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アンジュ&ソミュールで製造される3つの主要なロゼワインの違とは?

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WSET Diploma D1オンライン受講の感想⑤ ~テイスティング課題~

 今回は、以前の記事(記事:WSET Diploma D1受講の感想① ~オンライン受講の流れ~)で紹介をした「テイスティング課題」に関してです。




テイスティングはオンライン受講を始めるにあたって最も心配をしていた部分です。なぜならば、私は今まで通い形式のテイスティングの講義しかやったことが無く、オンラインの場合にはどのようにテイスティングが進められるのかが全く想像できなかったからです。

 

主な疑問点は次のようなことでした。

 

    テイスティング用のワインは誰がどのように準備するのか?

 

    テイスティング用のワインの費用はどのくらいかかるのか?

 

    テイスティングはどのように進められるのか?

 

    講師から個別のフィードバックがもらえるのか?

 

    講師のフィードバックはどの程度的確なのか?(特に、同じボトルのワインを飲めない場合)

 

 

Diplomaの説明会に出席をしたりして事前に明らかになった部分もありましたが、全ての疑問は明らかにならず、結局、多少の不安や疑問を持ったままの受講となりました。

 

そして実際にオンラインでのテイスティングを受講していく中で、それらの疑問点が徐々に明らかになっていきました。それを説明して行きたいと思います。

 


    テイスティング用ワインの「準備」について

 

ワインの準備は与えられたガイドラインに従って、全て自分で準備をすることになります。

 

それぞれの週に用意が必要なワインリストは事前に提示がされているので、毎週のテイスティングに間に合うようにワインの注文や購入をしておきます。

 

一般の店舗では入手が難しいワインもあったので、私は主にオンラインのワインショップを利用しました。自宅への到着までに時間がかかるので、少なくとも1週間前には注文をするように心がけていました。

 

用意するワインのガイドラインは例えば「Pinot Noir from Burgundy of very good quality」のように、「品種(もしくはAOC)」×「品質レベル」の形で与えられることが多いです。これに加えて、「甘さのレベル」や「オーク香の有無」のガイドラインが加えられることもありました。

 

「品質レベル」については、ラベルがそのまま品質レベルに直結しているもの(Grand CruPremier Cruなど)は準備をするのが簡単でしたが、そうでないものについてはどのような基準でワインをさがしたら良いのか迷いました。そのような場合には、D1D3のテキストの当該部分を読み込んで、品質の高いサブリージョンや製造者の情報を調べたり、担当講師に直接質問をしたりして、できるだけガイドラインに近いようなワインを購入するように努めました。


通い形式のテイスティング講義ではワインは全てワインスクールが用意をしてくれていましたが、オンライン講義の場合では、ワインを準備することが結構な手間となりました。しかしその反面、自分でワインを準備することで「ワイン選び」という今まで学ぶことのできなかったスキルを学ぶことができたので、これはこれでとても良い経験となりました。


 

    テイスティング用ワインの「費用」について

 

テイスティング用ワインの費用は、以前の記事で説明をしたオンラインコース費用には含まれていません。

(関連記事:「WSET Level 4 Diploma in Wines(通称、ディプロマ)」について調べてみました


そのため、ガイドラインに従ってどのようなワインを購入するかで、費用は大きく変わってきます。


例えは、「Pinot Noir from Burgundy of very good quality」を用意する場合でも、コート・シャロネーズの村名ワインを購入する場合と、コード・ド・ニュイのグランクリュを購入する場合では、費用は大きく異なります。


毎週のワインの必要購入数は2~5本程度だったので、私の場合、1つ1つのワインに大きな金額を書けることはできませんでした。あくまでもワインは趣味なので、それほどお金はかけられません。。。


そこで条件を満たすワインの中で、最も低価格な部類のワインを購入することが多かったと思います。


店舗購入では選択肢が少ないことから、ほとんどのワインをオンラインショップで購入しました。また、できるだけ品ぞろえの多いオンラインショップを選んで、数週間分のワインを一度に購入することで、できるだけ送料も抑えるように努めました。フルボトル(750ml)は高いので、ハーフボトル(375ml)を積極的に選ぶことも費用を抑えるコツでした。


