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5月, 2020の投稿を表示しています

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エントレ・コルディリェラス? チリの新しい原産地呼称の覚え方

 チリのワイン産地は南北に長く広がりますが、地形的な特徴の影響を受けるために、実は南北よりも東西にかけて、気候や土壌の多様性が非常に高いと言われています。 従来の原産地呼称では、この東西にかけてのワインスタイルの特徴の違いが十分に表現されていませんでしたが、2011年から、この問題を解決するための新たな付加的な原産地呼称が加えられました。 それが、「コスタ(Costa)」、「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」、「アンデス(Andes)」の3つです。 これは従来の原産地呼称に付加的に加えられるもので、例えば「Aconcagua」で造られたワインに対して、「Aconcagua Costa」、「Aconcagua Entre Cordilleras」、「Aconcagua Andes」のようにラベルに表記されるようです。 上図のように、「コスタ」は海の影響を受ける地域、「アンデス」はアンデス山脈の影響を受ける地域、そして「エントレ・コルディリェラス」はその間の地域を表します。 この新たな原産地呼称の仕組み自体はシンプルなのですが、それぞれの名前、特に「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」を覚えるのが厄介です。 そこで、これを覚えるための語呂合わせを考えてみました。 エントレ・コルディリェラスは少し苦しいですが、英語のスペルも覚えられるように、それに合わせた語呂合わせにしてみました。 <了>

maturationの意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 maturation = 熟成 」です。 ワインにおいて熟成のタイミングは大きく分けて2つあり、瓶詰前にステンレスタンクや、オーク樽で行う「 瓶詰前の熟成(pre-bottling maturation) 」と、ガラス瓶に詰めてからの「 瓶詰後の熟成(post-bottling maturation) 」があります。 ワインは熟成を経ることで、酸素やオークから染み出る物質、ワインの澱などの影響を受けます。 香りは新鮮な香りから徐々に、ドライフルーツや木の実などの香りに変わります。色にも変化が起こり、赤ワインの場合は特に色素物質であるアントシアニンがタンニンと結合することで、色が濃くなり安定すると言われています。タンニンも酸素と反応することで、柔らかくなると言われています。 また、オーク樽を用いて熟成をした場合は、ワインにはオーク由来の香り物質やタンニンが加えられ、複雑性が高まります。 maturationの使用例 Fine lees are removed gradually through the wine maturation process. (細かい澱は、ワインの熟成過程で少しずつ取り除かれていく。) The chemistry involved in the maturation process is still poorly understood.  (熟成過程で起こる化学反応はまだよく理解されていない。) その他の熟成を表す英単語「ageing」 熟成を表す他の英単語としては、「 ageing(aging) 」があります。「 maturation 」とほぼ同義に使われるのをよく目にします。 These wines have undergone oxidative ageing .  (これらのワインは酸化熟成を経ている。) Chianti Classico Riserva DOCG must be aged for 24 months of which at least three months must be spent bottle ageing .  (キャンティ・クラッシコ・レゼルバDOCGは、24ヵ月間の熟成と、そのうち3ヵ月間の瓶熟成を経なければならない。)

acidityの意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 acidity = 酸味 」です。 ワインの酸味を表現する場合、「acidity」という言葉がもっともよく使われると思います。 acidityの使用例 This wine has higher acidity and more of a fresh red fruit character. (このワインは、高い酸味とより新鮮な赤系果実の特徴を持っている。) The more your mouth waters, and the longer it waters, the higher the level of acidity in the wine.  (唾液がたくさんでるほど、またそれが長く続くほど、ワインの酸味が高いと言える) 「酸っぱい」を表す英語表現には「 sour 」や「 tart 」という英単語もありますが、ワインの表現として使われるのはあまり目にしないような気がします。 これは、日本語でも、「このワインは酸っぱい」とは言わず、「このワインは酸味が強い」という表現を使うのに似ています。前者のような表現が用いられない理由は、少しネガティブでカジュアルな印象を与える表現だからだと思います。 一般に、寒い産地のワインは酸味が強く、暖かい産地のワインは酸味が低いと言われます。その理由は、ブドウが成熟するにつれて、ブドウ糖分が増える一方で、酸味は急激に下がっていくためです。寒い産地ではブドウの成熟速度が遅いために酸の落ち込みは緩やかで、暖かい産地ではブドウの成熟速度が速いために酸は急激に落ち込むと言われています。 しかし、産地によってはワインの酸味をまろやかにするための減酸や、ワインに酸味を加えるための補酸が認められているために、必ずしも「冷涼=酸味高、温暖=酸味低」になるとも限りません。

