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ワイン名称に出てくるフランス語の「Côte」と「Coteaux」の違いとは?

 タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>

テイスティング下手のJSAワインエキスパート(ソムリエ)2次試験対策



テイスティング下手の私がワインエキスパート2次試験を一発合格


JSAワインエキスパート資格は、世間一般にソムリエと言われている方々が所有しているJSAソムリエ資格と同等レベルの資格であり、テイスティング能力も同等のレベルが必要と言われています。

実際に、どちらの資格においても、理論試験対策、テイスティング対策において学習する内容はほぼ同じです。

あるサイトによればソムリエ・ワインエキスパートの合格率は、1次試験の合格率は30~40%、2次試験の合格率は70~80%程度と言われています。1次試験に比べると、2次試験の合格率は圧倒的に高いのですが、それでも油断はできません。なぜなら、1次を受かる人はしっかりワインを勉強をしてきた人たちなので、その人たちの2割も落ちてしまうというのは決して少ない割合ではないからです。

また2次試験には、昨年1次試験を受かって2次試験に落ちた、いわゆる「1次試験免除組」が加わってきます。1年をかけてテイスティングの練習をみっちりしてきたこの人たちは2次試験のレベルを少し上げているかもしれません。

私はワインを仕事にしているわけではないし、ワインを頻繁に飲んでいるわけでもないし、お酒の中で特別ワインが好きだというわけでもないし...とにかく2次試験のテイスティングにおいては不安要素ばかりでした。

そんなテイスティング下手の私が、JSAワインエキスパート試験の2次試験(テイスティング試験)を一発で突破した方法を紹介します。





テイスティングを学べばワインの世界が一気に広がる!


ワインエキスパートの資格を取得するまで、私は自分でワインが選べないタイプの普通のワイン素人でした。

ワインリストのワインの名前もわからなければ、どんな味がするかもわからない...。お店に行けばソムリエや店員さんのおすすめに従うだけ...。

そんな私が、ワインエキスパートのテイスティング対策をしていく中で徐々に自分でワインを選べるようになりました!

ワインリストやラベルからワインの味を知る手掛かりは、「ワイン産地」、「ブドウ品種」、「ワインの等級(ある場合)」、「生産者」、「ヴィンテージ(収穫年)」などです。

ワインエキスパート用のテイスティング対策を経験することで「生産者」以外の、「ワイン産地」x「ブドウ品種」x「ヴィンテージ(新しいか古いか)」による味わいの特徴がわかるようになりました。

これを知って、ワインにも様々な違いがあることが分かり、一気にワインの世界が広がりました!

また、受験を通してできたワイン仲間とワインの持ち寄りパーティーを開くことで、ワインに関する知識もどんどん広がりました。





2次試験は正しい練習をすれば誰でも突破できる!


ワインのテイスティングと言うと、とてもアーティスティックな雰囲気が漂って、センスや長年の経験がものをいうような分野のような気がします。

たしかに、世界のトップクラスのソムリエコンテストなどに出る方々の場合はそうなのかもしれません。

しかし、ソムリエ・ワインエキスパートの2次試験はそんなものが無くても、誰でも正しい練習を一定期間行えば突破ができるものだと思いました。

その理由は、先ほども書いたように2次試験の合格率が70%~80%もあるからです。テイスティングに関するコメントをマーク式で記入して、その得点が下位20%~30%に入らなければ良いだけなのです!決して、テイスティングコンテストのように上位数名を目指して回答をするような必要はないのです!





2次試験突破のポイントは回答ルールをしっかり把握して着実に得点を重ねること!


私は2次試験(テイスティング試験)対策をワインスクールで行いました。

初めて本番形式のテイスティングシートに回答を記入した時に思ったことは、「記入項目が多すぎる!」「聞きなれない言葉や言い回しが多い!」「知らないと正答できない回答ルールが多い!」ということでした。

ここから言えることは、「回答用紙に書かれている用語を正しく理解し、正しい記入方法を理解しなければ合格点は狙えない」ということです。

例えば、ピノノワールのような色調が薄めのワインに対しては「紫がかった」「ルビー」を選ぶことや、ソーヴィニヨン・ブランのような若草の香りを持つワインには「ミント」や「ヴェルヴェーヌ」を香りの特徴として選択することなど、ワインのタイプによって暗黙のルールが本当にたくさんあるのです!

