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ワイン名称に出てくるフランス語の「Côte」と「Coteaux」の違いとは?

 タイトルの通り、ワインの名称に出てくる 「Côte」 と 「Coteaux」 は非常に紛らわしい言葉です。 両者ともに丘陵地や斜面を表す言葉ですが、「Côte」は 「コート」 、「Coteaux」は 「コトー」 と表記されることが多いようです。 「Côte」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Côtes du Rhône (コート・デュ・ローヌ) ・Côtes de Provence (コート・ド・プロヴァンス) 一方で、 「Coteaux」 を含んだワイン名の例としては次のようなものがあります: ・Coteaux Champenois (コトー・シャンプノワ) ・Coteaux Bourguignons (コトー・ブルギニヨン) この2つの言葉の違いを調べてみましたが、どうやら 「Côte」 の方が狭い、特定の丘陵地・斜面を表し、 「Coteaux」 は比較的広い地域を表し、複数の丘陵地・斜面を表すことが多いようです。 例えば、 「Côtes du Rhône 」 はローヌ川沿いにある斜面という特定の地域のブドウ畑から造られたワインを示しています。一方で、 「Coteaux Champenois」 は、シャンパーニュ地方にある広範囲の数々の丘陵地から造られたワインを指しているようです。 詳しいことはそこまでよくわかりませんが、 ・「Côte」 → 狭い、特定のエリア ・「Coteaux」 → 広い、包括的なエリア のような使われ方のようです。 ちなみに、プロヴァンス地方のロゼワインのAOCでは、広さにそんなに違いがないにも関わらず「Côte」と「Coteaux」 の名が付くAOCが入り混じっています。 「Côte」と「Coteaux」 のどちらが含まれるのかは、必ずしも広さだけでは決まらないようです。 <了>

アルザスの自然要因(栽培環境)と、そのブドウ栽培への影響



アルザスは、非常に特徴的な自然要因を持つワイン産地です。

私がこの地域を学んで驚いたことは、ワイン産地としてはかなり北側(北緯48度くらい)に位置するにも関わらず、ヴァンダンジュ・タルディブ(Vendanges Tardives)やセレクション・ド・グラン・ノーブル(Sélection de Grains Nobles)のような非常に糖度の高いワインを造れることでした。

これもアルザスが、年間を通して降水量が非常に少なく、日照時間が長く、ブドウ栽培に非常に適した自然要因を持っていることが大きな理由だと思います。

アルザスの自然要因と、そのブドウ栽培における影響をまとめてみました。



<アルザスの自然要因>

アルザスは、比較的冷涼な地域であり、ヴォージュ山脈が天候やブドウ畑の環境に大きな影響を与えています。



1.冷涼から温和な大陸性気候

アルザスの気候は、冷涼~温和な大陸性気候です。そのため、「春の霜害」、「開花~結実の期間の雨による育成不良」、「果実の成熟不良」、「収穫期の雨」などのリスクがあります。


2.非常に乾燥している

アルザスでは、ヴォージュ(Vosges)山脈が雨混じり偏西風からブドウ畑を保護していて、雲が少ないため、夏は晴れの日が多く、秋は乾燥しています。このため、ブドウは非常に高い糖度に達し、ヴァンダンジュ・タルディブ(Vendanges Tardives)のようなパスリヤージュ(樹上乾燥)ワインを造ることもできます。その反面、乾燥した年には渇水が問題になることもあるようです。


3.優良な畑は急斜面

アルザスでは優良な畑は東あるいは東南向きの急斜面に位置します。斜面に植栽されたブドウ樹は、長い日照時間を確保することができ、またその列は日照を最大限に受けられる向きに仕立てられます。また急斜面には石が多いため放射熱を受けやすく、その熱を最大限に受けられるようにブドウ樹は低く仕立てられます。

一方で、より質の落ちる畑は、よりライン川よりの平野に位置し、ここでは急斜面ほどの日照も放射熱も受けられません。また、春の霜害を最小限にするためにブドウ樹は斜面とは異なり高く仕立てられます。ここで栽培されるブドウは、この地方の発泡性ワインであるクレマン・ダルザス(Crémant d'Alsace)の生産に多く使われます。


4.土壌は多様性に富む

ヴォージュ山麓のブドウ栽培地の土壌は非常に多様性に富んでいます。この地質的な複雑さが、この地方で産出されるワインのスタイルに幅広さをもたらす重要な要因となっています。