ドイツワインの13の栽培・生産地域の私的暗記方法(語呂合わせ)

ドイツワインには有名な 13の生産地域 があります。 ドイツワインの上位2つの品質分類である「 プレディカーツヴァイン(Prädikatswein) 」と「 クヴァリテーツヴァイン(Qualitätswein) 」はこの13地域のいずれかで造られています。 (関連記事: プレディカーツヴァインの6区分の直訳による覚え方 ) クヴァリテーツヴァインは13地域のいずれか1地域のブドウを100%使って造られていますが、プレディカーツヴァインは13地域の中でさらにベライヒと呼ばれる特別な地区のブドウのみを使って造られています。 このようにドイツワインにおいては重要度の高い、 ベシュテムテス・アンバウゲビート(Bestimmter Anbaugebiete) とも呼ばれる13の生産地域ですが、全て覚えるのはなかなか大変な作業です。 (関連記事: ドイツワインの品質レベルとブドウ産地の関係と、ラベル表示の話 ) そこで、私的な13地域の暗記方法を紹介したいと思います。 暗記方法は次のような語呂合わせで、上から、西→東の順にそれぞれの産地が登場します。 --------------------------------------------------- <ドイツの13生産地域の暗記のための語呂合わせ> ドイツの ある打者の (アール) 見てるラインは (ミッテルライン) もう出ると思っても (モーゼル) なぜか (ナーエ) ラインが (ラインガウ) 変な線で (ラインヘッセン) ファールにならない。 (ファルツ) 「へし折れた (ヘシッシェ・ベルクシュトラーセ) バーで打って (バーデン) フライになったせい」だと (フランケン) ブルペンで (ヴュルテンベルク) 戯れごとうんという (ザーレ・ウンストルート) 雑魚専の投手。 (ザクセン) ※カッコ内が13の生産地域 --------------------------------------------------- ちょっと苦しい部分もありますが、野球の1場面で全てまとめてみました。 (関連記事: ドイツワインの品質基準の覚え方は「手羽好き」【語呂合わせ】 ) (関連記事: 「遅いブルゴーニュ」、「早いブルゴーニュ」とは?ドイツのブドウ品種の名前 ) (関連記事: 絵で覚えるミュラー・トゥルガウ(ドイツの交配品種) ) (

クリアンサ、レゼルバ、グランレゼルバとは?スペインワインの熟成規定(最低熟成期間)の私的暗記法

スペインの赤ワインのうち、最良のワインにはほぼ確実にオークを使用した熟成がされていると言われています。白ワインの大半はフレッシュで果実味が豊かなワインと言われていますが、一部のワインではオークを使った熟成が行われ、異なる風味が加えられています。 スペインのワイン法でもワインの熟成表記に関する規定が定められており、最低熟成期間の長さによって、「 クリアンサ(Crianza) 」、「 レゼルバ(Reserva) 」、「 グラン・レゼルバ(Gran Reserva) 」などのカテゴリーが規定されています。 最低熟成期間には、総熟成期間と樽熟成期間があり、総熟成期間は樽熟成期間を含めたトータルの熟成期間を示しています。 いくつかのワイン試験では、この最低熟成期間をワインの種類(赤、白・ロゼ)ごと、カテゴリーごとに覚えなければならないのですが、この数字の羅列を覚えるのはなかなか至難の業です。 そこで、個人的に考えた、このスペインワインの熟成規定の覚え方を紹介したいと思います。 1. 表を年表示にする まずは、数字を覚えやすくするために、表の単位を「月」から「年」に変換します。 まるで囲んだ部分だけ、語呂合わせなどを使って覚えます。 2. 赤ワインの「グラン・レゼルバ」の熟成期間を覚える 赤ワインのグラン・レゼルバの最低熟成期間は、偶然にもクリアンサとレゼルバの最低熟成期間を足し合わせた期間なので、簡単に覚えられます。 3. 白・ロゼワインの「クリアンサ」、「レゼルバ」の最低総熟成期間を覚える 白・ロゼワインにおいて、クリアンサ、レゼルバの最低の総熟成期間は、偶然にも赤ワインの「最低総熟成期間ー最低樽熟成期間」に一致します。これを覚えます。 4. 白・ロゼワインの「グラン・ レゼルバ」の最低総熟成期間を覚える 今までの法則で行くと、「グラン・レゼルバ」の最低の総熟成期間は3.5年が望ましいですが、 実際は4年 です。ここだけ、例外的に 0.5年だけずれる と覚えます。 5. 白・ロゼワインの 最低樽熟成期間を覚える 白・ロゼワインの最低の樽熟成期間は、全て同一の0.5年です。 赤ワインの「クリアンサ」のものと同じと覚えておくと、覚えやすいかもしれません。 最後に、この表を法則とともに覚えておくことで、暗記作業は完了です。 関連記事: スペインの「グラン・レセルバ(Gran Re

