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ワイン名称に出てくるフランス語の「Côte」と「Coteaux」の違いとは?

 タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>

ブドウ栽培で涼しさはなぜ必要? ~温暖地域で冷涼効果が好まれる理由を考察

比較的暖かい地域でブドウ栽培をする場合、高品質なブドウを作るためには海風や標高による冷涼効果が必要だと言われます。

アメリカ(カリフォルニア)、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンなどのヨーロッパよりも暖かい国々において高品質なブドウを造る産地には、例外なく冷涼効果が存在すると言われます。

例えば、カリフォルニアのソノマやナパヴァレーは、寒流であるカリフォルニア海流によってブドウ畑が冷やされます。

アルゼンチンのメンドーサでは、アンデス山脈の標高によるブドウ畑の冷涼効果が得られます。

このような比較的暖かい地域の高品質なブドウ栽培において、なぜ冷涼効果が好まれるのかを考察してみました。


結論から言うと、冷涼効果が必要な理由は次の2点ではないかと思います。

・果実の成熟が遅くなり、香り/風味やタンニン(+色素)が十分に成熟する

・ブドウの酸味が保持される




果実の成熟が遅くなるとなぜ良いのか?


温暖で、比較的乾燥した気候はブドウ栽培にとって理想的な環境です。しかしこのような環境では、ブドウに糖分が最も早く蓄積する傾向があると言われます。ブドウの糖の蓄積は、ブドウの蒸散速度と相関関係があり、涼しく湿気の多い条件よりも暖かく乾燥した条件の方が、蒸散速度が速くなるためです。

暖かく乾燥した気候では、この糖の蓄積が速すぎて、香り・風味やタンニン、色素などが十分に熟成する前に、ブドウの糖度が高くなりすぎてしまいます。

この場合、ブドウの糖度が高くなりすぎる前にブドウの収穫を行うと、香り・風味やタンニン、色素などは未熟なままとなってしまいます。

一方で、(天候が許す場合)香り・風味やタンニン、色素などの成熟を待ってから収穫を行うと、ブドウの糖度は高くなりすぎてしまい、結果として製造されるワインのアルコール度が高くなりすぎてしまうかもしれません。

どちらの場合でも、糖度の蓄積が早すぎて、ブドウは品質面において何らかの問題を抱えていることになります。

この概念をチャートで表すと次のようになります。





今度は冷涼効果がある場合を考えます。

冷涼効果がある場合、ブドウ畑の平均的な温度は低くなるために、温度と相関性のある糖度の蓄積は遅くなります。

先程の場合と比べると、糖度の蓄積のみが、香り・風味やタンニン、色素の成熟よりも大きく先走ることはありません。

そのため、理想的な場合、糖とその他の成分(香り・風味やタンニン、色素)が十分に成熟した段階で収穫をすることが可能となります。

つまり、糖、香り・風味、タンニン、色素の全てが十分に成熟した、高品質なブドウを収穫することが可能となります。

この概念をチャートにしたのが下の図です。



「果実の成熟」という言葉は、定義によって「糖度の成熟」、「酸度の成熟」、「香り・風味の成熟」、「タンニンの成熟」など様々な成分の成熟を指す可能性があります。

しかし、ここでは「果実の熟成 = 糖度の熟成(凝縮)」と捉えると、果実の熟成の遅れ(糖度の凝縮の遅れ)が高品質なブドウの収穫につながることが分かると思います。




冷涼効果でなぜブドウの酸味が保持されるのか?


ブドウ中の酸は、結実からヴェレゾンの期間にブドウの実の中に蓄積されていくと言われます。

ブドウの果実に含まれる主な酸は、酒石酸とリンゴ酸の2つであり、暖かい地域のワインではこの2つの酸が酸の総量の3分の2を占めるとも言われます。

酒石酸については、ヴェレゾン後のブドウ果実の成熟期間中には、その総量に変化はありません。しかし、ブドウ果実には糖分や水分が蓄積されていくために、相対的にその凝縮度も下がります。

リンゴ酸についても相対的な凝縮度が下がるのですが、リンゴ酸はさらにブドウの呼吸によっても消費されるため、総量と共に、凝縮度はさらに下がります。

呼吸のスピードは、温度の高い地域では早く、温度の低い地域では遅いと言われます。そのため、暖かい地域では酸の総量、特にリンゴ酸の量は早く減少します。

しかし、冷涼効果によって平均気温が低くなる地域では、ブドウの呼吸のスピードが落ち、ブドウの果実の酸が保持されるわけです。









ブドウが酸味を持つメリットは?


酸味は、ワインに新鮮さや骨格を与えます。

特に骨格は、ワインの果実味や糖分とバランスをなす要素です。

暖かい地域のワインは果実味が強くなりがちで、高品質のブドウは通常、この果実味とバランスの取れるような骨格(酸味やタンニン)を持っています。

果実味が強いわりに、酸味やタンニンの骨格のないブドウから造られたワインは、少しぼやけたような味に感じられるかもしれません。

このように、ブドウの酸味が保持されることで、高品質なブドウに必要な果実味と酸味のバランスが与えられるわけです。



上に説明をしたような理由から、温暖な地域で高品質なブドウを造る場合には、冷涼効果がこのまれるのだと思います。





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WSETレベル3で一発合格できたテイスティング対策

WSETレベル3 の試験には、筆記試験に加えて、 テースティング試験 が含まれます。 WSETのテースティングでは、 SATという名のテイスティング・ツール を用いて、ワインの描写と品質・飲み頃に関する評価を行います。本試験においても、このSATに則って、出題される2種類のワイン(通常、赤ワイン1種と白ワイン1種)についての評価を回答用紙に記述します。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング回答のルール ) 一般的に、 WSETレベル3のテースティング試験は筆記試験に比べて合格をしやすい と言われています。しかしそれでも、試験をパスするためにはある程度の学習と練習が必要だと思います。 WSETレベル3のテイスティング対策を行うにあたって、私が感じたのは、どのように準備をしたら良いのかという情報がJSA試験ほどに豊富には手に入らないということでした。 そこで、この記事では私がテイスティング試験に向けて行った準備を紹介したいと思います。一度の試験で合格ができたので、それなりの効果はあったのだと思っています。 試験突破のカギは「SATの理解」と「品質評価」 テイスティング試験対策に取り組む中で、私が最も重要だと思い、時間を割いたのは、「 SATの記述ルールを理解すること 」と「 ワインの品質レベルを正確にとらえる 」ことでした。 テイスティング試験の合格基準は「55%」の得点率なので、この2つさえできていれば、まず落ちることはないと思いました。 反対にこの2つのいずれかが欠けていると、大きく減点をされてしまう可能性があります。例えば、SATでは、「テイスティングの記述に用いる用語」と「評価をすべき項目」がしっかりと決まっています。間違った用語を用いたり、評価すべき項目が記述されていなければ、全く得点は得られません。用語や評価項目以外にも、いくつか記述のルールが存在するので、ワークブックをしっかり読んで全てを把握しておくことが必須です。 (参考記事: WSETレベル3のテイスティング試験でやりがちな失敗トップ10 ) (参考記事: WSET SATのちょっとわかりにくかった香りと風味の選択・記述ルール ) ルールに関してはJSAのテイスティングのルールとは少し異なると思われる部分もあったので要注意です。 ...

WSETレベル3のテキスト購入方法とテキスト電子化のメリット

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