<アルザスのワイン醸造の特徴>

アルザスワインの特徴は、アロマティック品種を使った単一品種のワインであるということです。そのため、ブドウの風味(第1の香り)を活かしたワイン醸造が行われます。

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・大半のワインは単一品種のブドウで造られる。(ブレンドワインは低価格で、エデルツヴィッカー(Edelzwicker)もしくはジャンティ(Genti)などと表示される)

・使われる品種のうちもっとも重要なものは「貴品種(noble varieties)」と呼ばれる、リースリング種、ゲヴュルツトラミネール種、ピノ・グリ種、ミュスカ種である。

・アルザスの大部分のブドウ品種はアロマティック品種であるため、ワイン醸造はブドウの香りと風味を保持することが主体となる。

・最良のワインは伝統的に辛口である。(ヴァンダンジュ・タルディブとセレクション・ド・グラン・ノーブルを除く)

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アルザスワインの伝統的な生産者は、100年以上経っていることの多い大きなオークの古樽でワインを発酵させますが、オーク樽の内側には厚い酒石の層ができていて、木質がワインに影響を及ぼすことはないそうです。

このため、アロマティック品種のブドウの香りと風味は保持されます。





<アルザスの原産地呼称と格付け>

アルザスの原産地呼称は、フランスの他の地域に比べて非常にシンプルです。

スティルワイン(非発泡ワイン)には、「アルザス(Alsace)」「アルザス・グラン・クリュ(Alsace Grand Cru)」の2つがあり、これに発泡ワインの「クレマン・ダルザス(Crémant d'Alsace)」が加わるだけです。





アルザス・グラン・クリュAOCのワインは、基本的には単一の貴品種で生産しなければならないために、造られるワインは全て白ワインです。アルザス・グラン・クリュAOCは、リュ―ディー(lieux-dit)と呼ばれる指定された51区画で造られています。

アルザスAOCは、アルザスのワインの大半を占めます。貴品種以外の品種から造ったワインや、エデルツヴィッカー(Edelzwicker)もしくはジャンティ(Genti)と呼ばれるブレンドワインも認められています。

クレマン・ダルザスは、伝統的手法により製造され、ワインは最低9か月間、澱と接触した状態で熟成されます。ゲヴュルツトラミネール種やミュスカ種の使用は認められておらず、その代わり、シャルドネの利用が認められてます。

ヴァンダンジュ・タルディブ(Vendanges Tardives)セレクション・ド・グラン・ノーブル(Sélection de Grains Nobles)はブドウと糖度の成熟度によって決まる格付けで、アルザス・グラン・クリュAOCおよびアルザスAOCのどちらのワインでも申請ができます。



<アルザス・グラン・クリュの例外>

アルザス・グラン・クリュAOCのワインは、それぞれが独自のグラン・クリュの原産地呼称をもつ51の畑(リュ―ディー)から造られています。このワインは単一の貴品種(リースリング、ミュスカ、ゲヴュルツトラミネール、ピノグリ)で生産されなければなりませんが、中には例外の畑(リュ―ディー)もあります。

試験などでよく出題される例外の畑(リュ―ディー)をまとめてみました。




ゾッツェンベルク(Zotzenberg)
シルヴァネール(Sylvaner)の使用が認められている。(ミュスカ Muscatの代わり
・しかし、同じくアルザス主要品種のピノ・ブラン(Pinot Blanc)の使用は認められていない


アルテンベルク・ド・ベルクハイム(Altenberg de Bergheim)
ブレンドが認められている


ケフェルコプフ(Kaefferkopf)
ブレンドが認められている
・2007年に追加された最新の畑(リュ―ティー)



JSAソムリエ・ワインエキスパート試験では、次のような語呂合わせを使って覚えました。



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ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリットの整理