できるだけ費用をおさえましたが、それでもD1だけで3~4万程度はワインの購入代金としてかかったと思います。


一般論で言うと、より高い価格のワインの方が、よりそのワインの典型的な特徴を持っていることが多いので、もう1ランク上のワインを買いたいと思うことは多々ありました。しかし、このような経験をしたことで、できるだけリーズナブルにそこその品質の良いワインを選ぶことができるようになったと思います。



    テイスティングの「進め方」について


オンライン受講では、座学のような仰々しい講義はありません。


1週間の流れでは、週の始めに講師がその週に伝えたいことをビデオメッセージで送ってくれます。


主に伝える内容は、Diplomaでのテイスティングノートの書き方です。


Diploma(レベル4)とレベル3のテイスティングノートの大きな違いは、ワインに対する結論の部分です。レベル3ではワインの特徴と品質レベルを評価して終わりでしたが、Diplomaでは「品質レベルの根拠」と、「熟成ポテンシャル」を文章で説明することが求められます。


受講者は、そのビデオメッセージを参考にしながら、自分のスケジュールでその週のうちに自分で用意をしたワインのテイスティングを行い、テイスティングノートの作成および提出を行います。テイスティングのノートをオンラインプラットフォームに提出をすると、担当講師が個別のフィードバックを書き込んでくれます。


週の中盤くらいには、担当講師が一部の受講者から提出されたテイスティングノートをもとに、追加のアドバイスをビデオメッセージや電子メールで送ってくれます。例えば、「こんな書き方をしている人が多いですが、この部分はもっと具体的に書いてください」などです。


自分が提出をしたテイスティングノートは他の受講者から見られることはなかったので特にプレッシャーはありませんでしたが、じっくりと見直しをしてから提出をすることが多かったので、提出のタイミングは週の後半になることが多かったと思います。


テイスティングノートの書き方は、担当講師からのメッセージに加えて、オンラインプラットフォームに用意されている「Dimloma Tasting Guidance」という資料を参考にしました。課題や、認定試験で求められるテイスティングノートの書き方は、全てこの資料にまとめられていました。


ちなみにD1の認定試験にはテイスティングは含まれていませんでしたので、D1のテイスティング課題は、のちのD3~D5のテイスティング試験のための練習という位置づけだと思いました。


オンライン講座でのテイスティングにはメリット、デメリットがありますが、自分の気が済むまで何度でも、何杯でもテイスティングができることは大きなメリットだと思いました。一度完成させたテイスティングノートでも、次の日に気になる部分があるともう1度テイスティングを行って書き直すこともありました。


余ったワインは、またいつでも味わえるように小瓶に入れて保存をしています。



    テイスティングノートへのフィードバックについて


先程書いたように、テイスティングノートへのフィードバックは受講者ごとに個別にもらうことができました。


その週の半ばくらいまでに提出をすれば、次の週にはフィードバックをくれるので、次のテイスティングノートに活かせるように徐々に早く提出することを心掛けました。


フィードバックの内容についてですが、主な指摘のポイントは、「品質レベルの根拠」の部分と、「熟成ポテンシャル」の文章での説明についてでした。とにかく、具体的な説明が欠如していることについての指摘が多かったと思います。


例えば、「このワインはバランスが取れている/複雑性がある」と書いた場合に、「どのような要素同士の間でバランスが取れているのか具体的に書きなさい」や、「どのような要素が複雑性を生み出しているのか具体的に書きなさい」などのものでした。


また熟成ポテンシャルの説明については、「なぜ熟成ポテンシャルがあるのか?」や「瓶熟成によってワインはどのようになるのかを具体的に書きなさい」というものが多かったと思います。



 フィードバックの妥当性について


オンライン受講では、決して講師は受講者と同じワインを味わっているわけではありませんでした。


そのため、香りや風味の各要素についての細かいフィードバックはそれほど多くはありませんでした。(この点は担当講師も、「同じボトルのワインを飲んでいるわけではないので、細かい指摘はできないと事前に断っていました。」)


