お酒を飲む人の中でも、ワインが苦手と言う人の話はよく聞きます。なぜ、ワインが苦手になってしまうのかを、これまでの個人的な経験をもとに考察してみました。
ある調査によれば、ワインの味が苦手な人の主な理由は、ワインの「酸っぱさ」と「苦み」にあるそうです。
私もその意見に共感します。かつて、私にとってもワインは決して好きなお酒ではありませんでした。
ビールやサワー、焼酎をある飲んだ後に、気分を変えてワインを飲むことはあったのですが、決して好んで最初に選ぶお酒ではありませんでした。
その頃は、酸味や苦みが強調されているような気がして、ワインのどこにおいしさを感じてよいのかがよくわかりませんでした。
今ではワインを美味しいと感じられるようになりましたが、過去の経験を振り返ると、ワインが苦手だと思ってしまうのには次のような理由があるのではないかと思います。
ワインが美味しくないと感じる理由
ワインが苦手に感じる理由の1つとしては、まずは「ワインの味に慣れていない」ことがあると思います。ワインが持つ「酸味」や「苦み」は決して口当たりの良い味ではないと思います。ビールの苦みが美味しいと感じるまでに時間がかかるように、ワインの味に慣れるのにも一定の時間がかかると思います。
しかし、個人的にはもう1つ大きな理由があると思います。それは「飲んでいるワインが本当においしくない」ということです。
ワインを学んでいると、ワインについてネガティブな表現をしてはいけないということをよく言われますが、それでも実際に美味しくないワインはあると思います。そんなワインの特徴は、酸味や苦み、またはアルコールだけが強調されているということです。
美味しいワインの特徴は?
ワインは基本的に、「果実味」と「骨格(酸味+タンニン)」、「アルコール」のバランスを楽しむお酒だと思います。
「果実味」は口当たりが良く、受け入れられやすい味の要素である一方で、「酸味」や「タンニン」、「アルコール」はそれ単体だけだと不快な口当たりを与え、受け入れられにくい要素です。タンニンやアルコールは苦みを感じる要素ともなります。
酸味やタンニン、アルコールは、料理におけるスパイスに似ていると思います。たとえば、唐辛子はそれだけを食べると苦痛に感じますが、それ自体にしっかりとした旨味を持った料理に加えると良いアクセントとなってくれます。
果実味と、酸味+タンニン+アルコールのバランスが取れて初めて美味しいワインの味になります。
果実味が豊富なワインは、また、香りや味に深みを与え、果実味が決して酸味やタンニン、アルコールに打ち消されることはありません。
私はワインの学習を通して、いくつかこのようなワインに出会ってきました。そこで初めて、美味しいワインがあることを知りました。
おいしくないワインの特徴は?
一方で、おいしくないワインでは、味のバランスが崩れています。このようなワインでは、単体で受け入れられにくい「酸味」、「タンニン」、「アルコール」などの要素と比較して、「果実味」が圧倒的に足りていません。
果実味が足りないワインはよく工業的に大量生産されるワインに見られます。このようなワインに使われるブドウの多くは、ブドウの成熟度を高めるための手間暇や、費用の掛かる栽培手法がとられず、果実は高い凝縮度を持ちません。
そのために、このような果実から造ったワインには果実味が不足してしまうわけです。
加えて、十分に成熟をしていないブドウには、過度な酸味や、未成熟なタンニンが含まれます。また、大量生産ワインに使われるブドウの収穫は機械収穫で行われ、果実の十分な選別も行われないために、未熟な果実や健康でない果実がそのまワイン醸造に使われます。
結果として、ワインには過剰な酸味や、未成熟なタンニンの苦み、未成熟な果実からの不快な青い香りや、不純物に由来する雑味が余計に加えられてしまいます。
私の経験では、このようなバランスの崩れた、もしくはバランスが十分でないワインは、ワインのこだわりのないカジュアルレストランや居酒屋でよく出会います。大量生産ワインは価格がリーズナブルなので、仕入れ値をおさえるためにこのようなワインが選ばれているのかもしれません。
しかし、このようなワインでもメニューに並ぶときにはそれほど安価なワインには見えません。なぜなら、飲食店で販売されるワインには店側の一定の利幅が含まれているからです。居酒屋・バーやレストランにおけるワインの価格は、仕入れ価格の3倍にもなる場合もあると言われています。
実際に、あるイタリアン・カジュアルレストランのワインのボトルの価格を調べてみたことがあるのですが、同じワインボトル1本の価格が、ネットショップの2倍以上の価格で売られていました。グラスワインの場合には、もっと大きな利幅が加えられているかもしれません。
したがって、居酒屋・バーやレストランで、美味しいワインを味わおうとそれなりの価格のワインを選んだとしても、実際は低価格層の品質のあまり高くないワインであることもあるわけです。
さらに、ワインの味に飲みなれないうちに、このような品質の低い、バランスの崩れたワインに出会ってしまったら最悪です。ワインは酸っぱくて、苦いだけのお酒であると、深く記憶に刻まれてしまいます。そして、全てのワインの味がそのようなもであると錯覚をしてしまいます。
個人的には、実際にそのような流れでワインを好きでなくなる人は、それほど少なくないのではないかと思っています。
ワインを美味しいと感じるためには?
これまで書きてきたように、ワインをおいしいと感じない理由は「ワインの味に慣れていないこと」と「おいしくないワインを飲んでいる」ということでした。
この内容を踏まえると、ワインを美味しいと感じる方法は、「ワインの味に慣れるまで美味しいと感じるワインを飲むこと」だと思います。
繰り返しになりますが、美味しいと感じるワインの特徴は、「酸味」や「タンニン」、「アルコール」と釣り合うような十分な「果実味」を持つワインです。しかしある程度のワインに関する知識がないと、どのようなワインが果実味に富んでいるのか分かりません。
そこで私が最も簡単だと思うのは、心地よい味わいを与えてくれる「甘味」を持ったワインを選ぶことです。「甘味」は「果実味」と同様に、「酸味」や「タンニン」、「アルコール」と釣り合う成分です。
さらに、初心者にとっては不快な要素を減らすために、「タンニン」をなくして、「アルコール度」を低めにするのもおすすめです。するとこのようなワインは、主に「果実味・甘味」と「酸味」のバランスを楽しむ甘酸っぱい軽めのワインとなります。
甘酸っぱい軽いワインの例は?
甘酸っぱい軽めのワインの例は、主に「涼しい地域の甘口~中甘口の白ワイン」です。涼しい地域に栽培されるブドウには酸味が多く含まれ、アルコールのもとになる糖分が過剰に生成されないからです。
例えば、「ドイツの甘口(中甘口)リースリング」、「イタリアのアスティ」、「ロワールの甘口(中甘口)シュナンブラン(ヴーヴレなど)」です。
それぞれ比較的手ごろな価格から手に入るのも魅力出来です。また、これらのワインには「スティルワイン(非発泡ワイン)」と「スパークリングワイン」の両方があるので、どちらでも好みの方を選べることも魅力です。
少し値段は張りますが、「甘口のシャンパーニュ」も甘酸っぱい軽い味わいを楽しむことのできるワインだと思います。
また、徐々にタンニンを楽しみたい場合には、「ロワールの中甘口のロゼワイン(ロゼ・ダンジュ 、カベルネ・ダンジュ )」やイタリアの赤ワインスパークリングワイン「ランブルスコの甘口(中甘口)」も比較的、ワイン初心者にも飲みやすいワインだと思います。