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ワイン名称に出てくるフランス語の「Côte」と「Coteaux」の違いとは?

 タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>

8割越えは難しい... WSETレベル3のテイスティング中間テスト

WSETレベル3コースでは、本試験対策としてテイスティングの中間模擬試験が組み込まれていました。ちょうどコースも半ばを過ぎてテイスティングコメントもこなれてきた絶好のタイミングです。



本試験と同じ、赤白それぞれ15分ずつで行うブラインドテイスティングで、ちゃんと採点もしてもらえます。

毎回、テイスティングの復習をしっかりやってきた自負があるので何とか及第点の55%をとりたいところ。でもいつでも知識先行型で、感覚系の試験には苦手意識のある私。及第点に届かなかったらかなりへこんでしまうので、結構気合を入れて臨みました。


結果はというと...なんとか及第点に届きました!

80%以上の"Pass with distinction"に届かないまでも、65%~79%の"Pass with merit"にあたる得点。中間地点としてはひと安心でした。

せめて70%に届きたかったのですが、テイスティングはそんなに甘くありませんよね。

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Total: 28/41 (68%)

WHITE WINE(白ワイン): 13/21 [62%]

Appearance(外観): 2/2
Nose(香り): 5/7
Palate(味覚): 5/9
Assessment of quality(品質レベル): 0/1
Readiness for drinking(飲み頃のレベル): 1/1


RED WINE(赤ワイン): 15/21 [71%]

Appearance(外観): 2/2
Nose(香り): 6/7
Palate(味覚): 5/10
Assessment of quality(品質レベル): 1/1
Readiness for drinking(飲み頃のレベル): 1/1
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最も減点が多かったのは「Palate(味覚)」

最も外したところは「Palate(味覚)」で赤白あわせて9点分も外してしまいました。そのため「Palate(味覚)」の得点率は赤白合計で 53%(10点/19点)と半分程度でした。

「Palate(味覚)」の項目のうち、白で外した部分は、body(ボディ), flavour intensity(風味の強さ), finish(後味), flavour characteristics(風味の特徴)で合計4点を失いました。

赤で外した部分は、acidity(酸味), tannin(タンニン), alcohol(アルコール), body(ボディ), finish(後味) で合計5点を失いました。

body(ボディ)とfinish(後味)は赤白両方で外してしまいました。

「Palate(味覚)」は評価項目が多い分配点が高いので、半分の正答率だとテイスティング全体の得点に大きく響きます。

特に、「acidity(酸味)」, 「tannin(タンニン)」, 「body(ボディ)」, 「finish(後味)」は全てを当てるのは難関です。

その理由は、どれも回答の選択肢として5段階が用意されており、それぞれでピタリと当てなければならないことです。特にmediumに、特に、「medium(-)」, 「medium」, 「medium(+)」の3段階が用意されていることが厄介です。

また、それぞれの項目がお互いに独立しており、関連性が低いことも理由としてあげられます。(例えば、酸味が高いからと言って、タンニンも高くなるという依存性はありません)

この「Palate(味覚)」がビシバシ当たるようになるとと、本試験での"Pass with distinction (80%以上)"も夢ではないと思いました。



次に減点が多かったのは「Nose(香り)」

「Palate(味覚)」に次いで配点の高い「Nose(香り)」では、赤白あわせて3点減点で79%の正解率でした。

「Nose(香り)」は比較的得点の取りやすい項目です。「aroma intensity(香りの強さ)」以外は、それほど選択肢の幅が広くないのがその理由です。ここは得点の稼ぎどころです!

外した部分は、白ワインで「aroma characteristics」を2点分、赤ワインでも同項目を1点分を減点されてしまいました。白ワインの方が、香りが微妙で全ての香りを当てるのが難しかったです。



まとめ

模試を受けてみた感想は、ワインの品質レベルを間違えなければ55%程度は十分クリアできるということでした。

品質レベルとは、「Assessment of quality」のことで、試験で出題されるワインの品質レベルは「acceptable」, 「good」, 「very good」, 「outstanding」のいずれかです。

赤ワインに比べて、白ワインの点数が低かった(得点率:62%)理由は、私が品質レベルの回答を間違ってしまったことが大きな原因だと思います。私はこのワインを「good wine」と評価をしましたが、正答は「acceptable」でした。

品質レベルを誤ると、それに引きずられて他の回答も誤って回答してしまいがちです。私は白ワインの品質を正答よりも高めに評価してしまったがために、body(ボディ), flavour intensity(風味の強さ), finish(後味)を少し過大評価してしまいました。