astringent(=渋い)の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 astringent = 渋い、収斂性の(ある) 」です。 主にタンニンを含んだ赤ワインで使われます。 渋みとは、柿の渋のような味を表します。 苦味に似た感覚ですが、味覚の五大味である(甘味、酸味、塩味、苦味、旨味)には含まれず、触覚に近い感覚だと考えられているようです。 英語でも「苦い/苦味」は「 bitter / bitterness 」であり、「 astringent / astringency 」とは異なります。 この渋味独特の感覚は「収斂作用(しゅうれんさよう)」が原因と考えられています。収斂作用(しゅうれんさよう)とは、タンパク質を変性させることにより組織や血管を縮める作用のことです。 赤ワインを飲んだ時に口の中がキューッとなるあの感じです。 astringentとtannic astringent には、似た言葉として「 tannic = タンニンの味がある 」という言葉がありますが、ワイン書籍においてはよく astringent と tannic は区別されて使われています。 それは、タンニンには熟度があり、未熟なタンニンは渋味が強い傾向があるのに対して、成熟したタンニンは舌触りの豊かさをもたらす傾向があるからです。前者は「 astringent 」と表現されますが、後者は「 rich in texture 」と表現されます。 astringentの使用例 The cheapest can be lighter in body and have more astringent tannins than the better wines.  (もっとも安いワインはライトボディで、高いワインよりも渋味のあるタンニンを持つ。) The wine is unpleasantly astringent and bitter. (このワインは、渋くて、苦くて不快だ。)

botrytised/ botrytized wineの意味 (= 貴腐ワイン)|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 botrytised wine = 貴腐ワイン 」です。 「botrytised」は「botrytized」とも書かれます。(読みはいずれも「ボトリタイズド」。) 「 貴腐 」とは、カビがブドウ果皮に穴をあけてブドウ中の水分が蒸発することによって糖度が高められ、独特の芳香を帯びる現象のことを言います。貴腐の影響を受けたブドウは「 貴腐ブドウ 」と呼ばれ、貴腐ブドウから造られたワインは「 貴腐ワイン 」と呼ばれます。 そして、貴腐を起こすカビは「 ボトリティス・シネレア(Botrytis cenerea)菌 」と呼ばれます。 つまり、 botrytised wine とは、「 ボトリティス・シネレアの影響を受けたワイン 」という意味になります。 貴腐という現象だけを指す場合は、「 noble rot (=貴腐) 」という単語がよく使われます。しかし、貴腐ワインを表す場合は「noble rot wine」ではなく、「botrytised wine」という表現がよく用いられているような気がします。貴腐ブドウを表す場合も「noble rot grape」よりも「botrytised grape」という表現をよく目にします。(英ワイン資格のWSETの中では、この表現で統一されています。) 貴腐は、朝のうちは湿気があり霧が立ち込めて、午後は晴れて乾燥をするような、特定の環境条件がそろわないと発生しません。 世界三大貴腐ワインと言われる、ソーテルヌ(Sauternes)、トカイ(Tokaj)、トロッケンベーレンアウスレーゼ(Trockenbeerenauslese)は、そのような条件を満たした産地で造られます。 (関連記事: ワインにおけるハチミツの香りとは?|ワインの香り用語 ) How the botritised grapes are developed: First, the grapes must be fully ripe before the development of the noble rot.  Second, the grapes must be grown in a region that provides humid misty mornings Those mornings allow rot to develop on the grapes.

