前の由来がよくわからず、なかなか頭に入りませんでした。 少し調べてみましたが、「アラベサ」はその土地の名前に関係がありそうです。 「リオハ・アルタ」が、ラ・リオハ州のラ・リオハ県に属している一方で、「リオハ・アラベサ」は、バスク州のアラバ県に属しているようです。 「アラベサ」という名前は、アラバ県に由来しているのかもしれません。 バスク州がラ・リオハ州よりも北にあることを覚えておけば、「リオハ・アラベサ」がエブロ川の北部に位置することも難しくはないと思います。 最後に、「リオハ」、「エブロ川」、「ログローニョ」という名称もサブゾーンに合わせて覚える必要があるのですが、私は次のような語呂合わせのイメージで覚えました。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 )

ドイツワインの品質基準の覚え方は「手羽好き」【語呂合わせ】

ドイツワインで覚えるべき品質基準と言えば、プレディカーツヴァインの6段の分類です。 試験などでは順番を問われることが多いのですが、おすすめの暗記法は、頭文字による語呂合わせです。  頭文字が 「T E B A S K」 なので、私は、 「手羽好き」 と覚えています。 もともとは、「手羽先」という覚え方を教えてもらったのですが、「TEBASAKI」だと、アウスレーゼとシュペートレーゼの順番を混同してしまうことが多かったので、「手羽好き(TEBASUKI)」という語呂合わせに変えました。 これだと、アウスレーゼの「A」は、明らかにシュペートレーゼの「S」より前に登場します。 順番を覚えて満足しがちなのですが、それぞれの分類の中身を抑えておくこともおすすめです。 個人的な経験を言うと、私自身があまり中身を理解できていなかったので、備忘用にポイントをまとめてみました。 まず、上の3段階(TBA~ベーレンアウスレーゼ)は、ブドウの「粒」による選別です。「粒」レベルで選別をすることで、非常に糖度の高いマスト(ブドウ果汁)を作ることができます。その代わり選別の手間や費用がかかるので、出来上がるワインも高額になります。 下の3段階は、粒レベルではなく、ブドウ(房)での選別です。「粒」ごとに収穫をするようなことは無いので、上の3段階のような手間や費用は掛かりません。その代わり、マストの糖度は上の3段階よりも低くなります。 とはいえ、最下層のカビネットもかなり糖度の高いブドウであるために、基本は残糖のある甘味のあるワインとなります。 辛口ワインは基本的には、プレディカーツヴァインよりも下の、クヴァリテーツヴァインなどに含まれます。(理論的には、プレディカーツヴァインからも辛口のワインを造ることはできるようですが、数はそれほど多くないようです) (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 )

ポートワイン栽培地のサブリージョンの覚え方はBCD

ポートワイン用のブドウはドウロ川(Douro River)上流で栽培されます。 栽培地域は大きく3つのサブリージョンに分かれているわけですが、ワイン試験においてこのサブゾーンの位置関係や名称はよく問われます。 そこで、この3つ地域の簡単な覚え方です。 左(大西洋側)から、右(大陸側)にかけて、「B→C→D」と覚えると忘れません。 「B」は、Baixo Corgo(バイショコルゴ)、「C」は Cima Corgo(シマコルゴ)、「D」は Douro SUperior(ドウロスペリオール)と、それぞれの頭文字をとっています。 海側(大西洋側)に近づくほど、湿った風の影響で降水量が増え、気候も涼しくなります。 涼しい地域(バイショコルゴなど)で造られたブドウは、より早飲みタイプのベーシックなルビーポートやトウニーポート、ロゼポートなどの製造に使われるようです。 暖かい地域、特にシマコルゴのブドウは、より果実の凝縮度が必要な、ヴィンテージポートや年数表記トウニーポートに使われるようです。 ドウロスペリオールが最も暖かく、乾燥している地域ですが、ここは現在、栽培が増加中で機械化の進む発展中の地域のようです。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 )

アメリカ西海岸ワイン産地(州)の位置関係に関する私的暗記法(ワシントン州、オレゴン州、カリフォルニア州)

 アメリカ西海岸のワイン産地と言えば、カリフォルニア州、オレゴン州、ワシントン州です。 この3つを覚えるのはそんなに大変ではないのですが、いつもあやふやになってしまうのが、それぞれの位置関係です。 特に、オレゴン州とワシントン州の位置関係。 どっちが上で、どっちが下? そこで、こんな私的暗記法を考えてみました。 鷲(わし)は上空、俺(おれ)は地上、雁(かり)は水上という位置関係で覚えます。 まさに、州の位置関係の通りです。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 )

