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ワイン名称に出てくるフランス語の「Côte」と「Coteaux」の違いとは?

 タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>

非ネイティブのWSETレベル3英語対策


私はWSETレベル3を英語で受講して、英語で受験し、無事合格をすることができました。

英語受講をする前までは、「ワイン英語がちゃんと聞き取れるのかな?」「講師からの質問に答えられるかな?」「他の生徒についていけるかな?」と不安ばかりでした。

英語受講は、世界で活躍するワインの専門家や、日本語クラスを受講できない英語ネイティブ向けで、私のような「ワイン英語を勉強したいだけの非ネイティブ」なんかが興味本位で参加をしてもよいのかと、受講申し込みをするまではかなり頭を悩ませました。

そんな私がWSETレベル3の英語受講や、英語受験のポイントだと思ったことを、英語学習にフォーカスをあてて紹介したいと思います。




ワインを英語を学んだきっかけと、学んでよかったと思うこと


英語でワインを学ぼうと思ったきっかけは、「英語でワインのことが話せるようになりたい!英語でテイスティングコメントが言えるようになりたい!」という単純なものでした。

そして実際にWSETの受講と受験を終えてみて、今では思いもよらなかったようなしっかりとした英語でのテイスティングコメントが言えるようになりました!これはWSETが提供しているSATと呼ばれるワインテイスティングツールのおかげでもあります。

(参考記事:SAT式ワインの英語テイスティングコメント(英語表現)


また、受講前には思いもよらなかった「さらなるワイン学習について興味が深まる」という大きなメリットも得られました。

(参考記事:ワインを英語で学ぼうと思ったきっかけと意外な発見

(参考記事:ワイン講座を英語で受けるメリット




英語受講対策:英語クラスについていくためのポイント


英語クラスを受講してはじめに思ったことは、受講生は当初思っていたような、ワインのプロや、英語ネイティブばかりではなかったことでした。

私のように興味本位でワイン英語を勉強したいと思っている日本人や、英語ネイティブではない外国人、また上位資格のディプロマを目指したいからレベル3を英語で受けている人など、様々な方々がいて少し安心したのを覚えています。

(参考記事:ワイン資格の勉強をしているのはどんな人たち?~日本語、英語クラスの違いなど~


講義で使われる英語は難しい言い回しなどは少なく、日本人にとっても比較的聞きやすい英語だったと思います。仕事や大学の講義などで、英語の講義や、英語のセミナー、英語の会議などに参加をした経験があり、大まかな内容を把握することができる人であれば、十分ついて行ける内容だと思いました。

(参考記事:WSET英語受講の講師の英語やその難易度について

(参考記事:WSETレベル3の英語クラス受講に必要な英語力


ブドウ栽培やワイン醸造に関わる部分に関しては、専門用語が多く登場したり、少し説明が複雑になるような部分もあったので、しっかり予習をしてから受講をした方がよいと思いました。(実際に、そのような部分に関しては、講師からも予習をしてくるようにとの案内がありました)

(参考記事:WSETレベル3の英語受講はブドウ栽培、ワイン醸造部分が難しい


私は、英語のリスニングに不安があったので、事前に英語に慣れるために無料サイトでリスニングトレーニングをしたり、WSETのオフィシャルサイトで紹介されているビデオを見たりしてから、実際の講義にのぞみました。

(参考記事:英語学習でお世話になったウェブサイト(WSET英語受講対策)

(参考記事:英語受講の参考になるWSETオフィシャルビデオ


また、講義の予習・復習もテキストの字面を追うだけではなく、英語のスピーキングや、リスニングを意識した方法で行いました。

(参考記事:ワイン英語が聞き取れなかった理由と、その対策



Amazonオーディオブック「Audible」では、リスニング学習に使える英語のワイン書籍がいくつか販売されています(無料試聴可) ↓





英語受験対策:テストに受かるためのポイント


以前にも似たような記事「WSET Level3に必要な英語力:テスト編」を書きましたが、時間が経って少し考え方が変わった部分がありましたので、更新の意味を込めてこのテーマについて書いてみようと思います。


