「Must」とは?
「must = マスト、果醪(かもろみ)」です。
赤ワインの製造の場合は、ブドウを破砕した後の果汁(juice)と、果皮(skins)、種子(seeds)、果肉(pulps)、果梗(stems)の混合物、白ワインの場合は破砕および圧搾後のブドウ果汁を指します。
(※赤ワインの果梗(stems)は製造方法によっては事前に取り除かれます。)
この「must」がアルコール発酵を経て「wine」となるので、「must」とは通常、アルコール発酵前~発酵中のものを指します。
赤ワインと白ワインで「must」の指すものが異なる理由は、醸造工程の違いにあります。一般的に、赤ワインでは「破砕→アルコール発酵→圧搾」の順番ですが、白ワインでは「破砕→圧搾→アルコール発酵」の順番です。そのため、赤ワインでは圧搾前の果皮や種子を含んだブドウ果汁を「must」としてアルコール発酵を行いますが、白ワインでは圧搾後の固形物が取り除かれた果汁のみを「must」としてアルコール発酵を行います。
「Must weight」とは?
では、「Must weight」とはどのような意味でしょうか?
単純に考えると、「マスト(果醪) + 重さ」なので、マストの重さだと思ってしまいます。
しかし実際は、
「Must weight = ブドウ果汁(マスト)に含まれる糖分量」
です。
紛らわしいですが、マスト(果醪)の量ではなく、糖分量(糖度)なのです。
ドイツのワイン法は、このブドウ果汁(マスト)の糖度を主な基準としてブドウと、そのブドウからできるワインの品質分類をしていることで有名です。
ドイツワイン法では、ブドウの糖度はエスクレ度(Oechsle scale)という基準で評価されています。