チリのワイン産地は南北に長く広がりますが、地形的な特徴の影響を受けるために、実は南北よりも東西にかけて、気候や土壌の多様性が非常に高いと言われています。 従来の原産地呼称では、この東西にかけてのワインスタイルの特徴の違いが十分に表現されていませんでしたが、2011年から、この問題を解決するための新たな付加的な原産地呼称が加えられました。 それが、「コスタ(Costa)」、「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」、「アンデス(Andes)」の3つです。 これは従来の原産地呼称に付加的に加えられるもので、例えば「Aconcagua」で造られたワインに対して、「Aconcagua Costa」、「Aconcagua Entre Cordilleras」、「Aconcagua Andes」のようにラベルに表記されるようです。 上図のように、「コスタ」は海の影響を受ける地域、「アンデス」はアンデス山脈の影響を受ける地域、そして「エントレ・コルディリェラス」はその間の地域を表します。 この新たな原産地呼称の仕組み自体はシンプルなのですが、それぞれの名前、特に「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」を覚えるのが厄介です。 そこで、これを覚えるための語呂合わせを考えてみました。 エントレ・コルディリェラスは少し苦しいですが、英語のスペルも覚えられるように、それに合わせた語呂合わせにしてみました。 <了>
ブドウ樹は、その土地に合わせて様々な形をしています。このブドウ樹の形は「仕立て」と呼ばれ、休眠期の剪定によって整えられます。
例えば、ボルドーやブルゴーニュでは針金と柱を用いて枝を地面と垂直方向に伸ばす「垣根仕立て」が多く採用されています。
一方で日本では、ブドウや葉を棚の天面に広げる棚仕立て(Pergola ペルゴラ)が多く採用されています。
このような仕立てや選定は、気温、日照、水、土壌の栄養分などのブドウ樹が必要とする要素や、ブドウ畑の機械の使用などを考慮して、そのブドウ畑に最適なものが選ばれます。
WSETレベル3では、この「仕立て」、「剪定」について比較的しっかりと学ぶのですが、ブドウ畑に馴染みのない私にとっては少し理解が難しい部分でした。
特に私が混乱してしまったのは、「仕立て(training)」と「剪定(pruning)」の違いでした。両者はお互いに深い関係があり、テキストの説明だけでは直感的にわかりにくかったので、個人的に図などを利用してまとめてみました。
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<仕立てと剪定の違い>
WSETテキストによれば「仕立て」と「剪定」は次のように説明されています。
「ブドウ樹の整枝・仕立てとは一般に株の形状のことをいい、大きく分けて、株仕立てとコルドン仕立ての二つに分類できる。」(株…ブドウ樹で一年以上経っている木質部のこと)
「剪定とは、冬または生育期間中に、望ましくない葉や長梢、株を除去することである。剪定によって樹の形が決まり、大きさが制限される。」
つまり、仕立てとは「ブドウ樹の形」を意味し、剪定とはその「ブドウ樹の形をつくるための作業」ということになります。
<仕立てと剪定の種類>
「仕立て」は株(一年以上経っている木質部)の形によって大きく「株仕立て(head training)」と「コルドン仕立て(cordon training)」の二つに分類ができるようです。
「株仕立て」は株の部分が比較的小さいのに対して、「コルドン仕立て」はコルドンと呼ばれる腕枝があるのが特徴です。コルドンは通常1~2本ですが、4本以上のコルドンを持つ「大木仕立て(big vine)」と呼ばれるものもあるようです。
「剪定」は冬と夏に毎年行われますが、仕立てに大きな影響を及ぼすのは冬剪定です。冬剪定には、「短梢剪定(spur pruning)」と「長梢更新剪定(replacement cane pruning)」の二つのスタイルがあります。この2つのスタイルは、次の育成期に新梢となる芽を熟梢(去年の新梢)にいくつ残すかによって分けられています。
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<仕立てと剪定の具体例>
「仕立て」と「剪定」の間にはとても密接な関係があります。
同じ「株仕立て(head training)」のブドウ樹でも、「短梢剪定(spur pruning)」と「長梢更新剪定(replacement cane pruning)」ではブドウ畑の見た目やブドウ樹の管理のされ方は大きく異なります。
例えば下図の「株仕立て、長梢更新剪定(Head-trained, replacement cane-pruned)」と「コルドン仕立て、短梢剪定(Cordon-trained, spur-pruned)」は、どちらも針金と支柱を用いて棚付けをして、新梢を垂直方向に伸ばす「垣根仕立て(VSP)」を適用できます。しかし、「株仕立て、短梢剪定(Head-trained, spur-pruned)」ではあまり棚付けは行われないようです。
このように、「仕立て」のタイプと「剪定」のタイプの組み合わせによって、ブドウ樹の管理の流れには違いがあります(下図)。