チリのワイン産地は南北に長く広がりますが、地形的な特徴の影響を受けるために、実は南北よりも東西にかけて、気候や土壌の多様性が非常に高いと言われています。 従来の原産地呼称では、この東西にかけてのワインスタイルの特徴の違いが十分に表現されていませんでしたが、2011年から、この問題を解決するための新たな付加的な原産地呼称が加えられました。 それが、「コスタ(Costa)」、「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」、「アンデス(Andes)」の3つです。 これは従来の原産地呼称に付加的に加えられるもので、例えば「Aconcagua」で造られたワインに対して、「Aconcagua Costa」、「Aconcagua Entre Cordilleras」、「Aconcagua Andes」のようにラベルに表記されるようです。 上図のように、「コスタ」は海の影響を受ける地域、「アンデス」はアンデス山脈の影響を受ける地域、そして「エントレ・コルディリェラス」はその間の地域を表します。 この新たな原産地呼称の仕組み自体はシンプルなのですが、それぞれの名前、特に「エントレ・コルディリェラス(Entre Cordilleras)」を覚えるのが厄介です。 そこで、これを覚えるための語呂合わせを考えてみました。 エントレ・コルディリェラスは少し苦しいですが、英語のスペルも覚えられるように、それに合わせた語呂合わせにしてみました。 <了>
シャンパーニュ(Champagne)は、フランスの主要なワイン産地の中ではもっとも北に位置するもっとも冷涼な地域の1つです。
シャンパーニュも含め、このような冷涼な地域の多くでは、スパークリングワインが製造されています。
私はこのような地域は、一般のスティルワインが造れないから消去法的にスパークリングワインを造っているものとばかり思っていました。
しかし、実際は、このようなブドウ栽培が困難と思われる地域こそ、スパークリングワインの生産に理想的な土地なのだそうです。
シャンパーニュがスパークリングワインに適している理由
シャンパーニュ地方は冷涼な大陸性気候です。そのため、この地域では最も温暖な年でさえ、ブドウの糖度は極めて低いままで、酸度は非常に高くなります。しかし、一方でブドウはしっかりと熟し、糖度と酸度の変化とともに、ゆっくりとブドウの風味も変化し、青臭い草の特徴はなくなります。
スパークリングワイン用のブドウ栽培で必要な条件は、スティルワイン(非発泡性ワイン)で求められるものとは異なります。
条件の1つ目は、「糖度が低くなければならない」ということです。シャンパーニュの製造ではワインの発泡化のために二次発酵が行われますが、この工程では同時にアルコール度が1.2~1.3%上昇します。そのため、二次発酵前のベースとなる辛口ワインは、10~11%程度のアルコール度の低いワインでなくてはなりません。(スパークリングワインは、同じアルコール度数のスティルワインよりもアルコールが強く感じられるため、高アルコールは適しません)
条件の2つ目は、スパークリングワインでは「高い酸度」が望ましいということです。高い酸度によって、すっきりしたスタイルのワインが造られます。
条件の3つ目は、「ブドウが十分に熟している」ことです。糖度が低いブドウでも、ブドウが十分に熟していない場合には、ワインに青い草の特徴が残ります。スパークリングワインでは、ワインの特徴が増幅されるため、青い草の香りはスティルワインよりも強く感じられてしまい、好まれません。
温暖な地域でこのような特徴を持つワインを造ろうとした場合、唯一できる方法は、糖度と酸度が適切なレベルで早めにブドウを摘むことですが、ブドウが完熟しきっていないせいで青い草の香りが残ってしまいます。
このように、シャンパーニュのような冷涼な気候は、上質のスパークリングワインのブドウ栽培に非常に適しています。
さらに、シャンパーニュ地方のチョーク質土壌もブドウ栽培に適しています。チョーク質の土壌はは、暴風雨の後の水はけがよく、乾燥している時期には十分な水を貯えることができます。
シャンパーニュの生産地区
シャンパーニュ地方には、主要なブドウ栽培地が集中する5地区があります。生産の中心地であるランス(Remin)とエペルネ(Épernay)の近くには、もっとも有名な3地区である「モンターニュ・ドゥ・ランス(Montagne de Reims)」、「ヴァレ・ドゥ・ラ・マルヌ(Vallée de la Marne)」、「コート・デ・ブラン(Côte des Blancs)」があります。さらにエペルネの南約30㎞には「コート・ドゥ・セザンヌ(Côte de Sézanne)」、エペルネの南東から100㎞以上離れた場所に「コート・デ・バール(Côte des Bar)」があります。コート・デ・バールはブルゴーニュに近く、すぐ南西にはシャブリ地区があります。
