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ワイン名称に出てくるフランス語の「Côte」と「Coteaux」の違いとは?

 タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>

【ワインの表現用語】Petrol(ペトロール=ガソリン)の香りとは?

ペトロール香(ガソリン香)は、リースリングワインのテイスティングにおいて重要な香りです。

WSETでは、petrol(ガソリン)およびkerosene(灯油)はともに瓶熟成(白)に分類されています。



<外部サイトでのPetrolに関する説明>
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Petrol notes in wine are caused by a chemical, trimethyl-dihydronaphthalene (TDN), whose precursors are naturally found in the juice and skins of the Riesling grape.

Generally, aged Rieslings can have a petrol aroma as the precursors in the wine combine over time to form TDN. When this note is found in young wines, it is considered by some, notably Rhône and Australian producer Michel Chapoutier, to be a fault due to over-pressing during harvest.

(source) https://www.decanter.com/learn/advice/understand-tasting-notes-decoded-344920/

・ワインの中のペトロールの香りは、化学物質であるトリメチルジヒドロナフタレン(TDN)に由来する。この物質の前駆体(化学反応をするまえの物質)は自然のリースリングブドウの果汁と果皮の中に含まれている。

・ワイン中の前駆体は時間をかけて結合しTDNを形成するために、一般的に、熟成したリースリングはペトロールの香りを持つ。若いワインでこの香りが見つかる場合は、収穫期の過度な圧搾による欠陥であるとみなされている。
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Anyone who has siphoned fuel from a car will know that the classic bottle-aged aroma of Riesling has nothing in common with either the smell or the taste of petrol (kerosene or gasoline), yet once experienced the so-called petrol aroma is one of the easiest recognised and least argued about wine characteristics.
TDN (trimethyldihydronaphthalene)

(source) https://wine-pages.com/columnist-articles/wine-tastes-and-flavours/

・実際にガソリンの匂いを嗅ぐと、リースリングの香りはペトロール(灯油やガソリン)とは関係のないような気がするが、一度、ペトロール香を経験するとその意味がすぐに分かり、あまり議論は起こらない。
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A scent of ‘gasoline’ in wine is commonly associated and considered a typical characteristic of the Riesling grape variety.
It is more commonly experienced from Riesling wines grown in cool climate on pour rocky terroirs, such as some found in Germany, Alsace, France, or New Zealand, rather than in warmer ones, say Australia, California or Chile.
Notably, renowned Rhone wine producer, Michel Chapoutier said that “Riesling should never smell of petrol. That is a result of a mistake during winemaking” and that “the petrol characteristic, which is often prized amongst Riesling aficionados, is a result of decomposition of the veins within the grape. These veins become more fragile as the grape matures.” (Source: Decanter.com)
Apart from Riesling, you may find an aroma of petrol/kerosene in white wines made from Pinot Gris, Sylvaner, Verdejo, or Vermentino (Rolle).

(source) http://socialvignerons.com/2018/05/08/top-100-aromas-in-wine-a-to-z/

・ワインの中のガソリンの香りは、リースリング品種の典型的な特徴であると考えられている。

・この香りは、冷涼地の痩せた岩の多いテロワールで育ったリースリングワインで共通する。(ドイツ、アルザス、フランス、ニュージーランドなど)

・有名醸造家によれば「リースリングにはペトロールの香りはない。これは誤ったワイン醸造の結果であり、ペトロール香はブドウの葉脈の腐敗の結果である。葉脈はブドウが成熟するにしたがってより脆くなる。」と言われている。

・リースリング以外にも、ペトロール香/灯油香は、ピノグリ、シルヴァーナー、ベルデホ、フェルメンティーノ(ロール)から造られた白ワインからも感じられるかもしれない。
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Petroleum - A positive aroma associated with aged Rieslings from the Mosel in Germany and some younger examples from Italy and Australia.

