マスト(ブドウ果汁や果肉、果皮などの混合物)の発酵温度によって出来上がるワインにどのような特徴の違いが出るのかをまとめてみました。 まず発酵温度についてですが、白ワインと赤ワインでは、低温、高温と言われる発酵温度は異なります。 一般に、白ワインの方が赤ワインに比べて低い温度で発酵されます。 低温での発酵の特徴 <続く>
特定の香りを感じ取る力には個人差があるようです。
なので、人にはそれぞれ感じ取るのが得意な香りと、苦手な香りがあると思います。
私の場合、感じ取るのが得意なのはMLF(マロラクティック発酵)由来による乳製品の香りです。
MLFの割合の少ないスタンダードなシャブリでも、比較的、乳製品の香りを感じることができると自負しています。
反対に、感じ取るのが苦手なのは、シラーが持つと言われる「黒コショウ」の香りです。
長らくワインのテイスティングトレーニングをやってきましたが、いまだにブラインドテイスティングでシラーを当てる自信は全くありません。
正攻法でシラーワインのテイスティングをひたすら行って「黒コショウ」の香りを探すという方法に限界を感じて、新たな方法をためしてみることにしてみました。
それは、次の写真のように、シラーのワインと、本物の黒コショウを用意して、交互に香りの共通点を探すという方法です。
そもそも「黒コショウ」の香りのもととなるのは「ロタンドン」という名の化学物質です。
間違いなく、シラーワインと黒コショウの両者にこの物質が含まれているはずです。
念のため、このワインが「コショウ」の香りを持っていることを確かめるために、メーカーのウェブサイトでテースティングノートも確認しておきます。
”Nose: intense, fruity (blackcurrant/ raspberry) and complemented by notes of white pepper.”
「白コショウ」と書かれていますが、基本的には「黒コショウ」と香りの由来は同じです(白コショウは黒コショウの皮をむいたもの)。
テーブルのわきに2つのグラスを置いておいて、他のことをしながら時々思い出したように香りを取るだけなので、非常に楽な練習です。
例え、香りの共通点が見いだせなかったとしても、脳内で、この種のワインの香りと黒コショウの香りを結びつけることができれば十分成功だと思いながら続けています。
果実の香りあとに、余韻のようにやってくるスーッと抜ける香り。スーッと抜けるとは言っても、ハーブやピーマンとは異なる青さを持たない香り。これが、コショウの香りなのではないかと推測しています。
テイスティング用に比較的安い価格のコート・デュ・ローヌを用いている理由は、コショウの香りを覆い隠してしまう可能性のある樽の香りを避けるためです。クリュレベルのローヌワインや、オーストラリアのシラーズワインなどは醸造・熟成工程で樽が使われていることが多いので避けました。(実際にバロッサヴァレー(豪)のシラーズで試してみましたが、スパイシーな香りが品種由来のコショウの香りなのか、樽由来のヴァニラやナツメグの香りなのか、判別できませんでした)
今回用いたワイン: Cotes Du Rhone Rouge Belleruche M.chaptier (375 ml)