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1月, 2024の投稿を表示しています

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エントレ・コルディリェラス? チリの新しい原産地呼称の覚え方

 チリのワイン産地は南北に長く広がりますが、地形的な特徴の影響を受けるために、実は南北よりも東西にかけて、気候や土壌の多様性が非常に高いと言われています。 従来の原産地呼称では、この東西にかけてのワインスタイルの特徴の違いが十分に表現されていませんでしたが、2011年から、この問題を解決するための新たな付加的な原産地呼称が加えられました。 それが、「コスタ(Costa)」、「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」、「アンデス(Andes)」の3つです。 これは従来の原産地呼称に付加的に加えられるもので、例えば「Aconcagua」で造られたワインに対して、「Aconcagua Costa」、「Aconcagua Entre Cordilleras」、「Aconcagua Andes」のようにラベルに表記されるようです。 上図のように、「コスタ」は海の影響を受ける地域、「アンデス」はアンデス山脈の影響を受ける地域、そして「エントレ・コルディリェラス」はその間の地域を表します。 この新たな原産地呼称の仕組み自体はシンプルなのですが、それぞれの名前、特に「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」を覚えるのが厄介です。 そこで、これを覚えるための語呂合わせを考えてみました。 エントレ・コルディリェラスは少し苦しいですが、英語のスペルも覚えられるように、それに合わせた語呂合わせにしてみました。 <了>

シチリア州のワイン用【黒】ブドウ品種の覚え方(語呂合わせ)

 白ブドウ品種に続けて、黒ブドウ品種の覚え方も考えてみました。 ネロ・ダヴォラ(Nero d'Avola) ネロ・ダヴォラは、シチリアで最も広く栽培されている黒ブドウ品種です。カラブレーゼ(Clabrese)という名前でも知られています。 シチリア唯一のDOCGワインである「 チェラスオーロ・ディ・ヴィットリア(Cerasuolo di Vittoria) DOCG 」の主要品種としても有名です。このDOCGではフラッパート(Frappato)という名の黒ブドウとブレンドされます。 ネロ・ダヴォラは晩熟品種で、赤系~黒系果実の香りと、比較的しっかりとした骨格(タンニン、酸味)を持っています。 品質の低い低価格なワインも造りますが、収量を制限すると熟度の高いブドウから品質の高い中~高価格のワインを製造できます。品質の高いワインの多くは、小さめのオーク樽で熟成されます。 高品質なワインを造ることのできる特徴から、90年代には大きな注目も集めた品種であるようです。 ネレッロ・マスカレーゼ(Nerello Mascalese) ネレッロ・マスカレーゼは、近年は、 エトナDOC(赤) の主要品種として注目されている品種です。収量を増やして大量生産に使われることもありますが、収量を制限した高品質なワインの製造にも使われる品種のようです。 エトナDOCは、エトナ火山を囲むように広がる地域です。ちなみに先ほど登場したチェラッスオーロ・ディ・ヴィットリアは島の南部に広がっています。 ネレッロ・マスカレーゼは、ネロ・ダヴォラと同様に、晩熟でしっかりとした骨格(特に高い酸味)を持つブドウ品種です。 ネロダヴォラと比べると、赤系果実の香りが中心で、スミレやハーブ、土のような複雑な香りを持っています。強めの香りの強さを持っているようです。 香りの良さと、しっかりとした骨格を持つという特徴から、近年注目されている理由もうかがい知れます。 エトナには60-100歳にもなる古木も栽培されており、最も品質の高いワインは、このような古木から収穫されたブドウで造られています。 <了>

シチリア州のワイン用【白】ブドウ品種の覚え方(語呂合わせ)

