ボルドーワインについて語られるときに、 「右岸(のワイン)」 と 「左岸(のワイン)」 という言葉が用いられます。 「右岸」とは、ジロンド川とその支流のドルドーニュ川の東岸のエリア 、そして、 「左岸」とは、ジロンド川とその支流のガロンヌ川の西岸のエリア を指します。 ワインの世界ではボルドー以外でも「右岸」、「左岸」という言葉が用いられますが、基本的には川の上流を視点に川の右側、左側が決められています。 ちなみに、どちらにも当てはまらないドルドーニュ川とガロンヌ川にはさまれた地域は、「アントル・ドゥー・メール地区」(2つの海の間という意味)と呼ばれています。 「右岸」と「左岸」で異なるワインのスタイル 一般にボルドーの 「右岸」と「左岸」では、そのワインのスタイルが異なる と言われています。ボルドーのワイン生産量のほとんどは赤ワインであるために、右岸のワイン、左岸のワインという言葉が使われるときの多くは赤ワインのことを指しています。 スタイルの違いの主な理由は、それぞれのワインで使われる ブドウ品種の違い にあると言われています。 右岸のワイン で最も多く利用されるブドウ品種は 「メルロ」 であり、それに 「カベルネ・フラン」 などの品種がブレンドされます。 左岸のワイン で比較的多く利用されるブドウ品種は 「カベルネ・ソーヴィニヨン」 であり、多くの場合それに 「メルロ」 がブレンドされています。 同じボルドーという名の地域にありながら、右岸、左岸で栽培されているブドウ品種が異なる理由は、主に土壌の違いと言われています。 「右岸」の土壌は主に粘土質土壌 です。粘土質土壌は水分を多く含むため、日中の温度が上がりにくいことが特徴です。そのため、果実の成熟に一定の暖かさが必要なカベルネ・ソーヴィニヨンは右岸の粘土質土壌での栽培が難しく、比較的、涼しい環境でも栽培のしやすい メルロ や カベルネ・フラン が多く栽培されています。 一方で、 「左岸」の土壌は砂利や小石を多く含む土壌 であり、排水性が良く、日中の気温が上がりやすいことが特徴です。そのため「左岸」の地域では、栽培に一定の暖かさが必要な カベルネ・ソーヴィニヨン が比較的多く栽培されていると言われています。 「右岸」と「左岸」ではこのようなワインに使われるブドウ品種の違いがあるわけですが、 この違いが最も顕著
南オーストラリア州には、いくつかの有名なワイン産地があります。これらはオーストラリアのワイン法で、地区(Region)と呼ばれるレベルのものです。(ZONE > Region > Sub-region)
広大な南オーストラリア州のうち、ワインの主要産地は南端のごく一部です。
各地区はそれぞれ独特の気候を持ち、その気候にあったブドウ品種が栽培されています。
この記事では、それぞれの地区が持つ気候の特徴と、栽培されている品種をまとめて行きたいと思います。
まず、南オーストラリア州のサイズ感ですが、下の地図をみるとよくわかります。
しかし、主要なワイン産地のうち、北端のクレアヴァレーから、南端近くのクナワラまで約500kmあり、ここに東京ー大阪間がすっぽりと収まってしまいます。
いかに広大な土地に広がっているかがよくわかります。
では、ここから主要産地の場所と、気候特徴、主要品種を見ていきたいと思います。
一気に箇条書きにまとめてみました。
① クレア・ヴァレー(Region; 地区)
- 温暖な気候
- 冷涼な風と夜間の気温の低下による緩和効果がある
- 昼夜の気温差によって、果実の成熟が遅くなり、酸味が保持される
- 尾根/丘と谷が連続しており、
- ⇒ 標高の高い地域で、リースリングなどが栽培さる
- ⇒ 標高の低い地域で、シラーズやカベルネソーヴィニヨンが栽培される
② リヴァーランド(Region; 地区)
- 暑い大陸性気候(川や海からの若干の冷却効果あり)
- グレートディヴァイディング山脈の影響で雨が少ない
- ⇒ 大量収穫の健康的なブドウ栽培に理想的な環境
- ⇒ 低価格、大量生産ワインが製造される(GIサウス・イースタン・オーストラリアなど)
③ クナワラ(Region; 地区)
- 温和なボルドーに似た気候
- 海風と雲による気温の緩和効果あり
- テラロッサ土壌(水はけがよく、水と影響の摂取を制限する土壌)
- ⇒ 樹勢が制限され、果実の凝縮度が増す
- ⇒ カベルネソーヴィニヨン、シラーズ、シャルドネ、リースリングが栽培されている
④バロッサ・ヴァレー(Region; 地区)
- 温暖な気候(夏は暑いが、夜は涼しい)
- ほとんどの畑は平野にある
- ⇒ フルボディの赤ワインに適した環境
- ⇒ シラーズ、カベルネソーヴィニヨンが主に栽培される
- ⇒ フルボディのシャルドネやセミヨンも造られる
⑤イーデン・ヴァレー(Region; 地区)
- なだらかな丘陵地帯(ロフティ山系の一部)で、バロッサヴァレーよりも標高が高く、より涼しい気候
- ⇒ リースリングが最も多く栽培される
- ⇒ シラーズは、バロッサヴァレーよりも酸味が高く、タンニンに骨格があり、アルコールが低い
⑥マクラーレン・ヴェール(Region; 地区)
- 温暖~暑い夏
- 気温は湾やアデレードヒルズからの風で緩和される
- ⇒ 黒ブドウが収穫の90%を占めている
- ⇒ シラーズ、カベルネソーヴィニヨン、グルナッシュの栽培が多い
⑦アデレード・ヒルズ(Region; 地区)
- 冷涼~温和な海洋性気候
- 標高による冷涼効果
- ⇒ 比較的涼しいために、ソーヴィニヨンブラン、シャルドネ、ピノノワールが多く植えられる
- ⇒ 昼夜の気温差のために酸味が保持される