マルベック(Malbec)はフランスを起源とする黒ブドウ品種です。
フランス南西地方のカオール(Chaors)では特に多くのマルベックが栽培されており、この品種を主体としたワインが造られています。マルベックから造られるワイン色の濃さが特徴的で、その色の濃さから「ブラックワイン」とも呼ばれています。
また、ボルドーやロワールでも栽培面積は大きくはありませんが、ブレンドワインの一部に使われいます。
フランス以外ではアルゼンチンが最も有名で、19世紀に海を渡って以来広く植えられ、多くのワインが製造されています。
こんなマルベックですが、やや名前が面倒です。
なぜかと言うと、まずこの品種にはいくつかの別名(シノニム)が存在します。有名なものは「コット(Côt)」や「オーセロワ(Auxerrois)」で、先述のカオールではこのような名前でも呼ばれています。
オーセロワと言えば、アルザスでピノ・ブランとのブレンドに使われる「オーセロワ・ブラン(Auxerrois blanc)」という白ブドウ品種があります(ドイツやルクセンブルクでも栽培され、単にオーセロワと呼ばれるそうです)。しかし、紛らわしいことに、これはマルベックとは全くことなるブドウ品種です。
また、マルベックに似た「マルベック アルジェント(Malbec Argente)」と呼ばれるブドウ品種も存在します。これはフランス南西地方の黒ブドウで、一般的には「アヴリュー(Abouriou)」という名で呼ばれるブドウ品種です。
このように、マルベックはシノニムを含めて、何かと紛らわしい名前が色々あります。
最後に、以前に一度、カオールAOCのマルベックを味わったことがあります。(マルベック85%+メルロー15%)
「ブラックワイン」と言われるのでもっと黒に近い色を期待していましたが、この時のワインは濃い紫色でした。(左のボルドーブレンドと比べると紫色が際立っています)
スミレや、赤/黒プラム、樽(ヴァニラなどの甘いスパイス)の香りと、しっかりとした骨格(酸味+タンニン)を持った、香りが強めのワインでした。