私は英語が母国語ではないので、WSETレベル試験でもっとも不安だったのは英語の部分でした。JSAワインエキスパートに合格をしているし、WSETレベル3の試験で求められる正解率は55%と低いので、試験内容的には母国語の日本語で受ければまず落ちることはない試験だと思っていました。

実際に本番試験を終えてみて、試験においてどんな英語力が必要だったかを、その対策、失敗談も踏まえて振り返ってみようと思います。

WSETレベル3の英語試験で求められる英語力についての説明なので、英語受講をしている方だけではなく、日本語受講をして受験だけ英語で行う方にも参考になるかもしれません。


<テースティング試験(赤白2種)>


テースティングは正直もっとも英語力が求められない部分だと思います。求められる英語力は、定型フォーマットの英文に、そのワイン特有の特徴を当てはめていくだけ。唯一少し苦労をするとしたら、香りの特徴を表す"raspberry", "nutmeg"などのスペルを正確におぼえることだけです。私の場合、日頃からテースティングコメントを英語で書く習慣をつけること以外は特に英語対策は行いませんでした。

(参考記事:SAT式ワインの英語テイスティングコメント(英語表現)



<理論試験-選択式試験(50問 - 各1点)>


選択式問題50問で求められる英語力は「素早く問題文と選択肢に目を通して理解をする読解力」です。選択式問題50問のことだけを考えれば、ある程度の英語力があればそれほど難しいことではないのですが、素早く終わらせてこれに続く"記述式問題にできるだけ時間をとっておく"ことを考えると、それなりにしっかりと対策をしておくべき部分だなと思いました。

私は、テキストをしっかり読み込むことと、ネット検索で入手したサンプル問題を事前に解いておくことでこの対策を行いました。問題文や選択肢で出てくる単語はほとんどテキストで使われているものなので、意味の分からない単語はほとんどありませんでした。またサンプル問題は類似問題がたくさん出たので、かなりの時間を記述式問題にまわすことができました。

実際の試験ではほとんど出題されなかったのですが、サンプル問題では"not.../ un..."問題、いわゆる「~ではないものを選べ」という問題で間違えることが多かったので、このようなタイプの問題には特に気を付けて、重要な単語に下線を引いて解きました。また、該当する選択肢を全て選ぶ問題は、全ての選択肢を読まなければ回答ができないので、特に素早く選択肢に目を通すことに心掛けました。



<理論試験-記述式試験(4問 - 各25点)>


記述式問題で求められる英語力は、「問題文の真意を理解する読解力」と「英作文能力」です。英語を読むことに比べると英語を書くことの方が機会が少なかったので、はじめは英作文対策に気をとられがちでした。いかにきれいな英語を書くかということばかりに気をとられて、サンプル問題を解いても十分な得点が得られないことが多かったと思います。

しかし、試験対策を進めるにつれて読解力の方が重要だと思い、こちらに力をいれるようになりました。なぜなら問題の意図を正確に理解していなければ、どれだけ文章を書いても全てが的外れで、全く得点が加算されないからです。

読解力対策としては、文章をしっかり読んで何が問われているかをしっかり理解し、回答プランを整理してから書き始める癖をつけるようにしました。また、記述問題で問われることは大体きまったパターンがあるので、スクールでもらったりネットで見つけたサンプル問題を分析して、得点をもらうにはどんなことを書けばよいのかを調べ上げました。

英作文に関しては、日頃から授業のノートや、スクールからの宿題を英文で書くことで、英作文を日常生活に取り入れることで対策を行いました。私は英語受講だったので、当然このような流れになったのですが、日本語受講の場合でもまとめノートや宿題は英語でやった方がきっと効果的だと思います。

