時々、ワインのラベルに「VIEILLES VIGNES(ヴィエイユ・ヴィーニュ)」という表記を目にします。
これは、「古木(古樹)」を表すフランス語で、古樹から収穫されたブドウで造られたワインであることを表しています。
英語圏では「Old Vine(オールド・ヴァイン)」、スペイン語圏では「viñas viejas(ヴィニャス・ヴィエハス)」と表記されるようです。
なぜ、古木であることをわざわざラベルに表記をしているかというと、樹齢の高いブドウの木(=古木)は、より若いブドウの木よりも果実の質が高く、凝縮感のあるバランスの良いワインを造ることができると、よく言われているためです。
古木は一般的に、収穫量が少ない(果実をつける数が少ない)ために、ブドウ1つ1つの凝縮度が高くなると言われています。より多くの実をつけるより若い木と同じだけの栄養が得られた場合、果実の数が少ない分、個々の果実に行きわたる栄養分が多くなるわけです。
また、樹齢の高いブドウ木は、より若いブドウ樹に比べて、より環境に順応しており、木の生長と果実の成熟に行きわたる栄養分のバランスが取れているとも言われます。つまり、木や枝葉の生長に多くの栄養分が取られ過ぎず、しっかりと果実の成熟にも栄養分が行きわたるということです。
さらに、樹齢の高いブドウ木は、生育初期や外部からのストレスを与えられた際に必要とされる栄養分(炭水化物)をより多く蓄えているとも言われています。
では、ラベル上の「古木」が何歳のブドウ樹のことを言うのでしょうか?
実は多くの場合、明確な基準は無いようです。この用語に対する明確な規制がないためです。
ブドウの木は最初の5年でその根を確立し、樹齢が10年~40年の間に最大限の果実を収穫すると言われています。それ以上になると樹勢が衰え、収穫量が減少し始めます。
ある生産者「古木」が30年の場合もあれば、別の生産者の「古木」が100年であることもあるようです。
しかし、古木で有名なワイン産地では、古木の保護と分類を目的とした生産者協会が設立され、ブドウの木の最低樹齢を明確に定めている場合もあるようです。