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ドイツワインの品質分類のピラミッドで誤解していたこと

 ドイツワインは、ワイン法によって大きく 4つ に分けられています。 原産地名称保護のある「 プレディカーツヴァイン(Prädikatswein) 」と「 クヴァリテーツヴァイン(Qualitätswein) 」、地理的表示保護のある「 ラントヴァイン(Landwein) 」、そして、地理的表示のない「 ドイッチャー・ヴァイン(Deutscher Wein) 」の4つです。 図で表すと次のようなピラミッドで表されます。ドイツワインを学ぶ場合、これはおなじみのチャートです。 これは基本的には、 品質分類の順位 を表したものだと思います。つまり、そのワインの 生産における制約の厳しさ を、上から順に並べたものだと思います。 例えば、最上位のプレディカーツヴァインの製造には、ブドウの栽培地、収穫方法、ブドウ中の最低糖度、ラベル表示などに厳しいルールが設けられています。しかし一方で、最下位のドイッチャー・ヴァインにおいてはドイツ国内であれば特にブドウ栽培地の制約はなく、その他についてもそれほど厳しい制約はありません。 そして、このような特徴を持つ品質分類のピラミッドにおいて、私は長らく勘違いをしていました。 それは、 「基準が厳しい=生産量が少ない」という思い込み です。そのため、生産量は階層が下のものの方が多く、上位になるにつれて減っていくと思っていました。 ちょうどピラミッドのチャートが表すように、下位の ドイッチャー・ヴァインやラントヴァインがドイツワインの生産量を下支えしている のだと思い込んでいました。 しかし、実際の生産量は、その思い込みと異なりました。 生産量を考慮すると、ピラミッドは概ね次のような形となります。 ドイツワインの生産量を下支えしていると思われていた「 ドイッチャー・ヴァイン 」と「 ラントヴァイン 」を合わせた生産量は実は全体の4%ほどしかないそうです。 そして、残りの生産の2/3ほどを「 クヴァリテーツヴァイン 」が占めており、残りの1/3ほどが「 プレディカーツヴァイン 」です。 実は、日常的にもっとも多く飲用されているワインは、このチャートが表すように「 クヴァリテーツヴァイン 」なのだとか。 今回の件は、チャートによる視覚的効果によって、事実を誤認してしまう典型的な例の1つだと思いました。 このような品質基準のピラミッドチャート...

なぜワインはおいしくないのか?【考察】

お酒を飲む人の中でも、ワインが苦手と言う人の話はよく聞きます。なぜ、ワインが苦手になってしまうのかを、これまでの個人的な経験をもとに考察してみました。




ある調査によれば、ワインの味が苦手な人の主な理由は、ワインの「酸っぱさ」「苦み」にあるそうです。


私もその意見に共感します。かつて、私にとってもワインは決して好きなお酒ではありませんでした。


ビールやサワー、焼酎をある飲んだ後に、気分を変えてワインを飲むことはあったのですが、決して好んで最初に選ぶお酒ではありませんでした。


その頃は、酸味や苦みが強調されているような気がして、ワインのどこにおいしさを感じてよいのかがよくわかりませんでした。


今ではワインを美味しいと感じられるようになりましたが、過去の経験を振り返ると、ワインが苦手だと思ってしまうのには次のような理由があるのではないかと思います。




ワインが美味しくないと感じる理由


ワインが苦手に感じる理由の1つとしては、まずは「ワインの味に慣れていない」ことがあると思います。ワインが持つ「酸味」や「苦み」は決して口当たりの良い味ではないと思います。ビールの苦みが美味しいと感じるまでに時間がかかるように、ワインの味に慣れるのにも一定の時間がかかると思います。


しかし、個人的にはもう1つ大きな理由があると思います。それは「飲んでいるワインが本当においしくない」ということです。


ワインを学んでいると、ワインについてネガティブな表現をしてはいけないということをよく言われますが、それでも実際に美味しくないワインはあると思います。そんなワインの特徴は、酸味や苦み、またはアルコールだけが強調されているということです。




美味しいワインの特徴は?


