チリのワイン産地は南北に長く広がりますが、地形的な特徴の影響を受けるために、実は南北よりも東西にかけて、気候や土壌の多様性が非常に高いと言われています。 従来の原産地呼称では、この東西にかけてのワインスタイルの特徴の違いが十分に表現されていませんでしたが、2011年から、この問題を解決するための新たな付加的な原産地呼称が加えられました。 それが、「コスタ(Costa)」、「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」、「アンデス(Andes)」の3つです。 これは従来の原産地呼称に付加的に加えられるもので、例えば「Aconcagua」で造られたワインに対して、「Aconcagua Costa」、「Aconcagua Entre Cordilleras」、「Aconcagua Andes」のようにラベルに表記されるようです。 上図のように、「コスタ」は海の影響を受ける地域、「アンデス」はアンデス山脈の影響を受ける地域、そして「エントレ・コルディリェラス」はその間の地域を表します。 この新たな原産地呼称の仕組み自体はシンプルなのですが、それぞれの名前、特に「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」を覚えるのが厄介です。 そこで、これを覚えるための語呂合わせを考えてみました。 エントレ・コルディリェラスは少し苦しいですが、英語のスペルも覚えられるように、それに合わせた語呂合わせにしてみました。 <了>
いままで個人的に比較テイスティングをすることの少なかった、イタリア、スペイン、ポルトガルの土着品種から造られた赤ワインのテイスティングをしてみようと思います。
目的は、それぞれの品種やワインの特徴を捉えることです。
1種類のワインだけを味わってその特徴を捉えるだけのテイスティング能力を持ち合わせていないので、とりあえず産地の近いワインを並べてみようと思います。
今回選んだワイン(品種)は次の通りです:
ワイン①: ヴァルポリチェッラ・クラッシコ(品種:コルヴィーナ・ヴェロネーゼ)
ワイン②: バローロ(品種:ネッビオーロ)
ワイン③: キアンティ・クラッシコ(品種:サンジョヴェーゼ)
ワイン④: リオハ・リゼルヴァ [伝統的な樽香強めのスタイル](品種:テンプラニーリョ)
ワイン⑤: リオハ [モダンな樽香弱めのスタイル] (品種:テンプラニーリョ)
ワイン⑥: ドウロ(品種:ティンタ・ロリス、ティンタ・バロッカ、トウリガ・フランカ、トウリガ・ナショナルのブレンド)
具体的なワイン名は次の通り:
① Bonacosta Valpolicella Classico Masi 2018
② Terre del Barolo Barolo 2015
③ Rocca Guicciarda Chianti Classico Riserva Barone Ricasoli 2012
④ Dominio de Ugarte Reserva 2013
⑤ Remelluri Lindes de Remelluri Viñedos de Labastida 2014
⑥ Quinta dos Avidagos Douro Tinto Reserva 2016
特徴的なのは、バローロの色の淡さです。ネッビオーロ種は、かなり色が薄くなる品種のようです。
一方で、リオハとドウロは色の濃さが特徴です。特にドウロは漆黒のような濃い色です。
香り
次は香りの特徴の比較です。
それぞれのワインについての主だった香りの感想は次の通りです。あくまで個人的な感想です。
ヴァルポリチェッラは、比較的シンプルな赤系果実の香りの中に、甘いリコリスの香りが感じられます。
ネッビオーロとサンジョヴェーゼはどちらも赤系果実の香りの中に、枯れたようなドライハーブの香りが感じられ、とても似ている特徴を持っていると感じました。しかし、違いもあり、ネッビオーロはスミレのような華やかでフレッシュな香りがある一方で、サンジョヴェーゼからは土や皮革という落ち着いた香りが感じとれました。
リオハのテンプラニーリョの特徴は、伝統的なスタイル(④)も、モダンなスタイル(⑤)もどちらも、赤系果実+黒系果実の香りが感じられることが特徴的でした。違いとしては、伝統的なスタイルはアメリカンオーク由来と考えられるヴァニラやココナッツの香りが強く感じられましたが、モダンなスタイルについては樽香は微かであり、果実の香りにややリコリスの甘い香りが中心的な香りとして感じられました。
最後に、ドウロ・ワインですが、このワインの特徴は非常に凝縮度の高い黒系果実の香りと、ダークチョコレートやクローヴなどの高いスパイシーさを感じさせる香りでした。非常に果実の凝縮度の高い、バロッサのシラーズを思わせるような香りです。
味わい
次は味わいの特徴の比較です。
簡単にワインのタイプを分類してみると、ヴァルポリチェッラ(①)とテンプラニーリョ(④、⑤)はタンニンに比べて、酸味が際立つワインです。
一方で、キアンティ(③)とドウロ(⑥)は酸味に比べてタンニンが際立つワインでした。
ネッビオーロは酸味、タンニンともに高レベルにある骨格の際立つワインでした。
まとめ
ワインごとに次のような特徴を感じることができました。
①ヴァルポリチェッラ・クラッシコ → 色は中程度、赤系果実、リコリス、酸味が際立つ
②バローロ → 色は淡い、赤系果実、ドライハーブと花の香り、酸味・タンニンともに骨格が際立つフルボディ
③キアンティ・クラッシコ・リゼルヴァ → 色は中程度、赤系果実、ドライハーブと土や皮革の香り、酸味もあるがタンニンが際立つフルボディ
④リオハ(伝統的スタイル) → 赤系+黒系果実の香り、甘い樽の香り、酸味がより際立つフルボディ
⑤リオハ(モダンスタイル) ー> 黒系中心+赤系果実、成熟した果実の香り、酸味がより際立つフルボディ
⑥ドウロ → 黒系果実、クローブのスパイシーさやダークチョコレートのような深みのある凝縮感のあるフルボディワイン。
製造者による違いもあるので、これが典型的なこれらの産地のワインとは限りませんが、1つの傾向をみる参考にはできるのではないかと思いました。
<了>