ヴァルポリチェッラは、イタリアのヴェネト州で造られるワインです。
畑は州の西部のベローナの近くの丘陵地帯に位置しています。
上の黒枠を拡大してみると、ほとんどの畑が丘に位置していることが分かります。しかし、徐々に畑は南部に広がり、一部平野部にも位置しています。
「ヴァルポリチェッラ・クラッシコ」は昔からある歴史的な畑であり、「ヴァルポリチェッラ」と区別をするために「クラッシコ(Classico)」という名称をラベルに付与することが認められている地域です。
ワインは主に、「コルヴィーナ・ヴェロネーゼ(Corvina Veronese)」というブドウ品種から造られます。
この品種は、「pergola(ペルゴラ)」と呼ばれる棚仕立てで栽培されることの多い品種ですが、日焼け対策、カビ病対策に加えて、収穫を安定させるため(梢の最初のいくつかの芽には身を付けない性質のため)と言われています。
ヴァルポリチェッラは、異なる製法で、様々なスタイルのワインが造られることが有名です。
製法の異なる代表的なDOC / DOCGをあげると、「Valpolicella DOC 」、「Recioto della Valpolicella DOCG 」、「Amarone della Valpolicella DOCG 」、「Valpolicella Ripasso DOC 」の4つがあります。
・Valpolicella DOC(ヴァルポリチェッラDOC)→ 通常の赤ワイン
・Recioto della Valpolicella DOCG (レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラDOCG)→ 陰干しブドウから造った甘口ワイン
・Amarone della Valpolicella DOCG(アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラDOCG)→ 陰干しブドウから造った辛口のフルボディワイン
・Valpolicella Ripasso DOC(ヴァルポリチェッラ・リパッソDOCG)→ レチョート or アマローネの発酵中の果皮を利用して造ったワイン
テイスティング
① ヴァルポリチェッラ・クラッシコ
(ワイン名:Bonacosta Valpolicella Classico Masi 2018)
まずは通常のヴァルポリチェッラ・ワインから。今回は「ヴァルポリチェッラ・クラッシコDOC」を用意してみました。「ヴァルポリチェッラDOC」と同様のスタイルですが、畑がより良い場所にあるために、若干、果実の凝縮度が高いと言われています。
外観は中程度のルビー色ですが、若いワインの特徴である紫色のトーンがやや感じられます。
他の3つのワインに比べると、圧倒的にフレッシュさと酸味が前面に押し出されたボディの軽めの(ミディアムボディ)ワインです。
タンニンは軽めで、アルコール度もそれほど強くは感じられません(12.0% abv.)。
ヴァルポリチェッラDOC/ ヴァルポリチェッラ・クラッシコDOCのワインは通常、次のような特徴を持っていると言われています。
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・短期間(数日)のマセレーションで早飲みスタイルに作られる
・若いうちは明るい紫色を持つ
・レッドチェリーやバラの香りを持つ
・ステンレスタンクや大樽で数か月熟成される(オーク香は持たない)
・低~中程度のタンニン
・中程度の酸味
・低~中程度の品質
・比較的、低価格
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② レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラ
(ワイン名:Monte Zovo Recioto della Valpolicella DOCG 2015)
外観は濃いガーネット色です。4つのワインの中では最も濃い色をしています。ルビーポートを思わせるような濃い色です。
他の3つのワインと比べると、甘さや酸化を感じさせる蜜蝋を感じさせる甘い香りが特徴的です。味わいも完全に甘口ワインです。しかし、甘ったるいというよりは、やや爽やかさの感じられるような甘さです(残糖:152 gr/ℓ)。
酸味やタンニンをしっかり感じられる味わいですが、アルコール度はそれほど高くありません(13.0% abv.)。
レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラDOCGは一般的に次のような特徴を持っていると言われています:
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・濃いルビー色
・新鮮な赤系果実と、乾燥果実の強い香りを持つ
・甘口(約50g/ℓの残糖を持つ)
・高い酸味
・中~高程度のタンニン
・中~高程度のアルコール(12% avb以上)
・フルボディ
・高品質で、高価格帯(手間がかかる割に少量しか造れないため)
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③ アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ
(ワイン名:Costamediana Amarone Della Valpolicella Mgm Mondo Del Vino 2017)
外観は、中程度のルビー色です。しかし、①のヴァルポリチェッラ・クラッシコDOCよりは濃い目の色です。陰干しブドウから造るワインのため、かなり濃い目の色を想像していましたが、意外に薄めの色でした。個人的には、ニューワールドのピノノワールを思い出すような色合いです。
他の3つのワインと比べると、香り、味わいともに正統派な辛口フルボディのワインという印象です。果実味に加え、それと釣り合う酸味、タンニン、アルコールがしっかりと感じられます。
色の割には、フルボディのカベルネ・ソーヴィニヨンやシラーズのような味わいのワインです。
アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラDOCGは一般的に次のような特徴を持っていると言われています:
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・濃いルビー色
・レッドチェリー+乾燥フルーツの強い香りを持つ
・スパイスや木の香りを持つ(2年以上の樽熟成が必須)
・新樽の香りを持つ場合もある
・熟成中の酸化によりナッツの香りを持つ場合もある
・辛口 or オフドライ(通常5-9 g/ℓの残糖分を持つ)
・高い酸味
・中~高程度のタンニン
・高いアルコール度(14.0%以上、通常15.0以上)
・高品質で、高価格帯(手間がかかる割に少量しか造れないため)
④ ヴァルポリチェッラ・リパッソ
(ワイン名:Valpolicella Classico Superiore Campolieti Ripasso Luigi Righetti 2019)
外観は、中程度のルビー色です。意外にも、ヴァルポリチェッラ・クラッシコDOGとあまり変わりがありません。陰干しブドウを使って造られるワインのため、もう少し濃い目の色を期待していましたが、レチョートやアマローネほどの濃さは無いようです。
他の3つのワインと比べると、焦げた木の香りとドライハーブの枯れたような香りが特徴的です(50%をフレンチオークのバリックで12か月熟成しているので樽由来の香りかもしれません)。また、果実味の凝縮度があまり感じられず、アルコールが実際のアルコール度(13.5% abv.)に比べて高く感じれます。少しアルコールだけが浮いてしまっている印象です。
見た目もヴァルポリチェッラ・クラッシコDOCに近いですが、味わいとしてはタンニン、酸味とも高めの印象です。イメージとしては、アマローネから果実味を差し引いたようなワインです。
ヴァルポリチェッラ・リパッソDOCは一般的に次のような特徴を持っていると言われています:
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・新鮮な+煮込んだレッドチェリーと赤プラムの香りを持つ
・中程度のアルコール(12.5% abv以上が必須)
・ミディアム~フルボディ
・中程度のタンニン
・1年以上の熟成が必要(通常、大樽)
・低~中程度の品質と価格
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