ボルドーの右岸では、特に4つのコミューンで素晴らしいワインが造られます。
4つのコミューンとは、「サンテステフ(Saint-Estephe)」、「ポイヤック(Pauillac)」、「サンジュリアン(Saint Julien)」、「マルゴー(Margaux)」です。
1855年のボルドーワインの格付けに含まれるワインのほとんどが、これらの4コミューンで造られています。
「ボルドーワインの格付け」は1855年からほとんど変更が加えられず、現状を反映していないのではないかという問題もありますが、それでも、この4コミューンはブドウ栽培地域として非常に優れた環境にあることは間違いがなさそうです。
そこで、なぜ、この4コミューンが優れた環境にあるのかをいままでのワイン学習をもとに考察してみました。
結論から言うと、次の2点がワイン/ブドウの品質と深く関係しているのではないかと思います:
① 気温が暖かい
② 砂利を多く含んだ暖かく、水はけのよい土壌
まず、気温の暖かさですが、ボルドーの左岸は太平洋に近いほど涼しく、ジロンド川に近づくほど暖かい傾向にあるようです。太平洋に近いほど海風などの影響により気温が下がり、反対に川岸に近いほど昼と夜の気温の変化を和らげてくれるようです。
そのため、ジロンド川に最も近い4つのコミューンは左岸のなかでも気温が暖かく、ブドウの熟度が上がる傾向にあるようです。ボルドーは、もともとカベルネ・ソーヴィニヨンが十分に成熟する地域ではないために、気温が高いことは非常に重要です。
次に土壌ですが、これも気温と同様にジロンド川に近い地域の方が、多くの砂利を含む傾向にあるようです。ボルドー左岸の砂利は、もともと川によって上流の中央高地やピレネー山脈から運ばれてきたものであるためです。
しかし、一方で、砂利土壌が、左岸の川岸に均一に存在しているわけではないようです。左岸の土壌は場所によって、砂利土壌の丘となっており、名高いシャトーの畑はこのような丘の上にあるようです。このような砂利土壌の丘は、「croupes」と呼ばれるそうです。
砂利を多く含んだ土壌は、暖かく、水はけも良いために、ブドウの生育にとっては非常に好ましい環境です。ボルドーは特に雨が多いために、水はけがよく、太陽光により暖まりやすい砂利であることは非常に重要です。
高品質なワインを造る4コミューンには、このような好ましい砂利土壌が位置していると考察することができると思います。