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【考察】なぜ、マセラシオン・カルボニックではタンニンがあまり抽出されないのか?

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アルコール発酵にまつわる2人の重要人物の覚え方【語呂合わせ】

ワインを学ぶときに必ずと言っていいほど出くわす重要な化学式に、次のようなアルコール発酵の化学式があります。

<アルコール発酵の化学式>

C6H12O6 (ブドウ糖) → 2 C2H5OH (エタノール) + 2 CO2 (二酸化炭素)


ブドウジュースが、ワインと二酸化炭素に変わる仕組みです。

これが酵母による発酵によって引き起こされることを解明した人物は、ルイ・パスツール (Louis Pasteur)

そして、その仕組みを化学式で示した人物が、ジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサック (Joseph Louis Gay-Lussac)です。


この2人の人物は、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験でも頻出なのですが、役割も名前とても覚えにくいです。フランス人らしく2人とも「ルイ」が名前に入っているのが余計混乱を招いている気がします。

二人がどんな人物かを知るために、もう少し詳しく2人の経歴を調べてみました。


まずは、「発酵のメカニズムを解明した人」、ルイ・パスツールから。


wikipediaで調べるとパスツールの肩書は、生化学者・細菌学者。「近代細菌学の開祖」と言われるように、細菌学の分野で大きな業績を残しました。1822年生まれのフランス人です。

1854年にアルコール業者から、ワインの腐敗の原因を調べて欲しいとの依頼を受けて、微生物学の研究を始めたそうです。そして、1858年にアルコール発酵に関する書籍を出版し、酵母による発酵によって糖からアルコールが造られることを示しました。

また、彼は牛乳、ワイン、ビールの腐敗を防ぐパスチャライゼーション(Pasteurisation)と呼ばれる低温での殺菌法や、ワクチンの予防接種という方法を開発したことでも知られているようです。

彼は、生物や食品分野で功績を残したようです。


次に、「化学式を示した人」、ジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサック


ゲイ=リュサックは、化学者・物理学者。1778年生まれのフランス人で、パスツールよりも44歳年上です。

彼は、シャルルの法則(気体の体積が温度上昇に比例して膨張するという法則)や、気体反応の法則などで知られています。

そして、1810年にはアルコール発酵の化学式をまとめました

実は発酵メカニズムの解明よりも、この化学式の方が先に提示されていたようです。

パスツールが生物・食品に関わる分野で活躍をしたのに対してゲイ=リュサックは物理・化学分野の法則に関して大きな功績を残したようです。


彼らのバックグラウンドを見ると、アルコール発酵に関してよく次のように説明される理由がよくわかります。

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ルイ・パスツール = 「発酵のメカニズムを解明した人」

ジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサック = 「化学式を示した人」
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最後に、試験対策として私が2人の名前と役割を覚えた方法を紹介します。

まず、パスツール

彼は「酵母を解明して、パスタ売る(パスツール)」と語呂合わせを作って覚えました。

微生物や食品分野の活躍から、勝手にパスタを作って売っているイメージに仕立て上げました。酵母をうまく活用したオリジナルパスタのイメージです。



次に、ゲイ=リュサック

化学式詰め込んだ、リュックサック (リュサック)」と語呂合わせを作って

実験を繰り返しては、化学式を論文にまとめてそれをリュックサックに詰め込んでいる化学者をイメージしました。


少し苦しい部分ありますが、その人物のイメージを語呂合わせにすると、結構すんなり覚えられてしまいます。



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ソムリエ・ワインエキスパート試験で苦労をした年号の覚え方

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アルゼンチンの主要ワイン産地(地方・州)の覚え方【語呂合わせ】

アルゼンチンの主要ワイン産地の覚え方を考えてみました。 アルゼンチンのワイン産地は、「北部」、「クージョ」、「パタゴニア」の3つの「地方」に分かれており、それぞれの「地方」に行政区画である「州」が含まれています。 地図をみると、主要なワイン産地の全てがアンデス山脈のふもとにあるのが特徴です。 アルゼンチンは、チリのように海風による冷却効果が得られないため、特に緯度の低い暑い地域では、標高による冷涼効果を得ています。 主要産地としては、サルタ州(北部地方)、ラ・リオハ州、サン・ファン州、メンドーサ州(クージョ地方)、ネウケン州、リオ・ネグロ州(パタゴニア地方)の6つを取り上げました。 このうち、ワインの生産量の多い州のトップ3は全てクージョ地方に位置しています。 ・メンドーサ州(1位) ・サン・ファン州(2位) ・ラ・リオハ州(3位) ちなみに4位には、トロンテスで有名な北部地方の サルタ州 が続きます。

ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは?