 ワイン用のブドウ栽培では、多くのブドウ樹が棚付けされて管理されています。 棚付けとは、ブドウ棚を使用して毎年成長するブドウの枝葉を支持するブドウ樹の管理方法です。 ブドウ棚は下図のような、支柱と針金からなる常設の構造物を指します。 そして、ブドウの樹の棚付けの方法として最も広く使われている方法が 「垣根仕立て(VSP = Vertical Shoot Positioning)」 です。 垣根仕立てがあまりに一般的なので、個人的には、ついつい「棚付けのブドウ樹 = 垣根仕立て」と混同しがちです。 そこで整理のために、ブドウ樹の棚付けと、垣根仕立て(VSP)のメリット、デメリットをそれぞれまとめてみました。 棚付けしたブドウ畑(樹)のメリット・デメリット 棚付けの最大のメリットは、キャノピー・マネジメント(樹冠管理)が容易になることです。キャノピーとは、ブドウ樹で毎年成長する緑色の枝葉を指します(一般的に、長年にわたり固定されているコルドンは含まないと思います)。 そして、キャノピー・マネジメントのメリットとしては、「日照量」、「通気」、「機械化」の3つが挙げられます。 日照量のコントロールは、葉陰を減らすことによる日照量の最大化や、反対に葉陰を増やすことによる果実の日焼け対策が含まれます。 通気の管理は、特に雨や湿気の多い地域で重要であり、カビなどの菌類病のリスクを減らします。 また、適切なキャノピー・マネジメントにより、樹の特定の部分に果実や葉がくるようにしておくことは、畑への機械の導入を促します。これにより、作業の効率化を図ることができます。 一方で、棚付けのデメリットとしては、ブドウ棚設置のための初期費用と、それらを維持管理するための費用や手間があげられます。 ブドウ棚は、急斜面では利用できないこともデメリットの1つです。北ローヌなどの急斜面が多い畑では、ブドウ棚の代わりに支柱のみを用いた棒仕立てなどが用いられます。 (関連記事: 棒仕立て、ミストラル、混醸... ローヌ川流域北部のブドウ栽培とワイン造り ) 垣根仕立て(VSP)のメリット・デメリット 垣根仕立て(VSP)のメリットは、ブドウ樹の樹勢が一定以下の場合に、キャノピー・マネジメントがしやすいことと言われます。 したがってそのような場合には、「日照量のコントロール」、「通気の確保」、「作業の...

サントル・ニヴェルネ地区(ロワール)のAOCの覚え方【語呂合わせ】

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ソムリエ・ワインエキスパート試験で苦労をした年号の覚え方

WSETと比較をしてみると、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験で特徴的な部分は、ワインに関する歴史が問われることでした。 (関連記事: WSETレベル3とJSAソムリエ・ワインエキスパート資格の違い、どちらがおすすめ? ) ワインやワイン産地には興味があるんですが、正直、ワインの歴史にはそこまで興味を持てませんでした。ワイン愛好家にとって重要なことは、おいしいワインを見つけることや、おいしいワインを飲むことであり、ワインがどんな歴史をたどってきたかなんて近代を除いてそんなに重要なことではないと思えるからです。 「歴史なんか覚えて、何の役に立つの?」正直こんな気持ちでした。 だから、いざ覚えようと思っても、興味のないことはなかなか覚えられません。ワインの色などは語呂合わせを駆使して覚えてきたのですが、年号関連は語呂を作っても同じような語呂ばかりになってしまい、この方法もあまり役に立ちませんでした。 そこで始めたのが、正確な年号を覚えるのはとりあえず置いておいて、年号の順番を覚えるというやり方。特定のトピックにおいて、関連した年号を1つの図にまとめていくと、何となく時代背景が見えてきて、少しずつ頭に入ってくるような気がします。さらに、キーとなる年号だけ覚えておけばその前後関係を覚えておくだけで、JSAソムリエ・ワインエキスパート試験は4択なので十分対応可能だと思いました。 例えば原産地管理法の年号は、ヨーロッパ→北米・南ア→南米・豪州→NZ・日本のように広まっていくのがわかります。 また、ブドウの伝来もヨーロッパ→南米→アメリカ・南ア→豪州→NZ→日本のように広がっています。 そして、日本も長野・山梨から始まり、北海道や山形に広がっていくのがわかります。 正確な年号を語呂合わせで覚えるよりも、こちらの方が時代背景がわかるので後々役に立つ知識になるとおもいました。 このような類似のトピックで情報を1つの図にまとめていくやり方は、その他覚えにくい生産量のデータや、気候区分を覚えるのにも役に立ちました。単なる数字を覚えるよりもずっと楽に暗記ができました。 例えば、フランス各地の栽培面積とワイン生産量。 そして、各地の気候区分。 試験中に具体的な数字が浮かばなくても、なんどなくこれらの図が頭に浮か...