ワインは基本的に、「果実味」と「骨格(酸味+タンニン)」、「アルコール」のバランスを楽しむお酒だと思います。


「果実味」は口当たりが良く、受け入れられやすい味の要素である一方で、「酸味」や「タンニン」、「アルコール」はそれ単体だけだと不快な口当たりを与え、受け入れられにくい要素です。タンニンやアルコールは苦みを感じる要素ともなります。


酸味やタンニン、アルコールは、料理におけるスパイスに似ていると思います。たとえば、唐辛子はそれだけを食べると苦痛に感じますが、それ自体にしっかりとした旨味を持った料理に加えると良いアクセントとなってくれます。


果実味と、酸味+タンニン+アルコールのバランスが取れて初めて美味しいワインの味になります。



果実味が豊富なワインは、また、香りや味に深みを与え、果実味が決して酸味やタンニン、アルコールに打ち消されることはありません。


私はワインの学習を通して、いくつかこのようなワインに出会ってきました。そこで初めて、美味しいワインがあることを知りました。




おいしくないワインの特徴は?


一方で、おいしくないワインでは、味のバランスが崩れています。このようなワインでは、単体で受け入れられにくい「酸味」、「タンニン」、「アルコール」などの要素と比較して、「果実味」が圧倒的に足りていません。



果実味が足りないワインはよく工業的に大量生産されるワインに見られます。このようなワインに使われるブドウの多くは、ブドウの成熟度を高めるための手間暇や、費用の掛かる栽培手法がとられず、果実は高い凝縮度を持ちません。


そのために、このような果実から造ったワインには果実味が不足してしまうわけです。


加えて、十分に成熟をしていないブドウには、過度な酸味や、未成熟なタンニンが含まれます。また、大量生産ワインに使われるブドウの収穫は機械収穫で行われ、果実の十分な選別も行われないために、未熟な果実や健康でない果実がそのまワイン醸造に使われます。


結果として、ワインには過剰な酸味や、未成熟なタンニンの苦み、未成熟な果実からの不快な青い香りや、不純物に由来する雑味が余計に加えられてしまいます。


私の経験では、このようなバランスの崩れた、もしくはバランスが十分でないワインは、ワインのこだわりのないカジュアルレストランや居酒屋でよく出会います。大量生産ワインは価格がリーズナブルなので、仕入れ値をおさえるためにこのようなワインが選ばれているのかもしれません。


しかし、このようなワインでもメニューに並ぶときにはそれほど安価なワインには見えません。なぜなら、飲食店で販売されるワインには店側の一定の利幅が含まれているからです。居酒屋・バーやレストランにおけるワインの価格は、仕入れ価格の3倍にもなる場合もあると言われています。


実際に、あるイタリアン・カジュアルレストランのワインのボトルの価格を調べてみたことがあるのですが、同じワインボトル1本の価格が、ネットショップの2倍以上の価格で売られていました。グラスワインの場合には、もっと大きな利幅が加えられているかもしれません。


したがって、居酒屋・バーやレストランで、美味しいワインを味わおうとそれなりの価格のワインを選んだとしても、実際は低価格層の品質のあまり高くないワインであることもあるわけです。


さらに、ワインの味に飲みなれないうちに、このような品質の低い、バランスの崩れたワインに出会ってしまったら最悪です。ワインは酸っぱくて、苦いだけのお酒であると、深く記憶に刻まれてしまいます。そして、全てのワインの味がそのようなもであると錯覚をしてしまいます。


個人的には、実際にそのような流れでワインを好きでなくなる人は、それほど少なくないのではないかと思っています。




ワインを美味しいと感じるためには?


これまで書きてきたように、ワインをおいしいと感じない理由は「ワインの味に慣れていないこと」と「おいしくないワインを飲んでいる」ということでした。


この内容を踏まえると、ワインを美味しいと感じる方法は、「ワインの味に慣れるまで美味しいと感じるワインを飲むこと」だと思います。


繰り返しになりますが、美味しいと感じるワインの特徴は、「酸味」や「タンニン」、「アルコール」と釣り合うような十分な「果実味」を持つワインです。しかしある程度のワインに関する知識がないと、どのようなワインが果実味に富んでいるのか分かりません。


そこで私が最も簡単だと思うのは、心地よい味わいを与えてくれる「甘味」を持ったワインを選ぶことです。「甘味」は「果実味」と同様に、「酸味」や「タンニン」、「アルコール」と釣り合う成分です。


さらに、初心者にとっては不快な要素を減らすために、「タンニン」をなくして、「アルコール度」を低めにするのもおすすめです。するとこのようなワインは、主に「果実味・甘味」と「酸味」のバランスを楽しむ甘酸っぱい軽めのワインとなります。




個人的に甘酸っぱい味わいは最強だと思います。甘いだけの味わいよりも、ずっと美味しく感じられると思います。甘酸っぱい味わいは、フルーツなど常に私たちが身近に慣れ親しんでいる味わいです。



甘酸っぱい軽いワインの例は?