また、回答の記入にあたっては「文章をシンプルに書く(複文よりも、接続詞でつないで単文で書く)」「重要なキーワードは早めに登場させる」「得点がもらえない文章は書かない(一文で1点かそれ以上もらうことを目指す)」ことを心掛けました。時間も解答欄も限られているので、採点者に対して自分が問題のテーマを十分に理解していることを、いかに簡単に、文字数や時間をかけずにわかってもらうかを目指しました。

私が本試験で書いた英作文のレベルは、中学生で習う英語のレベルで、おそらくいくつか文法やスペルのミスがありましたが、結果は「Distinction」だったので十分得点はえられたのだと思います。

(参考記事:英語受験におけるスペルミスや文法エラーの扱いについての予測 (WSETレベル3)


英語受験の場合、何かと英語力に気を取られがちです。しかし、授業の予習や復習でテキストをひたすら読み込んで、試験対策用に重要部分の英文の書き出しを続けていると、本試験に必要な英語力は自然に身についてしまうものだと感じました。

(参考記事:英語の説明力を試されたルミアージュとデゴルジュマンの工程


WSETレベル3の試験対策全般については、こちらを参照してください:

(参考記事:WSET Level3の英語受験を一発合格した勉強方法



よく読まれている記事

WSETで納得!JSAで疑問だったギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い

JSAワインエキスパートを学んでいた時に、ブドウ樹の仕立て方でずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、 「ギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い」 。 両者ともに世界的に広く採用されている仕立て方である「 垣根仕立て 」の代表例なのですが、 ギヨドゥブルは長梢剪定 、 コルドンロワイヤは短梢剪定 の例として紹介されていました。 (参考記事: ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは? ) それぞれぱっと見の形はすごく似ていて、その違いは、枝の太さの違いだけ。ギヨドゥブルは2本に分かれる枝が細くて、コルドンロワイヤはそれが太い。 なぜこのような似通った2つの仕立て方が用いられているのか が、当時の私にはわかりませんでした。 JSAソムリエ・ワインエキスパート試験では、ブドウの栽培方法、特に仕立て方に関してはあまり深い知識は必要なかったために、この2つの機能的な違いや、長梢剪定、短梢剪定に関する説明は試験対策講座でも省略されていました。また、当時、独自でネット検索をして色々調べてみたのですが、結局答えはわからず終いでした。 それから一年、こんな疑問があったことも忘れてしまった頃、WSETレベル3の講義を受けて この疑問を解決することができました! ギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの選定の流れ WSET の講義を受けて分かったことは、次のようなこと: ギヨ・ドゥブル では、前年の新梢が一本だけ残され、その枝(長梢)が水平方向に延ばされる ギヨ・ドゥブル では、水平に伸ばされた長梢の上に、その年の新梢が垂直に伸びる ギヨ・ドゥブル では、その年の収穫が終わったら、その年の新梢1本だけを残して、残りの枝は刈り取られる コルドン・ロワイヤ では、一昨年かそれ以前に作られた腕枝(コルドン)の上に、去年の新梢の一部(短梢)が残される コルドン・ロワイヤ では、短梢から今年の新梢が垂直に伸びる ギヨ・ドゥブル、コルドン・ロワイヤともに 、新しいブドウの房は新梢の上にできる (ギヨ・サンプル/ドゥブルの剪定の流れ) (コルドン・ロワイヤの剪定の流れ) 仕立てが出来上がった状態では、それぞれとても似通った形になって...

ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリットの整理

 ワイン用のブドウ栽培では、多くのブドウ樹が棚付けされて管理されています。 棚付けとは、ブドウ棚を使用して毎年成長するブドウの枝葉を支持するブドウ樹の管理方法です。 ブドウ棚は下図のような、支柱と針金からなる常設の構造物を指します。 そして、ブドウの樹の棚付けの方法として最も広く使われている方法が 「垣根仕立て(VSP = Vertical Shoot Positioning)」 です。 垣根仕立てがあまりに一般的なので、個人的には、ついつい「棚付けのブドウ樹 = 垣根仕立て」と混同しがちです。 そこで整理のために、ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット、デメリットをそれぞれまとめてみました。 棚付けしたブドウ畑(樹)のメリット・デメリット 棚付けの最大のメリットは、キャノピー・マネジメント(樹冠管理)が容易になることです。キャノピーとは、ブドウ樹で毎年成長する緑色の枝葉を指します(一般的に、長年にわたり固定されているコルドンは含まないと思います)。 そして、キャノピー・マネジメントのメリットとしては、「日照量」、「通気」、「機械化」の3つが挙げられます。 日照量のコントロールは、葉陰を減らすことによる日照量の最大化や、反対に葉陰を増やすことによる果実の日焼け対策が含まれます。 通気の管理は、特に雨や湿気の多い地域で重要であり、カビなどの菌類病のリスクを減らします。 また、適切なキャノピー・マネジメントにより、樹の特定の部分に果実や葉がくるようにしておくことは、畑への機械の導入を促します。これにより、作業の効率化を図ることができます。 一方で、棚付けのデメリットとしては、ブドウ棚設置のための初期費用と、それらを維持管理するための費用や手間があげられます。 ブドウ棚は、急斜面では利用できないこともデメリットの1つです。北ローヌなどの急斜面が多い畑では、ブドウ棚の代わりに支柱のみを用いた棒仕立てなどが用いられます。 (関連記事: 棒仕立て、ミストラル、混醸... ローヌ川流域北部のブドウ栽培とワイン造り ) 垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリット 垣根仕立て(VSP)のメリットは、ブドウ樹の樹勢が一定以下の場合に、キャノピー・マネジメントがしやすいことと言われます。 したがってそのような場合には、「日照量のコントロール」、「通気の確保」、「作業の...

ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは?

ブドウ樹は、その土地に合わせて様々な形をしています。このブドウ樹の形は「仕立て」と呼ばれ、休眠期の剪定によって整えられます。 例えば、ボルドーやブルゴーニュでは針金と柱を用いて枝を地面と垂直方向に伸ばす「垣根仕立て」が多く採用されています。 一方で日本では、ブドウや葉を棚の天面に広げる棚仕立て(Pergola ペルゴラ)が多く採用されています。 このような仕立てや選定は、気温、日照、水、土壌の栄養分などのブドウ樹が必要とする要素や、ブドウ畑の機械の使用などを考慮して、そのブドウ畑に最適なものが選ばれます。 WSETレベル3では、この「仕立て」、「剪定」について比較的しっかりと学ぶのですが、ブドウ畑に馴染みのない私にとっては少し理解が難しい部分でした。 特に私が混乱してしまったのは、「仕立て(training)」と「剪定(pruning)」の違いでした。両者はお互いに深い関係があり、テキストの説明だけでは直感的にわかりにくかったので、個人的に図などを利用してまとめてみました。 (関連記事:t rellis の意味 | 英語ワイン書籍に出てくる英単語 ) <仕立てと剪定の違い> WSETテキストによれば「仕立て」と「剪定」は次のように説明されています。 「ブドウ樹の整枝・仕立てとは一般に株の形状のことをいい、大きく分けて、株仕立てとコルドン仕立ての二つに分類できる。」(株…ブドウ樹で一年以上経っている木質部のこと) 「剪定とは、冬または生育期間中に、望ましくない葉や長梢、株を除去することである。剪定によって樹の形が決まり、大きさが制限される。」 つまり、仕立てとは「ブドウ樹の形」を意味し、剪定とはその「ブドウ樹の形をつくるための作業」ということになります。 <仕立てと剪定の種類> 「仕立て」は株(一年以上経っている木質部)の形によって大きく「株仕立て(head training)」と「コルドン仕立て(cordon training)」の二つに分類ができるようです。 「株仕立て」は株の部分が比較的小さいのに対して、「コルドン仕立て」はコルドンと呼ばれる腕枝があるのが特徴です。コルドンは通常1~2本ですが、4本以上のコルドンを持つ「大木仕立て(big vine)」と呼ばれるものもあるようです。 ...