反面、品質レベルを正しく回答できた赤ワインではまずまずの得点をとることができました(得点率:71%)。

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WSET Level3 記述式問題で重要に思えたところ(本試験の筆記問題対策)

繰り返しになりますが、WSET level3の最大の難関は記述式問題です。 (参考記事: WSET Level3 の試験構成 ) WSETの記述式問題では、出題されたテーマに対して、深く理解をしているかが問われます。 (参考記事: 一筋縄ではいかない!とてもWSET的だと思った記述式問題(問題例) ) そのため、記述式問題の基本的な対策は、WSETレベル3のテキストの読み込みと、講義ノートの見直しを主に行いました。 しかし、広大な産地全てについて、万遍無く、深く理解をするというのは途方もない作業に思われました。 さらに私の場合は英語受験だったので、日本語のようにテキストをスラスラ読むこともできるわけはなく、本試験までの日数から逆算をすると、とてもそんな時間は確保できないと思いました。 そこで記述式試験対策の方針としては、いくつか重要と思われる部分にヤマを張って、それらを重点的に勉強することにしました。「重要と思われる部分」は次のような判断基準で抜き出しました。 ・講義中に担当講師が「重要」「試験に頻出」と言っていた部分 ・サンプル問題で、何度も問われていた部分 (参考記事: WSET過去問は共有禁止!それでもWSETレベル3の試験問題の参考にしたウェブサイト ) ・複雑で、しっかり理解をしていないと説明ができないと思った部分(特に醸造工程のオプションなど) ヤマを張った部分に関しては何度もテキストを読み返して、テキストの重要ポイントは何度もノートに書きあげて英文を書く練習を続けました。 (参考記事: WSET Level3の英語受験を一発合格した勉強方法 ) (関連記事: WSET試験の記述問題対策では「動詞」が重要!? ) 「重要と思われる部分」として抜き出した具体例を下に紹介します: <ワインの保管とサービス> ワインの保管方法(参考記事: ワインの保管方法 ) ワインの提供温度 (参考記事: チャートで覚えたワインのサービス温度 ) ワインのデカンティング 発泡性ワインの栓の抜き方(参考記事: 非発泡性(スパークリング)ワインの栓の抜き方 ) ワインの保存に使われる方法(参考記事: ワインの保管方法 ) <ブドウ樹の栽培、畑の管理、ワインの醸造> 高接ぎとその特徴(参考記事: grafting(...

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WSETで納得!JSAで疑問だったギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い

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ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは?

ブドウ樹は、その土地に合わせて様々な形をしています。このブドウ樹の形は「仕立て」と呼ばれ、休眠期の剪定によって整えられます。 例えば、ボルドーやブルゴーニュでは針金と柱を用いて枝を地面と垂直方向に伸ばす「垣根仕立て」が多く採用されています。 一方で日本では、ブドウや葉を棚の天面に広げる棚仕立て(Pergola ペルゴラ)が多く採用されています。 このような仕立てや選定は、気温、日照、水、土壌の栄養分などのブドウ樹が必要とする要素や、ブドウ畑の機械の使用などを考慮して、そのブドウ畑に最適なものが選ばれます。 WSETレベル3では、この「仕立て」、「剪定」について比較的しっかりと学ぶのですが、ブドウ畑に馴染みのない私にとっては少し理解が難しい部分でした。 特に私が混乱してしまったのは、「仕立て(training)」と「剪定(pruning)」の違いでした。両者はお互いに深い関係があり、テキストの説明だけでは直感的にわかりにくかったので、個人的に図などを利用してまとめてみました。 (関連記事:t rellis の意味 | 英語ワイン書籍に出てくる英単語 ) <仕立てと剪定の違い> WSETテキストによれば「仕立て」と「剪定」は次のように説明されています。 「ブドウ樹の整枝・仕立てとは一般に株の形状のことをいい、大きく分けて、株仕立てとコルドン仕立ての二つに分類できる。」(株…ブドウ樹で一年以上経っている木質部のこと) 「剪定とは、冬または生育期間中に、望ましくない葉や長梢、株を除去することである。剪定によって樹の形が決まり、大きさが制限される。」 つまり、仕立てとは「ブドウ樹の形」を意味し、剪定とはその「ブドウ樹の形をつくるための作業」ということになります。 <仕立てと剪定の種類> 「仕立て」は株(一年以上経っている木質部)の形によって大きく「株仕立て(head training)」と「コルドン仕立て(cordon training)」の二つに分類ができるようです。 「株仕立て」は株の部分が比較的小さいのに対して、「コルドン仕立て」はコルドンと呼ばれる腕枝があるのが特徴です。コルドンは通常1~2本ですが、4本以上のコルドンを持つ「大木仕立て(big vine)」と呼ばれるものもあるようです。 ...