パロミノ種からできるシェリー酒のタイプと製造工程の個人的まとめ

シェリー酒は、非常に学び甲斐のあるワインだと思います。 なぜかと言うと、その風味の多くの部分が、製造工程(主に熟成工程)における化学反応で作り上げられるからです。特に、ニュートラル品種と言われるパロミノ種から造られるシェリー酒は、この特徴が顕著です。(モスカテル、PXから造られるシェリー酒は今回は対象外としています) 多くのスティルワインの味わいが、主にブドウ品種が持つ固有の特徴から作り上げられるのとは対照的です。 シェリーワインには、「フィノ」、「アモンティリャード」、「オロロソ」など様々なタイプがあり、それぞれが異なる味わいを持ちますが、製造工程を追っていくと、なぜそれぞれが異なる味わいを持つのかが非常に良く分かります。 シェリー酒の熟成工程において、最も重要な熟成方法となるのが「生物学的熟成」と「酸化熟成」です。生物学的熟成というのは、産膜酵母(フロール)下で行われる熟成で、酵母の働きでアセトアルデヒドの香りが生まれるなどワインにさまざまな風味づけがなされます(くわしくはこちら→  関連記事:シェリーにおけるフロールの働きとワインへの影響 )。 すごく大雑把に言ってしまうと、どちらの熟成を経たかによって、シェリーのタイプが決まります。 まとめると、上の表の通りです。 生物学的熟成によって、ワインが帯びる特徴は次の通り: ・薄いレモン色(フロールにより酸化から守られるため) ・アセトアルデヒドの風味 - リンゴの皮、傷んだリンゴ、干し草、カモミールの風味、多少の苦み(フロールがアルコールを代謝しアセトアルデヒドを作り出すため) ・酵母の自己分解の風味 - うまみ、ナッツの風味 ・ボディの軽さ(フロールがボディを作るグリセロールを代謝するため) ・低めのアルコール(フロールを生かすために酒精強化が弱めであることと、フロールがアルコールを代謝するため) これらの特徴は、フィノやマンサニーリャの特徴そのままです。つまり、フィノやマンサニーリャの主だった特徴は、酸化熟成工程に作り上げられます。ニュートラル品種であるパロミノの特徴は、その特徴として現れません。 (続く)...........

絵で見るポートワインの製造工程

 ポートワインの製造工程を絵とともにまとめてみました。 まずブドウは、香りとタンニンが十分に熟してから収穫されます。ポートはマセラシオンによる抽出を行うので、十分に成熟していないブドウから抽出される青い香りや、苦みのあるタンニンが好まれないからです。反対に、酒精強化を行うので、ブドウが熟し過ぎて糖度が上がることにはそれほど問題が無いようです。 ポートワインのポイントは、抽出をいかに素早く効率的に行うかです。残糖を多く残すためにアルコール発酵が途中で止められてしまうので、辛口ワインのように長らく抽出に時間がかけられないからのようです。 かといって、強めの抽出を行うと、苦いタンニンが抽出されてしまうので、古くから足でやさしくブドウを踏みつけるという方法がとられてきました。近年は機械化が進んで、これを疑似的に機械で行うなどの方法が用いられているようです。 アルコール発酵は、自然酵母を使って比較的高めの温度で行われるのが一般的のようです。これにより、複雑な香りが得られます。 アルコール発酵が始まると、マストのアルコール度が5~7%程度になったところで、アルコール度77%のブランデーが加えられます。このブランデーは、アグアルデンテと呼ばれます。これによりアルコール発酵は止まります。 多くの酒精強化ワインでは95%くらいのブランデーが加えられますが、ポートの場合は77%と低めです。他の酒精強化ワインと同様に、ワイン全体のアルコール度は20%近くまで上げられるので、より量の多いのブランデーを加える必要があります。これにより、ポートワインには、加えたブランデーの風味が加えられます。ポートワインからアルコールっぽい香りがするのはこのためです。 酒精強化のされたワインは、圧搾されてブドウの果皮から分離されます。 ポートワインでは、ワインのバランスをとるために補酸されることがよくあるそうです。 ワインは清澄されて、熟成のために移送されます。 熟成場所には、ある程度の涼しさ、一定の温度、湿気などが必要です。昔は、ブドウ栽培地からドウロ川を下って、これらの条件を備えるヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアという町でワインの熟成を行っていましたが、最近は人工的にこれらの条件を備えた倉庫を作り出せるので、ブドウ栽培地でそのまま熟成をすることが増えているようです。 この熟成の方法や期間の長さは、ポートワインの