サントル・ニヴェルネ地区(ロワール)のAOCの覚え方【語呂合わせ】

  前回の記事に続いて今回は、 サントル・ニヴェルネ地区 です。 ソーヴィニヨン・ブランから造られる白ワインが有名な地域です。 実際に、栽培されているブドウの8割近くがソーヴィニヨン・ブランであるようです。 それに続いて、ピノ・ノワールが2割程度生産されています。 ほとんどの白ワインは、ソーヴィニヨン・ブランから、赤ワインはピノ・ノワールから造られています。 この地区のAOCは、付近を流れる2つの川の流域に集中しています。1つは ロワール川 、もう1つは、トゥール付近でロワール川と合流する シェール川 です。 この地域で最も重要なAOCは、 「サンセールAOC」 と 「プイイ・フュメAOC」 の2つです。実際にこの2つのAOCは、サントル・ニヴェルネ地区で製造されるワインの多くの割合を占めています。特に、サンセールAOCは、この地区で最大のAOCです。 さて、AOCの覚え方についてですが、この地区はあまりAOCの数が多くないために、まとめて語呂合わせを考えてみました。 語呂合わせではAOCは南から北に向かって並べられています。 最後に、各AOCの説明です: サンセール(Sancerre)AOC  ・白ワイン(ソーヴィニヨンブラン)、赤ワイン、ロゼワイン(ともにピノノワール)のAOC ・サントルニヴェルネ最大のAOC ・畑はロワール川沿いの急斜面 ・グレープフルーツやグーズベリーの中程度強さの香りを持ち、酸味の強い白ワインを造る ・ワインの品質は幅広い(中程度から非常に品質が高いものまで) ・カイヨット(Caillottes)、テール・ブランシュ(Terre Blanches)、シレックス(Silex)の3種類の土壌を持つ ・カイヨットは石灰を多く含む浅い土壌、テールブランシュは石灰と粘土の混合、シレックスは石英を含む土壌。 ・カイヨットは早飲みの香りの強いワイン、テールブランシュは最も骨格があり長期熟成向きのワイン、シレックスはミネラル感のあるスモーキーなワインを造る プイイ・フュメ(Pouilly-Fumé)AOC  ・白ワイン(ソーヴィニヨンブラン)のみのAOC ・サンセールの白ワインに似たスタイルだが、香りはやや弱く、少しまろやかなスタイル ・サンセールに似た土壌だが、サンセールほど急な斜面ではない ルイイ(Reuilly)AOC...

ドイツワインの13の栽培・生産地域の私的暗記方法(語呂合わせ)

ドイツワインには有名な 13の生産地域 があります。 ドイツワインの上位2つの品質分類である「 プレディカーツヴァイン(Prädikatswein) 」と「 クヴァリテーツヴァイン(Qualitätswein) 」はこの13地域のいずれかで造られています。 (関連記事: プレディカーツヴァインの6区分の直訳による覚え方 ) クヴァリテーツヴァインは13地域のいずれか1地域のブドウを100%使って造られていますが、プレディカーツヴァインは13地域の中でさらにベライヒと呼ばれる特別な地区のブドウのみを使って造られています。 このようにドイツワインにおいては重要度の高い、 ベシュテムテス・アンバウゲビート(Bestimmter Anbaugebiete) とも呼ばれる13の生産地域ですが、全て覚えるのはなかなか大変な作業です。 (関連記事: ドイツワインの品質レベルとブドウ産地の関係と、ラベル表示の話 ) そこで、私的な13地域の暗記方法を紹介したいと思います。 暗記方法は次のような語呂合わせで、上から、西→東の順にそれぞれの産地が登場します。 --------------------------------------------------- <ドイツの13生産地域の暗記のための語呂合わせ> ドイツの ある打者の (アール) 見てるラインは (ミッテルライン) もう出ると思っても (モーゼル) なぜか (ナーエ) ラインが (ラインガウ) 変な線で (ラインヘッセン) ファールにならない。 (ファルツ) 「へし折れた (ヘシッシェ・ベルクシュトラーセ) バーで打って (バーデン) フライになったせい」だと (フランケン) ブルペンで (ヴュルテンベルク) 戯れごとうんという (ザーレ・ウンストルート) 雑魚専の投手。 (ザクセン) ※カッコ内が13の生産地域 --------------------------------------------------- ちょっと苦しい部分もありますが、野球の1場面で全てまとめてみました。 (関連記事: ドイツワインの品質基準の覚え方は「手羽好き」【語呂合わせ】 ) (関連記事: 「遅いブルゴーニュ」、「早いブルゴーニュ」とは?ドイツのブドウ品種の名前 ) (関連記事: 絵で覚えるミュラー・トゥルガウ(ドイツの交配品種) ) (...