私的なリースリング、ソーヴィニヨン・ブラン、シャブリ(シャルドネ)の見分け方

JSAソムリエ・ワインエキスパートの2次試験(テイスティング試験)対策を始めたときに、私にとっての最初の壁は「 アルザスのリースリング 」、「 ロワールのソーヴィニヨン・ブラン 」、「 シャブリ 」の3つの違いがわかるようになることでした。 この3つは、フランスの冷涼地域の代表的なワインで、本試験でも出題頻度が高いと言われているものです。 ワインスクールに通って何度もテイスティングをして講師の説明を聞いたのですが、なんだか最後まであまり腑に落ちなくて、最後はワインスクールの模範解答や、本試験の過去の出題履歴と模範解答を集めて、自分なりにそれぞれの違いを分析しました。 その分析結果を紹介します。 各項目でそれぞれのワインの模範解答(※)を紹介していますが、あくまでも私が調べた範囲の結果ですので、プロから見たら誤っている部分があるかもしれません。しかし、できるだけ回答をワインスクールで習ったことに合致させているつもりです。 また、 アルザスRI=アルザスのリースリング 、 ロワールSB=ロワールのソーヴィニヨン・ブラン と表記しています。 (※模範解答は、2次試験に出るワインが持つ傾向であり、必ずしもアルザスRI、ロワールSB、シャブリが全て模範解答のような特徴を持っているわけではありません。) (関連記事: シャルドネ、ソーヴィニヨンブラン、リースリング、ミュスカデの味わいの違いは? ~冷涼地域の白ワイン品種の特徴の比較~ ) <外観> 外観は、3つのワインにそれほど大きな違いはありません。 異なる部分は、ロワールSBに比べて、 アルザスRI と シャブリ は 色調や濃淡が濃くでやすい ということです。 <香り> 香りは、3つのワインで一番違いが出る部分です。 【第一印象】 まず第一印象において、 シャブリ は他の2つのワインよりも 香りの印象が控えめ な傾向があります。これは、 シャブリ に使われている シャルドネ が ノンアロマティック品種(ブドウ由来の香りが弱い品種) である一方で、 リースリング と ソーヴィニヨン・ブラン が アロマティック品種(ブドウ由来の香りの強い品種) であるためだと思います。 【果実】 果実味については、 アルザスRI が より強い果実味を持つ 傾向にあり...

botrytised/ botrytized wineの意味 (= 貴腐ワイン)|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 botrytised wine = 貴腐ワイン 」です。 「botrytised」は「botrytized」とも書かれます。(読みはいずれも「ボトリタイズド」。) 「 貴腐 」とは、カビがブドウ果皮に穴をあけてブドウ中の水分が蒸発することによって糖度が高められ、独特の芳香を帯びる現象のことを言います。貴腐の影響を受けたブドウは「 貴腐ブドウ 」と呼ばれ、貴腐ブドウから造られたワインは「 貴腐ワイン 」と呼ばれます。 そして、貴腐を起こすカビは「 ボトリティス・シネレア(Botrytis cenerea)菌 」と呼ばれます。 つまり、 botrytised wine とは、「 ボトリティス・シネレアの影響を受けたワイン 」という意味になります。 貴腐という現象だけを指す場合は、「 noble rot (=貴腐) 」という単語がよく使われます。しかし、貴腐ワインを表す場合は「noble rot wine」ではなく、「botrytised wine」という表現がよく用いられているような気がします。貴腐ブドウを表す場合も「noble rot grape」よりも「botrytised grape」という表現をよく目にします。(英ワイン資格のWSETの中では、この表現で統一されています。) 貴腐は、朝のうちは湿気があり霧が立ち込めて、午後は晴れて乾燥をするような、特定の環境条件がそろわないと発生しません。 世界三大貴腐ワインと言われる、ソーテルヌ(Sauternes)、トカイ(Tokaj)、トロッケンベーレンアウスレーゼ(Trockenbeerenauslese)は、そのような条件を満たした産地で造られます。 (関連記事: ワインにおけるハチミツの香りとは?|ワインの香り用語 ) How the botritised grapes are developed: First, the grapes must be fully ripe before the development of the noble rot.  Second, the grapes must be grown in a region that provides humid misty mornings Those mornings allow rot to develop on the grap...

