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発酵温度によるワインスタイルの違いのまとめ

マスト(ブドウ果汁や果肉、果皮などの混合物)の発酵温度によって出来上がるワインにどのような特徴の違いが出るのかをまとめてみました。 まず発酵温度についてですが、白ワインと赤ワインでは、低温、高温と言われる発酵温度は異なります。 一般に、白ワインの方が赤ワインに比べて低い温度で発酵されます。 低温での発酵の特徴 低温での発酵の特徴は、フレッシュでフルーティーな香りが生成・保持されやすいこと、また、ブドウからの果汁以外の成分の抽出度合いが低いことです。 それにより、出来上がるワインはフレッシュで果実味があり口当たりの良いものになると言われています。 しかし一方で、長期熟成に必要な果実の香りの凝縮度や、骨格となるタンニンや酸味が十分に抽出されないために、早々に出荷されて消費されることを目的とした早飲みタイプのワインになりやすいと言われています。 ちなみに白ワインの発酵温度が赤ワインよりも低い理由は、白ワインにとってフレッシュでフルーティーな香りはより重要で、赤ワインのようにタンニンの抽出を必要としていないことにあるようです。 高温での発酵の特徴 高温での発酵の特徴は、ブドウの果皮などからの抽出度合いが高まるために、果実の香りの凝縮度や、骨格となるタンニンなどの成分が果汁内に多く抽出されることです。 一方で、揮発性のエステルなどの成分が失われてしまうことで、フレッシュでフルーティな香りが失われてしまうとも言われています。 このような発酵の特徴から、高温で発酵された場合には、より長期熟成に向いたワインが出来上がると言われています。 <了>

アンジュ&ソミュール地区(ロワール)で覚えたいAOC

 





ロワールは非常に広いワイン産地です。


その中でも、アンジュ&ソミュール地区には、非常に重要なAOCが多く存在すると思います。


特に重要だと思うAOCを抜き出して上の図にまとめてみました。


広域AOCの「アンジュ(Anjou)AOC や、 ソミュール(Saumur)AOC 、ロゼのAOC(ロゼ・ド・ロワールAOCロゼ・ダンジュAOCカベルネ・ダンジュAOCなど)は割愛しました。


個人的には、ロワールのAOCは、地図上にまとめていくと記憶に定着するのが早いと思います。




アンジュ近郊


アンジュ・ヴィラージュ(Anjou Villages)AOC

・赤ワインのみのAOC

・主にカベルネフランから造られる(カベルネソーヴィニヨンも許可されている)


サヴニエール(Savennières)AOC

・白ワインのみのAOC

・シュナンブランから造られる主に辛口ワイン(酸味が高い)

・南向きの斜面、痩せた石の多いシスト土壌、低収穫量


クーレ・ド・セラン(Coulée de Serrant)AOC

・シュナンブランから造られる白ワインのみのAOC

・ロワール川に面した暖かい場所

・モノポール

・サヴニエールAOCよりも収穫量低い


サヴニエール・ロッシュ・モワンヌ(Savennières La Roche aux Moines)AOC

・シュナンブランから造られる白ワインのみのAOC

・ロワール川に面した暖かい場所

・サヴニエールAOCよりも収穫量低い




レイヨン川沿い

※全て甘口ワインのAOC


コトー・デュ・レイヨン(Coteaux du Layon)AOC

・レイヨン川沿いの大きいAOC

・貴腐もしくは過熟のシュナンブランから造られる甘口ワイン


コトー・デュ・レイヨン・プルミエ・クリュ・ショーム(Coteaux du Layon AOC Premier Cru Chaume)AOC

・コトーデュレイヨン+村名(ショーム)のAOC

・コトーデュレイヨン域内で、より厳格な規制

・貴腐もしくは過熟のシュナンブランから造られる甘口ワイン

・プルミエクリュ


カール・ド・ショーム(Quarts de ChaumeAOC

・貴腐もしくは過熟のシュナンブランから造られる甘口ワイン

・コトーデュレイヨン域内で、より厳格な規制

・グランクリュ


ボンヌゾー(Bonnezeaux)AOC

・貴腐もしくは過熟のシュナンブランから造られる甘口ワイン

・コトーデュレイヨン域内で、より厳格な規制




ソミュール近郊


コトー・ド・ソミュール(Coteaux de Saumur)AOC

・貴腐もしくは過熟のシュナンブランから造られる甘口ワイン


ソミュール・シャンピニィ(Saumur-Champigny)AOC

・赤ワインのみのAOC

・カベルネフランから造られる

・フルーティーな早飲みタイプのワイン


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ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリットの整理