ブドウ樹は、その土地に合わせて様々な形をしています。このブドウ樹の形は「仕立て」と呼ばれ、休眠期の剪定によって整えられます。 例えば、ボルドーやブルゴーニュでは針金と柱を用いて枝を地面と垂直方向に伸ばす「垣根仕立て」が多く採用されています。 一方で日本では、ブドウや葉を棚の天面に広げる棚仕立て(Pergola ペルゴラ)が多く採用されています。 このような仕立てや選定は、気温、日照、水、土壌の栄養分などのブドウ樹が必要とする要素や、ブドウ畑の機械の使用などを考慮して、そのブドウ畑に最適なものが選ばれます。 WSETレベル3では、この「仕立て」、「剪定」について比較的しっかりと学ぶのですが、ブドウ畑に馴染みのない私にとっては少し理解が難しい部分でした。 特に私が混乱してしまったのは、「仕立て(training)」と「剪定(pruning)」の違いでした。両者はお互いに深い関係があり、テキストの説明だけでは直感的にわかりにくかったので、個人的に図などを利用してまとめてみました。 (関連記事:t rellis の意味 | 英語ワイン書籍に出てくる英単語 ) <仕立てと剪定の違い> WSETテキストによれば「仕立て」と「剪定」は次のように説明されています。 「ブドウ樹の整枝・仕立てとは一般に株の形状のことをいい、大きく分けて、株仕立てとコルドン仕立ての二つに分類できる。」(株…ブドウ樹で一年以上経っている木質部のこと) 「剪定とは、冬または生育期間中に、望ましくない葉や長梢、株を除去することである。剪定によって樹の形が決まり、大きさが制限される。」 つまり、仕立てとは「ブドウ樹の形」を意味し、剪定とはその「ブドウ樹の形をつくるための作業」ということになります。 <仕立てと剪定の種類> 「仕立て」は株(一年以上経っている木質部)の形によって大きく「株仕立て(head training)」と「コルドン仕立て(cordon training)」の二つに分類ができるようです。 「株仕立て」は株の部分が比較的小さいのに対して、「コルドン仕立て」はコルドンと呼ばれる腕枝があるのが特徴です。コルドンは通常1~2本ですが、4本以上のコルドンを持つ「大木仕立て(big vine)」と呼ばれるものもあるようです。

アロマティックな白ブドウ品種の特徴の違いは?(リースリング、ピノグリ、ゲヴュルツトラミネール、トロンテスの比較テイスティング)

 今回のテーマは、独特な香りを持つアロマティック品種から造られた白ワインとして、次の4つの品種のワインを集めてみました。 ワイン①:リースリング(AOCアルザス) ワイン②:ピノグリ(AOCアルザス・グランクリュ) ワイン③:ゲヴュルツトラミネール(AOCアルザス・グランクリュ) ワイン④:トロンテス(アルゼンチン) 具体的なワイン名は次の通りです: ワイン①:Riesling Tradition Charles Sparr 2017  ワイン②:Alsace Grand Cru Pinot Gris Rangen 2003 Chateau d'Orschwihr 2003 ワイン③:Paul Ginglinger Alsace Grand Cru Gewurtztraminer Pfersigberg 2018 ワイン④:Cuma Organic Torrontes Bodega El Esteco 2020 外観の比較 まずは外観の比較から。 アルザスのワインは比較的、色が濃く表れていますが、これは品種による違いというよりは、ヴィンテージによる影響が大きいと思います。 香りの比較 次は香りの比較です。 リースリングとピノグリに比べると、ゲウェルツトラミネールと、トロンテスの香りは非常に強く感じられます。 また、それぞれのワインから感じられる特徴的な香りをまとめると、 ・リースリング → 甘やかな花の香り ・ピノグリ → モモのコンポートやハチミツ ・ゲヴ ュ ルツトラミネール → バラ、ライチ、非常に華やかな花の香り(芳香剤のよう) ・トロンテス → ブドウ(マスカット)の香り、火打石のようなスモーキーな香り このようになりました。 トロンテスの火打石のようなスーッとした香りは、どこから来るものなのかは分かりませんでしたが、樽熟成をほとんど行っていないことを考えると、ブドウ由来の香りであると思われました。 【補足】Decanterのサイト(https://www.decanter.com/learn/advice/understand-tasting-notes-decoded-344920/)では標高の高い場所で栽培されたトロンテスは、ジュニパーベリーのような香りを持つそうなので、スーッとした香りはこの香りなのかもしれません。 また、トロンテスはゲヴュ

WSETレベル3のテキスト購入方法とテキスト電子化のメリット

WSET英語学習 の難しさはの1つは、 テキストの記述が全て英語 であることです。 テキストが英語だと、やっぱり 内容の理解度が落ちます 。知らない単語を辞書で調べて...翻訳をして...と読み込んでいくのですが、部分的に言い回しが微妙だったり、細かいニュアンスが伝わらなかったりで、理解が難しい文章がいくつかありました。 <理解度対策は、日本語テキストの購入がおすすめ!> 理解度の問題を解決するために私がとった方法は「WSETレベル3日本語テキストの購入」でした。 ワインスクールでWSETレベル3を受ける場合、英語クラスを選択すると、英語テキストが配布されます。 しかし私はこれに加えて、日本語テキストを購入しました。ワインスクールでも購入ができるようなのですが、受講開始前に手にしておきたかったために個人的にWSETの公式ウェブサイト( https://shop.wsetglobal.com/collections/books )から購入しました。 注文から2週間ほどで手元に届いたと思います。レベル3のテキスト自体は £44.95 GBP でしたが、送料に £17.21 GBP かかり、合計費用は £62.16 GBP (8,300円程度) でした。 もう少し安く購入する方法としては、時々 メルカリ に出品されているものを購入する方法もありますが、常に売りに出されているわけではないのであまり期待できないかもしれません。 <情報検索にはテキストの電子化がおすすめ!> テキストが英語であることの問題がもう1つありました。それは、 知りたい情報を探すのが大変 であるということでした。 例えば、「カベルネ・ソーヴィニヨン」の産地ごとの特徴を知りたい場合、その情報は様々な章に分散されて書かれていました。醸造工程の章、ボルドーの章、アメリカの章などです。 日本語であれば、走り読みをしながらキーワードを探せばそれほど大変な作業ではありません。しかし、英語ネイティブでない私にとって、英語でこれをやるのはとても大変な作業でした。 英語テキストの情報検索の問題を解決するために、私は OCR(光学文字認識)アプリ を使ってテキストの内容を全て 電子ファイル に変換しました。 作業の流れは次の通りです: --------------