製造方法が独特なので、簡単にまとめてみました。
基本的には、サヴァニャン種のブドウから、辛口白ワインを製造し、それをオーク樽で少なくとも60ヵ月をかけて長期熟成します。
特徴的なのは、ワインはヴォワール(le voile)と呼ばれる産膜酵母のもとで熟成されることです。
産膜酵母のもとで熟成されることで、ワインにはパン生地、クルミなどの香りが付加されます。
また、長期熟成を経ることでワインはその名の通り、「黄色」に近い色に色濃く変色します。(ヴァン・ジョーヌ=黄ワイン)
7年もの製造期間を経た後、ワインはクラヴランと呼ばれる62 cl(= 620 ml)の独特なボトルに入れられ販売されます。下の図のように、一般のワインボトルに比べると、少しずんぐりむっくりのボトルです。
このようなヴァン・ジョーヌの製造方法ですが、非常にシェリーのフィノの製造方法に似ています。
フィノもフロール(flor)と呼ばれる産膜酵母のもとで一定期間熟成されます。
そのため、実際に出来上がるワインも、パン生地やクルミの強い香りという共通の特徴を持っています。
しかし、フィノとヴァン・ジョーヌの異なる部分もいくつかあるので、こちらに関してもまとめてみました。
大きな違いは次のような点です:
・酸味
・酒精強化
・ワインのつぎ足し
・瓶内熟成能力
酸味の強いサヴァニャン種から造られるヴァン・ジョーヌの強い酸味は、酸味の低いパロミノ種から造られるフィノとの大きな違いとなっています。そしてこの酸味の存在は、ヴァン・ジョーヌの瓶内熟成能力に大きく貢献していると思われます。一般的に、強い酸味と果実の凝縮度を持つ白ワインは、瓶内熟成能力があると言われているためです。
また、ヴァンジョーヌでは酒精強化をしないことは、酒精強化を行うフィノと大きくことなります。このため、ヴァンジョーヌのアルコール度(13.5~15%)はフィノのアルコール度(15~15.5%)よりも低めです。
最後の違いは、ヴァン・ジョーヌにおいてワインのつぎ足しが行われませんが、フィノではソレラシステムによって定期的にワインのつぎ足しが行われることです。ワインのつぎ足しは産膜酵母の維持や、ワインの新鮮さを保つことに大きく関わると言われています。そのため、ヴァン・ジョーヌはフィノに比べてよりフレッシュな特徴を持つことが考察されます。