(source) https://winefolly.com/tips/33-bizarre-wine-flavors/

・ドイツのモーゼルの熟成したリースリングや、イタリアやオーストラリアのより若いリースリングに付随するポジティブな香り
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まとめると、リースリング特有の香りで、若いワインよりも、瓶熟成したワインにより強く表れる香りのようです。

WSETの講義では、実際に、アルザスの熟成したリースリングにこの香りが使われていました。また、オーストラリアのイーデンヴァレーの若いリースリングにもこの香りが使われていましたが、オーストラリアでは熟成を経ていない若いリースリングでもこのペトロール香が出やすいようです。




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EU内で生産される/EU内で販売するために生産される発泡性ワイン には、 甘味に関するラベル表示用語(Labelling term) が規定されています。 「Brut Nature」から「Doux」までの7段階 があり、それぞれに対して残糖量の範囲が決まっているのですが、これを覚えるのはなかなか大変です。 WSET L3 では、テキストに「試験では、ブリュット・ナチュール(Brut Nature)、ブリュット(Brut)、ドゥミ・セック(Demi-Sec)の用語と、それぞれの甘味のレベルに関する知識があれば十分である。」と丁寧に書かれているので、この3つだけを覚えれば十分で、暗記はそれほど大変ではありませんでした。 しかし、 JSAソムリエ・ワインエキスパート試験 では、細かい部分も出題される可能性があり、全ての用語と残糖量の範囲を試行錯誤を重ねて何とか覚えました。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 ) (関連記事: スパークリング・ワインの残糖量の表示の覚え方(新) ) その方法は次の①~④の通りです。 ------------------------------------------------------------- <発泡性ワインの甘味を表すEUのラベル表示用語> <覚え方> ①カテゴリ分けをする ・まず、7段階の表示を、Brut、Sec、Douxに分けて、それぞれ3つ、3つ、1つと覚えました。 ②Brutを覚える ・Brutが 最も残糖量の少ないカテゴリー であることを覚えました。「 Brut=untreated(未加工の)≒糖の添加を極力行わない 」と考えると容易に覚えられました。 ・ Brut Nature、Extra Brut、Brut の3つの表示用語があることを覚えました。 Nature(自然のままの)、Extra(格外の) という意味を考えると覚えるのは容易でした。 ・Brutの 最低残糖量は全て「0」 であることを覚えました。 ・Brut Natureの最大残糖量が「3」であることを覚えました。Natureには「生まれたままの」という意味があるので、「 3つ子の魂100まで ...

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WSET Level3 記述式問題で重要に思えたところ(本試験の筆記問題対策)

繰り返しになりますが、WSET level3の最大の難関は記述式問題です。 (参考記事: WSET Level3 の試験構成 ) WSETの記述式問題では、出題されたテーマに対して、深く理解をしているかが問われます。 (参考記事: 一筋縄ではいかない!とてもWSET的だと思った記述式問題(問題例) ) そのため、記述式問題の基本的な対策は、WSETレベル3のテキストの読み込みと、講義ノートの見直しを主に行いました。 しかし、広大な産地全てについて、万遍無く、深く理解をするというのは途方もない作業に思われました。 さらに私の場合は英語受験だったので、日本語のようにテキストをスラスラ読むこともできるわけはなく、本試験までの日数から逆算をすると、とてもそんな時間は確保できないと思いました。 そこで記述式試験対策の方針としては、いくつか重要と思われる部分にヤマを張って、それらを重点的に勉強することにしました。「重要と思われる部分」は次のような判断基準で抜き出しました。 ・講義中に担当講師が「重要」「試験に頻出」と言っていた部分 ・サンプル問題で、何度も問われていた部分 (参考記事: WSET過去問は共有禁止!それでもWSETレベル3の試験問題の参考にしたウェブサイト ) ・複雑で、しっかり理解をしていないと説明ができないと思った部分(特に醸造工程のオプションなど) ヤマを張った部分に関しては何度もテキストを読み返して、テキストの重要ポイントは何度もノートに書きあげて英文を書く練習を続けました。 (参考記事: WSET Level3の英語受験を一発合格した勉強方法 ) (関連記事: WSET試験の記述問題対策では「動詞」が重要!? ) 「重要と思われる部分」として抜き出した具体例を下に紹介します: <ワインの保管とサービス> ワインの保管方法(参考記事: ワインの保管方法 ) ワインの提供温度 (参考記事: チャートで覚えたワインのサービス温度 ) ワインのデカンティング 発泡性ワインの栓の抜き方(参考記事: 非発泡性(スパークリング)ワインの栓の抜き方 ) ワインの保存に使われる方法(参考記事: ワインの保管方法 ) <ブドウ樹の栽培、畑の管理、ワインの醸造> 高接ぎとその特徴(参考記事: grafting(...

