今回のテーマは、ブルゴーニュの「コート・ド・ニュイ(Côtes de Nuits)」地区にある「 フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) 」村です。 場所は下の地図のように、モレ・サン・ドニ村、ヴージョ村、ヴォーヌ・ロマネ村の間に挟まれています。 コート・ド・ニュイの村名のワインが認められている他の村と比べると、特にそれほど小さい村でもありません。ヴージョ村やヴォーヌ・ロマネ村の方がよっぽど面積は小さめです。 しかし、このフラジェ・エシェゾー村ではその名を冠したAOCのワインを造ることは許されていません。つまり、「A.O.C. Flagey-Echézeaux」という名のワインは存在しません。 その代わり、この村で栽培されたブドウから村名を冠したワインを造る場合、全て「A.O.C. Vosne-Romanée」という隣の村の名前を冠したワインとして造られます。 なぜ、フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) には村名のワインが無いのでしょうか?少し疑問に思って、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑について調べてみました。 まず、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑の場所ですが、村名以上のワインを造ることのできるブドウ畑は、村の西側に局地化しているようです。村の中心地は、点線の楕円の部分に固まっているので、場所としては村の外れにあるようです。 この村の西側に局地化した畑のうち、大部分を占める畑は、特級畑である「エシェゾー(Echézeaux)」と「グラン・エシェゾー(Grands-Echézeaux)」です。 これら2つのグランクリュ畑から造られるブドウからは、唯一、フラジェ・エシェゾー村のアイデンティティの感じられる、「A.O.C. Echézeaux」と「A.O.C. Grands-Echézeaux」のワインが造られます。 残りの畑は、プルミエ・クリュ畑と村名ワイン畑となりますが、これらの畑で造られるワインはそれぞれ「A.O.C. Vosne-Romanée Premier Cru」と「A.O.C. Vosne-Romanée」となり、フラジェ・エシェゾー村の名前が使われることはありません。 それでは、ここでヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑の分布を見てみたいと思います。 これを見ると、ヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑は、フラジ...
これは中央ヨーロッパの地図です。国名が入っていない部分は、どこの国かわかるでしょうか?
正解は...
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この通り。これらの国々は実はJSAワイン・エキスパートの試験範囲となるワイン産地です。
西はスペインから東はモルドバまで。さらにここには載っていませんが、さらに南のギリシャや、さらに東のジョージアも重要なヨーロッパのワイン産地です。
私がワイン・エキスパートの試験をやって最もためになったと思うのが、ワインを通じて世界の地理を学べたことです。
私にとってワインの勉強は完全に趣味なので、仕事で資格をとらなければならないなどのモチベーションとなるものは何もありませんでした。覚えることがたくさんあって、正直しんどい時期もありましたが、大きなモチベーションとなってくれたのがこの、「世界の地理を学ぶ」ということです。ワインスクールに通うと毎週新たなワイン産地を勉強して、次の週までにその復習を終えなければならなかったのですが、地図を眺めながらその土地のワインを勉強していると、何となくワイナリーツアーをしている気分で、楽しみながら学習を続けることができました。
例えば、スイスではこんな風に詳細な地図を見ながら産地を覚えていきました。旅行にでも行かない限り、こんなにじっくり各国の地図を見て行くことはないと思います。他の国々でも同様です。
JSAワイン・エキスパートの試験範囲は本当に広く、ヨーロッパから始まり、北米、南米、南アフリカ、オーストラリア、ニュージーランド、そして日本と、あらゆる地域をカバーしています。
おかげさまで、ニュースなどでワイン産地として勉強をした国や地域が出てくると、すぐにその地域や位置関係をイメージできるようになりました。
ワインだけのために勉強をしていたわけではない私にとって、世界の地理を勉強できたことは意外なメリットとなりました。