ロワール地方のアンジュ&ソミュール地区は、ロゼワインの製造で有名な地域です。 この地域で造られる主要なロゼワインと言えば次の3つです: ・ロゼ・ド・ロワール(Rosé de Loire) ・ロゼ・ダンジュ(Rosé d’Anjou) ・カベルネ・ダンジュ(Cabernet d’Anjou) この3つのロゼワインの特徴を簡単にまとめてみました。 使用されるブドウ品種 まず、試用されるブドウ品種ですが、それぞれに違いがあります。 ロゼ・ド・ロワール ではさまざまな黒ブドウ品種の利用が認められています。 具体的なブドウ品種をあげると、カベルネフラン、カベルネソーヴィニヨン、ガメイ、グロロー、コット(マルベック)、ピノノワール、ピノドニスです。 これはもしかしたら、ロゼ・ド・ロワールが他のロゼと比べて、製造範囲が広域であることと関係しているのかもしれません。 ロゼ・ダンジュ では、主に グロロー(grolleau) という黒ブドウ品種が使用されます。 このブドウ品種は、ロワール地方で栽培される主要ブドウ品種の1つであり、その名は黒色に近い見た目から、フランス語でカラスを表す「grolle」に由来しているのだとか。 しかし、特徴や凝縮感に欠けるため、赤ワインの製造には適しておらず、AOCワインとしては主にロゼワインの製造に用いられているようです。 アンジュを代表するロゼワインは、ロワールを代表する品種の1つであるグロローから造られています。 そして最後に、 カベルネ・ダンジュ は、その名の通り「カベルネ」を冠する2種類のブドウである カベルネフラン と カベルネソーヴィニヨン から造られています。 生産可能地域 生産地域の中心は、どのロゼワインも アンジュ&ソミュール 地域です。 しかし、 ロゼ・ド・ロワール のみが、アンジュ&ソミュール地域に加えて、隣のトゥーレーヌ地域でも生産は可能です。 ワインスタイル ロゼ・ド・ロワール は3つのうち、最も残糖が少なく、基本的には 辛口(ドライ) であるようです。 また、色合いは 淡く、フレッシュでフルーティー な早飲みタイプのものが多いようです。 ロゼ・ダンジュ も、ロゼ・ド・ロワールのように 淡い色合いで、フレッシュ&フルーティー ですが、一定量の残糖があるものが多く、半甘口であるようです。 カベルネ・ダンジュ は、ロゼ・...
麝香(じゃこう)の香りは、ワインの香りを表す用語として度々登場します。
私が香り用語としての「麝香」にはじめて出会ったのは、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験の回答用紙なのですが、よくニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランを表す香りとして使われていた印象があります。
麝香は日常的に触れる機会のほとんどないものなので、私にとってこの香りは、ワイン用語でよくある「想像のつかない香り」の1つでした。
そこで、ワインにおける麝香の香りとは一体どのような香りなのかを様々な情報を検索して調べてみました。
<様々なサイトにおける「麝香」の香りについての記述>
-------------------------------------------------------------・麝香(じゃこう)は雄のジャコウジカの腹部にある香嚢(ジャコウ腺)から得られる分泌物を乾燥した香料、生薬の一種である。ムスク(英: musk)とも呼ばれる。
・甘く粉っぽい香りを持ち、香水の香りを長く持続させる効果があるため、香水の素材として極めて重要であった。
(source: wikipedia「麝香」)
・麝香(musk)は、甘く鼻にツンとくる汗に似た動物系の香り。多くの旧世界の赤ワイン、特にフランスのシャトー・ヌフ・デュ・パプやイタリアのタウラージが持つ。
(source: https://winefolly.com/tips/33-bizarre-wine-flavors/)
・(マスカットは、)食用に改良され、様々な品種がある。「麝香(マスク、ムスク)」に喩えられる強い香りが特徴である。
(source: wikipedia「マスカット」)
-------------------------------------------------------------
これらの情報をまとめてみると、ワインにおける麝香の香りとは、「マスカットのような甘さの強い香りで、その中にも動物的な鼻にツンとくる香り」のようです。
このように考えると、パッションフルーツのような華やかな香りの中に、鼻を突く青い香りを持つニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランが「麝香」で例えられる理由がよくわかります。
ちなみに、ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランの香りは「麝香」以外にもよく「ネコのオシッコ」と例えられます。
これはソーヴィニヨン・ブラン種に含まれるチオールの一種である、4MMPとも呼ばれる4-メルカプト-4-メチル-2-ペンタノン(4-mercapto-4-methylpentan-2-one)という物質に由来する香りで、黒スグリや、実際のネコのオシッコにも見つかる物質であるようです。
こう考えると、「麝香」の香りは、マスカットの甘い香りと、ネコのおしっこを混ぜたような、甘くて動物系の鼻を刺すような何とも言えない香りなのかも?と想像を膨らませてしまいます。
(関連記事:ワインにおけるハチミツの香りとは?|ワインの香り用語)
(関連記事:ワインに含まれる「スミレ」の香りとは?)