ブドウ樹の仕立て、剪定とは?短梢剪定、長梢更新剪定とは?

ブドウ樹は、その土地に合わせて様々な形をしています。このブドウ樹の形は「仕立て」と呼ばれ、休眠期の剪定によって整えられます。 例えば、ボルドーやブルゴーニュでは針金と柱を用いて枝を地面と垂直方向に伸ばす「垣根仕立て」が多く採用されています。 一方で日本では、ブドウや葉を棚の天面に広げる棚仕立て(Pergola ペルゴラ)が多く採用されています。 このような仕立てや選定は、気温、日照、水、土壌の栄養分などのブドウ樹が必要とする要素や、ブドウ畑の機械の使用などを考慮して、そのブドウ畑に最適なものが選ばれます。 WSETレベル3では、この「仕立て」、「剪定」について比較的しっかりと学ぶのですが、ブドウ畑に馴染みのない私にとっては少し理解が難しい部分でした。 特に私が混乱してしまったのは、「仕立て(training)」と「剪定(pruning)」の違いでした。両者はお互いに深い関係があり、テキストの説明だけでは直感的にわかりにくかったので、個人的に図などを利用してまとめてみました。 (関連記事:t rellis の意味 | 英語ワイン書籍に出てくる英単語 ) <仕立てと剪定の違い> WSETテキストによれば「仕立て」と「剪定」は次のように説明されています。 「ブドウ樹の整枝・仕立てとは一般に株の形状のことをいい、大きく分けて、株仕立てとコルドン仕立ての二つに分類できる。」(株…ブドウ樹で一年以上経っている木質部のこと) 「剪定とは、冬または生育期間中に、望ましくない葉や長梢、株を除去することである。剪定によって樹の形が決まり、大きさが制限される。」 つまり、仕立てとは「ブドウ樹の形」を意味し、剪定とはその「ブドウ樹の形をつくるための作業」ということになります。 <仕立てと剪定の種類> 「仕立て」は株(一年以上経っている木質部)の形によって大きく「株仕立て(head training)」と「コルドン仕立て(cordon training)」の二つに分類ができるようです。 「株仕立て」は株の部分が比較的小さいのに対して、「コルドン仕立て」はコルドンと呼ばれる腕枝があるのが特徴です。コルドンは通常1~2本ですが、4本以上のコルドンを持つ「大木仕立て(big vine)」と呼ばれるものもあるようです。 ...

パロ・コルタド・シェリーとは?アモンティリャードとオロロソとの製法の違いを調べてみた

JSA試験、WSET試験を通して酒精強化ワインであるシェリー(Sherry)を学んできましたが、ずっと疑問に思っていたことがありました。 それは、「 パロ・コルタド・シェリーとは何なのか? 」です。 シェリーとは、スペイン・アンダルシア州カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺地域で生産される酒精強化ワインのことで、ポート・ワイン(ポルトガル)、マデイラ・ワイン(ポルトガル)とともに、著名な酒精強化ワインと言われています。 シェリーには、フィノ(Fino)/マンサ二ーリャ(Manzanilla)、オロロソ(Oloroso)、アモンティリャード(Almontillado)、 パロ・コルタド(Palo Cortado) 、ペドロヒメネス(Pedro Ximenez)など様々な種類があります。 しかし、JSA、WSETどちらのテキストにおいても、 パロ・コルタド に関する記述 はとても少なく、製法に関する記述もなく、漠然とその特徴が書かれているだけでした。 その特徴は、 ・希少であること ・アモンティリャード(Amontillado)の香りを持つが、味はオロロソ(Oloroso)のボディとこくを持つ という2点だけです。 ずっと疑問に思っていたことを解決すべく、製法を中心にパロ・コルタドについて調べてみました。 参考にしたのは、次のサイトです: https://www.sherrynotes.com/sherry-types/palo-cortado/ https://www.sherrynotes.com/2015/background/palo-cortado-mystery/ まずは、パロ・コルタドの発祥から。パロ・コルタドは、もともとフィノとしては不適合として除外された樽からできたそうです。 <パロ・コルタドの発祥> ------------------------------------------------------------------------ ・パロ・コルタドは、もともとフィノ(Fino)の製造から偶然生まれたワインと言われている。 ・フィノシェリーでは、樽での熟成中にフロールと呼ばれる産膜酵母が発生し、フロールのもとで熟成される。しかし、フィノ樽の中には...

