タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>
「 Foudre(フードル)」は、大きな木製の大桶(大樽)のことで、一般的なオーク樽よりもかなり大きく、多くの場合、1,000 リットル以上のワインを入れることができます。
フードル(Foudre)を含めたオーク樽は、ワインの発酵や熟成に用いられます。オーク樽でワインを発酵・熟成するメリットは、緩やかな酸素との接触によりワインをまろやかにできることや、ワインにオークの香りづけができることだと言われています。
例えば、多くの製造者がステンレスタンクを使って1次発酵をしているシャンパーニュにおいても、質感や口当たりの良さを増すために、フードル(Foudre)を利用する製造が増えているようです。
このよう樽による発酵・熟成の効果の程度はオーク樽のサイズによって変わるのですが、小さい樽ではその影響が大きく、大きな樽ではその影響が小さいと言われます。なぜなら、小さい樽ではワインが樽の表面と接触する面積が大きい反面、大きな樽では接触面が小さいからです。
よく小樽の例として、ボルドーで用いられる225リットルの「Barrique(バリック)」があげられますが、この樽で発酵・熟成をしたワインには樽による大きな影響が現れると言われます。
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しかし、近年は、強すぎる樽の香りのワインはあまり好まれない傾向があるため、従来は「Barrique(バリック)」のような小樽で発酵や熟成をしていた製造者の中にも、「 Foudre(フードル)」のような大樽での発酵・熟成に切り替えるところも増えているようです。