今回のテーマは、ブルゴーニュの「コート・ド・ニュイ(Côtes de Nuits)」地区にある「 フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) 」村です。 場所は下の地図のように、モレ・サン・ドニ村、ヴージョ村、ヴォーヌ・ロマネ村の間に挟まれています。 コート・ド・ニュイの村名のワインが認められている他の村と比べると、特にそれほど小さい村でもありません。ヴージョ村やヴォーヌ・ロマネ村の方がよっぽど面積は小さめです。 しかし、このフラジェ・エシェゾー村ではその名を冠したAOCのワインを造ることは許されていません。つまり、「A.O.C. Flagey-Echézeaux」という名のワインは存在しません。 その代わり、この村で栽培されたブドウから村名を冠したワインを造る場合、全て「A.O.C. Vosne-Romanée」という隣の村の名前を冠したワインとして造られます。 なぜ、フラジェ・エシェゾー(Flagey-Echézeaux) には村名のワインが無いのでしょうか?少し疑問に思って、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑について調べてみました。 まず、フラジェ・エシェゾーのブドウ畑の場所ですが、村名以上のワインを造ることのできるブドウ畑は、村の西側に局地化しているようです。村の中心地は、点線の楕円の部分に固まっているので、場所としては村の外れにあるようです。 この村の西側に局地化した畑のうち、大部分を占める畑は、特級畑である「エシェゾー(Echézeaux)」と「グラン・エシェゾー(Grands-Echézeaux)」です。 これら2つのグランクリュ畑から造られるブドウからは、唯一、フラジェ・エシェゾー村のアイデンティティの感じられる、「A.O.C. Echézeaux」と「A.O.C. Grands-Echézeaux」のワインが造られます。 残りの畑は、プルミエ・クリュ畑と村名ワイン畑となりますが、これらの畑で造られるワインはそれぞれ「A.O.C. Vosne-Romanée Premier Cru」と「A.O.C. Vosne-Romanée」となり、フラジェ・エシェゾー村の名前が使われることはありません。 それでは、ここでヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑の分布を見てみたいと思います。 これを見ると、ヴォーヌ・ロマネ村のブドウ畑は、フラジ...
ヴェレゾン(véraison)(=色づき)はブドウ育成のライフサイクルにとって大きな転換点です。
これを機にブドウの果実の成熟が始まり、適切なタイミングで収穫がはじまります。
ブドウのライフサイクルは、JSA試験、WSET試験のどちらにも含まれる内容ですが、今回はWSETのテキストを中心にヴェレゾンの特徴をまとめてみました。
(関連記事:JSA酒類飲料概論1-2の感想(ブドウの生育サイクルと栽培作業など))
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ヴェレゾンとは...
・ヴェレゾンは、果実が熟し始める時期。
・ヴェレゾンは、結実後、6~8週間後に起こる。
・ヴェレゾンは、北半球では7月~9月、南半球では1月~3月に起こる
・ヴェレゾンの時期になるとブドウの果皮が色づいてくる。黒ブドウ品種は赤くなってから紫になる。白ブドウ品種は半透明で金色になる。
・ヴェレゾン以降、ブドウが成熟するにつれて、糖度は上がり、酸度が下がる。
・ヴェレゾン以降には、ブドウに典型的な風味が発達し、ブドウの果皮のタンニンの苦みと渋味が少なくなってくる。
Véraison is...
・Véraison is the point at which the grapes begin to ripen.
・Véraison occurs 6-8 weeks after the fruit is set.
・Véraison is July-September in the Northern Hemisphere, and January-March in the Southern Hemisphere.
・Véraison is signalled by a change in colour of the grapes' skins; black varieties turn red, then purple whereas white varieties become translucent and golden.
・(After véraison) As the grapes ripen, sugar levels rise and acid levels drop.
・At this time (after véraison), grapes develop their signature flavours and the tannins in the skins of the grapes become less bitter and astringent.
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ヴェレゾン(véraison)の後、ブドウ樹は、成熟(maturité; マチュリテ) → 収穫(vendange; ヴァンダンジュ)という流れをたどります。
ヴェレゾン(véraison)から成熟までは、およそ40日と言われていますが、収穫の時期は糖度と酸度のバランスが最適なタイミングで行われるそうです。
一般に、温暖な気候では、ブドウの成熟とともに酸度が急激に落ちるために収穫は早めに行われる一方で、冷涼な気候では酸度を許容可能なレベルまで下げるために収穫はできる限り先延ばしにされるそようです。
また、糖度-酸度のバランスに加えて、タンニンや、風味の熟成も考慮されて、生産されるワインのスタイルと品質にあったタイミングで収穫が行われます。
多くのワイン醸造家は、実際に果実を噛んで、糖と酸のバランス、タンニンが渋すぎないか、種が緑から茶色に変わっているかなどを見て、収穫に取り掛かりそうです。
そういえば、この映画にもそのようなシーンがありました。