クリアンサ、レゼルバ、グランレゼルバとは?スペインワインの熟成規定(最低熟成期間)の私的暗記法

スペインの赤ワインのうち、最良のワインにはほぼ確実にオークを使用した熟成がされていると言われています。白ワインの大半はフレッシュで果実味が豊かなワインと言われていますが、一部のワインではオークを使った熟成が行われ、異なる風味が加えられています。 スペインのワイン法でもワインの熟成表記に関する規定が定められており、最低熟成期間の長さによって、「 クリアンサ(Crianza) 」、「 レゼルバ(Reserva) 」、「 グラン・レゼルバ(Gran Reserva) 」などのカテゴリーが規定されています。 最低熟成期間には、総熟成期間と樽熟成期間があり、総熟成期間は樽熟成期間を含めたトータルの熟成期間を示しています。 いくつかのワイン試験では、この最低熟成期間をワインの種類(赤、白・ロゼ)ごと、カテゴリーごとに覚えなければならないのですが、この数字の羅列を覚えるのはなかなか至難の業です。 そこで、個人的に考えた、このスペインワインの熟成規定の覚え方を紹介したいと思います。 1. 表を年表示にする まずは、数字を覚えやすくするために、表の単位を「月」から「年」に変換します。 まるで囲んだ部分だけ、語呂合わせなどを使って覚えます。 2. 赤ワインの「グラン・レゼルバ」の熟成期間を覚える 赤ワインのグラン・レゼルバの最低熟成期間は、偶然にもクリアンサとレゼルバの最低熟成期間を足し合わせた期間なので、簡単に覚えられます。 3. 白・ロゼワインの「クリアンサ」、「レゼルバ」の最低総熟成期間を覚える 白・ロゼワインにおいて、クリアンサ、レゼルバの最低の総熟成期間は、偶然にも赤ワインの「最低総熟成期間ー最低樽熟成期間」に一致します。これを覚えます。 4. 白・ロゼワインの「グラン・ レゼルバ」の最低総熟成期間を覚える 今までの法則で行くと、「グラン・レゼルバ」の最低の総熟成期間は3.5年が望ましいですが、 実際は4年 です。ここだけ、例外的に 0.5年だけずれる と覚えます。 5. 白・ロゼワインの 最低樽熟成期間を覚える 白・ロゼワインの最低の樽熟成期間は、全て同一の0.5年です。 赤ワインの「クリアンサ」のものと同じと覚えておくと、覚えやすいかもしれません。 最後に、この表を法則とともに覚えておくことで、暗記作業は完了です。 関連記事: スペインの「グラン・レセルバ(Gran Re...

EUの甘味(残糖量)を表すラベル表示用語とその覚え方【語呂合わせなど】

EU内で生産される/EU内で販売するために生産される発泡性ワイン には、 甘味に関するラベル表示用語(Labelling term) が規定されています。 「Brut Nature」から「Doux」までの7段階 があり、それぞれに対して残糖量の範囲が決まっているのですが、これを覚えるのはなかなか大変です。 WSET L3 では、テキストに「試験では、ブリュット・ナチュール(Brut Nature)、ブリュット(Brut)、ドゥミ・セック(Demi-Sec)の用語と、それぞれの甘味のレベルに関する知識があれば十分である。」と丁寧に書かれているので、この3つだけを覚えれば十分で、暗記はそれほど大変ではありませんでした。 しかし、 JSAソムリエ・ワインエキスパート試験 では、細かい部分も出題される可能性があり、全ての用語と残糖量の範囲を試行錯誤を重ねて何とか覚えました。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 ) (関連記事: スパークリング・ワインの残糖量の表示の覚え方(新) ) その方法は次の①~④の通りです。 ------------------------------------------------------------- <発泡性ワインの甘味を表すEUのラベル表示用語> <覚え方> ①カテゴリ分けをする ・まず、7段階の表示を、Brut、Sec、Douxに分けて、それぞれ3つ、3つ、1つと覚えました。 ②Brutを覚える ・Brutが 最も残糖量の少ないカテゴリー であることを覚えました。「 Brut=untreated(未加工の)≒糖の添加を極力行わない 」と考えると容易に覚えられました。 ・ Brut Nature、Extra Brut、Brut の3つの表示用語があることを覚えました。 Nature(自然のままの)、Extra(格外の) という意味を考えると覚えるのは容易でした。 ・Brutの 最低残糖量は全て「0」 であることを覚えました。 ・Brut Natureの最大残糖量が「3」であることを覚えました。Natureには「生まれたままの」という意味があるので、「 3つ子の魂100まで ...