 ワイン用のブドウ栽培では、多くのブドウ樹が棚付けされて管理されています。 棚付けとは、ブドウ棚を使用して毎年成長するブドウの枝葉を支持するブドウ樹の管理方法です。 ブドウ棚は下図のような、支柱と針金からなる常設の構造物を指します。 そして、ブドウの樹の棚付けの方法として最も広く使われている方法が 「垣根仕立て(VSP = Vertical Shoot Positioning)」 です。 垣根仕立てがあまりに一般的なので、個人的には、ついつい「棚付けのブドウ樹 = 垣根仕立て」と混同しがちです。 そこで整理のために、ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット、デメリットをそれぞれまとめてみました。 棚付けしたブドウ畑(樹)のメリット・デメリット 棚付けの最大のメリットは、キャノピー・マネジメント(樹冠管理)が容易になることです。キャノピーとは、ブドウ樹で毎年成長する緑色の枝葉を指します(一般的に、長年にわたり固定されているコルドンは含まないと思います)。 そして、キャノピー・マネジメントのメリットとしては、「日照量」、「通気」、「機械化」の3つが挙げられます。 日照量のコントロールは、葉陰を減らすことによる日照量の最大化や、反対に葉陰を増やすことによる果実の日焼け対策が含まれます。 通気の管理は、特に雨や湿気の多い地域で重要であり、カビなどの菌類病のリスクを減らします。 また、適切なキャノピー・マネジメントにより、樹の特定の部分に果実や葉がくるようにしておくことは、畑への機械の導入を促します。これにより、作業の効率化を図ることができます。 一方で、棚付けのデメリットとしては、ブドウ棚設置のための初期費用と、それらを維持管理するための費用や手間があげられます。 ブドウ棚は、急斜面では利用できないこともデメリットの1つです。北ローヌなどの急斜面が多い畑では、ブドウ棚の代わりに支柱のみを用いた棒仕立てなどが用いられます。 (関連記事: 棒仕立て、ミストラル、混醸... ローヌ川流域北部のブドウ栽培とワイン造り ) 垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリット 垣根仕立て(VSP)のメリットは、ブドウ樹の樹勢が一定以下の場合に、キャノピー・マネジメントがしやすいことと言われます。 したがってそのような場合には、「日照量のコントロール」、「通気の確保」、「作業の機械化」

WSETで納得!JSAで疑問だったギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い

JSAワインエキスパートを学んでいた時に、ブドウ樹の仕立て方でずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、 「ギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの違い」 。 両者ともに世界的に広く採用されている仕立て方である「 垣根仕立て 」の代表例なのですが、 ギヨドゥブルは長梢剪定 、 コルドンロワイヤは短梢剪定 の例として紹介されていました。 (参考記事: ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは? ) それぞれぱっと見の形はすごく似ていて、その違いは、枝の太さの違いだけ。ギヨドゥブルは2本に分かれる枝が細くて、コルドンロワイヤはそれが太い。 なぜこのような似通った2つの仕立て方が用いられているのか が、当時の私にはわかりませんでした。 JSAソムリエ・ワインエキスパート試験では、ブドウの栽培方法、特に仕立て方に関してはあまり深い知識は必要なかったために、この2つの機能的な違いや、長梢剪定、短梢剪定に関する説明は試験対策講座でも省略されていました。また、当時、独自でネット検索をして色々調べてみたのですが、結局答えはわからず終いでした。 それから一年、こんな疑問があったことも忘れてしまった頃、WSETレベル3の講義を受けて この疑問を解決することができました! ギヨ・ドゥブルとコルドン・ロワイヤの選定の流れ WSET の講義を受けて分かったことは、次のようなこと: ギヨ・ドゥブル では、前年の新梢が一本だけ残され、その枝(長梢)が水平方向に延ばされる ギヨ・ドゥブル では、水平に伸ばされた長梢の上に、その年の新梢が垂直に伸びる ギヨ・ドゥブル では、その年の収穫が終わったら、その年の新梢1本だけを残して、残りの枝は刈り取られる コルドン・ロワイヤ では、一昨年かそれ以前に作られた腕枝(コルドン)の上に、去年の新梢の一部(短梢)が残される コルドン・ロワイヤ では、短梢から今年の新梢が垂直に伸びる ギヨ・ドゥブル、コルドン・ロワイヤともに 、新しいブドウの房は新梢の上にできる (ギヨ・サンプル/ドゥブルの剪定の流れ) (コルドン・ロワイヤの剪定の流れ) 仕立てが出来上がった状態では、それぞれとても似通った形になって