甘酸っぱい軽めのワインの例は、主に「涼しい地域の甘口~中甘口の白ワイン」です。涼しい地域に栽培されるブドウには酸味が多く含まれ、アルコールのもとになる糖分が過剰に生成されないからです。


例えば、「ドイツの甘口(中甘口)リースリング」「イタリアのアスティ」「ロワールの甘口(中甘口)シュナンブラン(ヴーヴレなど)」です。


それぞれ比較的手ごろな価格から手に入るのも魅力出来です。また、これらのワインには「スティルワイン(非発泡ワイン)」と「スパークリングワイン」の両方があるので、どちらでも好みの方を選べることも魅力です。


少し値段は張りますが、「甘口のシャンパーニュ」も甘酸っぱい軽い味わいを楽しむことのできるワインだと思います。


また、徐々にタンニンを楽しみたい場合には、「ロワールの中甘口のロゼワイン(ロゼ・ダンジュ 、カベルネ・ダンジュ )」やイタリアの赤ワインスパークリングワイン「ランブルスコの甘口(中甘口)」も比較的、ワイン初心者にも飲みやすいワインだと思います。




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ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは?

ブドウ樹は、その土地に合わせて様々な形をしています。このブドウ樹の形は「仕立て」と呼ばれ、休眠期の剪定によって整えられます。 例えば、ボルドーやブルゴーニュでは針金と柱を用いて枝を地面と垂直方向に伸ばす「垣根仕立て」が多く採用されています。 一方で日本では、ブドウや葉を棚の天面に広げる棚仕立て(Pergola ペルゴラ)が多く採用されています。 このような仕立てや選定は、気温、日照、水、土壌の栄養分などのブドウ樹が必要とする要素や、ブドウ畑の機械の使用などを考慮して、そのブドウ畑に最適なものが選ばれます。 WSETレベル3では、この「仕立て」、「剪定」について比較的しっかりと学ぶのですが、ブドウ畑に馴染みのない私にとっては少し理解が難しい部分でした。 特に私が混乱してしまったのは、「仕立て(training)」と「剪定(pruning)」の違いでした。両者はお互いに深い関係があり、テキストの説明だけでは直感的にわかりにくかったので、個人的に図などを利用してまとめてみました。 (関連記事:t rellis の意味 | 英語ワイン書籍に出てくる英単語 ) <仕立てと剪定の違い> WSETテキストによれば「仕立て」と「剪定」は次のように説明されています。 「ブドウ樹の整枝・仕立てとは一般に株の形状のことをいい、大きく分けて、株仕立てとコルドン仕立ての二つに分類できる。」(株…ブドウ樹で一年以上経っている木質部のこと) 「剪定とは、冬または生育期間中に、望ましくない葉や長梢、株を除去することである。剪定によって樹の形が決まり、大きさが制限される。」 つまり、仕立てとは「ブドウ樹の形」を意味し、剪定とはその「ブドウ樹の形をつくるための作業」ということになります。 <仕立てと剪定の種類> 「仕立て」は株(一年以上経っている木質部)の形によって大きく「株仕立て(head training)」と「コルドン仕立て(cordon training)」の二つに分類ができるようです。 「株仕立て」は株の部分が比較的小さいのに対して、「コルドン仕立て」はコルドンと呼ばれる腕枝があるのが特徴です。コルドンは通常1~2本ですが、4本以上のコルドンを持つ「大木仕立て(big vine)」と呼ばれるものもあるようです。 ...

