今回のテーマは、ブルゴーニュの「コート・ド・ニュイ(Côtes de Nuits)」地区にある「 フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) 」村です。 場所は下の地図のように、モレ・サン・ドニ村、ヴージョ村、ヴォーヌ・ロマネ村の間に挟まれています。 コート・ド・ニュイの村名のワインが認められている他の村と比べると、特にそれほど小さい村でもありません。ヴージョ村やヴォーヌ・ロマネ村の方がよっぽど面積は小さめです。 しかし、このフラジェ・エシェゾー村ではその名を冠したAOCのワインを造ることは許されていません。つまり、「A.O.C. Flagey-Echézeaux」という名のワインは存在しません。 その代わり、この村で栽培されたブドウから村名を冠したワインを造る場合、全て「A.O.C. Vosne-Romanée」という隣の村の名前を冠したワインとして造られます。 なぜ、フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) には村名のワインが無いのでしょうか?少し疑問に思って、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑について調べてみました。 まず、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑の場所ですが、村名以上のワインを造ることのできるブドウ畑は、村の西側に局地化しているようです。村の中心地は、点線の楕円の部分に固まっているので、場所としては村の外れにあるようです。 この村の西側に局地化した畑のうち、大部分を占める畑は、特級畑である「エシェゾー(Echézeaux)」と「グラン・エシェゾー(Grands-Echézeaux)」です。 これら2つのグランクリュ畑から造られるブドウからは、唯一、フラジェ・エシェゾー村のアイデンティティの感じられる、「A.O.C. Echézeaux」と「A.O.C. Grands-Echézeaux」のワインが造られます。 残りの畑は、プルミエ・クリュ畑と村名ワイン畑となりますが、これらの畑で造られるワインはそれぞれ「A.O.C. Vosne-Romanée Premier Cru」と「A.O.C. Vosne-Romanée」となり、フラジェ・エシェゾー村の名前が使われることはありません。 それでは、ここでヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑の分布を見てみたいと思います。 これを見ると、ヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑は、フラジ...
オーストラリアのワイン産地の緯度を確かめるために、ワイン用ブドウの栽培が可能と言われる「北緯/南緯30~50度」の線を世界地図に引いてみました。
オーストラリア本土のワイン産地のほとんどは、南緯30度から37度の間に位置していると言われています。最も涼しい場所に位置するタスマニアでさえ、南緯41度から42度に位置しています。
北緯に当てはめると、北緯30~40度の地域はスペイン南部、イタリア南部、ギリシャなどに該当するために、いかに暑い地域でブドウ栽培がおこなわれているかが分かります。
南半球の地図を見ると、南アフリカの全ての産地と、チリ・アルゼンチンの主要なワイン産地も全て南緯30~40度の比較的暑い地域に含まれていることが分かります(チリのサンチアゴは南緯33度、アルゼンチンのメンドーサは南緯32度)。
唯一、ニュージーランドの南島だけが、比較的涼しいゾーンの南緯40~50度に位置しています。北緯に当てはめると、北緯40~50度は、ヨーロッパの主要なワイン産地である、フランス、イタリア北部、スペイン北部が位置する、比較的涼しい地域です。
ちなみにアメリカで断トツの生産量を誇るカリフォルニアは、北緯30~40度に位置しており、ここも比較的暑い地域となります。
この地図を見ると、ヨーロッパ以外のニューワールドのほとんどの産地では、海風や標高の高い冷涼効果のある地域を中心にワイン産地が選ばれている理由がよくわかります。