ワインショップに行くと、POPに「オーガニック」や「ナチュラル(自然派)」と書かれたワインを目にします。
このようなPOPを見ると、どちらも「環境にやさしい」、「体にいい」というイメージを受けますが、あまり詳しい違いについては考えないかもしれません。
今回は、「オーガニック(有機)ワイン」と「ナチュラル(自然派)ワイン」の違いについて考察をしてみました。
まずは結論から言うと、それぞれには次のような違いがあるようです:
オーガニック(有機)ワイン
オーガニックワインとは、主に有機農法で造られたブドウから造られたワインのことを言います。
各地域ごとに異なる認証機関があり、オーガニックワインを名乗るためにはそれぞれの機関の認証を受ける必要があります。
醸造工程にも認証機関による規制があり、その大きな規制の1つは酸化防止剤であるSO2の使用制限です。使用できるSO2の量は国によって違いがあり、米国では一切のSO2の添加が認められていない一方で、EUでは一定量の使用が認められています。
有機栽培は、ブドウ畑の土壌とその中の微生物やミミズなどの生物の生態系を改善し、ブドウの木の健康や病気への抵抗力を高めることを目的としていると言われます。そして、人工的な合成肥料、殺菌剤、除草剤、殺虫剤の使用は禁止されています。
消費者の視点から見た場合、有機栽培のブドウが特に美味しいワインを造るわけではないようです。むしろ有機栽培のメリットは、ブドウの木の健康や耐病性、土壌の健康、環境の保全など生産者側にあるようです。
オーガニックワインから得られる消費者側の最大のメリットは、飲むワインにもよりますが、農薬の大量暴露の回避なのではないかと思います。
その反面、酸化防止剤であるSO2の使用が制限されているために、一般のワインに比べ保存が効かず、ある種の香りが失われてしまうとも言われています。
ナチュラル(自然派)ワイン
ナチュラルワインは、通常、できる限り人の手を加えず、天然酵母で発酵させ、SO2の添加を最小限に抑える、もしくは全く添加しないワインを指すと言われます。ナチュラルワインは、「何も加えず、何も差し引かない」ことを目的に造られます。
しかし、オーガニックワインとは異なり認証機関が無いために、その定義は通常曖昧であることが多いようです。
ブドウの栽培方法についても特に明確な規定は無いようです。しかし、多くの生産者はオーガニック農法やビオダイナミック農法で栽培したブドウを使っていると言われています。
オーガニックワインと同様、ナチュラルワインだからといって、特別に、一般のワインより美味しいということは無いようです。
しかし、ナチュラルワインという1つのワインスタイルを楽しむことができることは、消費者側にとって大きなメリットなのではないかと思います。
また、酸化防止剤であるSO2をはじめ、人工的な添加物の摂取が抑えられることもナチュラルワインのメリットの1つかもしれません。
一方で、SO2の使用を控える製造者が多いため、、一般のワインに比べ保存が効かず、ある種の香りが失われてしまうリスクはあるのかもしれません。