私がワインの勉強を始めた時に最初に行き詰ってしまったのが、AOC, AOP, PDO, PGI, IGTなどの3文字アルファベットです。
フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ドイツ... と勉強を進めるにつれて、次々とあらたなアルファベットと、ピラミッドが登場します。
必死でそれらを丸暗記してワインエキスパートの試験に臨んだのですが、結局はあまり深い理解が得られないままに、試験の合格と共にワインの勉強を終えてしまいました。
当時は完全に、覚えるべき3文字アルファベットの多さに圧倒されて、その森の中に迷い込んでしまっていました。
今、改めて振り返ってみて、3文字アルファベット(つまり、ワイン法の品質分類)は、すごく平たく言うとこういうことだったのではないかと思っています。その理解を、下に簡単にまとめてみました。個人的な理解なので、完全に正しいかどうかはわかりません。
以下、スライドの説明です。
【ワインの分類】について
すごく大雑把に言うと、ワインには「産地名が保護されているワイン」と、そうでないワインがあります。
「産地名が保護されているワイン」とは、例えば、「ブルゴーニュ」ワイン。ブルゴーニュのブドウを使ってなかったり、ブルゴーニュで造られてないワインには、ボトルのラベルに「ブルゴーニュ」という名前を使ってはいけないということです。
さらに、EU圏内の場合、「産地名が保護されているワイン」の中には「産地名が厳しく保護されているワイン」があります。
「厳しく」というのは、ブドウ品種や、ブドウの収穫量、醸造方法、熟成期間などに関する基準を指します。つまり、決められた作り方をしたワインでなければ、その産地名をラベルに表記してはいけないということです。
例えば、シャンパーニュ地方のブドウを使い、そこで醸造をしたワインであっても、シャンパーニュ製法で作られていなければ、「シャンパーニュ」とラベルに表記ができないということです。
【ワイン分類の名称】について
上で説明をしたワインのうち、産地名が保護されているワインは、それぞれの分類(品質分類)の名前がついています。
厳しく産地名が保護されたワイン=PDO
産地名が保護されたワイン=PGI
EU圏外で産地が保護されたワイン=GI
【EU各国での名称の違い】について
PDOやPGIという名称は、EUが近年(2008年)新たに導入をした名称です。
PDOはProtected Designation of Originの略で、日本語では「原産地呼称保護」、フランス語だとAppellation d'Origine Contrôlée(=AOP)です。
PGIはProtected Geographical Indicationの略で、日本語では「地理的表示保護」、フランス語ではIndication géographique protégée (=IGP)です。
各国には、PDOやPGIのコンセプトを持ったワインがありましたが、各国それぞれ別の名称で管理をされていました。例えば、フランスでは、それがAOCやIGPにあたります。AOCは、EUの統一基準の名称に合わせてAOPという名称なりましたが、どうやらAOCという名称も、いまだ使われているようです。
ワインラベルは、ワインがどの分類に属するのかを明示することになっているのですが、各国では新たな基準のPDOやPGIという名称よりも、各国独自の名称が好まれて使われているそうなのです。
そのため、ワイン試験では、各国ごとに異なるアルファベット名を覚えなければならないのだと思います。
自分なりの理解をまとめてみましたが、所々、理解が正確でない部分もあると思いますので、気が付いた段階で修正をしていきたいと思います。
(関連記事:EU各国とその他の国々のワインの品質分類の整理)