varietyの意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 variety = 品種 」です。 有名なブドウ品種である、Cabernet Sauvignon, Pinot Noir, Sauvignon Blanc, Rieslingなどがこれにあたります。 複数形は、「verieties」で、次のように使われます。 -------------- There are thousands of grape varieties belonging to the V.vinifera species. (ヴィティス・ヴィニフェラ種に属するブドウ品種は何千もある。) -------------- Species varietyと混同しやすい言葉として、「species」という言葉があります。「 species = 種 」と訳されます。 ワインに使われるブドウのほとんどは、「Vitis vinifera(ヴィティス・ヴィニフェラ)種」に属します。先ほど挙げた、Cabernet Sauvignon, Pinot Noir, Sauvignon Blanc, Rieslingも全て、このVitis vinifera種に属します。また、日本固有の品種の中では唯一、甲州種がVitis vinifera種と言われています。 ブドウの種(grape species)には他にも、Vitis riparia種, Vitis berlandieri種, Vitis rupestris種, Vitis champini種などがあります。これらは、vitis viniferaとは違い、多くは台木として使われます。 「species」は 単複同形 で、単数でも複数でもその形はかわりません。 -------------- Vitis vinifera is a species of Vitis, native to the Mediterranean region, central Europe, and southwestern Asia, from Morocco and Portugal north to southern Germany There are many different species of vine that have evolved throughout the world  -------------- Clone 関連す

diurnal range(= 日較差)の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 diurnal range = 日較差 」です。 「日較差(にちかくさ、にちこうさ)は、一定の場所における1日の最高気温と最低気温の差である。」(source: wikipedia) 通常、最高気温は日中、最低気温は夜間なので、日中と夜間の温度の差という意味になります。 書籍によっては、「日中と夜間の平均気温の差」と書かれている場合もあるようです。 なぜ、ワインにおいて diurnal range( 日較差) が重要かというと、日較差はブドウ栽培において、ブドウの持つアロマや酸味に影響を与えるからです。 日較差の大きい地域は、ブドウの実からアロマと酸味が失われるのを遅らせることができます。これはアロマや酸味が失われやすい温暖または高温の地域において特に重要で、その結果、フレッシュで香りの高いワインを造ることができます。 一方で、ブドウが成熟しにくい冷涼な地域では、夜間にもブドウの成熟が継続するような日較差の小さい地域が好まれるようです。また、このような地域では、ワインの青い香りの原因であるメトキシピラジンの分解も促進されるようです。 diurnal range( 日較差) と意味の似た言葉として、 continentality(大陸度) という言葉があります。 diurnal rangeが 「1日の」 気温の差を表すのに対して、continentalityは 「一年間の」 最も寒い月と暑い月の気温差を表します。混同しやすいので注意が必要です。

tannin(タンニン)の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 tannin = タンニン 」です。 タンニンとは、植物に由来し、タンパク質、アルカロイド、金属イオンと反応し強く結合して難溶性の塩を形成する水溶性化合物の総称です。(source: wikipedia) ワインにおけるタンニンは、舌触りの豊かさや、渋味や苦みを与えます。 不可算名詞?可算名詞? ------------------- tannin 不可算名詞 タンニン(酸) ------------------- タンニンは多くの辞書では、不可算名詞と定義されています。 不可算名詞の例: The wine can also extract tannin and flavours from the oak itself. (ワインは、オーク自体からもタンニンと香りを抽出できる。) High levels of tannin make a wine feel fuller bodied. (強いタンニンは、ワインをフルボディに感じさせる。) しかし、ワインの味覚特徴としてのタンニンや、漠然としたタンニン物質全体をとらえる場合は、不可算名詞として利用をされるようです。 一方で、ワイン書籍を読んでいるとよく「tannins」という 可算名詞 の形でも登場します。 Tannins can sometimes also have a bitter taste that is detected most clearly at the back of your mouth.  (タンニンは苦味を持つこともあり、苦味は口の奥で最も敏感じ感じられる。) Oak can also contribute some tannins to both red and white wines. (オークは、赤白の両方のワインにタンニンを与えている。) Bitterness in wine comes from tannins extracted from grapes or oak.  (ワインの苦みは、ブドウもしくはオークから抽出されたタンニンに由来する。) Tannins bind to your saliva and cause your mouth to dry up and feel rough. (タンニンは唾液と結合し、口が渇いて、ざらつく感じを与える。) 可算名詞

bunchの意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 bunch 」=「 房 」です。 「a bunch of grapes」で、ブドウの一房を表します。 この場合、1つ1つの粒が「a grape」となります。また、「a berry」ともいうようです。 ちなみに、ブドウの粒1つ1つは、ブドウの花1つ1つからできるのですが、ブドウの花の塊は、「 inflorescence 」=「 花房 」と言います。ブドウの一房の単位で、「an inflorescence」と呼ばれます。(図の緑の粒1つが、ブドウの花の単位です。) 「bunch」という言葉は、ワインの醸造工程でも重要です。ボージョレワインの製法としてよく用いられる「マセラシオンカルボニック」は、除梗や破砕をすることなく、無傷のままのブドウを「房ごと発酵させる」醸造手法です。 (参考記事: 赤ワインで重要な「房ごと発酵する醸造方法」と「細胞内の発酵」 ) この「 房ごと発酵させる方法 」は、「 whole bunch fermentation 」と呼ばれます。 「whole bunch」は「房全体」という意味です。

