ドイツのアイスヴァイン(Eiswein)の製造方法をまとめてみました。
アイスヴァインは、非常に糖度の高いブドウから製造されます。
糖度の高さは、ドイツワインで最も糖度が高いブドウ果汁から造られる「トロッケンベーレンアウスレーゼ」に次ぐ高さです。
(関連記事:プレディカーツヴァインの6区分の直訳による覚え方)
なぜ、こんなにもブドウ中の糖度が高くなるかというと、冬の寒さによりブドウ中の水分だけが凍結し水分を失うため、次第に糖分濃度が高まっていくためです。
凍ったままのブドウは圧搾され、凍った水分をそのまま圧搾機の中に残し、非常に糖分濃度が高いブドウ果汁が得られます。と同時に、酸味などの糖分以外の成分も凝縮されます。
「アイスヴァイン」と名乗るには、ブドウは自然環境で凍結されなければなりません。
クリオ・エクストラクション(Cryoextraction)とは?
クリオ・エクストラクション(Cryoextraction)とは、ブドウ果実の凍結を人工的に行うワインの製造手法です。
この手法を用いることで、ドイツのような厳しい冬がない暖かい地域でも、アイスヴァインのようなワインを製造することが可能となります。
アイスヴァイン用のブドウ栽培では、寒い季節が到来するまで長らく樹上にブドウ果実を残しておく必要があるため、ブドウは病気や害虫、獣害の高いリスクにさらされます。
クリオ・エクストラクションではブドウを凍結させるコストがかかりますが、それでも、アイスヴァインほどのコストはかからないというメリットがあります。
しかし、人工的な凍結手法を用いているために、当然、「Eiswein」や「Icewine(カナダの自然凍結ブドウから造られる甘口ワイン)」という名前を名乗ることはできません。