クリアンサ、レゼルバ、グランレゼルバとは?スペインワインの熟成規定(最低熟成期間)の私的暗記法

スペインの赤ワインのうち、最良のワインにはほぼ確実にオークを使用した熟成がされていると言われています。白ワインの大半はフレッシュで果実味が豊かなワインと言われていますが、一部のワインではオークを使った熟成が行われ、異なる風味が加えられています。 スペインのワイン法でもワインの熟成表記に関する規定が定められており、最低熟成期間の長さによって、「 クリアンサ(Crianza) 」、「 レゼルバ(Reserva) 」、「 グラン・レゼルバ(Gran Reserva) 」などのカテゴリーが規定されています。 最低熟成期間には、総熟成期間と樽熟成期間があり、総熟成期間は樽熟成期間を含めたトータルの熟成期間を示しています。 いくつかのワイン試験では、この最低熟成期間をワインの種類(赤、白・ロゼ)ごと、カテゴリーごとに覚えなければならないのですが、この数字の羅列を覚えるのはなかなか至難の業です。 そこで、個人的に考えた、このスペインワインの熟成規定の覚え方を紹介したいと思います。 1. 表を年表示にする まずは、数字を覚えやすくするために、表の単位を「月」から「年」に変換します。 まるで囲んだ部分だけ、語呂合わせなどを使って覚えます。 2. 赤ワインの「グラン・レゼルバ」の熟成期間を覚える 赤ワインのグラン・レゼルバの最低熟成期間は、偶然にもクリアンサとレゼルバの最低熟成期間を足し合わせた期間なので、簡単に覚えられます。 3. 白・ロゼワインの「クリアンサ」、「レゼルバ」の最低総熟成期間を覚える 白・ロゼワインにおいて、クリアンサ、レゼルバの最低の総熟成期間は、偶然にも赤ワインの「最低総熟成期間ー最低樽熟成期間」に一致します。これを覚えます。 4. 白・ロゼワインの「グラン・ レゼルバ」の最低総熟成期間を覚える 今までの法則で行くと、「グラン・レゼルバ」の最低の総熟成期間は3.5年が望ましいですが、 実際は4年 です。ここだけ、例外的に 0.5年だけずれる と覚えます。 5. 白・ロゼワインの 最低樽熟成期間を覚える 白・ロゼワインの最低の樽熟成期間は、全て同一の0.5年です。 赤ワインの「クリアンサ」のものと同じと覚えておくと、覚えやすいかもしれません。 最後に、この表を法則とともに覚えておくことで、暗記作業は完了です。 関連記事: スペインの「グラン・レセルバ(Gran Re...

リオハ(スペイン)のサブゾーンの覚え方【語呂合わせ】

 スペインのワイン産地であるリオハには3つのサブゾーンがあります。 「リオハ・アルタ」、「リオハ・アラベサ」、「リオハ・オリエンタル」の3つです。 この3つのサブゾーンの位置関係は、ワイン試験において頻出なのです。 しかしよく位置を間違えてしまうので、個人的に覚え方をまとめてみました。 各サブゾーンはエブロ川に沿って広がりますが、ログローニョの町を境に上流地域と下流地域に分けられます。 上流地域が、「リオハ・アルタ」と「リオハ・アラベサ」、下流地域が「リオハ・オリエンタル」です。下流が東側なので、オリエンタル=東方で覚えやすいと思います。 「リオハ・オリエンタル」は以前は、「リオハ・バハ (Rioja Baja)」と呼ばれていたようです。バハとは「下流」という意味ですが、「低い」というネガティブな意味もあるので「オリエンタル」に名前が改められたようです。 あとは上流にある「リオハ・アルタ」と「リオハ・アラベサ」の位置関係ですが、個人的にはこれを混同しがちです。 エブロ川を挟んで、北部が「リオハ・アラベサ」で、南部が「リオハ・アルタ」です。 「アルタ」は「上流」という意味なので比較的、覚えるのは容易でした。声域の「アルト」も「高い」と言う意味が由来のようです。 しかし一方で、「アラベサ」は名前の由来がよくわからず、なかなか頭に入りませんでした。 少し調べてみましたが、「アラベサ」はその土地の名前に関係がありそうです。 「リオハ・アルタ」が、ラ・リオハ州のラ・リオハ県に属している一方で、「リオハ・アラベサ」は、バスク州のアラバ県に属しているようです。 「アラベサ」という名前は、アラバ県に由来しているのかもしれません。 バスク州がラ・リオハ州よりも北にあることを覚えておけば、「リオハ・アラベサ」がエブロ川の北部に位置することも難しくはないと思います。 最後に、「リオハ」、「エブロ川」、「ログローニョ」という名称もサブゾーンに合わせて覚える必要があるのですが、私は次のような語呂合わせのイメージで覚えました。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 )

