チリのワイン産地は南北に長く広がりますが、地形的な特徴の影響を受けるために、実は南北よりも東西にかけて、気候や土壌の多様性が非常に高いと言われています。 従来の原産地呼称では、この東西にかけてのワインスタイルの特徴の違いが十分に表現されていませんでしたが、2011年から、この問題を解決するための新たな付加的な原産地呼称が加えられました。 それが、「コスタ(Costa)」、「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」、「アンデス(Andes)」の3つです。 これは従来の原産地呼称に付加的に加えられるもので、例えば「Aconcagua」で造られたワインに対して、「Aconcagua Costa」、「Aconcagua Entre Cordilleras」、「Aconcagua Andes」のようにラベルに表記されるようです。 上図のように、「コスタ」は海の影響を受ける地域、「アンデス」はアンデス山脈の影響を受ける地域、そして「エントレ・コルディリェラス」はその間の地域を表します。 この新たな原産地呼称の仕組み自体はシンプルなのですが、それぞれの名前、特に「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」を覚えるのが厄介です。 そこで、これを覚えるための語呂合わせを考えてみました。 エントレ・コルディリェラスは少し苦しいですが、英語のスペルも覚えられるように、それに合わせた語呂合わせにしてみました。 <了>
ユーカリの香りは、数多くのオーストラリアの赤ワインが持っていると言われています。
私がユーカリの香りに出会ったのは、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験対策で出題された「南オーストラリア バロッサヴァレーのシラーズ」でした。
しかし当時は、講師から「ユーカリの香りがする」と説明されても、実際にどのような香りなのか全く分かりませんでした。
そこで、ここで改めていくつかのサイトを調べてユーカリの香りをまとめてみました。
【ユーカリ(Eucalyptus)の香りとは?】
----------------------------------------------------------------------------------・ユーカリの香りは「スパイスのような」「ミントのような」香りで、オーストラリアのに生えるゴムの木を思い起こさせる香りである。
・ユーカリの香りの由来は、「シネオール(cineole)」という化合物である、「オイカリプトール(eucalyptol)」とも言われている。
・シネオールの香りは、「フレッシュな」、「クールな」、「薬のような」、「樟脳のような」香りと言われる。
・ユーカリの香りは、通常、ユーカリの木々に囲まれたブドウ畑で造られたオーストラリアワイン(特に、カベルネソーヴィニヨンやシラーズ)で見つかる。
・ユーカリの香りは、オーストラリアワイン以外にも、アルゼンチンのカベルネフラン、カリフォルニアのジンファンデルなどでも見つかる。
・暖かい気候では、ブドウ畑の近くに生えているユーカリの木々から揮発性の高いユーカリオイルが放出され、それが蒸発し、空気注を通ってブドウ果実の表面にたどり着くと言われている。ユーカリの香りは赤ワインでより顕著であると言われているが、それは、赤ワインの発酵は果皮を接触した状態で行われ、ユーカリオイルが果皮からより多く抽出されるためである。
・ユーカリの木々に近いブドウ畑ではこの香り物質が見つかる可能性が高く、より強いユーカリの香りを持つ。
・しかし一方で、「ユーカリ」の香りはユーカリの木の栽培地から離れた畑でも造られてることがあるためにシネオール(オイカリプトール)はブドウに含まれる前駆体から発生するという主張もある。
(source) https://www.awri.com.au/industry_support/winemaking_resources/sensory_assessment/recognition-of-wine-faults-and-taints/wine_faults
(source) https://www.decanter.com/learn/advice/understand-tasting-notes-decoded-344920/
(source) http://socialvignerons.com/2018/05/08/top-100-aromas-in-wine-a-to-z/
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ユーカリの香りは、オーストラリアの赤ワインに多い香りで、実際のユーカリの木が放つ香り成分がブドウに吸着することによってこの香りを帯びるようです。オーストラリア以外のワインでもこのような香りをもつワインは、近くにユーカリの香りを放つ樹木が栽培されていることが多いそうです。
また、ワイン中のユーカリの香りはミントの香りに近いようです。
実際、JSAソムリエ・ワインエキスパートの赤ワイン用の回答用紙には、「ユーカリ」という香り用語がなかったために、ユーカリの香りを持つワインには香り用語として「メントール」が使われていました。
今度は、ユーカリの香りに近いと言われる「ミント/メントール」の香りについて調べてみました。
【ミント(Mint)の香りとは?】
・ミント(メントール)の香りは、ボルドー、チリ、カリフォルニアのメリテージ、南オーストラリアのクナワラのような涼しいで育ったカベルネソーヴィニヨンなどの品種に共通して見つかる。
・ミントの香りは、アラゴネスやアリカンテブーシェのような品種でも見つかる。
・ミントの香りは、ユーカリの香りとは異なり、ワインに含まれるピペリトン(piperitone)という化合物に由来すると言われている。この化合物は、自然界ではミントに含まれていることがわかっている。
(source) https://www.decanter.com/learn/advice/understand-tasting-notes-decoded-344920/
(source) https://winefolly.com/tips/33-bizarre-wine-flavors/
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ワイン中のミントの香りは、ユーカリの香りとは原因物質が異なるようで、ユーカリの香りとは区別されているようです。
【ユーカリ(Eucalyptus)の香りを感じるには?】
私は長らくワイン中のユーカリの香りを感じることができなかったのですが、ある時WSETの講義で提供されたワインでこの特徴的な香りを感じることができました。
それは「南オーストラリア クナワラのカベルネソーヴィニヨン」です。
WSETのテキストによれば、
クナワラの「カベルネ・ソーヴィニヨン種で、特徴的なカシスとユーカリあるいはメントールの香りを持ち、凝縮感と骨格のあるワインが生産されている」
と説明されてみました。
一口飲んで、明らかの他の地域のカベルネ・ソーヴィニヨンと異なるスーッとした香りがして、すぐにユーカリやミントの香りであることがわかりました。
いろいろなワインを飲んでもユーカリの香りを感じられない場合は、「クナワラのカベルネ・ソーヴィニヨン」を試してみることをお勧めします。
先ほどのミントの説明では、「ユーカリとミントの香りは異なる」と説明しましたが、WSETのテキストにおいても同様に扱われているところを見ると、便宜上はあまり区別がされていないように思われます。
ちなみに、WSETではユーカリ(eucalyptus)の香りは、ミント(mint)と同じハーブ(herb)の香りに分類されています。
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