そして、そのルールのもとでは「それとは違って私には〇〇のように感じる!」という意見は全く得点にはつながらないのです。

ワインスクールでは、講師がこのような暗黙のルールを様々なタイプのワインごとに教えてくれるのですが、これをしっかり復習して自分の身にしていく受講生もいれば、そうではない人もたくさんいました。

ワインのテイスティングを通して明らかに正しい正しい香りを感知しているのに、回答ルールを復習していないがために正しいテイスティングコメントに行きつくことのできていない受講生を数多く目にしてきました。

テイスティングの本試験で落ちてしまう人は、きっと「正確な感知能力を持っていない」わけではなく、「正しい回答ルールが身についていない」のだと思います。

ワインスクールの受講生でも一定数そのような方がいるので、独学で勉強している方の中にはもっとそのような方がいるのではないかと思います。




着実に得点を重ねるための戦略


上で説明をした暗黙の回答ルールは、回答用紙の項目ごと、ワインのタイプや品種ごとなどに数多く存在します。

私はワインのプロではないので、当然ながらそれらすべてを完全に理解し身につけることができたわけではありませんでした(これができれば満点も夢ではない!?)。

そのため、安定的に得点を取りやすい項目を選び出して、そこを重点的にトレーニングする戦略を取りました。具体的にトレーニングの方法は下の参考記事で紹介をしています。

(参考記事:JSAソムリエ・ワインエキスパート2次試験対策、セルフ小瓶練習法

その戦略が次の戦略①~⑦です。



【戦略①】「外観」「味わい」「その他の項目」で点を稼ぐ


2019年の テイスティングの項目別点数配分(下表参照)によれば、「外観」「味わい」「その他の項目(評価、適正温度、グラス)」が全得点に占める割合は45%です。これらの項目は産地や品種に左右されることが少なく、どんなワインであっても一定のルールに従って評価がなされるために、安定的に得点がとりやすく、かけた時間に対して最も効果が表れやすい部分でした。

私は品種の特徴をとらえるのが苦手だったので、とにかくこの部分をマスターすることに時間をかけてました。


<ソムリエ・ワインエキスパート テイスティングの項目別点数配分>
------------------------------------
・外観 19%
・香り 26%
・味わい 17%
・その他の項目 9%
・収穫年 5%
・生産地 7%
・主なブドウ品種 12%
・飲料の銘柄 各3%
------------------------------------




【戦略②】「香り」は”第一印象”と”果実”で得点を稼ぐ


「香り」は全体の26%を占める最も得点配分の高い項目です。と同時に、聞きなれない植物やスパイスの名前が表れたり、ブドウ品種によって独特な香りを選ばなければいけない難易度の高い項目です。

しかし、この中でも"第一印象”と”果実”は、どんなワインでも一定のルールに従って回答を選べば安定して得点を取りやすい項目でした。”第一印象”はワインの香りの強さと性質、”果実”は原料のブドウ果実の熟度を表しているので、品種特徴を感じ取れなくても十分に正しい回答を選ぶことができました。




【戦略③】「基本品種」で得点を稼ぐ


ワインエキスパートで例年出題されるワインは4種類で、そのうち3種類は基本品種と呼ばれる頻出品種と言われています。

私はとにかく基本品種3つで得点を稼ぐことに集中をしました。

基本品種3種類で「外観+味わい+その他」と「香り」を正解できれば54%、応用品種で品種特徴の出にくい「外観+味わい+その他」を正解できれば11%、そしてその合計は65%となります。「品種」も3つで正解をすれば6%確保で、約70%です。

基本品種といえども「品種」3つを当てるのは難しいので、2つくらいを目標にして臨みましたが、実際に本試験でも2つ当てることができました。


<ワインエキスパートで例年出題されるワイン>
------------------------------------
ワイン1(基本品種): 外観+味わい+その他(11%)、香り(7%)、収穫年・生産地・品種(6%)
ワイン2(基本品種): 外観+味わい+その他(11%)、香り(7%)、収穫年・生産地・品種(6%)
ワイン3(基本品種): 外観+味わい+その他(11%)、香り(7%)、収穫年・生産地・品種(6%)
ワイン4(応用品種): 外観+味わい+その他(11%)、香り(7%)、収穫年・生産地・品種(6%)
その他のお酒: 3%

