タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>
ユーカリの香りは、数多くのオーストラリアの赤ワインが持っていると言われています。
私がユーカリの香りに出会ったのは、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験対策で出題された「南オーストラリア バロッサヴァレーのシラーズ」でした。
しかし当時は、講師から「ユーカリの香りがする」と説明されても、実際にどのような香りなのか全く分かりませんでした。
そこで、ここで改めていくつかのサイトを調べてユーカリの香りをまとめてみました。
【ユーカリ(Eucalyptus)の香りとは?】
----------------------------------------------------------------------------------・ユーカリの香りは「スパイスのような」「ミントのような」香りで、オーストラリアのに生えるゴムの木を思い起こさせる香りである。
・ユーカリの香りの由来は、「シネオール(cineole)」という化合物である、「オイカリプトール(eucalyptol)」とも言われている。
・シネオールの香りは、「フレッシュな」、「クールな」、「薬のような」、「樟脳のような」香りと言われる。
・ユーカリの香りは、通常、ユーカリの木々に囲まれたブドウ畑で造られたオーストラリアワイン(特に、カベルネソーヴィニヨンやシラーズ)で見つかる。
・ユーカリの香りは、オーストラリアワイン以外にも、アルゼンチンのカベルネフラン、カリフォルニアのジンファンデルなどでも見つかる。
・暖かい気候では、ブドウ畑の近くに生えているユーカリの木々から揮発性の高いユーカリオイルが放出され、それが蒸発し、空気注を通ってブドウ果実の表面にたどり着くと言われている。ユーカリの香りは赤ワインでより顕著であると言われているが、それは、赤ワインの発酵は果皮を接触した状態で行われ、ユーカリオイルが果皮からより多く抽出されるためである。
・ユーカリの木々に近いブドウ畑ではこの香り物質が見つかる可能性が高く、より強いユーカリの香りを持つ。
・しかし一方で、「ユーカリ」の香りはユーカリの木の栽培地から離れた畑でも造られてることがあるためにシネオール(オイカリプトール)はブドウに含まれる前駆体から発生するという主張もある。
(source) https://www.awri.com.au/industry_support/winemaking_resources/sensory_assessment/recognition-of-wine-faults-and-taints/wine_faults
(source) https://www.decanter.com/learn/advice/understand-tasting-notes-decoded-344920/
(source) http://socialvignerons.com/2018/05/08/top-100-aromas-in-wine-a-to-z/
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ユーカリの香りは、オーストラリアの赤ワインに多い香りで、実際のユーカリの木が放つ香り成分がブドウに吸着することによってこの香りを帯びるようです。オーストラリア以外のワインでもこのような香りをもつワインは、近くにユーカリの香りを放つ樹木が栽培されていることが多いそうです。
また、ワイン中のユーカリの香りはミントの香りに近いようです。
実際、JSAソムリエ・ワインエキスパートの赤ワイン用の回答用紙には、「ユーカリ」という香り用語がなかったために、ユーカリの香りを持つワインには香り用語として「メントール」が使われていました。
今度は、ユーカリの香りに近いと言われる「ミント/メントール」の香りについて調べてみました。
【ミント(Mint)の香りとは?】
・ミント(メントール)の香りは、ボルドー、チリ、カリフォルニアのメリテージ、南オーストラリアのクナワラのような涼しいで育ったカベルネソーヴィニヨンなどの品種に共通して見つかる。
・ミントの香りは、アラゴネスやアリカンテブーシェのような品種でも見つかる。
・ミントの香りは、ユーカリの香りとは異なり、ワインに含まれるピペリトン(piperitone)という化合物に由来すると言われている。この化合物は、自然界ではミントに含まれていることがわかっている。
(source) https://www.decanter.com/learn/advice/understand-tasting-notes-decoded-344920/
(source) https://winefolly.com/tips/33-bizarre-wine-flavors/
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ワイン中のミントの香りは、ユーカリの香りとは原因物質が異なるようで、ユーカリの香りとは区別されているようです。
【ユーカリ(Eucalyptus)の香りを感じるには?】
私は長らくワイン中のユーカリの香りを感じることができなかったのですが、ある時WSETの講義で提供されたワインでこの特徴的な香りを感じることができました。
それは「南オーストラリア クナワラのカベルネソーヴィニヨン」です。
WSETのテキストによれば、
クナワラの「カベルネ・ソーヴィニヨン種で、特徴的なカシスとユーカリあるいはメントールの香りを持ち、凝縮感と骨格のあるワインが生産されている」
と説明されてみました。
一口飲んで、明らかの他の地域のカベルネ・ソーヴィニヨンと異なるスーッとした香りがして、すぐにユーカリやミントの香りであることがわかりました。
いろいろなワインを飲んでもユーカリの香りを感じられない場合は、「クナワラのカベルネ・ソーヴィニヨン」を試してみることをお勧めします。
先ほどのミントの説明では、「ユーカリとミントの香りは異なる」と説明しましたが、WSETのテキストにおいても同様に扱われているところを見ると、便宜上はあまり区別がされていないように思われます。
ちなみに、WSETではユーカリ(eucalyptus)の香りは、ミント(mint)と同じハーブ(herb)の香りに分類されています。
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