地図を使ったヴェネト(Veneto)州の主要なDOCGの暗記法

ヴェネト(Veneto)州にあるDOCGの数は、イタリア全州の中で2番目です。 私がJSAソムリエ・ワインエキスパートで覚えたときは、全部で14のDOCGがありました。 ヴェネト州のDOCGを覚える場合、DOCGからではなく、重要なDOCから覚えていくのがおすすめです。ヴェネトの重要なDOCGは、DOCの名前を含んでいるものが多いので、DOCを覚えることで自然にそのDOCGを覚えてしまいます。また、ブドウ品種についても、DOCの品種を覚えてしまうと、DOCGの品種をわざわざ覚えなくてもよいことが多いです。 (関連記事: 「なぜイタリアのDOC(G)は覚えるのが難しいのか?」の考察 ) ヴェネト州の主要DOCやDOCGは、州の西部の都市であるヴェローナ近くに集中しています。 【ヴェローナ(Verona)近郊】 ヴァルポリチェッラ ヴァルポリチェッラはヴェローナの北西に位置し、この地域で生産されるブドウを使って造られるワインは、 ヴァルポリチェッラ(Valpolicella)DOC とラベル表示ができます。山麓の丘陵地帯には古くからのブドウ畑があり、この畑のブドウから造られたワインは特に、 ヴァルポリチェッラ・クラッシコ(Valpolicella Classico)DOC とラベル表示をすることができます。 主要品種はコルヴィーナ種(Corvina)種でという地域原産の品種です。この品種は、果皮が薄く、色は中程度で、低から中程度のタンニンと、高い酸味を持つのが特徴です。 ヴァルポリチェッラには2種類のパッシート(passito)ワインがあります。パッシート(=アパッシメント)製法とは、まだ酸味が高いうちに早くブドウを摘み、屋内で乾燥させて、糖分と風味を凝縮させる製法です。 アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ(Amarone della Valpolicella)DOCG は、パッシート製法を用いて造られた辛口またはオフドライのフルボディのワインです。 レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラ(Recioto della Valpolicella)DOCG もパッシート製法を用いて造られたワインですが、これは発酵が止まるほど非常に甘いブドウを使って造られる甘口のワインです。 (関連記事: アパッシメント(appassimento)とパッシート(passito)の違いに関...

WSETレベル3の英語受講から合格までの体験記(難易度、勉強法、合格の秘訣など)