WSETレベル3のテキスト購入方法とテキスト電子化のメリット

WSET英語学習 の難しさはの1つは、 テキストの記述が全て英語 であることです。 テキストが英語だと、やっぱり 内容の理解度が落ちます 。知らない単語を辞書で調べて...翻訳をして...と読み込んでいくのですが、部分的に言い回しが微妙だったり、細かいニュアンスが伝わらなかったりで、理解が難しい文章がいくつかありました。 <理解度対策は、日本語テキストの購入がおすすめ!> 理解度の問題を解決するために私がとった方法は「WSETレベル3日本語テキストの購入」でした。 ワインスクールでWSETレベル3を受ける場合、英語クラスを選択すると、英語テキストが配布されます。 しかし私はこれに加えて、日本語テキストを購入しました。ワインスクールでも購入ができるようなのですが、受講開始前に手にしておきたかったために個人的にWSETの公式ウェブサイト( https://shop.wsetglobal.com/collections/books )から購入しました。 注文から2週間ほどで手元に届いたと思います。レベル3のテキスト自体は £44.95 GBP でしたが、送料に £17.21 GBP かかり、合計費用は £62.16 GBP (8,300円程度) でした。 もう少し安く購入する方法としては、時々 メルカリ に出品されているものを購入する方法もありますが、常に売りに出されているわけではないのであまり期待できないかもしれません。 Amazonでも時々、中古品がでているのでここで検索するのも良いかもしれません。→  https://amzn.to/3YSx0xy  (Amazonへのリンクです) <情報検索にはテキストの電子化がおすすめ!> テキストが英語であることの問題がもう1つありました。それは、 知りたい情報を探すのが大変 であるということでした。 例えば、「カベルネ・ソーヴィニヨン」の産地ごとの特徴を知りたい場合、その情報は様々な章に分散されて書かれていました。醸造工程の章、ボルドーの章、アメリカの章などです。 日本語であれば、走り読みをしながらキーワードを探せばそれほど大変な作業ではありません。しかし、英語ネイティブでない私にとって、英語でこれをやるのはとても大変な作業でした。 英語テキス...

WSETレベル3の英語受講から合格までの体験記(難易度、勉強法、合格の秘訣など)

ワインの素人だった私が、ワインの勉強をまじめに始めて2年目にWSETレベル3の英語試験を合格した勉強法を紹介したいと思います。 WSETは世界で通用するワイン資格です。主催団体によればレベル3は、 「 ワインの業界で働くプロフェッショナルおよびワイン愛好家を対象とした上級レベルの資格 」 です。 全世界で通用する資格であるために、海外のワイナリーに行ってWSETのレベル3を持っていると言えば、ワインについてはそれなりに知っていると思ってもらえるようです。 いつか海外のワイナリーを訪れることを思い描きながら、WSETレベル3に挑戦をした軌跡を紹介します。 (参考記事: 意外に高い?WSETの合格率 ) なぜWSETレベル3を受験? 私にとってのワインの勉強は、 飲み友達作り にワインスクールに通ったことから始まりました。 当時はワインの勉強などそっちのけで、中途半端な知識でワインスクールのクラスメートとワインを飲み明かすことだけを楽しんでいました。 折角ワインスクールに通ったのに、フランスのワイン産地はブルゴーニュとボルドーしか頭に残っていませんでした。 そんなワイン素人の私がまわりの飲み友達に影響されて、JSAワインエキスパート試験に挑戦をしました。まじめなワインの勉強はゼロから始めたこともあり、はじめはイチかバチかくらいの気持ちで始めた挑戦でしたが、ワインスクールのサポートにも助けられてなんとか一回で合格をすることができました。 次に挑戦すべきは上位資格である「JSAワインエキスパート・エクセレンス」だと思い、この資格は5年間待たなければならないことを知って、ワインの勉強はしばらくお預けだと少し寂しく思っていました。 しかし、ひょんなことからWSETは英語でワインが学べるということを知って、今度も大きな挑戦でしたが、WSETレベル3の英語講座に通うことに決めました。 (参考記事: WSETとは?WSETワインレベル3資格とは? ) (参考記事: ワインを英語で学ぼうと思ったきっかけと意外な発見 ) WSETレベル3を受講してよかったこと WSETレベル3を受講した良かったことは、ワインを英語で学んで、資格試験にも合格をしたことで、英語の環境でも臆せずワインについて話ができるようになっ...

