今回は、フランス中部の冷涼~温和な地域で栽培される、「カベルネフラン」、「カベルネソーヴィニヨン」、「シラー」の3品種の比較をして、それぞれの特徴を捉えてみたいと思います。
個人的には、比較的似た特徴をもった品種だと思うので、良いブラインドテイスティング対策になるのではないかと思います。
用意をしたワインは、「ソミュール・シャンピニーAOC」、「ボルドー・ルージュ(ボルドーAOC)」、「クローズ・エルミタージュAOC」の3つです。
具体的には次の3つのワインです:
Saumur Champigny Langlois Chateau 2017 (ソミュール・シャンピニー)
La Croix d'Austeran Bordeaux Rouge BIO 2020 (ボルドー・ルージュ)
E.guigal Crozes Hermitage Rouge 2018 (クローズ・エルミタージュ)
ちなみにそれぞれのワイン産地は、下図のように位置しています。
外観
まず、外観はどれもグラスの底が透けることが無く、濃い紫色をしています。
外観は非常に似通った印象です。
「カベルネフラン」と、「シラー」は特に、紫色が強い印象です。
香り
香りはそれぞれ特徴の違いがありました。
「カベルネフラン」 → 草のような青い香りが感じられます。赤系果実と黒系果実が混ざったようなやや華やかな香りです。
「カベルネソーヴィニヨン(+メルロー)」 → 草のような青い香りがやや感じられますが、カベルネフランほどではありません。かすかに、ヴァニラを思わせる甘い香りが感じられます。赤系果実と黒系果実が混ざったやや華やかな香りです。(赤系果実の香りは、45%含まれているメルローの影響だと思います)
「シラー」 → 黒系果実の香りと、木やスパイスを思わせる旨味を感じさせる香り(これが黒コショウの香り)が感じられます。カベルネフランとカベルネソーヴィニヨンと比べると、草のニュアンスや華やかさはほとんど感じられません。
風味(味)
味にもそれぞれ大きな違いがありました。
「カベルネフラン」 → 酸味の高さが最も際立った特徴です。他の2品種に比べると、タンニンはスムーズであまり際立っていません。
「カベルネソーヴィニヨン(+メルロー)」 → タンニンと酸味の強さが際立った特徴です。特にタンニンの収斂性が強く感じられるワインです。
「シラー」 → タンニンと酸味の強さが際立った特徴です。しかし、やや未熟なタンニンですが、カベルネソーヴィニヨンほどタンニンの収斂性は感じられません。その代わりタンニンの苦みが際立った印象として表れています。
まとめ
似た品種同士のワインを比べることで、次のように、それぞれの品種の持つ特徴がとても顕著に現れました。
「カベルネフラン」 → 濃い紫の色調、草の香り、酸味の高さ
「カベルネソーヴィニヨン(+メルロー)」 → 濃い色調、青い香り、樽のニュアンス、タンニンの収斂性、酸味の高さ
「シラー」 → 濃い紫の色調、スパイス(旨味?)の香り、未熟なタンニン、高めの酸味
それぞれの品種の特徴を捉えるための練習としてはおすすめの組み合わせです。