WSET Level3 記述式問題で重要に思えたところ(本試験の筆記問題対策)

繰り返しになりますが、WSET level3の最大の難関は記述式問題です。 (参考記事: WSET Level3 の試験構成 ) WSETの記述式問題では、出題されたテーマに対して、深く理解をしているかが問われます。 (参考記事: 一筋縄ではいかない!とてもWSET的だと思った記述式問題(問題例) ) そのため、記述式問題の基本的な対策は、WSETレベル3のテキストの読み込みと、講義ノートの見直しを主に行いました。 しかし、広大な産地全てについて、万遍無く、深く理解をするというのは途方もない作業に思われました。 さらに私の場合は英語受験だったので、日本語のようにテキストをスラスラ読むこともできるわけはなく、本試験までの日数から逆算をすると、とてもそんな時間は確保できないと思いました。 そこで記述式試験対策の方針としては、いくつか重要と思われる部分にヤマを張って、それらを重点的に勉強することにしました。「重要と思われる部分」は次のような判断基準で抜き出しました。 ・講義中に担当講師が「重要」「試験に頻出」と言っていた部分 ・サンプル問題で、何度も問われていた部分 (参考記事: WSET過去問は共有禁止!それでもWSETレベル3の試験問題の参考にしたウェブサイト ) ・複雑で、しっかり理解をしていないと説明ができないと思った部分(特に醸造工程のオプションなど) ヤマを張った部分に関しては何度もテキストを読み返して、テキストの重要ポイントは何度もノートに書きあげて英文を書く練習を続けました。 (参考記事: WSET Level3の英語受験を一発合格した勉強方法 ) (関連記事: WSET試験の記述問題対策では「動詞」が重要!? ) 「重要と思われる部分」として抜き出した具体例を下に紹介します: <ワインの保管とサービス> ワインの保管方法(参考記事: ワインの保管方法 ) ワインの提供温度 (参考記事: チャートで覚えたワインのサービス温度 ) ワインのデカンティング 発泡性ワインの栓の抜き方(参考記事: 非発泡性(スパークリング)ワインの栓の抜き方 ) ワインの保存に使われる方法(参考記事: ワインの保管方法 ) <ブドウ樹の栽培、畑の管理、ワインの醸造> 高接ぎとその特徴(参考記事: grafting(...

ソノマ・ナパ カウンティのサブリージョン(AVA)の私的な覚え方【語呂合わせ】

アメリカ、カリフォルニアの暗記の難関と言えば、ソノマ・ナパのサブリージョン(AVA)の暗記です。 正攻法で覚えると結構大変なので、ポイントを絞った覚え方を考えてみました。 (参考記事: ナパヴァレーAVAの覚え方を正攻法で考えてみる ) そのポイントとは、「 そのAVAが、ナパ、ソノマどちらに属するのか? 」ということです。 あるAVAが取り上げられて、「これはナパ、ソノマどちらのAVAでしょう?」という問題が結構頻出なので、個人的には結構つかえる覚え方ではないかと思っています。 ソノマと、ナパのAVAを五十音順に並べてみると、意外と頭文字が重ならないことに気が付きます。 「ア」と「チ」が頭文字のものは両者に含まれるので、「アレ」と「チョ」で覚えます。 重複する「ロスカーネロス」は超重要なので、これは自力で覚えます。 名前に「ソノマ」が含まれるものは、わざわざ頭文字を覚えるまでもないので、除外しています。 あとはこの頭文字を語呂合わせなどで覚えます。 例えば、下のように。 ソノマさえ覚えてしまえば、「ソノマ」と「ナパ」の2択の場合は、ソノマの頭文字に含まれていなければ自動的に「ナパ」であることがわかります。 一応、下はナパの頭文字の語呂合わせです。 (関連記事: JSAワインエキスパート試験6ヵ月(半年)集中勉強法 )