しかし、一般的にありえない回答をしたときには、きちんと指摘をしてくれました。


例えば、「Petit Chablis」のテイスティングをしたときに、「medium acidity」、「full body」などと書けば、「それはあり得ない」と指摘をしてくれます。しかし、「medium(+) acidity」、「medium(-) body」と書いた時には、たとえ正解が「high acidity」、「light body」だったとしてもそこまで細かくは指摘をしてくれませんでした。


また、同様に「Petit Chablis」の香りの表現として「vanilla(樽香)」と書けばおそらくそれはあり得ないと指摘をしてくれますが、「dill」と書いた場合に例え実際にはその香りが無かったとしても(Petit Chablisがdillの香りを持つ可能性は十分にあるので)指摘はしてもらえなかったと思います。


先程、オンライン受講でのテイスティングのメリット、デメリットの話をしましたが、このように香りや風味の各要素について細かい指摘を得られないことはオンライン受講のデメリットだと思いました。



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パロ・コルタド・シェリーとは?アモンティリャードとオロロソとの製法の違いを調べてみた

JSA試験、WSET試験を通して酒精強化ワインであるシェリー(Sherry)を学んできましたが、ずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、「 パロ・コルタド・シェリーとは何なのか? 」です。 シェリーとは、スペイン・アンダルシア州カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺地域で生産される酒精強化ワインのことで、ポート・ワイン(ポルトガル)、マデイラ・ワイン(ポルトガル)とともに、著名な酒精強化ワインと言われています。 シェリーには、フィノ(Fino)/マンサ二ーリャ(Manzanilla)、オロロソ(Oloroso)、アモンティリャード(Almontillado)、 パロ・コルタド(Palo Cortado) 、ペドロヒメネス(Pedro Ximenez)など様々な種類があります。 しかし、JSA、WSETどちらのテキストにおいても、 パロ・コルタド に関する記述 はとても少なく、製法に関する記述もなく、漠然とその特徴が書かれているだけでした。 その特徴は、 ・希少であること ・アモンティリャード(Amontillado)の香りを持つが、味はオロロソ(Oloroso)のボディとこくを持つ という2点だけです。 ずっと疑問に思っていたことを解決すべく、製法を中心にパロ・コルタドについて調べてみました。 参考にしたのは、次のサイトです: https://www.sherrynotes.com/sherry-types/palo-cortado/ https://www.sherrynotes.com/2015/background/palo-cortado-mystery/ まずは、パロ・コルタドの発祥から。パロ・コルタドは、もともとフィノとしては不適合として除外された樽からできたそうです。 <パロ・コルタドの発祥> ------------------------------------------------------------------------ ・パロ・コルタドは、もともとフィノ(Fino)の製造から偶然生まれたワインと言われている。 ・フィノシェリーでは、樽での熟成中にフロールと呼ばれる産膜酵母が発生し、フロールのもとで熟成される。しかし、フィノ樽の中には...