ワインの素人だった私が、ワインの勉強をまじめに始めて2年目にWSETレベル3の英語試験を合格した勉強法を紹介したいと思います。 WSETは世界で通用するワイン資格です。主催団体によればレベル3は、 「 ワインの業界で働くプロフェッショナルおよびワイン愛好家を対象とした上級レベルの資格 」 です。 全世界で通用する資格であるために、海外のワイナリーに行ってWSETのレベル3を持っていると言えば、ワインについてはそれなりに知っていると思ってもらえるようです。 いつか海外のワイナリーを訪れることを思い描きながら、WSETレベル3に挑戦をした軌跡を紹介します。 (参考記事: 意外に高い?WSETの合格率 ) なぜWSETレベル3を受験? 私にとってのワインの勉強は、 飲み友達作り にワインスクールに通ったことから始まりました。 当時はワインの勉強などそっちのけで、中途半端な知識でワインスクールのクラスメートとワインを飲み明かすことだけを楽しんでいました。 折角ワインスクールに通ったのに、フランスのワイン産地はブルゴーニュとボルドーしか頭に残っていませんでした。 そんなワイン素人の私がまわりの飲み友達に影響されて、JSAワインエキスパート試験に挑戦をしました。まじめなワインの勉強はゼロから始めたこともあり、はじめはイチかバチかくらいの気持ちで始めた挑戦でしたが、ワインスクールのサポートにも助けられてなんとか一回で合格をすることができました。 次に挑戦すべきは上位資格である「JSAワインエキスパート・エクセレンス」だと思い、この資格は5年間待たなければならないことを知って、ワインの勉強はしばらくお預けだと少し寂しく思っていました。 しかし、ひょんなことからWSETは英語でワインが学べるということを知って、今度も大きな挑戦でしたが、WSETレベル3の英語講座に通うことに決めました。 (参考記事: WSETとは?WSETワインレベル3資格とは? ) (参考記事: ワインを英語で学ぼうと思ったきっかけと意外な発見 ) WSETレベル3を受講してよかったこと WSETレベル3を受講した良かったことは、ワインを英語で学んで、資格試験にも合格をしたことで、英語の環境でも臆せずワインについて話ができるようになっ...

WSET Level3 記述式問題で重要に思えたところ(本試験の筆記問題対策)

繰り返しになりますが、WSET level3の最大の難関は記述式問題です。 (参考記事: WSET Level3 の試験構成 ) WSETの記述式問題では、出題されたテーマに対して、深く理解をしているかが問われます。 (参考記事: 一筋縄ではいかない!とてもWSET的だと思った記述式問題(問題例) ) そのため、記述式問題の基本的な対策は、WSETレベル3のテキストの読み込みと、講義ノートの見直しを主に行いました。 しかし、広大な産地全てについて、万遍無く、深く理解をするというのは途方もない作業に思われました。 さらに私の場合は英語受験だったので、日本語のようにテキストをスラスラ読むこともできるわけはなく、本試験までの日数から逆算をすると、とてもそんな時間は確保できないと思いました。 そこで記述式試験対策の方針としては、いくつか重要と思われる部分にヤマを張って、それらを重点的に勉強することにしました。「重要と思われる部分」は次のような判断基準で抜き出しました。 ・講義中に担当講師が「重要」「試験に頻出」と言っていた部分 ・サンプル問題で、何度も問われていた部分 (参考記事: WSET過去問は共有禁止!それでもWSETレベル3の試験問題の参考にしたウェブサイト ) ・複雑で、しっかり理解をしていないと説明ができないと思った部分(特に醸造工程のオプションなど) ヤマを張った部分に関しては何度もテキストを読み返して、テキストの重要ポイントは何度もノートに書きあげて英文を書く練習を続けました。 (参考記事: WSET Level3の英語受験を一発合格した勉強方法 ) (関連記事: WSET試験の記述問題対策では「動詞」が重要!? ) 「重要と思われる部分」として抜き出した具体例を下に紹介します: <ワインの保管とサービス> ワインの保管方法(参考記事: ワインの保管方法 ) ワインの提供温度 (参考記事: チャートで覚えたワインのサービス温度 ) ワインのデカンティング 発泡性ワインの栓の抜き方(参考記事: 非発泡性(スパークリング)ワインの栓の抜き方 ) ワインの保存に使われる方法(参考記事: ワインの保管方法 ) <ブドウ樹の栽培、畑の管理、ワインの醸造> 高接ぎとその特徴(参考記事: grafting(...