WSETレベル3で一発合格できたテイスティング対策

WSETレベル3 の試験には、筆記試験に加えて、 テースティング試験 が含まれます。 WSETのテースティングでは、 SATという名のテイスティング・ツール を用いて、ワインの描写と品質・飲み頃に関する評価を行います。本試験においても、このSATに則って、出題される2種類のワイン(通常、赤ワイン1種と白ワイン1種)についての評価を回答用紙に記述します。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング回答のルール ) 一般的に、 WSETレベル3のテースティング試験は筆記試験に比べて合格をしやすい と言われています。しかしそれでも、試験をパスするためにはある程度の学習と練習が必要だと思います。 WSETレベル3のテイスティング対策を行うにあたって、私が感じたのは、どのように準備をしたら良いのかという情報がJSA試験ほどに豊富には手に入らないということでした。 そこで、この記事では私がテイスティング試験に向けて行った準備を紹介したいと思います。一度の試験で合格ができたので、それなりの効果はあったのだと思っています。 試験突破のカギは「SATの理解」と「品質評価」 テイスティング試験対策に取り組む中で、私が最も重要だと思い、時間を割いたのは、「 SATの記述ルールを理解すること 」と「 ワインの品質レベルを正確にとらえる 」ことでした。 テイスティング試験の合格基準は「55%」の得点率なので、この2つさえできていれば、まず落ちることはないと思いました。 反対にこの2つのいずれかが欠けていると、大きく減点をされてしまう可能性があります。例えば、SATでは、「テイスティングの記述に用いる用語」と「評価をすべき項目」がしっかりと決まっています。間違った用語を用いたり、評価すべき項目が記述されていなければ、全く得点は得られません。用語や評価項目以外にも、いくつか記述のルールが存在するので、ワークブックをしっかり読んで全てを把握しておくことが必須です。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング試験でやりがちな失敗トップ10 ) (参考記事: WSET SATのちょっとわかりにくかった香りと風味の選択・記述ルール ) ルールに関してはJSAのテイスティングのルールとは少し異なると思われる部分もあったので要注意です。 ...

パロ・コルタド・シェリーとは?アモンティリャードとオロロソとの製法の違いを調べてみた

JSA試験、WSET試験を通して酒精強化ワインであるシェリー(Sherry)を学んできましたが、ずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、「 パロ・コルタド・シェリーとは何なのか? 」です。 シェリーとは、スペイン・アンダルシア州カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺地域で生産される酒精強化ワインのことで、ポート・ワイン(ポルトガル)、マデイラ・ワイン(ポルトガル)とともに、著名な酒精強化ワインと言われています。 シェリーには、フィノ(Fino)/マンサ二ーリャ(Manzanilla)、オロロソ(Oloroso)、アモンティリャード(Almontillado)、 パロ・コルタド(Palo Cortado) 、ペドロヒメネス(Pedro Ximenez)など様々な種類があります。 しかし、JSA、WSETどちらのテキストにおいても、 パロ・コルタド に関する記述 はとても少なく、製法に関する記述もなく、漠然とその特徴が書かれているだけでした。 その特徴は、 ・希少であること ・アモンティリャード(Amontillado)の香りを持つが、味はオロロソ(Oloroso)のボディとこくを持つ という2点だけです。 ずっと疑問に思っていたことを解決すべく、製法を中心にパロ・コルタドについて調べてみました。 参考にしたのは、次のサイトです: https://www.sherrynotes.com/sherry-types/palo-cortado/ https://www.sherrynotes.com/2015/background/palo-cortado-mystery/ まずは、パロ・コルタドの発祥から。パロ・コルタドは、もともとフィノとしては不適合として除外された樽からできたそうです。 <パロ・コルタドの発祥> ------------------------------------------------------------------------ ・パロ・コルタドは、もともとフィノ(Fino)の製造から偶然生まれたワインと言われている。 ・フィノシェリーでは、樽での熟成中にフロールと呼ばれる産膜酵母が発生し、フロールのもとで熟成される。しかし、フィノ樽の中には...

