シラー/シラーズワインの特徴として、「黒コショウ」の香りを持つと言われます。
しかし、この「黒コショウ」の香りを見つけ出すのは、何回練習をしても非常に難しいことだと思います。様々な練習をしてみましたが、私も未だに、この香りをかぎ分ける自信がありません。
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この香りの特定を難しくしている理由は、主に次のような理由にあるのではないかと個人的に思っています。
・樽由来のスパイスの香り(ヴァニラ、クローヴ、シナモンなど)と、品種由来のスパイスの香り(シラーの黒コショウ)が混ざってしまう
・全てのシラー/シラーズが黒コショウの香りを持っているわけではない(比較的涼しい地域で出やすい香りのようですが、ヴィンテージによっても異なるそうです)
ちなみに、「黒コショウ」の香りをもたらす原因は「ロタンドン(rotundone)」という名の化学物質であり、シラー/シラーズ種のブドウとコショウに共通して含まれているそうです。
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シラー種のワインから「黒コショウ」の香りを感じ取る何か良い方法がないかと、様々なウェブサイトを調べてみました。
そこで、面白い練習方法を見つけました。
それは赤ワインに実際に黒コショウを入れてしまうという方法です。確かに、この方法であれば、確実に黒コショウの香りが感じ取れるはずです。原因物質であるロタンドンを人工的に加えてしまえばよいわけです。
自分なりのアレンジを加えて、次のような手順で試してみました。
① 同じシラーワインの入ったワイングラスを2つと黒コショウを用意する
今回は、もともとあまり黒コショウの香りが感じられない、安いオーストラリアのシラーズワインを用意しました。フルボトルで1本1000円未満のものです。
② 片方のワインに黒コショウを加える
1つまみくらいの少量を少しずつ加えていき、ぎりぎり黒コショウの香りが感じられる辺りで止めるのが良いと思います。
香りがワインによく溶け込むように、マドラーなどを使ってかき混ぜると良いかもしれません。
③ 黒コショウを加えていないグラスと、黒コショウを加えたグラスで香りを比較する
香りを比較しながら、必要により黒コショウを加えます。反対にコショウを入れ過ぎてしまった場合にはワインを加えて薄めます。
少し乱暴な方法かもしれませんが、ロタンドンを豊富に含んだシラー/シラーズワインの香りを感覚的につかむことができると思います。つまり、理想の正解像がわかるわけです。
参考としたウェブサイトでは、黒コショウを入れて数時間おいて、濾過をする方法が紹介されていましたが、時間と手間がかかるので、かなり簡易的な方法にアレンジしました。
何回か練習を続けて、徐々に加えるコショウの量を減らしていくと、だんだん感覚が研ぎ澄まされてくるようです。