パロ・コルタド・シェリーとは?アモンティリャードとオロロソとの製法の違いを調べてみた

JSA試験、WSET試験を通して酒精強化ワインであるシェリー(Sherry)を学んできましたが、ずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、「 パロ・コルタド・シェリーとは何なのか? 」です。 シェリーとは、スペイン・アンダルシア州カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺地域で生産される酒精強化ワインのことで、ポート・ワイン(ポルトガル)、マデイラ・ワイン(ポルトガル)とともに、著名な酒精強化ワインと言われています。 シェリーには、フィノ(Fino)/マンサ二ーリャ(Manzanilla)、オロロソ(Oloroso)、アモンティリャード(Almontillado)、 パロ・コルタド(Palo Cortado) 、ペドロヒメネス(Pedro Ximenez)など様々な種類があります。 しかし、JSA、WSETどちらのテキストにおいても、 パロ・コルタド に関する記述 はとても少なく、製法に関する記述もなく、漠然とその特徴が書かれているだけでした。 その特徴は、 ・希少であること ・アモンティリャード(Amontillado)の香りを持つが、味はオロロソ(Oloroso)のボディとこくを持つ という2点だけです。 ずっと疑問に思っていたことを解決すべく、製法を中心にパロ・コルタドについて調べてみました。 参考にしたのは、次のサイトです: https://www.sherrynotes.com/sherry-types/palo-cortado/ https://www.sherrynotes.com/2015/background/palo-cortado-mystery/ まずは、パロ・コルタドの発祥から。パロ・コルタドは、もともとフィノとしては不適合として除外された樽からできたそうです。 <パロ・コルタドの発祥> ------------------------------------------------------------------------ ・パロ・コルタドは、もともとフィノ(Fino)の製造から偶然生まれたワインと言われている。 ・フィノシェリーでは、樽での熟成中にフロールと呼ばれる産膜酵母が発生し、フロールのもとで熟成される。しかし、フィノ樽の中には...

アロマティックな白ブドウ品種の特徴の違いは?(リースリング、ピノグリ、ゲヴュルツトラミネール、トロンテスの比較テイスティング)

 今回のテーマは、独特な香りを持つアロマティック品種から造られた白ワインとして、次の4つの品種のワインを集めてみました。 ワイン①:リースリング(AOCアルザス) ワイン②:ピノグリ(AOCアルザス・グランクリュ) ワイン③:ゲヴュルツトラミネール(AOCアルザス・グランクリュ) ワイン④:トロンテス(アルゼンチン) 具体的なワイン名は次の通りです: ワイン①:Riesling Tradition Charles Sparr 2017 → https://amzn.to/40WFuGO (Amazonのサイトへ) ワイン②:Alsace Grand Cru Pinot Gris Rangen 2003 Chateau d'Orschwihr 2003 →  https://amzn.to/3YYvHxb (Amazonのサイトへ) ワイン③:Paul Ginglinger Alsace Grand Cru Gewurtztraminer Pfersigberg 2018 →  https://amzn.to/3OhcZMl (Amazonのサイトへ) ワイン④:Cuma Organic Torrontes Bodega El Esteco 2020 →  https://amzn.to/4hUluul (Amazonのサイトへ) 外観の比較 まずは外観の比較から。 アルザスのワインは比較的、色が濃く表れていますが、これは品種による違いというよりは、ヴィンテージによる影響が大きいと思います。 香りの比較 次は香りの比較です。 リースリングとピノグリに比べると、ゲウェルツトラミネールと、トロンテスの香りは非常に強く感じられます。 また、それぞれのワインから感じられる特徴的な香りをまとめると、 ・リースリング → 甘やかな花の香り ・ピノグリ → モモのコンポートやハチミツ ・ゲヴ ュ ルツトラミネール → バラ、ライチ、非常に華やかな花の香り(芳香剤のよう) ・トロンテス → ブドウ(マスカット)の香り、火打石のようなスモーキーな香り このようになりました。 トロンテスの火打石のようなスーッとした香りは、どこから来るものなのかは分かりませんでしたが、樽熟成をほとんど行っていないことを考えると、ブドウ由来の香りであると思われまし...