 シチリア州(イタリア)の白ワイン用ブドウ品種を覚えるための語呂合わせを考えてみました。 カタラット(Catarratto) カタラットは黒ブドウ、白ブドウの両方を合わせても、最も広く栽培されているブドウ品種です。英語で書く場合は、「r」が2つ並ぶのでスペルミスをしてしまいそうです。 シチリアの白ブドウは、低価格帯の辛口ワインや、酒精強化ワインのマルサーラの製造に使われることが多いようですが、カタラットも例外ではありません。 高い収穫量を期待でき、軽めのレモンやハーブの香りを持ち、高い酸味を持つことが特徴と言われています。 カタラットは、アルカモDOC(白)製造のための主要品種としても知られています。 グリッロ(Grillo) グリッロは、カタラットと同様にレモンの香りと高い酸味を持つ白ブドウ品種です。暑さに強い品種なので、シチリアの温かく乾燥した気候には非常に適しているようです。 グリッロから製造されるワインも、カタラットと同様に、低価格な辛口ワインやマルサーラ、アルカモDOCなどがあります。 しかし、中程度の強度の香りと、花の香りを持つために、カタラットよりも品質の高いワインが造られる傾向があるようです。 インツォリア(Inzolia) = アンソニカ(Ansonica) インツォリアは、アンソニカとも呼ばれる白ブドウ品種です。早熟で乾燥に強い特徴を持ったブドウ品種です。 カタラットやグリッロと同様に、中程度のレモンの香りを持った品種ですが、酸味は中程度で、カタラットやグリッロほどの酸味はありません。そのために、両品種とのブレンドに相性が良いようです。 インツォリアからも、低価格な辛口ワインやマルサーラ、アルカモDOCなどが造れらるようです。 ジビッボ(Zibibbo)= マスカット・オブ・アレキサンドリア シチリアではマスカット品種も栽培されており、ジビッボという名前で知られています。ZとBばかりの独特な綴りです。 ジビッボは、熱や乾燥に強いという特徴を持っているために、強烈な日差し、暑さ、乾燥した風によって最も乾燥に強い品種しか育たないパンテッレリーア島でのワイン造りに役立っています。パンテッレリーア島は、シチリアとチュニジアにある島です。 ここでは、通常の辛口や甘口のレイト・ハーヴェストワインに加えて、半干しブドウから造られるパッシート・スタイルのワインが

スペインの「グラン・レセルバ(Gran Reserva)」ワインとは?その品質を考察

スペインの「グラン・レセルバ(Gran Reserva)」ワインとは、スペインのワイン法で定められた最長の熟成基準を満たしたワインのことを指し、ラベルに「Gran Reserva」と表記することが許されたワインのことです。 赤ワインの場合、最低限5年の熟成期間が求められており、そのうち最低18か月以上の樽熟成が必要です。樽熟成に使われる樽のサイズにも規定があり、330ℓを超えるものを用いることはできません。 熟成期間の規定には独自にさらに厳しい条件を課している地域(リオハDOCaなど)もあり、さらに長い最低熟成期間や、瓶熟成の規定、より小さい樽の利用などの条件が課せられています。 白ワインやロゼワインにも「グラン・レセルバ」を名乗るには同様の熟成規定があり、4年の最低熟成期間(うち、6か月は330ℓ以下での樽熟成)という条件が課せられています。 一定の熟成規定を満たしたワインに表示のできるラベル用語としては「Gran Reserva」以外にも「Reserva(レセルバ)」や「Crianza(クリアンサ)」がありますが、最も長く厳しい熟成規定が設けられているのは「Gran Reserva」です。 では、「Gran Reserva」が最も品質の高いワインと言えるのでしょうか? 答えは必ずしもそうとは限りません。 その理由を考察していきたいと思います。 【理由①】「Gran Reserva」は熟成しか規定していない ワインの品質に大きな影響を与える要素としては、ブドウの品質(ブドウ栽培)、醸造手法(ワイン醸造)、熟成手法(ワイン熟成)があると言われています。 しかし、「Gran Reserva」が規定しているのは、このうちの「熟成手法」のみについてです。「ブドウの品質」や「醸造手法」については何も条件が課せられていません。 極端な例をあげると、最高の日当たりと水はけの畑でとられた最高級のブドウから造られたワインでも、栽培条件の良くない畑の粗悪なブドウから造られたワインでも、一定の条件を満たす熟成工程を経た場合、どちらも「Gran Reserva」が名乗れてしまうわけです。 例えば、同じ熟成規定のもとで造られるリオハDOCaワインであっても、これだけ広範囲にわたるブドウ畑があれば、そこで造られるブドウの品質もまちまちです。そして、そのブドウから造られるワインの品質もピンから