チリのワイン産地は南北に長く広がりますが、地形的な特徴の影響を受けるために、実は南北よりも東西にかけて、気候や土壌の多様性が非常に高いと言われています。 従来の原産地呼称では、この東西にかけてのワインスタイルの特徴の違いが十分に表現されていませんでしたが、2011年から、この問題を解決するための新たな付加的な原産地呼称が加えられました。 それが、「コスタ(Costa)」、「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」、「アンデス(Andes)」の3つです。 これは従来の原産地呼称に付加的に加えられるもので、例えば「Aconcagua」で造られたワインに対して、「Aconcagua Costa」、「Aconcagua Entre Cordilleras」、「Aconcagua Andes」のようにラベルに表記されるようです。 上図のように、「コスタ」は海の影響を受ける地域、「アンデス」はアンデス山脈の影響を受ける地域、そして「エントレ・コルディリェラス」はその間の地域を表します。 この新たな原産地呼称の仕組み自体はシンプルなのですが、それぞれの名前、特に「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」を覚えるのが厄介です。 そこで、これを覚えるための語呂合わせを考えてみました。 エントレ・コルディリェラスは少し苦しいですが、英語のスペルも覚えられるように、それに合わせた語呂合わせにしてみました。 <了>
南オーストラリア州には、いくつかの有名なワイン産地があります。これらはオーストラリアのワイン法で、地区(Region)と呼ばれるレベルのものです。(ZONE > Region > Sub-region)
広大な南オーストラリア州のうち、ワインの主要産地は南端のごく一部です。
各地区はそれぞれ独特の気候を持ち、その気候にあったブドウ品種が栽培されています。
この記事では、それぞれの地区が持つ気候の特徴と、栽培されている品種をまとめて行きたいと思います。
まず、南オーストラリア州のサイズ感ですが、下の地図をみるとよくわかります。
しかし、主要なワイン産地のうち、北端のクレアヴァレーから、南端近くのクナワラまで約500kmあり、ここに東京ー大阪間がすっぽりと収まってしまいます。
いかに広大な土地に広がっているかがよくわかります。
では、ここから主要産地の場所と、気候特徴、主要品種を見ていきたいと思います。
一気に箇条書きにまとめてみました。
① クレア・ヴァレー(Region; 地区)
- 温暖な気候
- 冷涼な風と夜間の気温の低下による緩和効果がある
- 昼夜の気温差によって、果実の成熟が遅くなり、酸味が保持される
- 尾根/丘と谷が連続しており、
- ⇒ 標高の高い地域で、リースリングなどが栽培さる
- ⇒ 標高の低い地域で、シラーズやカベルネソーヴィニヨンが栽培される
② リヴァーランド(Region; 地区)
- 暑い大陸性気候(川や海からの若干の冷却効果あり)
- グレートディヴァイディング山脈の影響で雨が少ない
- ⇒ 大量収穫の健康的なブドウ栽培に理想的な環境
- ⇒ 低価格、大量生産ワインが製造される(GIサウス・イースタン・オーストラリアなど)
③ クナワラ(Region; 地区)
- 温和なボルドーに似た気候
- 海風と雲による気温の緩和効果あり
- テラロッサ土壌(水はけがよく、水と影響の摂取を制限する土壌)
- ⇒ 樹勢が制限され、果実の凝縮度が増す
- ⇒ カベルネソーヴィニヨン、シラーズ、シャルドネ、リースリングが栽培されている
④バロッサ・ヴァレー(Region; 地区)
- 温暖な気候(夏は暑いが、夜は涼しい)
- ほとんどの畑は平野にある
- ⇒ フルボディの赤ワインに適した環境
- ⇒ シラーズ、カベルネソーヴィニヨンが主に栽培される
- ⇒ フルボディのシャルドネやセミヨンも造られる
⑤イーデン・ヴァレー(Region; 地区)
- なだらかな丘陵地帯(ロフティ山系の一部)で、バロッサヴァレーよりも標高が高く、より涼しい気候
- ⇒ リースリングが最も多く栽培される
- ⇒ シラーズは、バロッサヴァレーよりも酸味が高く、タンニンに骨格があり、アルコールが低い
⑥マクラーレン・ヴェール(Region; 地区)
- 温暖~暑い夏
- 気温は湾やアデレードヒルズからの風で緩和される
- ⇒ 黒ブドウが収穫の90%を占めている
- ⇒ シラーズ、カベルネソーヴィニヨン、グルナッシュの栽培が多い
⑦アデレード・ヒルズ(Region; 地区)
- 冷涼~温和な海洋性気候
- 標高による冷涼効果
- ⇒ 比較的涼しいために、ソーヴィニヨンブラン、シャルドネ、ピノノワールが多く植えられる
- ⇒ 昼夜の気温差のために酸味が保持される