各生産地区の主要品種とその特徴
モンターニュ・ドゥ・ランスとコート・デ・バールでは主に「ピノ・ノワール」、コート・デ・ブランとコート・ドゥ・セザンヌでは主に「シャルドネ」が、ヴァレ・ドゥ・ラ・マルヌでは主に「ムニエ(Meunier)」が栽培されています。
ヴァレ・ドゥ・ラ・マルヌ地区にはムニエ種が広く栽培されている理由は、萌芽が遅いムニエ種はこの地区に頻発する春の遅霜の害を防ぐことができるためです。
シャンパーニュの生産には主に、この3品種が使われていますが、それぞれは異なる特徴をブレンドに与えます。
ピノ・ノワールは、「ボディ、骨格、赤系果実の風味」を加えます。
ムニエは、「果実風味」を与えます。
そして、シャルドネは、「高い酸味と、花や柑橘系の風味」を呈します。
グラン・クリュの村とその暗記法
シャンパーニュ地方でスパークリングワインを造る原産地呼称は、シャンパーニュAOCの1つだけです。グラン・クリュ、プルミエ・クリュという名称は特定の村に与えられていますが、これらには個別の原産地呼称はありません。しかし、グラン・クリュの村のブドウだけで造ったシャンパーニュや、プルミエ・クリュの村のブドウを一定の割合含んだものには"Grand Cru"や"Premier Cru"をラベルに表示することが認められています。
グラン・クリュの村は、もっとも有名な3地区である「モンターニュ・ドゥ・ランス」、「ヴァレ・ドゥ・ラ・マルヌ」、「コート・デ・ブラン」に集中しています。
ここからは余談ですが、JSA試験では、どの村がどの地区に属しているのかがよく問われます。この手の問題には攻略法があります。それは、数の少ない「ヴァレ・ドゥ・ラ・マルヌ」と「コート・デ・ブラン」のみ覚えてしまうというもの。それぞれ、2村、6村と大した数は無いので、「モンターニュ・ドゥ・ランス」の村を覚えるよりはずっと簡単です。
さらに、「コート・デ・ブラン」は、アヴィーズさえ覚えてしまえば、残りは頭文字がCとOだけと覚えておけば簡単です(「白いAVおじさん、シュークリームで終わり」のような語呂合わせもあったような気がします)。その他の2地区のグラン・クリュで、CやOから始まる村はありません。
これもJSA試験対策ですが、グラン・クリュの村の数を覚えておくと何かと便利です。内訳は北から「17=9+2+6」です。
私はこれも語呂合わせで、「柔軟(17)に覚えるのは急に無理(9、2、6)」と覚えました。
(関連記事:JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法)
シャンパーニュの製造工程
シャンパーニュにおいてもう1つ重要なことは、その製造方法です。シャンパーニュは伝統的製法を使って製造されます。
<シャンパーニュの製法>
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Vendange(ヴァンダンジュ)収穫 ※手摘み
↓
Pressurage(プレスラージュ)圧搾 ※最初の果汁のcuvéeと残りのtaille
↓
Première Fermentation(プルミエール・フェルマンタシオン)一次発酵(アルコール発酵)
↓
Assemblage(アサンブラージュ)調合 ※前年まで貯蔵ワインvins de Réserveなどを使用
↓
Tirage(ティラージュ)瓶詰 ※Liqueur de Tirageを添加
↓
Deuxième
Fermentation en Bouteille(ドゥジェム・フェルマンタシオン・アン・ブテイユ)瓶内二次発酵
↓
Maturation sur lie(マチュラシオン・シュール・リー)澱とともに熟成 ※non-vintage15ヵ月、vintage36ヵ月
↓
Mise sur pointe (ミズ・シュール・ポワント)倒立
↓
Remuage(ルミアージュ)動瓶 ※Pupitre(澱下げ台)、Gyropaletteを使用
↓
Dégorgement(デゴルジュマン)澱引き
↓
Dosage(ドザージュ)甘味調整 ※Liqueur d’Expédition
↓
Bouchage(ブシャージュ)打栓
↓
Étiquetage(エティクタージュ)ラベル貼り
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(関連記事:絵で見るスパークリングワインの製造工程(伝統的製法))