正しいワインの保管・保存方法とは?開栓前、開栓後のワインで気を付けること

ワインが正しく保管されていなければ、風味は落ちて、ひどい場合には、ワインは欠陥ワインとして扱われてしまいます。 ワインを保管するにあたって気をつけなければならない一般事項を、まとめました。 WSETなどのテスト対策で暗記をする際は、トピックごとに注意すべき点をまとめておくと便利です。WSETレベル3の筆記試験では頻出です。 (参考記事: WSET Level3の問題構成と記述式(筆記)試験対策 ) <ワインの保管方法> 温度 長期保存をする場合には、ワインは一定の涼しい温度に保たれなければなりません。理想は10~15℃です。温度が極端に高くても低くても、温度の激しい変化がある場合でも、ワインはダメージを受けます。 冷蔵庫での保存期間 冷蔵庫での保存期間が長いと、コルクは硬くなり、弾力がなくなります。その結果、密閉性がなくなり、ワインは酸化をして新鮮さを失います。発泡性ワインは発泡性を失います。 ボトルの置き方 コルクで密閉されたワインはボトルを寝かせて、コルクがワインと接触した状態で保管される必要があります。コルクが乾燥すると空気が入り込んで、ワインを酸化させてしまうためです。スクリューキャップの場合は、この必要はありません。 光 ワインは強い光から遠ざけて保管する必要があります。光はワインを温めるのでワインの新鮮さが失われます。人工の光は特にワインに不快な風味を与えると言われています。 振動 ワインは振動を避けて、安定した状態で寝かせる必要があります。 <開栓したワインの保存方法> 開封したワインは時間とともに、香りや味が失われ、その後は酸化をして酢のようなにおいになります。適切な保存方法を用いることで、開封したワインであっても、数日程度はワインの保存期間を延ばすことができます。 ワインの保存期間を伸ばす2つの方法とその特徴を紹介します。 ------------------------------------------------- ① バキューム方式 (Vacuum systems ) • ボトル 内 の酸素を抜いてボトルを密閉する  (the oxygen is removed from the bottle and the bottle is sealed . ) • 発泡性ワインには不向き   (unsuitable

正しい発泡性ワイン(スパークリングワイン)の栓の抜き方(抜栓方法)

普段、何気なく開けている発泡性ワイン(シャンパンや、その他スパークリングワインを含む)の栓ですが、WSETを学習すると、正しい開栓の方法を学ぶことになります。 発泡性ワインの正しい栓の抜き方は、とにかく「安全に」一連の処理を行うことです。 そのため、 「ボトル内の圧力を抑制する」 、 「コルクが飛ばないように慎重に開栓する」 、 「万が一コルクが飛んでもいいように瓶を安全な方向に向けておく」 ことがポイントです。 特に、コルクそのものではなく、ボトルを回して開栓する(4)という慎重さは、私にとっては目からうろこでした。 WSETレベル3の筆記試験では、この非発泡性ワインの開栓方法を問う問題は頻出なので、丸暗記がおすすめです。 (参考記事: WSET Level3の問題構成と記述式(筆記)試験対策 ) ------------------------------------------------------------------------------------------- 発泡性(スパークリング)ワインの栓の抜き方  ( Opening a Bottle of Sparkling Wine) 1. ボトルを適切な温度に冷やし、ボトル内の圧力を抑制する  ( Chill the bottle of sparkling wine to the correct temperature in orde r to reduce the pressure in it.) 2. ホイル を 取り、止め金を緩める  (Remove the foil and loosen the wire cage.) 3. 止め金を緩めた瞬間から、コルクをしっかり押さえて飛び出さないようにする   (The cork must be held securely in place from the moment the wire cage is loosened. ) 4 .  ボトルを約 30 度の角度に傾け、コルクを握り、他方の手でボトルの下部をしっかりと握る  (Tilt the bottle at an angle of about 30°, gripping the cork, and use the other hand to grip the base of