サントル・ニヴェルネ地区(ロワール)のAOCの覚え方【語呂合わせ】

  前回の記事に続いて今回は、 サントル・ニヴェルネ地区 です。 ソーヴィニヨン・ブランから造られる白ワインが有名な地域です。 実際に、栽培されているブドウの8割近くがソーヴィニヨン・ブランであるようです。 それに続いて、ピノ・ノワールが2割程度生産されています。 ほとんどの白ワインは、ソーヴィニヨン・ブランから、赤ワインはピノ・ノワールから造られています。 この地区のAOCは、付近を流れる2つの川の流域に集中しています。1つは ロワール川 、もう1つは、トゥール付近でロワール川と合流する シェール川 です。 この地域で最も重要なAOCは、 「サンセールAOC」 と 「プイイ・フュメAOC」 の2つです。実際にこの2つのAOCは、サントル・ニヴェルネ地区で製造されるワインの多くの割合を占めています。特に、サンセールAOCは、この地区で最大のAOCです。 さて、AOCの覚え方についてですが、この地区はあまりAOCの数が多くないために、まとめて語呂合わせを考えてみました。 語呂合わせではAOCは南から北に向かって並べられています。 最後に、各AOCの説明です: サンセール(Sancerre)AOC  ・白ワイン(ソーヴィニヨンブラン)、赤ワイン、ロゼワイン(ともにピノノワール)のAOC ・サントルニヴェルネ最大のAOC ・畑はロワール川沿いの急斜面 ・グレープフルーツやグーズベリーの中程度強さの香りを持ち、酸味の強い白ワインを造る ・ワインの品質は幅広い(中程度から非常に品質が高いものまで) ・カイヨット(Caillottes)、テール・ブランシュ(Terre Blanches)、シレックス(Silex)の3種類の土壌を持つ ・カイヨットは石灰を多く含む浅い土壌、テールブランシュは石灰と粘土の混合、シレックスは石英を含む土壌。 ・カイヨットは早飲みの香りの強いワイン、テールブランシュは最も骨格があり長期熟成向きのワイン、シレックスはミネラル感のあるスモーキーなワインを造る プイイ・フュメ(Pouilly-Fumé)AOC  ・白ワイン(ソーヴィニヨンブラン)のみのAOC ・サンセールの白ワインに似たスタイルだが、香りはやや弱く、少しまろやかなスタイル ・サンセールに似た土壌だが、サンセールほど急な斜面ではない ルイイ(Reuilly)AOC...

EUの甘味(残糖量)を表すラベル表示用語とその覚え方【語呂合わせなど】

EU内で生産される/EU内で販売するために生産される発泡性ワイン には、 甘味に関するラベル表示用語(Labelling term) が規定されています。 「Brut Nature」から「Doux」までの7段階 があり、それぞれに対して残糖量の範囲が決まっているのですが、これを覚えるのはなかなか大変です。 WSET L3 では、テキストに「試験では、ブリュット・ナチュール(Brut Nature)、ブリュット(Brut)、ドゥミ・セック(Demi-Sec)の用語と、それぞれの甘味のレベルに関する知識があれば十分である。」と丁寧に書かれているので、この3つだけを覚えれば十分で、暗記はそれほど大変ではありませんでした。 しかし、 JSAソムリエ・ワインエキスパート試験 では、細かい部分も出題される可能性があり、全ての用語と残糖量の範囲を試行錯誤を重ねて何とか覚えました。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 ) (関連記事: スパークリング・ワインの残糖量の表示の覚え方(新) ) その方法は次の①~④の通りです。 ------------------------------------------------------------- <発泡性ワインの甘味を表すEUのラベル表示用語> <覚え方> ①カテゴリ分けをする ・まず、7段階の表示を、Brut、Sec、Douxに分けて、それぞれ3つ、3つ、1つと覚えました。 ②Brutを覚える ・Brutが 最も残糖量の少ないカテゴリー であることを覚えました。「 Brut=untreated(未加工の)≒糖の添加を極力行わない 」と考えると容易に覚えられました。 ・ Brut Nature、Extra Brut、Brut の3つの表示用語があることを覚えました。 Nature(自然のままの)、Extra(格外の) という意味を考えると覚えるのは容易でした。 ・Brutの 最低残糖量は全て「0」 であることを覚えました。 ・Brut Natureの最大残糖量が「3」であることを覚えました。Natureには「生まれたままの」という意味があるので、「 3つ子の魂100まで ...

WSET Level3 記述式問題で重要に思えたところ(本試験の筆記問題対策)

