もともとはヨーロッパで開発されたタイプのタンクですが、今やカリフォルニアなどのニューワールドでも人気があるようです。
ワインのアルコール発酵にはさまざまな容器(発酵槽)が使われ、コンクリート素材の発酵槽は、従来は安価な選択肢として大規模タイプのものが建設されてきたようです。
コンクリートタンクを用いるメリットは低価格と、その高い熱慣性にあると言われてきました。しかしそれ以外の主だったメリットは特に見つけられてはいなかったようです。
しかし、タマゴ型のコンクリートタンク(コンクリート・エッグ)が登場し、その新たなメリットが注目を浴びています。
それは発酵中に自然に発生する対流です。この対流によりワインのアルコール発酵が活発に行われると言われています。また、この対流は、発酵中に発生する澱とワインを撹拌するような働きをして、ワインに澱の風味を加えたり、ワインの質感を増す効果もあると言われています。
また、コンクリートは多孔質であり、発酵中にはワインは少量の酸素と接触します。少量の酸素は、ワインにとってポジティブな効果をもたらす緩やかな酸化を促し、ワインの口当たりをまろやかにするようです。
さらにはコンクリートが従来持つ高い熱慣性により、ワインは大きな温度の上下動にさらされることなく、また、外部からの自動的な温度調整の必要性も減ると言われています。
一方でこのようなメリットとは引き換えに、このタマゴ型のコンクリートタンクは非常に高価なものであり、低価格というコンクリートのメリットは失われてしまうようです。
しかし、近年のブームを見ると、価格のデメリットを考慮しても大きなメリットが得られるということなのかもしれません。