コート・ド・ボーヌの村名の私的な覚え方【地図と語呂合わせ】

  「コート・ド・ボーヌ(Cote de Beaune)」の村名は正直言って、「コート・ド・ニュイ(Cotes de Nuits)」よりも覚えるのが大変です。 その理由は、村の名前が多いことです。 コート・ド・ボーヌの村名は、地域を区切って、主要な村を先に覚えていく方法が個人的には有効だと思います。 分け方は、「コルトンの丘付近」、「ボーヌ付近」、「シャニー付近」の3つの地域に分けました。 ちなみに、「コルトンの丘付近」は、特級畑「コルトン・シャルルマーニュ」を共有する3村、「ボーヌ付近」は赤ワインの生産が多い3村、そして「シャニー付近」は白ワインの生産の多い4村です。 コルトンの丘付近 コルトンの丘付近の村は、頭文字で覚えます。 ペルナン・ヴェルジュレス(Pernand-Vergelesses) アロース・コルトン(Aloxe-Corton) ラドワ・セリニィ(Ladoix-Serrigny) コルトンの丘を中心に反時計回りで、「 PAL 」となります。 この3村は先述の通り、特級畑「 コルトン・シャルルマーニュ 」を有していることで有名です。 (関連記事: 地図を使うと覚えやすい!コルトンの丘のグラン・クリュAOCの暗記法 ) ボーヌ付近 ボーヌ近辺の3村は、ボーヌ付近のいずれも赤ワインの生産の多い村です。 ボーヌ(Beaune) ポマール(Pommard) ヴォルネイ(Volnay) ボーヌは赤白ワインの生産が許可されていますが、ポマールとヴォルネイは赤ワインの生産しか許可されていません。 個人的には次のような語呂合わせを使って覚えています。 シャニー付近 シャニーに近い次の4つの村では白ワインが多く生産されています。 サン・トーバン(St Aubin) ムルソー(Meursault) ピュリニィ・モンラッシェ(Puligny-Montrachet) シャサーニュ・モンラッシェ(Chassagne-Montrachet) いずれの村でも赤白ワインの生産が許可されていますが、両モンラッシェの特級畑では白ワインの生産しか許可されていません。 個人的には次のような語呂合わせを使って覚えています。 その他の村 その他の村は、余裕があれば少しずつ覚えます。 ちなみに、ブラニィ(Blagny)は、ムルソー村とピュリニィ・モンラッシェ村にまたがる地域のことで、ブラニィという

WSET Level3 記述式問題で重要に思えたところ(本試験の筆記問題対策)

繰り返しになりますが、WSET level3の最大の難関は記述式問題です。 (参考記事: WSET Level3 の試験構成 ) WSETの記述式問題では、出題されたテーマに対して、深く理解をしているかが問われます。 (参考記事: 一筋縄ではいかない!とてもWSET的だと思った記述式問題(問題例) ) そのため、記述式問題の基本的な対策は、WSETレベル3のテキストの読み込みと、講義ノートの見直しを主に行いました。 しかし、広大な産地全てについて、万遍無く、深く理解をするというのは途方もない作業に思われました。 さらに私の場合は英語受験だったので、日本語のようにテキストをスラスラ読むこともできるわけはなく、本試験までの日数から逆算をすると、とてもそんな時間は確保できないと思いました。 そこで記述式試験対策の方針としては、いくつか重要と思われる部分にヤマを張って、それらを重点的に勉強することにしました。「重要と思われる部分」は次のような判断基準で抜き出しました。 ・講義中に担当講師が「重要」「試験に頻出」と言っていた部分 ・サンプル問題で、何度も問われていた部分 (参考記事: WSET過去問は共有禁止!それでもWSETレベル3の試験問題の参考にしたウェブサイト ) ・複雑で、しっかり理解をしていないと説明ができないと思った部分(特に醸造工程のオプションなど) ヤマを張った部分に関しては何度もテキストを読み返して、テキストの重要ポイントは何度もノートに書きあげて英文を書く練習を続けました。 (参考記事: WSET Level3の英語受験を一発合格した勉強方法 ) (関連記事: WSET試験の記述問題対策では「動詞」が重要!? ) 「重要と思われる部分」として抜き出した具体例を下に紹介します: <ワインの保管とサービス> ワインの保管方法(参考記事: ワインの保管方法 ) ワインの提供温度 (参考記事: チャートで覚えたワインのサービス温度 ) ワインのデカンティング 発泡性ワインの栓の抜き方(参考記事: 非発泡性(スパークリング)ワインの栓の抜き方 ) ワインの保存に使われる方法(参考記事: ワインの保管方法 ) <ブドウ樹の栽培、畑の管理、ワインの醸造> 高接ぎとその特徴(参考記事: grafting(=接ぎ木

ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは?