パロ・コルタド・シェリーとは?アモンティリャードとオロロソとの製法の違いを調べてみた

JSA試験、WSET試験を通して酒精強化ワインであるシェリー(Sherry)を学んできましたが、ずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、「 パロ・コルタド・シェリーとは何なのか? 」です。 シェリーとは、スペイン・アンダルシア州カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺地域で生産される酒精強化ワインのことで、ポート・ワイン(ポルトガル)、マデイラ・ワイン(ポルトガル)とともに、著名な酒精強化ワインと言われています。 シェリーには、フィノ(Fino)/マンサ二ーリャ(Manzanilla)、オロロソ(Oloroso)、アモンティリャード(Almontillado)、 パロ・コルタド(Palo Cortado) 、ペドロヒメネス(Pedro Ximenez)など様々な種類があります。 しかし、JSA、WSETどちらのテキストにおいても、 パロ・コルタド に関する記述 はとても少なく、製法に関する記述もなく、漠然とその特徴が書かれているだけでした。 その特徴は、 ・希少であること ・アモンティリャード(Amontillado)の香りを持つが、味はオロロソ(Oloroso)のボディとこくを持つ という2点だけです。 ずっと疑問に思っていたことを解決すべく、製法を中心にパロ・コルタドについて調べてみました。 参考にしたのは、次のサイトです: https://www.sherrynotes.com/sherry-types/palo-cortado/ https://www.sherrynotes.com/2015/background/palo-cortado-mystery/ まずは、パロ・コルタドの発祥から。パロ・コルタドは、もともとフィノとしては不適合として除外された樽からできたそうです。 <パロ・コルタドの発祥> ------------------------------------------------------------------------ ・パロ・コルタドは、もともとフィノ(Fino)の製造から偶然生まれたワインと言われている。 ・フィノシェリーでは、樽での熟成中にフロールと呼ばれる産膜酵母が発生し、フロールのもとで熟成される。しかし、フィノ樽の中には...

似て非なるワイン ~イタリアとギリシャの「ヴィンサント」の違いを考察~

イタリアとギリシャでは 「ヴィンサント」 という名前のワインが造られています。 どちらも干したブドウから造られる甘口ワインという似た特徴を持っていますが、実は異なるワインです。 そこで、イタリアとギリシャの「ヴィンサント」の違いを考察してみたいと思います。 生産地域 まずは生産地域の違いです。 イタリアのヴィンサントは主にトスカーナ州で製造されています。しかし、一部トレンティーノ・アルト・アディジェ州でも製造されているようです。 一方で、ギリシャのヴィンサントはサントリーニ島で製造されています。 名称の違い イタリアのヴィンサントは 「Vin Santo」 と2語で表記されます。 一方で、ギリシャのヴィンサントは 「Vinsanto」 と1語で表記されます。 製造方法の違い 製造工程を見てみると、2つのヴィンサントには大きな違いがみられます。 イタリアのヴィンサントには陰干しされたブドウが使われます。この陰干しの方法は、アパッシメント・メソッドと呼ばれます。 (関連記事: アパッシメント(appassimento)とパッシート(passito)の違いに関する考察 ) 一方で、ギリシャのヴィンサントでは、天日干しをした遅摘みのブドウが使われます。 両者ともにオーク樽での酸化熟成が行われますが、イタリアでは小さめの樽で、ギリシャでは、大きめの樽で長期熟成が行われます。 ブドウ品種の違い イタリア、特に主な産地であるトスカーナでは、ヴィンサントの主要品種としてトレッビアーノ・トスカーノ(Trebbiano Toscano)とマルヴァジア(Malvasia)が用いられています。 トレンティーノ・アルト・アディジェ(トレンティーノDOC)では、ノジオーラ(Nosiola)という品種が主要品種として用いられています。 一方で、ギリシャ(サントリーニ)のヴィンサントの主要品種は、アシルティコ(Assyrtiko)です。 トレッビアーノ・トスカーノとアシルティコに共通している点は、強い甘味とバランスをとるための高い酸味を持っているという点です。多くのブドウは成熟とともに徐々に酸味を失いますが、両品種ともに成熟しても強い酸味が保持されます。 ヴィンサントは基本的には白ブドウ品種から造られていますが、トスカーナでは黒ブドウ品種サンジョヴェーゼからも製造されており、このワインはオッキオ・...