ワインの原産地統制名称 - AOC、AOP、PDOのざっくり整理

私がワインの勉強を始めた時に最初に行き詰ってしまったのが、AOC, AOP, PDO, PGI, IGTなどの3文字アルファベットです。 フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ドイツ... と勉強を進めるにつれて、次々とあらたなアルファベットと、ピラミッドが登場します。 必死でそれらを丸暗記してワインエキスパートの試験に臨んだのですが、結局はあまり深い理解が得られないままに、試験の合格と共にワインの勉強を終えてしまいました。 当時は完全に、覚えるべき3文字アルファベットの多さに圧倒されて、その森の中に迷い込んでしまっていました。 今、改めて振り返ってみて、3文字アルファベット(つまり、ワイン法の品質分類)は、すごく平たく言うとこういうことだったのではないかと思っています。その理解を、下に簡単にまとめてみました。個人的な理解なので、完全に正しいかどうかはわかりません。 以下、スライドの説明です。 【ワインの分類】について すごく大雑把に言うと、ワインには「産地名が保護されているワイン」と、そうでないワインがあります。 「産地名が保護されているワイン」とは、例えば、「ブルゴーニュ」ワイン。ブルゴーニュのブドウを使ってなかったり、ブルゴーニュで造られてないワインには、ボトルのラベルに「ブルゴーニュ」という名前を使ってはいけないということです。 さらに、EU圏内の場合、「産地名が保護されているワイン」の中には「産地名が厳しく保護されているワイン」があります。 「厳しく」というのは、ブドウ品種や、ブドウの収穫量、醸造方法、熟成期間などに関する基準を指します。つまり、決められた作り方をしたワインでなければ、その産地名をラベルに表記してはいけないということです。 例えば、シャンパーニュ地方のブドウを使い、そこで醸造をしたワインであっても、シャンパーニュ製法で作られていなければ、「シャンパーニュ」とラベルに表記ができないということです。 【ワイン分類の名称】について 上で説明をしたワインのうち、産地名が保護されているワインは、それぞれの分類(品質分類)の名前がついています。 厳しく産地名が保護されたワイン=PDO 産地名が保護されたワイン=PGI EU圏外で産地が保護されたワイン=GI 【EU各国での名称の違い】について PDOやPGIという名称は、EUが近年(2008年)新た...

ナパヴァレーAVA(カリフォルニア)の覚え方を正攻法で考える

 ワイン学習において、ナパヴァレーAVAの暗記は難関だと思います。 いままで語呂合わせによる覚え方などを考えてきましたが、今回は正攻法による覚え方を考えてみたいと思います。 まず、ナパヴァレーの位置ですが、ナパ郡の西部の広い範囲に位置しています。そして、ソノマ郡とソラノ郡に挟まれたやや内陸に位置しています。 東西を、ヴァカ山脈とマヤカマス山脈に挟まれているために、東のセントラルヴァレーからの暖かい空気や、太平洋からの冷たい空気から守られています。 しかし南部はサン・パブロ湾に面しているために、ここからの冷たい海風や霧の影響を受けています。また、北部の一部も山脈が少しだけ途切れているために、ソノマ郡からやってくる涼しい空気の影響もやや受けます。 さて、ここから本題のナパヴァレーのAVAに関してです。 ナパヴァレーには、この地域全体をカバーするNapa Valley AVAと、その中に16の小地域のAVAが含まれています。覚えるのが難しいAVAは、この16の小地域のAVAです。 主だったAVAは、下の図のように、山の斜面と、谷底の川の近くに、南北に並んでいます。 数あるものを覚えるための1つの方法としては、それぞれの要素をグルーピングすることだと思います。 そこで、これらのAVAを、まずは山の斜面にあるもの(緑色)と、谷間にあるもの(無色)に分けてみたいと思います。 緑色のAVAではほとんどの畑が霧の冷涼効果を受けないフォグライン(Fog line)よりも高い標高に位置しています。一方で、無色のAVAの畑は霧の影響を受けるフォグラインよりも標高の低い場所に位置しています。 そして、次にサン・パブロ湾からの冷たい風と霧の影響を受ける度合によって、谷間のAVAを3つのグループに分けようと思います。南に位置するAVAほどその影響は大きく、北に位置するAVAほどその影響は小さくなります。 下図の青い地域は湾からの影響を大きく受け涼しい地域であり、赤い地域は湾からの影響はほとんどなく暖かい地域です。そして黄色はその中間くらいです。 谷間の南部のAVA まずは、谷間のAVAのうち、もっともサン・パブロ湾に近い地域にある3つのAVAです。 ・ロス・カーネロス(Los Carneros) ・クームズヴィル(Coombsville) ・オーク・ノール・ディストリクト(Oak Kn...