シェリーにおけるフロールの働きとワインへの影響

シェリーワインの学習において何かと覚えることが多いのは、生物学的熟成を経て作られるタイプの「フィノ」や「マンサニーリャ」。 これらのタイプのシェリーは、フロールと呼ばれる産膜酵母の下で熟成されることが特徴です。 通常の白ワインの製造工程で作られたベースワインは、95%のグレープスピリッツで酒精強化され、オーク樽で熟成されます(通常、バットと呼ばれる660Lのオーク樽で、アメリカンオークで作られるものが多い)。 酒精強化されたワインは15.0~15.5%にするのがポイントで、この範囲でのみワイン表面にフロールが発生するそうです。 フロールの発生はその環境に大きく依存するようで、次のような環境が必要とされています。 ・ワインのアルコール度数=15.6~16.0% ・酸素:ワインは樽の85~90%満たし、空気の入るスペースを残す ・貯蔵庫の温度:16-20°C ・貯蔵庫の湿度:65% このような環境を整えるために、シェリーの貯蔵庫(ボテガス)は特別な構造になっているようです。 例えば、屋内の温度を涼しく一定に保つために、ボテガスの壁は厚く、屋根は高く、屋根の近くには窓があり、床は湿った状態で保たれています。屋根が高いと暖かい空気が逃げやすく、また、窓からは大西洋からの南西の風が入り温度が下げられるようです。 また、湿った床や、大西洋からの風は屋内の湿度を保つのにも一役買っているようです。 最後に、フロールによるワインへの影響ですが、「フィノ」や「マンサニーリャ」が持つ独特な特徴の多くはフロールの影響によって作り出されています。 まず、色は「淡いレモン色」ですが、これは熟成期間中にフロールによりワインが酸素から守られているためにこのような新鮮な色が保たれています。 香りは、フロールがアルコールを消費することによって発生する「アセトアルデヒド」の影響が大きく表れます(フロールはアルコールと酸素を消費し、アセトアルデヒドと二酸化炭素を生成する)。アセトアルデヒドの香りは、リンゴ、干し草、カモミールの香りと言われています。また、味に少し苦みも現れるようです。また、酵母であるフロールの影響で、旨味、ナッツの香りが現れます。 また、フロールは熟成中にアルコールやグリセロールを消費するため、アルコール度は上がらず(15.5%以下)、ボディーは軽くなると言われています。 「フィノ」や「マ

絵で見るスパークリングワインの製造工程(伝統的製法)

 スパークリングワイン、特に、伝統的製法の製造工程を覚えやすいように絵でまとめました。 伝統的製法とは、シャンパーニュなどの製造に用いられる製法です。 まだ理解が十分でない部分もあると思うので、誤りはわかり次第修正していきたいと思います。 まず、最初はブドウの圧搾から、1次発酵まで。 高品質なスパークリングワインは、房のまま圧搾が行われます。房のままの圧搾のメリットとしては、「苦みの原因となるフェノール類が抽出されにくい」、「不要な色が出にくい」、「圧力が少なくて済む(茎が液体の逃げ道を作る)」の3つがあるようです。 抽出されたジュースは、自然に流出する「フリーランジュース」と、圧力をかけることで流出した「プレスジュース」に分けられます。かけた圧力ごとにジュースを分けておくこと(press fractions)で、ブレンドの際に様々な選択肢が増えるようです。 ブドウジュースはその後、清澄を経て、1次発酵が行われます(清澄の目的は、オフフレーバーを防ぐためだと思われます)。 1次発酵発酵の温度は14~20°C程度とのこと。フルーティーな香りを残せる低い温度でありながら、酵母が活動できる温度です(多くの酵母の適正温度は16°C前後とか)。 これでベースワイン(スパークリングワインのもとになるワイン)が出来上がります。 この時点で、場合によって樽熟成や澱との熟成が行われる場合もあるようですが、あくまでもオプションの1つのようです。 次は、ブレンド(アッサンブラージュ)から、2次発酵のための瓶詰まで。 別々の地域や畑、製造工程から造られたベースワインが、目的によってブレンドされます。長期熟成目的のワインであれば、フリーランスジュースを多めにブレンドするなどがあるようです。 ここで酒石やタンパク質の安定化処理が行われます。製造後に酒石が発生したり、タンパク質による濁りが起こることを防ぐことが目的ですが、一般のワインでは瓶詰のちょっと前に行われることの多い処理です。このような早いタイミングで行われる理由は、伝統的製法の場合は、一度瓶詰をしてしまうと、あとから処理をするのが難しくなってしまうからのようです。 そして、ベースワインは「リキュール・ド・ティラージュ」とともに2次発酵のために瓶詰されます。 リキュール・ド・ティラージュには、ワイン/マスト、砂糖(約24g)、酵母、酵母の

シャンパーニュでMLFの香り(乳製品やバターの香り)が感じられないのはなぜ?