※赤白2種類ずつが含まれる

※赤ワイン、白ワインそれぞれ、旧世界と新世界が1つずつ含まれることが多い

※基本品種…ソーヴィニヨンブラン、シャルドネ、ミュスカデ、リースリング、(甲州)、ピノノワール、カベルネソーヴィニヨン、ガメイ、メルロー、シラー(ズ)、(マスカットベーリーA)
------------------------------------

(参考記事:私的なリースリング、ソーヴィニヨン・ブラン、シャブリの見分け方





【戦略④】ワインの醸造工程に注目して「香りの印象」で得点する


ここからは少し応用編なのですが、醸造工程に注目をすることで「香り」の中にある"香りの印象"で得点を取ることができました。

例えば、そのワインが第1アロマだけのワインなのか?MLFやシュールリーを経ているのか?木樽発酵や木樽熟成がされているのか?長期間熟成されているのか?などです。

この中でも特に、「第1アロマだけのワイン」と「木樽熟成」のワインは出題頻度が多く、特徴もとらえやすかったので、安定的に得点をすることができました。

「MLF(マロラクティック発酵)」は得意だったのですが、「シュールリー」は苦手だったので、これがでたら半分あきらめようと思って試験に臨みました。




【戦略⑤】「香り」の傾向分析で加点を狙う


ワインスクールで毎回出題されるワインの模範解答や、過去の2次試験の模範解答を分析すると、選ばれる香りに対してある一定の法則が見えてきました。

それは、「品種ごとに選ばれる香り」と、「特定のタイプのワインに対して選ばれる香り」の2種類があることです。前者はその品種特徴を感じ取ることができなければ選ぶのが難しいのですが、後者はワインのタイプ(例:ブドウの熟度の低い軽い白ワイン)さえわかれば容易に加点が狙えます。

このような香りを選ぶことで、たとえ品種を外したとしても、香りの項目で全てを外してしまうような大外しをするようなことはなくなりました。

テイスティング下手であることをわきまえて、「自分が直感で感じ取った香り」よりも「統計的に確からしい」香りを選ぶことで、安定的に得点を確保できるようになったような気がします。




【戦略⑥】「その他のお酒」の得点を確保する


その他のお酒は、ワインとは異なり、選択肢の中から正しい名称を選べば良いだけの単純な問題です。そのため、一度味わって、特徴をとらえたお酒であれば正答を選ぶことはそんなに難しいことではありません。

得点配分はたったの3%ですが、他の受験生が当てられるような問題であれば、落としてしまうのは非常にもったいない得点です。

出題の可能性のありそうなお酒は一度は味わい、瓶に詰めてなんども香りを感じ取る反復練習を繰り返しました。


(参考記事:ワインエキスパート2次試験対策で飲んだ「ワイン以外のお酒」 ~リキュール編~

(参考記事:ワインエキスパート2次試験対策で飲んだ「ワイン以外のお酒」 ~酒精強化ワイン編~





【戦略⑦】「収穫年」「生産地」は過去の模範解答から予測


過去の模範解答を分析して、「収穫年」は”品種”や”ワインの熟成期間”、「生産地」は”品種”や”ブドウの熟度”、”樽香”などから予測を立てました。

しかし、私の実力では"品種"が当たるとは限らず、「収穫年」「生産地」ともに複数の選択肢のなかからのあてずっぽに近かったので、ここではそれほど大きな加点は期待しませんでした。


全体を通しての話ですが、自分がテイスティング下手であることがわかっていたので、自分の主観にあまり頼ることなく、回答法則や過去の模範解答という客観的なデータを基にして終始安定した得点を取ることを目的にこれらの戦略を立てました。結果、決してとても優秀な成績ではなかったと思いますが、2次試験に受かるには十分な得点を取ることができたと思っています。


最後にテイスティングで参考にした書籍の紹介です。

「ワインテイスティングバイブル」 → https://amzn.to/3YPMfrh (Amazonへのリンク)

この書籍は産地ごとの品種の特徴が説明されていて、ワインスクールの授業で分からなかった部分を調べるときに利用しました。








「ワインの香り: 日本のワインアロマホイール&アロマカードで分かる!」 
→ https://amzn.to/4fEsg5A (Amazonへのリンク)

これは香りのついたカード付きで、実際にワインに含まれる香りを感じ取りながら読み進められる一風変わった書籍です。
2次試験前にどうしても感じ取ることが苦手な香りがあったために購入をしました。