ピエモンテ(Piemonte)州のDOCGワインの暗記法

ピエモンテ(Piemonte)州は、イタリアの中で最もDOCGの数の多い州です。 私がJSAソムリエ・ワインエキスパート試験の学習をしたときは、全部で17のDOCGがありました。 ピエモンテ州のDOCGの栽培地域は特に南部で複雑に入り組んでいるために、主要品種ごとに覚えるのがおすすめです。 【DOCG】 ネッビオーロ(Nebbiolo)のDOCG ネッビオーロ種は、酸味が高く、タンニンが多いが、色はあまりつかない黒ブドウです。熟成すると、サワーチェリー、ハーブ、ときにはドライフラワーの芳しい香りを醸し出します。 ピエモンテ北部には、この品種から造られる ゲンメ(Ghemme)DOCG と ガッティナーラ(Gattinara)DOCG があります。この地域ではネッビオーロは、 スパンナ(Spanna) とも呼ばれています。 ピエモンテ南部のクーネオ(Cuneo)県には、ネッビオーロ種から造られるイタリアでも屈指の知名度を誇る バローロ(Barolo)DOCG 、 バルバレスコ(Barbaresco)DOCG があります。両者ともに、ブドウがその村だけで産出されたものである場合は、Barolo Serralunga d'Albaのように村名がラベルに記載されることがります。 バルベーラ(Barbera) のDOCG バルベーラ種はピエモンテ南部で広く栽培されている品種です。晩熟で、中程度から濃い色をしていて、タンニンのレベルは低から中程度、酸味は高く、レッドチェリーやプラム、ときには黒コショウの香りを呈する黒ブドウ品種です。 ピエモンテ南部には、この品種から造られる Barbera d’Asti(バルベーラ・ダスティ)DOCG 、 Nizza(ニッツァ)DOCG 、 Barbera del Monferrato Superiore(バルベーラ・デル・モンフェッラート・スペリオーレ)DOCG の3つのDOCGがあります。ニッツァDOCGは、バルベーラ・ダスティのサブゾーンから独立したDOCGです。 ドルチェット(Dolcetto) のDOCG ドルチェットもピエモンテ南部で広く栽培されている品種です。色が濃くて、たいていは紫色で、タンニンのレベルは中程度から多く、中程度の酸味を持ち、ブラックプラム、レッドチェリー、乾燥ハーブの香りを呈する黒ブドウ品種です。 ピエモ

地図を使ったヴェネト(Veneto)州の主要なDOCGの暗記法

ヴェネト(Veneto)州にあるDOCGの数は、イタリア全州の中で2番目です。 私がJSAソムリエ・ワインエキスパートで覚えたときは、全部で14のDOCGがありました。 ヴェネト州のDOCGを覚える場合、DOCGからではなく、重要なDOCから覚えていくのがおすすめです。ヴェネトの重要なDOCGは、DOCの名前を含んでいるものが多いので、DOCを覚えることで自然にそのDOCGを覚えてしまいます。また、ブドウ品種についても、DOCの品種を覚えてしまうと、DOCGの品種をわざわざ覚えなくてもよいことが多いです。 (関連記事: 「なぜイタリアのDOC(G)は覚えるのが難しいのか?」の考察 ) ヴェネト州の主要DOCやDOCGは、州の西部の都市であるヴェローナ近くに集中しています。 【ヴェローナ(Verona)近郊】 ヴァルポリチェッラ ヴァルポリチェッラはヴェローナの北西に位置し、この地域で生産されるブドウを使って造られるワインは、 ヴァルポリチェッラ(Valpolicella)DOC とラベル表示ができます。山麓の丘陵地帯には古くからのブドウ畑があり、この畑のブドウから造られたワインは特に、 ヴァルポリチェッラ・クラッシコ(Valpolicella Classico)DOC とラベル表示をすることができます。 主要品種はコルヴィーナ種(Corvina)種でという地域原産の品種です。この品種は、果皮が薄く、色は中程度で、低から中程度のタンニンと、高い酸味を持つのが特徴です。 ヴァルポリチェッラには2種類のパッシート(passito)ワインがあります。パッシート(=アパッシメント)製法とは、まだ酸味が高いうちに早くブドウを摘み、屋内で乾燥させて、糖分と風味を凝縮させる製法です。 アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ(Amarone della Valpolicella)DOCG は、パッシート製法を用いて造られた辛口またはオフドライのフルボディのワインです。 レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラ(Recioto della Valpolicella)DOCG もパッシート製法を用いて造られたワインですが、これは発酵が止まるほど非常に甘いブドウを使って造られる甘口のワインです。 (関連記事: アパッシメント(appassimento)とパッシート(passito)の違いに関

