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なぜ、A.O.C. フラジェ・エシェゾー(A.O.C. Flagey-Echézeaux) のワインが無いのか?を考察

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【ワインの表現用語】Fennel(フェンネル)、Dill(ディル)の香りとは?

WSETのテイスティングにおいて、Herb(ハーブ)の香りとして分類されるFennel(フェンネル)Dill(ディル)の香りの特徴について、外部サイトの情報を参考にしてまとめてみました。

両者ともに私にとってはなじみの薄い植物で、WSET L3を学習している間は、どんな香りを持っているのかかがよくわからないままでした

まず、Fennel(フェンネル)は、セリ科ウイキョウ属の多年生草本で、日本語ではウイキョウと呼ばれる植物です。



外部サイトでは次のように説明されていました。(英語の後に、ポイントをまとめた日本語をのせてあります)

<Fennelの香りについての説明>
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Fennel is a bulbous vegetable with a fresh but slightly bitter taste... It belongs to the same family as anise; both have similar bittersweet liquorice-like flavours and aromas...
In the wine lexicon, fennel is found in the herbal branch of the spice and vegetable category...
Tasting notes referring to fennel may be describing either the fresh and bitter fennel vegetable, or the sweet medicinal fennel seeds.
Fresh vegetal fennel notes are usually ascribed to dry white or rosé wines. These can include Verdejo wines from Rueda... Provence rosés... could have a savoury gentle herb character, in which red fruits underlay fennel flavours.
Champagne can also express subtle fennel notes...
Bittersweet fennel seed flavours are more common in red wines, often styles with a spicy fruit character. This includes some Sicilian Etna Rosso wines...  and varied Nebbiolo wines from northern Italy... Other wines with medicinal fennel seed notes could include red-fruit flavoured Beaujolais wines, or bold and smoky Syrah wines from northern Rhône.

(source) https://www.decanter.com/learn/advice/understand-tasting-notes-decoded-344920/

・フェネルは、新鮮だがやや苦い風味を持った球根上の野菜。

・アニスと似た、苦甘い甘草のような風味と香りを持つ。


・ワイン語彙集では、ハーブの分類に属する。


・テイスティングノートでは、新鮮な苦い野菜としてのフェ
ネル、もしくは、甘い薬用のフェネルシードを表す。

・野菜としてのフェネルの香りは、辛口の白ワインやロゼワインで使われる。(ルエダのベデルホ、プロヴァンスのロゼなど)


・シャンパーニュもかすかなフェネルの香りを持つことがある。


・苦甘いフェネルシードの風味は、より赤ワインで一般的である。(シチリアのエトナロッソやネッビオーロ、ボージョレ、南ローヌのシラーなど)


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An aromatic component in between spicy and vegetal character. The scent is close to the one described as star anise, but with a fresher, mintier and more lifted grassy edge.
Fennel is found in dry and slightly grassy white wines such as those made from Verdejo in Spain (Rueda), the Rolle-based (Vermentino) wines of Provence and Italy and some Chardonnay-based Champagnes.
In reds, fennel may come through the aromatic profile in Sicilian Etna Rosso wines, (Nerello Mascalese), some Nebbiolos (Barbaresco and Barolo), Rhone Syrah, or Gamay Beaujolais.

(source) http://socialvignerons.com/2018/05/08/top-100-aromas-in-wine-a-to-z/

・フェネルは、スパイスと植物の間の香りである。

・フェ
ネルの香りはスターアニスに近いが、より新鮮で、よりミントや芝に近い香り。

・フェ
ネルの香りは、辛口でやや芝の香りのある白ワインで見つかる。例えば、ルエダのベデルホ、プロヴァンスやイタリアのフェルメンティーノ、シャルドネベースのフェルメンティーノなど)

・赤ワインでは、シチリアのエトナロッソや、ネッビオーロ、ローヌシラー、ボージョレのガメイの香りの特徴として見つかる。


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次の引用では、FennelとDillがまとめて書かれていました。

ディルは、セリ科の一年草であり、種子や葉を香味料や生薬として用いられているようです。



<Fennel, Dillの香りについての説明>
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These herbs have a unique, cool-green refreshing feeling. We find them in wines from northern regions and from soils rich with limestone. 

(source) Wine Tasting: la degustation


・これらのハーブは、個性的で青っぽい爽やかな風味を持っている。

・この香りは、北部のワインや、石灰岩が豊富な土壌のワインで見つかる。


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最後にDillについての引用です。

<Dillの香りについての説明>
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An aroma that is commonly associated with American oak barrels. It’s the more extreme version of the American oak ‘coconut’ smell.

