タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>
ブルゴーニュのコート・ド・ボーヌ地区の「コルトンの丘」のグラン・クリュ畑のAOCと生産可能色は複雑です。
複雑だと思う理由は、
・3つのグランクリュAOCが3つの村に分散している
・村によって、分散しているAOCと、生産可能色が少しずつ異なる
・3つのグランクリュAOCは、どれも名前が似通っている
などです。
特にJSAソムリエ・ワインエキスパートでは、AOCの分散と生産可能色まで事細かに暗記することを求められます。
しかし、下の表のように複雑なために、何度も「覚える→忘れる→覚える→忘れる」のループを繰り返しました。
そこで行きついたのが、地図で覚えるという方法です。
JSA教本の地図を見ながら、「コルトン(赤)」、「コルトン(白)」、「コルトン・シャルルマーニュ(白)」、「シャルルマーニュ(白)」の畑の広がりをまとめてみると、暗記がずっと楽になりました。
コルトン Corton(赤)
「コルトン(赤)」の生産範囲は、3つの村(ペルナン・ヴェルジュレス、アロース・コルトン、ラドワ・セリニィ)のグランクリュ畑の(ほぼ?)全域に広がります。
ちなみに「コルトン(赤)」の畑は、ラベルにクリマ(畑)の名前を付記することができるそうです。畑は、標高約250~330mに位置し、特に斜面の中腹は傾斜も緩やかで、茶色の石灰岩に由来し、泥炭を多く含む、赤い小石の多い土壌で、ピノノワールに向いています。
コルトン Corton(白)
「コルトン(白)」の生産範囲は、アロース・コルトンとラドワ・セリニィの2村のグランクリュ畑に広がります。
ペルナン・ヴェルジュレスで生産される白ワインは、「コルトン・シャルルマーニュ(白)」だけであるために(図の①がない)ために、ここでは「コルトン(白)」は生産されません。
コルトンの生産は大半が赤ワインであり、白ワインの生産はわずかであるそうです。
コルトン・シャルルマーニュ Corton-Charlemagne(白)
「コルトン・シャルルマーニュ(白)」の生産範囲は、3つの村(ペルナン・ヴェルジュレス、アロース・コルトン、ラドワ・セリニィ)の丘の上の斜面に広がります。
丘の上の斜面は、傾斜も急になり、石灰岩と、粘土質の豊かな泥炭岩が交互に混ざり、シャルドネが栽培されています。
シャルルマーニュ Charlemagne(白)
「シャルルマーニュ(白)」の生産地域は、ペルナン・ヴェルジュレス村とアロース・コルトン村の「コルトン・シャルルマーニュ(白)」に含まれています。
しかし、ラドワ・セリニィ村には「シャルルマーニュ(白)」は含まれていません。
シャルルマーニュの名称は、現在事実上使われておらず、コルトン・シャルルマーニュを名乗るそうです。
まとめると、3つの村で「コルトン(白)」と「シャルルマーニュ(白)」になぜ次のような違いが生まれるのかが分かりました。
このように、3つの村に広がるクラン・クリュ畑の分散(①と②)を図で覚えて、それぞれのAOCの生産可能色を覚えておけば、難関である「コルトンの丘」の暗記もそんなに難しいことではなくなるかもしれません。
(関連記事:コート・ド・ボーヌの村名の私的な覚え方)