地図を使ったトスカーナのDOCGワインの暗記法

イタリアのDOCG暗記は大変な作業ですが、トスカーナ州はその中でも暗記が大変な地域の1つです。 その理由は、この州が、ピエモンテ州、ヴェネト州に次いで、3番目に多いDOCGの数を抱えているためです。 私がJSAソムリエ・ワインエキスパートを受験した時は、トスカーナ全体で11のDOCGがありました。JSA試験の場合、トスカーナのDOCGは、大体の位置を含めて、全て暗記しておくことがおすすめです。(トスカーナ、ヴェネト、ピエモンテのDOCGは頻出です) 一見大変なトスカーナ州のDOCG暗記作業ですが、暗記をする際は地域を3つに分けるのがおすすめです。 3つの地域は、 「北部のアペニン山脈の麓の丘陵地帯」 、 「南部の温暖な気候の丘陵と渓谷」 、そして、 「沿岸部の平野」 です。 各地域のDOCG 【北部のアペニン山脈の麓の丘陵地帯】(DOCG4つ) この地域には、ピサ市、フィレンツェ、シエナの3つの都市に広がる広大な キアンティ(Chianti)DOCG の生産地域が広がります。 キアンティの中心部のより標高の高い地域には、 キアンティ・クラシコ(Chianti Classico)DOCG が存在します。ここでは、ブドウの成熟が遅くなり酸味が増してその結果、より質の高いワインが生まれます。気をつけなければならないのは、キアンティ・クラシコDOCGは、キアンティDOCGに含まれる小地区ではなく、独立したDOCGであるということです。 キアンティ・クラシコのDOCGの西側には、 ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ(Vernaccia di San Gimignano)DOCG が位置します。これはトスカーナで唯一白ワインを生産できるDOCGです。 さらに、この地域の北部には、 カルミニャーノ(Carmignano)DOCG が位置します。これは、1716年にトスカーナ大公コジモ3世によって、世界最初の原産地保護の例として生産地域の境界線が引かれた4つのワイン産地の1つです。他の3つのワイン産地は、キアンティ、ポミーノ(Pomino)、ヴァル・ダルノ・ディ・ソプラ(Val d'Arno di Sopra)です。 この地域のDOCGは、白ワインのヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノを除いて、全て サンジョベーゼ(Sangiovese) 主体の赤ワインです。 【

シラー/シラーズの主要産地とワインの特徴

シラー種(Syrah)は顆粒が小さく、濃い色をした厚い果皮を持つブドウです。造られるワインは、色が濃く、中程度から強いレベルのタンニンと中程度の酸味を持ちます。また、多くのワインが黒系果実(ブラックベリーなど)やダークチョコレートなどの風味を持ったフルボディのワインとなります。 温和な地域で造られたワインは、青草や燻製肉、スパイス(黒コショウ)の風味を持つ一方で、温暖な地域で造られたワインは、より甘いスパイスの香りを持つと言われています。 熟成を経た最良のワインは、動物や野菜の複雑性な香り(革、濡れた葉っぱ、土の香り)を造りだします。 シラー種は冷涼な気候では完熟せず、ローヌ川流域北部が栽培の北限と言われています。 シラー種はオーストラリアワインを代表する品種であり、ここではシラーズ(Shiraz)と呼ばれています。 シラー/シラーズ種の栽培は、世界各地で行われていますが、各産地で造られるワインの特徴をまとめてみました。 ワインの特徴を大別すると、比較的涼しい気候で造られた黒コショウの風味を持つものと、温暖な気候で造られた凝縮された黒系果実や甘いスパイスの風味を持つものがあります。 前者の黒コショウの香りを持つものには、北ローヌ(Northern Rhône)、オーストラリア・ヴィクトリア州の産地、ニュージーランド・ホークスベイ(Hawke's Bay)、チリのサンアントニオヴァレー(San Antonio Valley)などが含まれます。 WSETレベル3の試験では、旧世界↔新世界の間の代替ワインの問題がよく出題されますが、これらの地域はローヌワインの代替産地の候補になると考えられます。 一方で、凝縮された黒系果実の風味をもつ後者には、南オーストラリア州のマクラーレンベール(McLaren Vale)やバロッサヴァレー(Barossa Valley)、オーストラリア・ハンターヴァレー(Hunter Valley)、カリフォルニア州、ワシントン州、南アフリカなどが含まれます。南アフリカは特に熟度が高く、乾燥果実(干しブドウ、プルーン、フルーツケーキ)の香りを有します。 この他、シラー種はローヌ川流域南部や、南フランスでも栽培されていますが、これらの地域では主にグルナッシュ主体のワインに加えるブレンド品種として利用されることが多いようです。