ソムリエ・ワインエキスパート試験で苦労をした年号の覚え方

WSETと比較をしてみると、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験で特徴的な部分は、ワインに関する歴史が問われることでした。 (関連記事: WSETレベル3とJSAソムリエ・ワインエキスパート資格の違い、どちらがおすすめ? ) ワインやワイン産地には興味があるんですが、正直、ワインの歴史にはそこまで興味を持てませんでした。ワイン愛好家にとって重要なことは、おいしいワインを見つけることや、おいしいワインを飲むことであり、ワインがどんな歴史をたどってきたかなんて近代を除いてそんなに重要なことではないと思えるからです。 「歴史なんか覚えて、何の役に立つの?」正直こんな気持ちでした。 だから、いざ覚えようと思っても、興味のないことはなかなか覚えられません。ワインの色などは語呂合わせを駆使して覚えてきたのですが、年号関連は語呂を作っても同じような語呂ばかりになってしまい、この方法もあまり役に立ちませんでした。 そこで始めたのが、正確な年号を覚えるのはとりあえず置いておいて、年号の順番を覚えるというやり方。特定のトピックにおいて、関連した年号を1つの図にまとめていくと、何となく時代背景が見えてきて、少しずつ頭に入ってくるような気がします。さらに、キーとなる年号だけ覚えておけばその前後関係を覚えておくだけで、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験は4択なので十分対応可能だと思いました。 例えば原産地管理法の年号は、ヨーロッパ→北米・南ア→南米・豪州→NZ・日本のように広まっていくのがわかります。 また、ブドウの伝来もヨーロッパ→南米→アメリカ・南ア→豪州→NZ→日本のように広がっています。 そして、日本も長野・山梨から始まり、北海道や山形に広がっていくのがわかります。 正確な年号を語呂合わせで覚えるよりも、こちらの方が時代背景がわかるので後々役に立つ知識になるとおもいました。 このような類似のトピックで情報を1つの図にまとめていくやり方は、その他覚えにくい生産量のデータや、気候区分を覚えるのにも役に立ちました。単なる数字を覚えるよりもずっと楽に暗記ができました。 例えば、フランス各地の栽培面積とワイン生産量。 そして、各地の気候区分。 試験中に具体的な数字が浮かばなくても、なんどなくこれらの図が頭に浮か...

クリアンサ、レゼルバ、グランレゼルバとは?スペインワインの熟成規定(最低熟成期間)の私的暗記法

スペインの赤ワインのうち、最良のワインにはほぼ確実にオークを使用した熟成がされていると言われています。白ワインの大半はフレッシュで果実味が豊かなワインと言われていますが、一部のワインではオークを使った熟成が行われ、異なる風味が加えられています。 スペインのワイン法でもワインの熟成表記に関する規定が定められており、最低熟成期間の長さによって、「 クリアンサ(Crianza) 」、「 レゼルバ(Reserva) 」、「 グラン・レゼルバ(Gran Reserva) 」などのカテゴリーが規定されています。 最低熟成期間には、総熟成期間と樽熟成期間があり、総熟成期間は樽熟成期間を含めたトータルの熟成期間を示しています。 いくつかのワイン試験では、この最低熟成期間をワインの種類(赤、白・ロゼ)ごと、カテゴリーごとに覚えなければならないのですが、この数字の羅列を覚えるのはなかなか至難の業です。 そこで、個人的に考えた、このスペインワインの熟成規定の覚え方を紹介したいと思います。 1. 表を年表示にする まずは、数字を覚えやすくするために、表の単位を「月」から「年」に変換します。 まるで囲んだ部分だけ、語呂合わせなどを使って覚えます。 2. 赤ワインの「グラン・レゼルバ」の熟成期間を覚える 赤ワインのグラン・レゼルバの最低熟成期間は、偶然にもクリアンサとレゼルバの最低熟成期間を足し合わせた期間なので、簡単に覚えられます。 3. 白・ロゼワインの「クリアンサ」、「レゼルバ」の最低総熟成期間を覚える 白・ロゼワインにおいて、クリアンサ、レゼルバの最低の総熟成期間は、偶然にも赤ワインの「最低総熟成期間ー最低樽熟成期間」に一致します。これを覚えます。 4. 白・ロゼワインの「グラン・ レゼルバ」の最低総熟成期間を覚える 今までの法則で行くと、「グラン・レゼルバ」の最低の総熟成期間は3.5年が望ましいですが、 実際は4年 です。ここだけ、例外的に 0.5年だけずれる と覚えます。 5. 白・ロゼワインの 最低樽熟成期間を覚える 白・ロゼワインの最低の樽熟成期間は、全て同一の0.5年です。 赤ワインの「クリアンサ」のものと同じと覚えておくと、覚えやすいかもしれません。 最後に、この表を法則とともに覚えておくことで、暗記作業は完了です。 関連記事: スペインの「グラン・レセルバ(Gran Re...