繰り返しになりますが、WSET level3の最大の難関は記述式問題です。 (参考記事: WSET Level3 の試験構成 ) WSETの記述式問題では、出題されたテーマに対して、深く理解をしているかが問われます。 (参考記事: 一筋縄ではいかない!とてもWSET的だと思った記述式問題(問題例) ) そのため、記述式問題の基本的な対策は、WSETレベル3のテキストの読み込みと、講義ノートの見直しを主に行いました。 しかし、広大な産地全てについて、万遍無く、深く理解をするというのは途方もない作業に思われました。 さらに私の場合は英語受験だったので、日本語のようにテキストをスラスラ読むこともできるわけはなく、本試験までの日数から逆算をすると、とてもそんな時間は確保できないと思いました。 そこで記述式試験対策の方針としては、いくつか重要と思われる部分にヤマを張って、それらを重点的に勉強することにしました。「重要と思われる部分」は次のような判断基準で抜き出しました。 ・講義中に担当講師が「重要」「試験に頻出」と言っていた部分 ・サンプル問題で、何度も問われていた部分 (参考記事: WSET過去問は共有禁止!それでもWSETレベル3の試験問題の参考にしたウェブサイト ) ・複雑で、しっかり理解をしていないと説明ができないと思った部分(特に醸造工程のオプションなど) ヤマを張った部分に関しては何度もテキストを読み返して、テキストの重要ポイントは何度もノートに書きあげて英文を書く練習を続けました。 (参考記事: WSET Level3の英語受験を一発合格した勉強方法 ) (関連記事: WSET試験の記述問題対策では「動詞」が重要!? ) 「重要と思われる部分」として抜き出した具体例を下に紹介します: <ワインの保管とサービス> ワインの保管方法(参考記事: ワインの保管方法 ) ワインの提供温度 (参考記事: チャートで覚えたワインのサービス温度 ) ワインのデカンティング 発泡性ワインの栓の抜き方(参考記事: 非発泡性(スパークリング)ワインの栓の抜き方 ) ワインの保存に使われる方法(参考記事: ワインの保管方法 ) <ブドウ樹の栽培、畑の管理、ワインの醸造> 高接ぎとその特徴(参考記事: grafting(...

ブドウ品種「ピクプール(Piquepoul)」とは?

ピクプール(Piquepoul) というブドウ品種について調べてみました。 この品種は、主にフランスのローヌ渓谷や、ラングドック地方、また、スペインのカタルーニャで栽培されているワイン用ブドウ品種です。萌芽が遅く、ウドンコ病の影響を受けやすい品種です。 ピクプールには果皮の色が異なる 「ピクプール・ノワール」 、 「ピクプール・ブラン」 、 「ピクプール・グリ」 の3種類があります。 ラングドック地方では長い歴史があり、最も古い土着品種の1つのようです。ここでは、ブレンドワインとヴァラエタルワインの両方に使われています。特に、ピクプール・ノワールから生産される赤ワインは、アルコール度数が高く、香りが豊かですが、非常に色が薄いため、ブレンドに使われることが多いようです。 ローヌ渓谷では、ピクプール・ノワール、ピクプール・ブランがシャトーヌフ・デュ・パプAOCのブレンド品種として許可されています。また、広域のコート・デュ・ローヌAOCにも使われています。 ピクプール・ノワール、ピクプール・ブラン、ピクプール・グリのうち、最もよく知られているものは「ピクプール・ブラン」であり、栽培面積は増加傾向にあるようです。 フランスだけではなく、ピクプール・ブランはカリフォルニア州ソノマやオーストラリアでも栽培がされているようです。 ピクプール・ド・ピネ(Picpoul de Pinet)AOC ピクプールを使った最も有名なワインの1つはラングドック地方の 「ピクプール・ド・ピネ(Picpoul de Pinet)AOC」 だと思います。 このワインは、その名が表す通り、ピクプール品種から造られており 「ピクプール・ブラン」100%の白ワイン です。しかし、品種( Piquepoul )とワイン名( Picpoul )で「ピクプール」のスペルが若干異なります。 この地域では、ピクプールはもともと主にベルモットのベースワインとして利用されていましたが、醸造技術の発展により、フルーティーなヴァラエタルワインとして造られるようになりました。 ピクプール・ブランは、温暖な気候にあっても成熟時に高い酸味を保持することができ、ピクプール・ド・ピネAOCワインは、高いレベルの酸味を持つことが特徴です。 レモンや花の香りを持つ、ミディアムボディの辛口ワインとして造られます。 下のような特徴的なボトル...

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