ブドウ樹は、その土地に合わせて様々な形をしています。このブドウ樹の形は「仕立て」と呼ばれ、休眠期の剪定によって整えられます。 例えば、ボルドーやブルゴーニュでは針金と柱を用いて枝を地面と垂直方向に伸ばす「垣根仕立て」が多く採用されています。 一方で日本では、ブドウや葉を棚の天面に広げる棚仕立て(Pergola ペルゴラ)が多く採用されています。 このような仕立てや選定は、気温、日照、水、土壌の栄養分などのブドウ樹が必要とする要素や、ブドウ畑の機械の使用などを考慮して、そのブドウ畑に最適なものが選ばれます。 WSETレベル3では、この「仕立て」、「剪定」について比較的しっかりと学ぶのですが、ブドウ畑に馴染みのない私にとっては少し理解が難しい部分でした。 特に私が混乱してしまったのは、「仕立て(training)」と「剪定(pruning)」の違いでした。両者はお互いに深い関係があり、テキストの説明だけでは直感的にわかりにくかったので、個人的に図などを利用してまとめてみました。 (関連記事:t rellis の意味 | 英語ワイン書籍に出てくる英単語 ) <仕立てと剪定の違い> WSETテキストによれば「仕立て」と「剪定」は次のように説明されています。 「ブドウ樹の整枝・仕立てとは一般に株の形状のことをいい、大きく分けて、株仕立てとコルドン仕立ての二つに分類できる。」(株…ブドウ樹で一年以上経っている木質部のこと) 「剪定とは、冬または生育期間中に、望ましくない葉や長梢、株を除去することである。剪定によって樹の形が決まり、大きさが制限される。」 つまり、仕立てとは「ブドウ樹の形」を意味し、剪定とはその「ブドウ樹の形をつくるための作業」ということになります。 <仕立てと剪定の種類> 「仕立て」は株(一年以上経っている木質部)の形によって大きく「株仕立て(head training)」と「コルドン仕立て(cordon training)」の二つに分類ができるようです。 「株仕立て」は株の部分が比較的小さいのに対して、「コルドン仕立て」はコルドンと呼ばれる腕枝があるのが特徴です。コルドンは通常1~2本ですが、4本以上のコルドンを持つ「大木仕立て(big vine)」と呼ばれるものもあるようです。

ソムリエ・ワインエキスパート試験で苦労をした年号の覚え方

WSETと比較をしてみると、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験で特徴的な部分は、ワインに関する歴史が問われることでした。 (関連記事: WSETレベル3とJSAソムリエ・ワインエキスパート資格の違い、どちらがおすすめ? ) ワインやワイン産地には興味があるんですが、正直、ワインの歴史にはそこまで興味を持てませんでした。ワイン愛好家にとって重要なことは、おいしいワインを見つけることや、おいしいワインを飲むことであり、ワインがどんな歴史をたどってきたかなんて近代を除いてそんなに重要なことではないと思えるからです。 「歴史なんか覚えて、何の役に立つの?」正直こんな気持ちでした。 だから、いざ覚えようと思っても、興味のないことはなかなか覚えられません。ワインの色などは語呂合わせを駆使して覚えてきたのですが、年号関連は語呂を作っても同じような語呂ばかりになってしまい、この方法もあまり役に立ちませんでした。 そこで始めたのが、正確な年号を覚えるのはとりあえず置いておいて、年号の順番を覚えるというやり方。特定のトピックにおいて、関連した年号を1つの図にまとめていくと、何となく時代背景が見えてきて、少しずつ頭に入ってくるような気がします。さらに、キーとなる年号だけ覚えておけばその前後関係を覚えておくだけで、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験は4択なので十分対応可能だと思いました。 例えば原産地管理法の年号は、ヨーロッパ→北米・南ア→南米・豪州→NZ・日本のように広まっていくのがわかります。 また、ブドウの伝来もヨーロッパ→南米→アメリカ・南ア→豪州→NZ→日本のように広がっています。 そして、日本も長野・山梨から始まり、北海道や山形に広がっていくのがわかります。 正確な年号を語呂合わせで覚えるよりも、こちらの方が時代背景がわかるので後々役に立つ知識になるとおもいました。 このような類似のトピックで情報を1つの図にまとめていくやり方は、その他覚えにくい生産量のデータや、気候区分を覚えるのにも役に立ちました。単なる数字を覚えるよりもずっと楽に暗記ができました。 例えば、フランス各地の栽培面積とワイン生産量。 そして、各地の気候区分。 試験中に具体的な数字が浮かばなくても、なんどなくこれらの図が頭に浮か