(source) https://winefolly.com/tips/33-bizarre-wine-flavors/

・通常、アメリカンオーク樽を連想させる香りである。

・アメリカンオークの"ココナッツ"の香りの極端な表現。


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まとめると、FennelDillともに主にフレッシュで青い香りのある白ワインに使われているようです。

WSET L3の講義では、フリウリ・ヴェネツィア・ジュ―リアのピノ・グリージョに対して、Fennel、Dillの香りが選ばれていました。



また、場合により両者ともに、ある種の赤ワインにも使われる香りのようです。WSETの講義では、Fennel、Dillが赤ワインに用いられることはありませんでした。




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パロ・コルタド・シェリーとは?アモンティリャードとオロロソとの製法の違いを調べてみた

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WSETレベル3の英語受講から合格までの体験記(難易度、勉強法、合格の秘訣など)

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ワインのテイスティングに使える英語表現 ~色、甘さ、酸味、苦み、ボディを表す表現は?~

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ワインの原産地統制名称 - AOC、AOP、PDOのざっくり整理

私がワインの勉強を始めた時に最初に行き詰ってしまったのが、AOC, AOP, PDO, PGI, IGTなどの3文字アルファベットです。 フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ドイツ... と勉強を進めるにつれて、次々とあらたなアルファベットと、ピラミッドが登場します。 必死でそれらを丸暗記してワインエキスパートの試験に臨んだのですが、結局はあまり深い理解が得られないままに、試験の合格と共にワインの勉強を終えてしまいました。 当時は完全に、覚えるべき3文字アルファベットの多さに圧倒されて、その森の中に迷い込んでしまっていました。 今、改めて振り返ってみて、3文字アルファベット(つまり、ワイン法の品質分類)は、すごく平たく言うとこういうことだったのではないかと思っています。その理解を、下に簡単にまとめてみました。個人的な理解なので、完全に正しいかどうかはわかりません。 以下、スライドの説明です。 【ワインの分類】について すごく大雑把に言うと、ワインには「産地名が保護されているワイン」と、そうでないワインがあります。 「産地名が保護されているワイン」とは、例えば、「ブルゴーニュ」ワイン。ブルゴーニュのブドウを使ってなかったり、ブルゴーニュで造られてないワインには、ボトルのラベルに「ブルゴーニュ」という名前を使ってはいけないということです。 さらに、EU圏内の場合、「産地名が保護されているワイン」の中には「産地名が厳しく保護されているワイン」があります。 「厳しく」というのは、ブドウ品種や、ブドウの収穫量、醸造方法、熟成期間などに関する基準を指します。つまり、決められた作り方をしたワインでなければ、その産地名をラベルに表記してはいけないということです。 例えば、シャンパーニュ地方のブドウを使い、そこで醸造をしたワインであっても、シャンパーニュ製法で作られていなければ、「シャンパーニュ」とラベルに表記ができないということです。 【ワイン分類の名称】について 上で説明をしたワインのうち、産地名が保護されているワインは、それぞれの分類(品質分類)の名前がついています。 厳しく産地名が保護されたワイン=PDO 産地名が保護されたワイン=PGI EU圏外で産地が保護されたワイン=GI 【EU各国での名称の違い】について PDOやPGIという名称は、EUが近年(2008年)新た...

コート・ド・ボーヌの村名の私的な覚え方【地図と語呂合わせ】

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coulure(=クリュール、クルール、花振るい)の意味|英語ワイン書籍に出てくる英単語

「 coulure = クリュール、クルール、花振るい 」です。 coulure とは、ブドウの房における受粉・結実不良です。 「 花振るい 」もあまり聞きなれない言葉ですが、辞書では「花が多数開花しても、着果が極めて少ない現象。ブドウによくみられる。」と説明されています。 同様の症状を表す英語として「 shatter 」という言葉が使われることもあるそうです。 ブドウの実は、果房に含まれる1つ1つのブドウの花で受粉が成功することで結実します。 一定数の花で受粉・結実の不良が起こることは通常でも起こることですが、 coulure(クリュール) は高い割合でこの受粉・結実不良が起こることを指すそうです。 ブドウの結実の数が減ることで、収穫量は大幅に減少します。 coulure(クリュール) の原因は、ブドウの栄養分である炭水化物の不足であると言われています。例えば、気温が低く曇りの日が多かったり、その反対に、気温が高すぎてブドウ樹が水不足を起こしてしまったりで、光合成が妨げられる場合などです。 また、ブドウの枝葉が成長しすぎて、ブドウの実に十分に炭水化物が行きわたらない場合も、 coulure(クリュール) の原因となるようです。 ブドウの結実障害として、他には「 millerandage(ミルランダージュ) 」というものがあります。 これは、種の無いブドウが高い割合で結実することを指すようです。種の無いブドウは、小さく緑色のまま成熟しないことがあるため、これも収穫量の減少や、ワインの品質の劣化につながるそうです。 millerandage(ミルランダージュ) の原因は、受粉・結実期の低い気温や、湿度の高さ、風の強さなどと言われています。