タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>
Marsala(マルサーラ/マルサラ)と言えば、イタリアはシチリアで造られる酒精強化ワインです。
JSAの教本でも紹介されていたワインで、次のように説明されていました。
<Marsala(マルサーラ/マルサラ)の特徴>
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・シチリア島西端で造られる酒精強化ワイン(フォーティファイド・ワイン)のDOC
・1773年、イギリス人ジョン・ウッドハウスがシチリアで生産
・アルコール度17~18%
・使用ブドウ品種:
白(オーロ、アンブラ):グリッロ、カタラット
赤(ルビーノ):ピニャテッロ、ネレッロ・マスカレーゼ
・色による分類:
oro(オーロ):黄金色
ambra(アンブラ):琥珀色
rubino(ルビーノ):ルビー色
・甘さによる分類
secco:40g/ℓ以下
semisecco:40-100g/ℓ
dolce:100g/ℓ以上
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歴史や、分類などを中心に説明をしているところがとてもJSAらしいのですが、いったいどんな特徴のあるワインで、どんな製法で造られるのかがずっと疑問のままでした。
しかし、最近やっと造り方に関する記述を見つけることができました。まとめると次のような内容です:
<Marsala(マルサーラ/マルサラ)の製法など>
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・ポートワインと同じく、発酵中にブランデーを加えて発酵を止める製法で造られる。
・甘口ワインにする場合は、発酵初期にブランデーを加え、よりドライスタイルにする場合は発酵後期に加える。
・シェリーと同じくソレラシステムで熟成される。
・ソレラでの熟成の長さによって次のように分類される
Marsala Fine(マルサーラ・フィーネ):1年
Marsala Superiore(マルサーラ・スペリオーレ):2年
Marsala Superiore Riserva(マルサーラ・スペリオーレ・リゼルヴァ):4年
Marsala Vergine(マルサーラ・ヴェルジネ):5年
・料理酒として有名(ティラミスにも使われる!)だが、酒精強化ワインとして優れたマルサーラもある。
・近代的な温度、酸素管理手法を用いて、最近は高品質のより軽めワインも造られている。
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ポートワインと同じくミュータージュ(発酵の停止)を使い、シェリーと同様にソレラシステムを使うというと、何となく身近なものに感じられます。
Marsala(マルサーラ/マルサラ)は、シェリー、ポート、マデイラなどの他の酒精強化ワインと比べるとマイナー感が強くなかなか製法に関する情報が見つからないので、このような情報はとても参考になりました。
今回の記事はこちらの書籍を参考にしています:
マルサラ辛口、甘口:
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