「destem」 = 「除梗」です。読み方は、除梗(じょこう)です。
「除梗」とは、ブドウの茎(果梗)を取ることです。
「除梗」は通常、ブドウがワイナリーに到着してから、「圧搾」や「アルコール発酵」の前に行われます。通常は機械で行われ、多く場合、「除梗」と「破砕」の両方を機械処理で行うそうです。
「除梗」が行われるのは、手作業で収穫された「房のままのブドウ」のみで、機械収穫によるブドウに対しては行われません。機械収穫では、機械がブドウの木を揺さぶって茎から離れたブドウの粒のみを収穫するので、既に茎は取り除かれているからです。
しかし、全ての「房のままブドウ」に対して「除梗」が行われるとも限りません。
例えば、白ワインの醸造工程において、「房のままのブドウ」がそのまま「圧搾」される場合があります。
房ごとのブドウの圧搾には、
・ブドウが酸化しにくい
・タンニンや色素や固形物が抽出されにくい
・果汁を果皮から分離しやすい
などのメリットがあると言われています。
一方で、
・手摘みをしなければならないので追加費用がかかる
・1回に圧搾できるブドウの量が少なくなる(茎の体積があるため)
などのデメリットも存在します。
これは白ワイン以外にも、シャンパーニュや、ロゼワインの製造にも使われる方法です。
また、赤ワインの醸造工程では、「房ごとのブドウ」がそのまま「アルコール発酵」に使われる場合があります。
房ごとのブドウの発酵には、
・茎がワインにスパイスやハーブの香りを加える
・茎がワインにタンニンを加える
などのメリットがあると言われています。
反対に、
・手摘みをしなければならないので追加費用がかかる
・茎が十分に成熟していないと、不快な苦みをワインに加える
などのデメリットもあります。
「 マセラシオン・カルボニック」も房ごとのブドウを使った発酵方法ですが、これは破砕のされていない「無傷の」ブドウを使うことが目的で、茎からのスパイス/ハーブの香りや、タンニンの抽出を狙ったものではないようです。
(参考記事:赤ワインで重要な「房ごと発酵する醸造方法」と「細胞内の発酵」)
一般的にタンニンの抽出の好まれない白ワインの醸造では、この方法は利用されていないようです。
ワイン醸造において、「茎=いらないもの」というイメージが付きがちですが、茎も使い方によってはより好ましいスタイルのワインを造る役に立つようです。