MLFと言えば、マロラクティック発酵。 ブドウ中のリンゴ酸が乳酸になる発酵です。 MLFの大きな特徴と言えば、ワインにバターなどの乳製品の香りが加えられることです。 (関連記事: マロラクティック発酵(MLF)の効用 ) マコンやカリフォルニアのシャルドネからは、このMLFに起因する乳製品の香りが強く感じられます。 そう考えると、スパークリングワインの中にも、このバターや乳製品の香りが感じられるものがありそうです。 しかし、これまでシャンパーニュを含め、様々なスパークリングワインを味わってきましたが、はっきりとしたMLF由来の香りが感じられるものはありませんでした。 なので、私は多くのスパークリングワインはMLFをしないものとばかり思っていました。 ずっとそう思い続けてワインの勉強を続けてきたのですが、最近分かったことは、どうやらMLFを行うことはスパークリングワインにおいては決して珍しいことではないということです。 特に寒い地域のブドウを使う場合は、高すぎる酸味を抑えるためにMLFを行うのだそうです。(乳酸はリンゴ酸よりも酸味が低いため) ここで1つ疑問が残ります。それは、「 なぜ、MLF特有の乳製品の香りがはっきり分かるスパークリングワインが見つからないのか? 」です。 これの疑問に対しては1つヒントが見つかりました。それは、「 乳製品の香りの由来となるダイアセチル(diacetyl)という物質はスパークリングワインの2次発酵において、酵母によって代謝されてしまう 」ということです。 つまり、乳製品の香りの由来となる物質がなくなってしまうので、その香りも消えてしまうということです。 スパークリングワインの主な製造方法のうち、 伝統的製法(シャンパーニュ製法) 、 トランスファー方式 、 タンク方式 、いずれも2次発酵を含むので、ダイアセチルの酵母による代謝が原因だとすると、たしかに合点がいきます。 一方で、2次発酵を 炭酸ガス注入法式 は理論的にはMLF香を含むスパークリングワインが見つかるはずですが、そもそもこの方式はMLFと相性の悪いアロマティック品種のスパークリングワインに多く使われる方法なので、そもそもMLF工程は抑制されていそうです。つまり、この製造方式の場合も、MLF香のあるスパークリングワインは見つからなさそうです。 こう考えると、MLFに由来する

シャンパーニュのサブリージョンとグランクリュ村の覚え方【語呂合わせ】

 シャンパーニュには5つのサブリージョンがあります。 そのうち、重要とされる「 モンターニュ・ド・ランス( Montagne de Reims ) 」、「 ヴァレ・ド・ラ・マルヌ( Vallée de la Marne ) 」、「 コート・デ・ブラン( Côte des Blancs ) 」の3つについてまとめてみました。 (※「 コート・ド・セザンヌ( Côte de Sézanne ) 」と「 コート・デ・バール( Côte des Bar ) 」についても追記をしました。) (関連記事: シャンパーニュ地方は、なぜ発泡性ワインの生産に向いているのか? ) まず、シャンパーニュ地方はパリの北東に位置しています。 そして、有名な3つのサブリージョンは、ランス(Reims)とエペルネ(Epernay)の近く下の図のように広がっています。 そして3つのサブリージョンの特徴をまとめてみました。 Googleマップ上に位置を表してみると、地形的な特徴の違いがよく分かります。 3つの地域では、それぞれ主に栽培されているブドウ品種に違いがあります。主要な栽培品種は次の通りです: モンターニュ・ド・ランス → ピノ・ノワール ヴァレ・ド・ラ・マルヌ  →  ムニエ コート・デ・ブラン  →  シャルドネ ムニエは、マルヌ川に沿った谷にあるのですが、谷であるために、霜の影響があったり、土壌が粘土で、ピノ・ノワールやシャルドネの栽培に向かないようです。そのため、霜に強く、粘土土壌でも成熟するムニエ種が栽培されています。 なぜ、「モンターニュ・ド・ランス=ピノ・ノワール」、「コード・デ・ブラン=シャルドネ」なのかは分かりませんが、ブラン(=白)で白品種のシャルドネが造られているのは覚えやすいです。両者ともに土壌は、チョーク質土壌であるようです。 サブリージョンの地形と、グランクリュ村の位置関係 モンターニュ・ド・ランス モンターニュ・ド・ランス には 「マイィ( Mailly )」 、 「ヴェルゼネ( Verzenay )」 、 「ヴェルジー( Verzy )」 、 「アンボネ( Ambonnay )」 、 「ブジー( Bouzy )」 などのグラン・クリュに格付けされている村があります。この地域では、これらを含め、9つの村がグラン・クリュに格付けされています。 そのうち主要な5つの