コート・ドール(Côte-d'Or)の畑の位置と言えば、グランクリュ畑の位置が重要だと思います。
今までのワイン試験の勉強を通して、いくつかのグランクリュ畑の場所を覚えてきましたが、グランクリュ畑の場所は「歴史的」な決まり事だと思って、なぜその位置にあるのかについてはあまり深くは考えてきませんでした。
しかし、ワインの学習を進めていくと、グランクリュを含むコート・ドールの各AOCの場所は、自然環境と密接な関係があることが分かってきました。
今回はそれを簡単にまとめてみました。
今まで、コート・ドールのブドウ畑については、ひたすら細かい畑の位置ばかり注目していたのですが、自然という大きな視点から畑の位置を見てみるのも重要であることを感じました。
まず、コート・ドールのブドウ畑は南北に細長く、多くの畑は日当たりの良い南東向きの坂の上に位置しています。
広域AOCである「Hautes Côtes de Nuits」と「Hautes Côtes de Beaune」は丘の上にあります。
そして、ブルゴーニュ全域のAOCである「Bourgogne」は、斜面の下の平地にあります。
中間の斜面には、「Côtes de Nuits」と「Côtes de Beaune」があります。そして、斜面の丁度真ん中あたりに、「Grands Crus」畑があります。「Premiers Crus」畑はGrands Crus畑を取り囲むように位置し、「Villtage」レベルの畑は斜面の下方にあるようです。
このうち、最も高品質のブドウができると言われているのが、斜面の真ん中です。
ここは、日当たりも最も良く、土壌は浅く水はけがよく余分な栄養分はありません(余分な栄養はブドウ樹の生長に使われ、その分、果実の成熟度が損なわれると言われています)。また、雨風などの悪天候の影響も受けにくい場所でもあります。
まさにこの斜面の真ん中に、多くのGrands Crus畑やPremiers Crus畑が位置しています。Grands Crus畑は様々な場所に点在していますが、斜面の中腹の中でも、丘の形状により、特に日当たりが良かったり、特に悪天候の影響を受けにくいような場所に位置しているようです。
Villageレベルの畑が位置する斜面の下部は、土壌がやや肥沃であり、水はけも斜面の中部に比べると良くないようです。そのため、収穫できるブドウの品質もやや落ちます。
Hautes Côtes de Nuits/Beauneの位置する丘の上になると、ここは風が強く、最も悪天候を受けやすい環境となります。栽培されるブドウの品質もさらに落ちるので、ワインの質もVillageレベルより低いことも理解ができます。
さらに、「Bourgogne」レベルの畑が位置する丘の下の平地では、土地が肥沃で水はけが悪く、ここでも高い品質のブドウの収穫は見込めません。
自分なりに、位置の違いによる自然環境の違いを下の図にまとめてみました。
最後に、Côtes de Nuits と Côtes de Beaune の南北による違いについてです。
Côtes de Nuits は名高いピノノワールワインが多く造られる一方で、Côtes de Beaune ではシャルドネワインが有名です。
この違いはどうやら、土壌の違いにあるようです。
Côtes de Nuits の土壌はピノノワールに適した石灰岩を多く含んだ土壌である一方で、Côtes de Beaune はシャルドネに適した粘土質を多く含んだ深い土壌です。