シャルドネ、ソーヴィニヨンブラン、リースリング、ミュスカデの味わいの違いは? ~冷涼地域の白ワイン品種の特徴の比較~

これまで、「リースリング」、「シャルドネ」、「ソーヴィニヨン・ブラン」、「シュナン・ブラン」と、主要な白ワイン品種の産地による違いをまとめてきましたが、今回はまとめとして品種ごとの味わいの違いをまとめてみようと思います。 幅広い産地のワインを集めても品種特徴による違いが分かりにくいので、今回はヨーロッパ、特に冷涼な地域を中心に6種類の品種のワインを集めてみました。 今回のワインは次の通りです: ワイン①:『La Chablisienne Chablis La Pierrelee 2018』(シャルドネ) ワイン②:『 Domaines Saint Martin Muscadet Sevre et Maine Sur Lie 2019 』(ミュスカデ) ワイン③:『Pascal Jolivet Attitude Sauvignon Blanc 2020』(ソーヴィニヨン・ブラン) ワイン④:『Domaine Brunet Vouvray Demi Sec Vieilles Vignes 2014』(シュナン・ブラン) ワイン⑤:『Riesling Tradition Charles Sparr 2017』(リースリング) ワイン⑥:『Just B Wines 2017』(アルバリーニョ) いままで登場した主要品種に加え、「ミュスカデ(ムロン・ド・ブルゴーニュ)」と「アルバリーニョ」を加えてみました。 それぞれのワインは表でまとめると次のような特徴を持つはずですが、実際にテイスティングをして試してみました。 テイスティング ワイン①:『La Chablisienne Chablis La Pierrelee 2018』(シャルドネ) ラ シャブリジェンヌ / シャブリ ラ ピエレレ [2018][2019] 白ワイン 辛口 750ml / フランス ブルゴーニュ AOC シャブリ La Chablisienne Chablis La Pierrelee リュット レゾネ 価格:2680円(税込、送料別)   (2022/6/30時点) 楽天で購入 まずは、冷涼地域のシャルドネの代表として、シャブリを選んでみました。 ワインは、シャルドネのテイスティングで用いたものと同じです。 (関連記事: シャルドネの味わいは産地によってどう変わるのか? ~特徴のまとめと、テイスティン

西洋スグリ(gooseberry グーズベリー)の香りとは?|ワインの香り用語

西洋スグリ(gooseberry) はよくソーヴィニヨン・ブランを形容する香りの表現用語として登場します。 WSETのテースティング においても、ソーヴィニヨン・ブランのワインには必ずと言っていいほど 西洋スグリ(gooseberry) が使われます。 しかし、日本ではなかなか身近に手に入るものではないので、その香りの特徴を調べてみました。 <西洋スグリの香りの特徴> ------------------------------------------------------------------------------ ・酸っぱく鼻にツンとくるこのベリーは、ソーヴィニヨン・ブランの特徴にそっくりである。香りのよい花の香りと、時には鼻を突くような芝やハーブの香りも持ち、場合によってはスパイスやコショウのような香りも持つ。また、酸っぱくジューシーで、グレープフルーツや青リンゴから、より熟したトロピカルフルーツのような風味も持つ。 (source) https://www.winespectator.com/articles/ive-read-about-white-wines-that-smell-like-gooseberry-what-is-that-5144 ・西洋スグリはスグリ(currant)の仲間であり、その中でも特に酸味の強い部類である。ワインの香り用語の中では「緑色系果実」の分類に属し、赤系果実や黒系果実、有核果実よりも甘くなく、その代わりに酸味が強い特徴を持つ。 ・特に、ニュージーランドのマールボロやフランスのロワールなどの冷涼地域で造られるソーヴィニヨン・ブランは西洋スグリの香りを持つ。 ・西洋スグリの風味は、通常、ブドウそのものが持つものではなく、発酵中の酵母の活動の結果である。ソーヴィニヨン・ブランにおける西洋スグリの香りは、発酵中にブドウが持つ前駆体から放たれる硫黄を含んだ化合物に由来する。 (source) https://www.decanter.com/learn/advice/understand-tasting-notes-decoded-344920/ ----------------------------------------------------------