moderateの意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

今回の単語は「 moderate 」。 特にブドウ栽培に関連する文章で目にします。 1つ目の用法は形容詞として。気候や、ワインの特徴を表す言葉として利用ができます。 --------------------------------------------------- moderate (形容詞) <気候などが>温和な 適度な、中程度の --------------------------------------------------- <例文> Bordeaux has a moderate maritime climate that benefits from the effect of the Gulf Stream. ボルドーはメキシコ湾の影響の恩恵を受ける 温和な 海洋性気候である。 The climate is warm with moderate rainfall. 気候は温暖で、降雨量は 中程度 である。 The best wines have a deep ruby colour with high levels of smooth tannins, low to moderate acidity. 最良のワインは濃いルビー色をしていて、滑らかなタンニンを多く含み、酸味は低から 中程度 である。 2つ目は動詞としての用法です。ブドウ栽培地の中には、海や川、標高、地形などの影響によって、本来はブドウ栽培に向かないような気候でもブドウ栽培を行うことができる地域がたくさんあります。この単語はそのような地域を説明する文章でよく見られます。 --------------------------------------------------- moderate (他動詞) 〈~を〉和らげる --------------------------------------------------- <例文> Many of the vineyards are moderated by the influence of the sea or altitude, depending on their location 多くのブドウ畑は、場所によって海洋または標高の影響を受けて 穏やかな気候になる 。 However, the summer temperatu

ワイン学習のモチベーションが上がる!(自粛期間にも)おすすめのワイン映画や読み物

試験のためのワイン学習を続けていると、時々どうしてもモチベーションが下がってしまい、なかなか学習に取り組めない時期があると思います。 実際、私もそうでした。 (関連記事: 覚えられない時にどうする? ワイン資格(JSA/WSET)の取得に役立ったモチベーション ) もう、テキストなんて読みたくない!ワインの勉強から離れたい! そんな時に、モチベーションを上げてくれた 映画や読み物 を紹介したいと思います。 どれも気軽に読める/観られるものなので、改めてワインの楽しさを思い出させてくれると思います。 <目次> 1. ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち [書籍・映画] 2. ソム Somm (2012)[映画] 3. ボトル・ドリーム カリフォルニアワインの奇跡(原題:Bttole Shock)[映画] 4. おかえり、ブルゴーニュへ(原題:Ce qui nous lie)[映画] 5. サイドウェイ(Sideways)[映画] 6. プロヴァンスの贈りもの(原題:A Good Year) [映画] 7.  日本のワインで奇跡を起こす 山梨のブドウ「甲州」[書籍] 1. ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち [書籍・映画] この本は、ワイン造りにおいてはまだまだ発展途上と言われる日本において、人生をかけてワイン造りに取り組んだ3人のワイン醸造家の実話に基づいた内容です。 「ウスケボーイズ」の「ウスケ」とは、現代日本ワインの父と称される麻井宇介(あさいうすけ)さんの名前に由来します。 日本では、生食用ぶどうを使ったり、海外からワインやぶどう果汁を輸入して造たっりと、長らく世界の常識からかけ離れていたワイン造りが行われていました。そのような状況に異を唱えた人物が、麻井宇介さんでした。 物語に登場する3人はそんな麻井さんの影響を受けた日本のワイン造りの将来を担う若手醸造家です。しかし、新しいワイン造りを導入すれば何かと反発は起こるもので、代々続くワイナリーの四代目である登場人物の1人は、ワイン造りの方針を巡って父や弟とぶつかり合います。 彼は、自分の心境を「バローロ・ボーイズ」のエリオ・アルターレになぞらえます。バローロとはイタリアを代表する伝統的なワインの1つですが一時人気を落としていました。しかし、エリオ・アルターレを中心とした