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WSETレベル3 の試験には、筆記試験に加えて、 テースティング試験 が含まれます。 WSETのテースティングでは、 SATという名のテイスティング・ツール を用いて、ワインの描写と品質・飲み頃に関する評価を行います。本試験においても、このSATに則って、出題される2種類のワイン(通常、赤ワイン1種と白ワイン1種)についての評価を回答用紙に記述します。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング回答のルール ) 一般的に、 WSETレベル3のテースティング試験は筆記試験に比べて合格をしやすい と言われています。しかしそれでも、試験をパスするためにはある程度の学習と練習が必要だと思います。 WSETレベル3のテイスティング対策を行うにあたって、私が感じたのは、どのように準備をしたら良いのかという情報がJSA試験ほどに豊富には手に入らないということでした。 そこで、この記事では私がテイスティング試験に向けて行った準備を紹介したいと思います。一度の試験で合格ができたので、それなりの効果はあったのだと思っています。 試験突破のカギは「SATの理解」と「品質評価」 テイスティング試験対策に取り組む中で、私が最も重要だと思い、時間を割いたのは、「 SATの記述ルールを理解すること 」と「 ワインの品質レベルを正確にとらえる 」ことでした。 テイスティング試験の合格基準は「55%」の得点率なので、この2つさえできていれば、まず落ちることはないと思いました。 反対にこの2つのいずれかが欠けていると、大きく減点をされてしまう可能性があります。例えば、SATでは、「テイスティングの記述に用いる用語」と「評価をすべき項目」がしっかりと決まっています。間違った用語を用いたり、評価すべき項目が記述されていなければ、全く得点は得られません。用語や評価項目以外にも、いくつか記述のルールが存在するので、ワークブックをしっかり読んで全てを把握しておくことが必須です。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング試験でやりがちな失敗トップ10 ) (参考記事: WSET SATのちょっとわかりにくかった香りと風味の選択・記述ルール ) ルールに関してはJSAのテイスティングのルールとは少し異なると思われる部分もあったので要注意です。 ...

リースリングの「菩提樹」の香りを知るヒント|ワインの香り用語

「菩提樹」 は、JSAソムリエ・ワインエキスパートの白ワイン用の回答用紙でよく登場する香りです。 リースリング 特有の香りを表す重要な香り用語なのですが、私は長らく、 この香りがどんなものなのかがわからず 、そのワインが リースリング だと思ったら、得点稼ぎのために 「菩提樹」 を選ぶという使い方をしていました。 実際に、私が分析をした範囲ではワインスクールの JSA試験対策 において リースリング のテイスティングシートでほぼ毎回 「菩提樹」 が選ばれていました。(下の回答シートは典型的なリースリングの回答例です) しかし、このままでは良くないと思い、 「菩提樹」 に関して調べてみてこれが何なのか、どんな香りなのか自分なりに研究をしてみました。 リースリングはワインにおいては重要な品種で、JSA試験において頻出の品種です。なので、この品種特徴について把握をしておくことはテイスティング能力を上げるうえで大きな助けになると思います。 私がワインエキスパート試験を受けたときには、実際に、ドイツのリースリングが出題されました。なんとか、その時は何とか品種・産地ともに当てることができました。 菩提樹とは何か? 菩提樹で検索をすると、「インド原産のクワ科イチジク属の常緑高木インドボダイジュ」、「インド原産のクワ科イチジク属の常緑高木ベンガルボダイジュ」、「中国原産のシナノキ科シナノキ属の落葉高木ボダイジュ」、「ヨーロッパ原産のセイヨウシナノキ(別名:リンデンバウム=リンデン)」が見つかります。 色々調べてみた結果、最後にあげた「ヨーロッパ原産のセイヨウシナノキ(別名:リンデンバウム= リンデン )」が、ワインの香りにおける「菩提樹」に該当しそうだとわかりました。 その理由は、海外の様々なウェブサイトで、リースリングの品種特有の香りとして、 「リンデン」 があげられていたからです。 リンデンとは何か? リンデンについて説明しているサイトがあったので、引用をしました。 ヨーロッパでは ハーブ として使われているようです。 ------------------------------------------------------ リンデンはヨーロッパ原産のハーブで、和名はセイヨウボダイジュといいます。お釈...