WSET過去問は共有禁止!それでもWSETレベル3の試験問題の参考にしたウェブサイト

資格試験合格のコツは、 出題される問題の傾向を調べて、その対策を意識しながら学習を進めること だと思います。 J.S.A.ワインエキスパート の受験勉強をしたときは、様々なウェブサイトや書籍で過去問が公開されていたので、いち早くそれらを手に入れて早めに対策を進めることができました。 (参考記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 ) WSETレベル3 の場合、それは大きな課題でした。 なぜなら、WSETは 過去問の公開や口外が禁止されており 、実際に出題された問題や、試験問題のサンプルを公開しているウェブサイトや書籍がほとんどなかった ためです。 しかし、世界的なプログラムであるWSETの良いところは、世界中に情報ソースが散らばっているところ! その数は多くはありませんが、英語で検索をするといくつか本試験問題を把握する上で参考となるサイトが見つかります。 私が見つけて参考にしたウェブサイトのいくつかを紹介したいと思います。 <WSETレベル3の試験問題を知るために参考にしたウェブサイト> https://www.dallaswinecenter.com/short-answer-question-mosel/ *記述式試験サンプル問題です。 http://www.phillywine.com/wset/advanced/acexam.html *記述式試験サンプル問題です。 https://fromgrapestowine.wordpress.com/2013/11/19/wine-spirits-education-trust-wset-level-3-model-de-examen/ *記述式試験サンプル問題です。 https://www.thirtyfifty.co.uk/WSET-L3-Exam-Questions.asp *email登録で一部「Viticulture (Vine-growing) Questions」が無料で参照できます。 *有料登録をすると記述式、選択式の問題がかなり入手できるのでおすすめです。 https://www.finevintageltd.com/contentmanager/file/PRACTICE%20QUESTIONS/

シャンパーニュのサブリージョンとグランクリュ村の覚え方【語呂合わせ】

 シャンパーニュには5つのサブリージョンがあります。 そのうち、重要とされる「 モンターニュ・ド・ランス( Montagne de Reims ) 」、「 ヴァレ・ド・ラ・マルヌ( Vallée de la Marne ) 」、「 コート・デ・ブラン( Côte des Blancs ) 」の3つについてまとめてみました。 (※「 コート・ド・セザンヌ( Côte de Sézanne ) 」と「 コート・デ・バール( Côte des Bar ) 」についても追記をしました。) (関連記事: シャンパーニュ地方は、なぜ発泡性ワインの生産に向いているのか? ) まず、シャンパーニュ地方はパリの北東に位置しています。 そして、有名な3つのサブリージョンは、ランス(Reims)とエペルネ(Epernay)の近く下の図のように広がっています。 そして3つのサブリージョンの特徴をまとめてみました。 Googleマップ上に位置を表してみると、地形的な特徴の違いがよく分かります。 3つの地域では、それぞれ主に栽培されているブドウ品種に違いがあります。主要な栽培品種は次の通りです: モンターニュ・ド・ランス → ピノ・ノワール ヴァレ・ド・ラ・マルヌ  →  ムニエ コート・デ・ブラン  →  シャルドネ ムニエは、マルヌ川に沿った谷にあるのですが、谷であるために、霜の影響があったり、土壌が粘土で、ピノ・ノワールやシャルドネの栽培に向かないようです。そのため、霜に強く、粘土土壌でも成熟するムニエ種が栽培されています。 なぜ、「モンターニュ・ド・ランス=ピノ・ノワール」、「コード・デ・ブラン=シャルドネ」なのかは分かりませんが、ブラン(=白)で白品種のシャルドネが造られているのは覚えやすいです。両者ともに土壌は、チョーク質土壌であるようです。 サブリージョンの地形と、グランクリュ村の位置関係 モンターニュ・ド・ランス モンターニュ・ド・ランス には 「マイィ( Mailly )」 、 「ヴェルゼネ( Verzenay )」 、 「ヴェルジー( Verzy )」 、 「アンボネ( Ambonnay )」 、 「ブジー( Bouzy )」 などのグラン・クリュに格付けされている村があります。この地域では、これらを含め、9つの村がグラン・クリュに格付けされています。 そのうち主要な5つの